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ネタバレありでお届けする,幕末マーダーミステリー「四つの眼窩」誌上リプレイ。未経験者にこそ知ってほしい,マダミスの魅力を徹底紹介
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印刷2021/06/12 15:00

プレイレポート

ネタバレありでお届けする,幕末マーダーミステリー「四つの眼窩」誌上リプレイ。未経験者にこそ知ってほしい,マダミスの魅力を徹底紹介

第二幕:明かされる村の秘密


 しばし休憩を挟んでの後半戦は,物語の転換点となりそうな,井戸下の洞窟調査からスタートとなった。
 奥に進むために必要な【採掘道具】は,【縄梯子】と同様に彦作が持っていた。なぜ彦作がそんなものを持っているのかと皆は訝(いぶか)しんだが,「先代が使っていたもので,自分は洞窟に入ったことはない」とごまかしていた。

【採掘道具】があれば,洞窟の中を調べることができる。口当てなるものが入っているのが不思議だが……
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 村の掟で「入ってはならない」とされる洞窟だが,村の外の人間ならいいだろうと,総司が調べに入っていく。するとそこにあったのは,【木乃伊(ミイラ)】と【鉱石】であった。

洞窟にあった青い手がかりが開かれる
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【木乃伊】と,その持ち物を発見
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 【木乃伊】のほうは,女性の着物を着た頭と腕がない死体であり,その正体が金持ち夫婦の妻のほうだということは,筆者にはすぐに察しが付いた。頭と腕は,彦作がリョウメンスクナのご神体に使ったのだろう。ほかの面々も,これがリョウメンスクナの材料だということにはすぐに気付いたようだ。
 さらに,木乃伊の付近には携帯用筆記用具とびいどろの腕飾りが落ちており,裾の部分には手紙が入っていた。
 手紙は,姉に当たる人物に宛てて書かれたもののようで,夫婦が湯治に訪れたこの村で出産を迎えたことが記されていた。手紙の最後は文字が大きく乱れていて,「かえでさん よろしくたのみま」とかろうじて読める状態である。

途中で文字が大きく乱れた手紙。頭と腕のないミイラと相まって,いかにもホラー感たっぷりな状況だが,人間あまりに必死だと怖さを感じることもできないということが分かった
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 一方の【鉱石】は毒性が高いもののようで,【白磁の小瓶】の毒はこれで作られたようだった。またミイラを作るときにも用いられるという。
 ここに至って筆者もやっと理解した。村が今も豊かなのは,彦作がこの鉱石を密かに掘っているからなのだ。「夜にリョウメンスクナの足音がするときは,外に出てはいけない」という言い伝えがあったのだが,この足音とは,どうやら彦作が鉱石を掘っているときの金属音を指していたわけだ(かえではこの音を知らなかったが,村の何人かは聞いていた)。

この【鉱石】は炭酸泉の元でもあり,同時に炭酸泉で長湯すると倒れる原因にもなりかねないことが,別資料と照らし合わせることで判明する
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 これらの発見を受け,彦作がさっき密談しておいた筋書きに沿って説明する。

彦作「洞窟に入ってはならないという掟があるのは,この鉱物が毒だからだ。手紙の夫婦は,夫のほうがこの毒で精神をやられ,妻を殺したので,残された双子をかえでが引き取った。夫婦はこの洞窟で死んだため,死体は自動的にミイラ化した。伝承に従って,リョウメンスクナのミイラに仕立て,ご神体としたのだ」

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 筆者もそれに乗っかり,「そう,なぎとしじまは本当は私の子供ではないのです。隠していてごめんなさい」と謝るが,2人は不信の目で自分を見ている……ような気がする。
 さらに松助も,「でも妻が残した手紙に,双子が産まれたとは書かれていないし,実はどっちかが忠兵衛とかえでの子供という可能性もあるのでは?」と疑いを口にした。皆,察しがいいなぁ……。

 このままでは秘密が露呈してしまうことに焦った筆者は, なぎとしじまをそれぞれ密談に呼んで,「あなたがたを双子だとしておくことが,あなたがたとこの村の秩序を守っているの。そうでない証拠が見つかったとしても,決して明かしてはダメよ」と口止めすることにした。いまいち説得力に欠けるのは,自分でも分かっているのだが……。

