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水野 良×ジョン・ミンヒ対談――日韓を代表するファンタジー作家同士が語り合う,日本と韓国のファンタジー小説事情
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印刷2013/07/13 00:00

インタビュー

水野 良×ジョン・ミンヒ対談――日韓を代表するファンタジー作家同士が語り合う,日本と韓国のファンタジー小説事情

「ArcheAge」の小説について


4Gamer:
 ところで,「ArcheAge」の小説はどんなお話なんですか?

画像集#014のサムネイル/水野 良×ジョン・ミンヒ対談――日韓を代表するファンタジー作家同士が語り合う,日本と韓国のファンタジー小説事情
ジョン氏:
 プレイヤーがプレイしている時代の2千年前からスタートして,数百年にわたる長い歴史の物語が展開します。ですが,大昔のことだけでは終わりません。小説は何人かの主人公の物語ですが,ゲームは,何万人ものユーザーそれぞれの物語です。そのユーザーたちが,この物語と関連性を持てるようにしています。

4Gamer:
 プレイヤー自身が物語と関連性を感じられるような形ということですか?

ジョン氏:
 はい。特にMMORPGのプレイヤーというのは,ストーリーをあまり意識せずに,いろんなクエストを進めたりしますから,自分がどこにいて何をしているのかという大きな流れを忘れてしまうこともあるでしょう。でも小説を読めば,自分が歴史の中でどんな位置にあって,今後どんな方向を目指していくかというのが見えます。

4Gamer:
 小説の登場人物の子孫がゲームに出てくるとか?

ジョン氏:
 「ArcheAge」の世界には,直接的な舞台となる二つの大陸に加えて,旧大陸と呼ばれるものが存在しています。小説では,12人の遠征隊が主人公で,彼らが旧大陸で“何か”をしたことによって,現在の二大陸に人々が住むようになったんですが,何があったのが,彼らはどうなったのかなどを小説で知ることができます。まだ詳しくは言えませんが,旧大陸の物語は,今の時代を生きるプレイヤーたちのルーツになっていて,かなりの影響を与えています。

4Gamer:
 では「ArcheAge」は,ゲームと小説と,どちらを先に体験したほうがいいでしょうか。

ジョン氏:
 ジャングルに入るためには地図を見る必要があります。ゲームの世界に入るために,小説という地図があるといいのではないかと思います。

4Gamer:
 そうすると,先に読んでもネタバレみたいなことにはならないんですね。

ジョン氏:
 もちろんです。小説を先に読んでもゲームは楽しめます。というか,読んでおくとゲームの楽しみを逃さず,より深く味わうことができると思います。


資料が少ないから,みんなが想像力を働かせる


画像集#024のサムネイル/水野 良×ジョン・ミンヒ対談――日韓を代表するファンタジー作家同士が語り合う,日本と韓国のファンタジー小説事情
4Gamer:
そういえば,水野先生やジョン先生は,普通にオンラインゲームなどを遊ばれるのですか?

ジョン氏:
 もちろんやりますけれど,今は「ArcheAge」が一番面白いです!(笑)

水野氏:
 それはそうですよね(笑)

ジョン氏:
 ちなみに,PCのパッケージゲームが好きだったのが,「バルダーズ・ゲート」や「アイスウィンド・デイル」「プレーンスケープ トーメント」とか。他にも,BioWare社のゲームは全般的に好きです。

4Gamer:
 水野先生も,MMORPGは結構遊ばれると聞いています。

水野氏:
 僕は「ファイナルファンタジーXI」をスタート時から今も続けていますね。

ジョン氏:
 ああ,「ファイナルファンタジーXI」ですか。

水野氏:
 ですので,ほかのMMORPGはあまりやれてないんです。人生のうちでゲームにどれだけ時間を使うかというと,僕は結構使うほうですけど,それでもMMOに関しては1つが限界です。

ジョン氏:
 時間がかかりますからね。

水野氏:
 あ,でも。一時期サービスされていた「指輪物語」のMMORPG(The Lord of the Rings Online)は大好きでしたね。

ジョン氏:
 ああ,「The Lord of the Rings Online」は韓国でもサービスされましたが,すぐなくなってしまいました。

4Gamer:
 日本でも続きませんでしたね。

水野氏:
 いいゲームだったのになー。どうしてだろう。

ジョン氏:
 タイミングが悪かったのもあるかと。韓国では「World of Warcraft」がかなりヒットした後だったので,そのあとに新しい世界に入るのをみんなが躊躇したのかなとは思います。