なぎと密談し,必死に口止めしているところ。後になって考えると,このときの筆者は,「秘密を守る」という目標を重視しすぎていたように思う。もう一つの目標である「犯人捜し」のため,なぎやしじまには秘密を打ち明けるくらいでもよかったかもしれない
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忠兵衛殺しの犯人を追う


 村の秘密はかなり明かにされたが,まだ忠兵衛殺しの犯人捜しが残っている。洞窟の調査と並行して,昨晩の皆の行動や忠兵衛の目撃証言が整理されていった。

次第に皆が立ち上がるようになり,議論が白熱していく
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 まず,忠兵衛の足取りについて。宴のあとに忠兵衛を見たと証言したのは,しじまと彦作だ。しじまは「宴が終わって外に出た後,忠兵衛さんに【かんざし】をもらった」といい,彦作は「宴の後片づけをしていた自分よりも遅れて,忠兵衛が宿に帰ってきた」という。そのとき彦作は,「忠兵衛が手紙を持っていた」のも覚えているそうだ。
 だが,それ以降の目撃証言は出てこない。忠兵衛は村の入口で殺されているのだから,その後に宿を出たはずなのだが。
 一方で,アリバイの面では春風に不利な情報が現れた。村人が証言するには,リョウメンスクナの足音が聞こえる頃,村の入口に向かう春風らしき人物を見かけたというのだ。とはいえ,確固たるアリバイは全員持っていないので,確定はできない。

大きな新情報である村人の目撃談を全員で覗き込む。彦作は「春風は小柄なので,羽織と長刀を持てば女性がなりすますことも可能では?」と疑問を呈していた
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 総司は冷静に手紙の線から推理を進めようとする。忠兵衛は「今宵,村の入り口でお待ちいたしております」という手紙で呼び出された可能性が高い。ならば,それを書くことができたのは誰なのか。

手紙を書くための文筆道具を所持しているのは総司,しじま,松助の3人だ
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 総司は先手を打って,「自分は忠兵衛に向けて果たし状を書いたが,風呂で倒れた時に紛失してしまった。春風が拾ったのはそれだ」と説明。また松助も,自分が書いたのは【渡せなかった恋文】で,忠兵衛を呼び出す手紙ではないと釈明した。
 するとしじまは,忠兵衛の手紙は自分が書いたものだと白状した。

しじま「忠兵衛さんが持っているこの手紙は,実は私が書いたラブレターです。ここでは言えないけれど,好きな相手に宛てたものです。でも落としてしまったんです」
松助「手紙は届けられなかったけど,思いは伝えたんですよね?」
しじま「……はい」

 しじまが好きな相手は松助だろうなーとうすうす感じていた筆者は,この会話を聞いて「なーんだ,しじまと松助は両想いだったんじゃん! お互いにラブレター書いてて,渡せなかったけど結局は密談で告白したのか〜」とホンワカした気持ちになったものだ。
 しかし,しじまはいろいろ追求され困惑していたようだった。彦作は「いつでも会える松助に,わざわざ今夜手紙を書く必要があったのか?」と問い詰めていたが,それは……そういうものなんじゃない?

手紙について追及されるしじま
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 筆者は,疑惑の春風の部屋で【手紙】を見つけた。どうやら長州藩の海軍からの呼び出し状のようで,春風は身元を偽った長州藩の剣士であるらしい。日本史に疎くて確信が持てないが,春風と忠兵衛は互いに敵対する勢力に属していたのかもしれない。となると,宴席での発言に腹を立てて殺したのか?

ふーむ,春風は長州藩の人間か……そもそも長州藩って,誰が有名なんだっけ?
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 彦作はゴミ箱から毒入りの【捨てられた鳥肉】を発見し,「こんなものが見つかりました。忠兵衛はこれを食べたのでは?」と言い出していた。もちろん,毒を仕込んだのは彦作なので白々しいことこのうえないが,これは毒を盛られていたなら誰でも忠兵衛を殺せたはずで,容疑を自分から逸らす意図だったようだ。しかし,「調理に携わった松助と彦作が怪しい」と反撃されてしまい,効果はイマイチだった様子。

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 大詰めになって,かえでの部屋にあった【産婆の記録】をなぎが公開したことで,なぎとしじまが双子ではないことが,いよいよバレてしまう。しじまの父親は恐らく忠兵衛だろうということで,皆納得してしまったようだ。
 もう隠し通せないので,自分としては否定も肯定もせず,「今となってはもはや過去のこと。それよりも犯人探しに注力したほうがいいのでは」と答えるに止めておく。双子の秘密は守れなかったが,夫婦を殺した悪事はバレずに済んだので,少しだけ胸をなで下ろした。

 結局,犯人を特定できるだけの証拠を集めきることはできず,30分間の後半戦はここで時間切れとなった。あとは推理だけでなんとかするしかない。

【産婆の記録】には“娘が一人生まれた”としか書かれていないので,公開されれば双子の秘密は暴かれてしまう。なぎには公開しないよう口止めしておいたのだが,やはりダメだった
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記事中では省略したが,このほかにもさまざまな手がかりが登場した。これらの証拠を推理でつなぎ合わせる必要があるようだ
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推理と弁護,そして犯人当て


 最後の10分は,犯人が誰かを考える推理に当てられた。そして最後にそれぞれ1分ずつ,自分の考えを皆に発表するのだ。とはいえ誰が犯人なのかは,考えてみてもさっぱり分からない。なので,ここは自分の無実を率直に訴えることにした。

 幸いにも,彦作はこれまでの推理の中で,「短刀と毒薬は,私がかえでに『これで忠兵衛を殺せ』と渡したもの。殺す機会も手段もあったが殺していないかえでは,最初から忠兵衛を殺す気が一切ない」と擁護してくれていた。

しじま「一度殺さなかったからといって,最後まで殺していないとは言えないのでは?」
総司「いや,かえでは怪しく見えるが,夜に宿屋に来ているので犯人ではない。なぜなら忠兵衛が村の入口にいることを知っていれば,宿屋に来る必要がないからだ」

 娘であるしじまから疑われているのが悲しいが,父親のことを隠していたのだから仕方がない。総司の意見に乗っかりつつ,「確かに,忠兵衛さんを殺そうかと迷った瞬間もあった。でも総司さんの言うとおり,忠兵衛さんがどこにいるか知らなかったので,犯人ではない」と潔白を表明しておく。
 ついでにキャラクターの心情として,「私は村の今の平和を守りたいだけ。やっかいな旅人たちさえやってこなければ,こんなことにはならなかったのに……」と恨み節を述べてみた。

犯人がまったく分からず,頭を抱える筆者。証拠を積み上げて推理を構築し,論理的に1分で話すというのはなかなかどうして難しい。推理小説の探偵のようにはいかないものだと実感させられた
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 そして迎えた投票タイム。ゲームマスターから全員に風車が手渡され,それを自分が犯人だと思った相手に一人ずつ手渡していく。

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 6人が投票を終えた時点で,春風としじま,彦作の3人が2票ずつで分け合う状況になり,投票の結果は,最後の1票を持つ松助に委ねられた。春風は素性が不明なことに起因する怪しさが,しじまは忠兵衛が持っていた手紙の差出人であるという事実が,彦作は共謀が可能な立場であることが,それぞれ災いした形だ。
 松助は投票先に大いに悩みつつ……

松助「父さん(彦作)はかえでさんと昔から共謀していて,動機の面ではそれがバレないように忠兵衛を殺したと考えるのが妥当。だけど……父さんが鉱石を掘る音がしているときに,村の入口付近で目撃された春風さんが犯人,だと思う」

 結果,春風が3票を集め,最多票を獲得した。


終幕:エンディングと感想戦


 ゲームマスターからエンディング用の台本が手渡され,オープニングと同様に全員で読み上げる。雰囲気を盛り上げるBGMにSEまでが加わって,さながらラジオドラマのよう。しかしその内容は,筆者にとっては驚愕の結末であった。

(エンディングより一部抜粋,編集)