画像集#025のサムネイル/水野 良×ジョン・ミンヒ対談――日韓を代表するファンタジー作家同士が語り合う,日本と韓国のファンタジー小説事情
水野氏:
 まぁ「指輪物語」という作品自体にも問題はありますよね。熱心なファンはいるんだけど,一般的な人気はそれほどでもないし。

4Gamer:
 そうかもしれませんね。

水野氏:
 アメリカでは凄い人気なんですけどね。アメリカには神話がないから,「アメリカ人にとっての神話は指輪物語だ」って言われてるくらいですし。そういえば,「指輪物語」の発祥の地であるイギリスにも,フォークロア(民話)は多いですけど,神話はないんですよね。

ジョン氏:
 アーサー王伝説とかは?

水野氏:
 あれは紀元後とかの話ですから,神話よりは民話寄りですね。

ジョン氏:
 J・R・R・トールキンは,イギリスに神話を作りたいと考えて,「指輪物語」を書いたという話もあります。

水野氏:
 そうですね。イギリスという土地は,征服されるたびに歴史が壊されてしまうので,イギリスの人たちにとってはそういう思いもあるでしょうね。少し話はそれますけど,韓国の神話とか歴史というのはどうなんですか?

ジョン氏:
 韓国にも建国神話などはありますが,現代まで多くの記録が残されている朝鮮王朝時代(1392〜1910年)は儒教の影響が強くて,儒教に合わない部分が全部排除されているんですよ。だから私としては,ダイナミックさが失われて,生き生きしていないように感じられてしまいます。

水野氏:
 なるほど。韓国の神話・民話は儒教の影響が色濃いのですね。ちなみに韓国の歴史の中で,一番人気のある時代というのはいつごろなんですか?

ジョン氏:
 残っている記録の量は朝鮮王朝時代が一番多いですが,最近人気があるのは,想像力の余地がある高句麗あたりの時代ですね。

水野氏:
 へえ,高句麗の資料ってあまりないんですか。日本でも,古事記なんかはずっと人気だったりしますけれど,やっぱり資料が少ないから,みんなが想像力を働かせるんですね。興味深いなぁ。

画像集#019のサムネイル/水野 良×ジョン・ミンヒ対談――日韓を代表するファンタジー作家同士が語り合う,日本と韓国のファンタジー小説事情


ライトノベルとは全然路線が違う作品


4Gamer:
 そろそろお時間が近付いてきました。それでは,今後のお仕事や告知などありましたらお願いします。

ジョン氏:
 今は「ArcheAge」の新しい小説を書いていますね。実は,それ以外にも,私が小説を書いている世界(シリーズ)が2つあるのですが,それぞれのシリーズで読者さんから「こんなふうにしてください」とか要請が来るので大変です。私も水野先生みたいに一つの世界を深く掘り下げていけばよかった(笑)。

画像集#020のサムネイル/水野 良×ジョン・ミンヒ対談――日韓を代表するファンタジー作家同士が語り合う,日本と韓国のファンタジー小説事情
水野氏:
 それは大変ですね(笑)。

ジョン氏:
 先月は中国の各都市を回ってサイン会をしました。日本では電子書籍のみの展開ですが,日本でも本を出版して,そういったイベントもできたらいいですね。

水野氏:
 今回は電子出版だけなんですか?

ジョン氏:
 はい。日本で出る作品が,私の作家人生の中で初めての電子出版なんです。電子書籍は,韓国でも出していないので,どうなるのかちょっと楽しみです。

水野氏:
 そうなんですか。日本では電子書籍がだいぶ浸透してきたところなので,電子出版から始めてみるというのは面白いチャレンジだと思います。

ジョン氏:
 昔ながらの読書ファンとしては,紙の本も欲しいですけどね。

水野氏:
 その気持ちはよくわかります。韓国語版の「ロードス島戦記」を見せていただきましたが,装丁もすごく綺麗に作って頂いて,嬉しかったですし。

4Gamer:
 電子書籍版は安いので,その分プレイヤーは手にとりやすいかなと思います。

水野氏:
 僕は,もっとゲームと組み合わせたらいいんじゃないかな?とは思いますけどね。オンラインのゲーム内通貨で買えるようにするとか,小説を買ったらゲーム内特典もつくとか。せっかく同じ会社で電子出版とゲームと両方とも出すんですから,そういうやり方に期待したいですよね。

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画像集#027のサムネイル/水野 良×ジョン・ミンヒ対談――日韓を代表するファンタジー作家同士が語り合う,日本と韓国のファンタジー小説事情

「ArcheAge」原作小説 紹介ページ


4Gamer:
 そうですね。

ジョン氏:
 水野先生の今後のご予定はいかがですか?

水野氏:
 今は「グランクレスト」というタイトルをやっています。夏に富士見書房さんから出版される小説ですけど,ここ5年間はそれに注力かなと思っています。やっぱりシェアード・ワールドで,戦記ものなんですけどね。

ジョン氏:
 ロードス島とは全然関係ないものなんですか?

水野氏:
 関係ないですね。

ジョン氏:
 そうすると,水野先生も「いろんな世界観を作る」側になったんですね(笑)

水野氏:
 はい,時間がなくて,いまだに各種の設定を作り続けながら書いてるんですけど。TRPG化が前提なので,これを成功させて,いずれはMMORPGにしたいですね。

4Gamer:
 「ロードス島戦記」のリライト版も出されるとか。

水野氏:
 あ,その作業はもうほぼ終わりましたよ。

ジョン氏:
 リライトって大変じゃないですか? 私もやった経験がありますけど,デビュー作だったので,拷問されているような感じでしたよ(笑)。

水野氏:
 わかります! 昔の自分に「おい!」って言いたくなりますよね(苦笑)。

ジョン氏:
 はい。私も十年前の自分に言いたいことがたくさんあります(笑)

画像集#016のサムネイル/水野 良×ジョン・ミンヒ対談――日韓を代表するファンタジー作家同士が語り合う,日本と韓国のファンタジー小説事情

水野氏:
 でも,読んでもらった人に聞いてみると,どこが変わったかわからないらしいんですよ。

4Gamer:
 えっ,ほんとですか。

ジョン氏:
 ああ,私の場合も,どこが変わったのか全部は気付いてもらえませんでした。

水野氏:
 そういうもんですよね。こちらとしては違和感なく再読してほしいので,そういうふうになるのを目指しているせいもあるんですが。

4Gamer:
 では,リライト版はそんなに大きく変わらないんですか?

水野氏:
 まだ決めかねているんですが,カシューとアシュラムの戦闘シーンはもうちょっと加筆しようかなとは思ってます。

4Gamer:
 おお,楽しみです!
 では,最後にファンに向けて一言ずつメッセージをいただけますか。

水野氏:
 「ArcheAge」の小説は,とても骨太のハイ・ファンタジーで,自信を持ってお勧めできます。僕も続きが楽しみです。ゲームともども,期待しています。

4Gamer:
 水野先生のファンにもお勧めということですか?

水野氏:
 そうですね,僕のファンといっても,作品によって世代が分かれると思うんですが,「ArcheAge」は魅力的なキャラクターが丁寧に描かれている本格的なファンタジー小説ですので,ハイ・ファンタジー好きの人には特にお勧めです。いわゆるライトノベルとは,全然路線が違う作品だと思います。

ジョン氏:
 ありがとうございます! 水野先生にそう言って頂けて光栄です。

4Gamer:
 ジョン先生からは読者に向けてメッセージはありますか。

ジョン氏:
 そうですね。まず私は,日本のファンタジー作品にはさまざまなジャンルがあり,深みがあるということを知っています。そして,そうした作品に触れてきた日本の読者の皆さんにとって,私の作品も,きっと想像力を刺激する内容になっていると思います。ですから,ぜひ手に取ってみてください。皆さんの心に残る作品となればと願っております。

4Gamer:
 今日はお忙しい中,どうもありがとうございました。

画像集#021のサムネイル/水野 良×ジョン・ミンヒ対談――日韓を代表するファンタジー作家同士が語り合う,日本と韓国のファンタジー小説事情

―――2013年6月10日収録


「ArcheAge」原作小説 紹介ページ

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