総司:
「なるほどね。いまので分かっちゃった。やっぱり君だったんだぁ……殺ったの」

しじま:
「えっ!! わたし……わたしじゃ……っ!!」

総司:
「君はさぁ,僕の獲物を奪っちゃったんだよね。僕の果たし合いに水を差しちゃったんだよ。分かる?」

(抜刀し,しじまに切先をつきつける総司)

春風:
「やめろっ! 総司ッッ!!」

総司:
「……どぉして邪魔するのかなぁ」

(すさまじい刀の応酬。しかし徐々に春風が押され始める)

春風:
「く……ならばっ……! ならばどうしてッ!! どうして忠兵衛殿は斬られたのだっ!!」

総司:
「そう……なるほどね。あいつは自分から斬られることを選んだ。君はそういいたいんだね」

春風:
「そうだッ! 確かに忠兵衛殿を手にかけたのはしじま殿かもしれない! しかし考えてみろ! 忠兵衛殿の刀傷は正面からつけられた。しかし忠兵衛殿の刀は鞘に収まったままだったッ! 相手が居合の達人ならいざ知らず,お前ほどの剣士と共に旅をする男なら素人の剣を躱すことなど造作もないだろう。ましてそれが刀を握ったことがあるかも分からぬオナゴの剣となれば言うまでもないッ!」

総司:
「……つまりあいつは抵抗すら 試みず,自分の意思で斬られた。この子のために」

かえで:
「そ,そんな……! 嗚呼,忠兵衛様……!!」

しじま:
「ごめん……なさい……。おかあさま……」

彦作:
「すまねぇッ! すまねぇッ! 俺のせいじゃッ! すまねぇ、かえで……許してくれ……しじまっ!」

総司:
「はぁーあ,やんなっちゃうなぁ。どこまで莫迦な男だったんだろうね,あいつは。僕まで莫迦らしくなっちゃったよ。まぁいいや。そこそこ楽しめたしっ。また会うかもね。春風くん」

(そういって納刀し,屋敷を出て行く総司。春風,その背を見送る)

松助:
「あっ! 総司様行っちゃった?!  袴返してないっ!! 総司様ぁぁぁ〜〜」

(場面変わって,村の出口へと歩く春風。駆けてくるなぎに気付いて立ち止まり,振り返る)

春風:
「ずいぶんと長くいたような気がするな……ん?」

なぎ:
「ハァ……ハァ……。俺っ,強くなるっ! 強くなって,今度は俺が守れるように……俺が家族を守れるように! 絶対強くなってやるっ!」

春風:
「君は立派なサムライだ」

なぎ:
「お願いがあるんだっ! いつかまた近くに来ることがあったら,かならず村に寄ってくれっ! 俺がこの村を,変えてみせるから!」

春風:
「ああ。約束だ」

(春風,なぎに背を向け歩き出す)

春風:
「おもしろき こともなき世を おもしろく」

【維新奇談『四つの眼窩』終劇】

 犯人はしじまだったのだ。
 自分としてはまったく予想してなかっただけに,朗読しながら驚きを隠せなかった。しかも忠兵衛は娘だと知って死を受け入れただなんて。
 とはいえ,結末としては過去から受け継がれてきた因習が潰え,新たな時代の幕開けを感じる前向きなもので,(キャラクターとしての立場はさておき)よきエンディングだったのではないかと思う。

ゲームは終了し,拍手で各人の奮闘をねぎらう
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犯人の動機,皆の秘密の種明かし


 エンディングを迎えたあとは,皆の考えていたことを話し合ったり,ゲームマスターによって物語の種明かしが行われる感想戦の時間だ。さまざまな疑問が氷解していくこの時間は,マーダーミステリーで一番カタルシスが得られる時間かもしれない。

 そもそも,どうしてしじまは忠兵衛を殺したのか?
 それは純粋な信仰心からだった。しじまは忠兵衛が屋敷に来たとき,話を最初から全部盗み聞きしており,自分達の出生もすべて知ってしまっていた。それでもなお,宴席でリョウメンスクナを穢した忠兵衛を許すことはできず,自らの手で誅することにした。呼び出しの手紙を書いて忠兵衛に渡し,男物の羽織を着て変装して,ご神刀で無抵抗の忠兵衛を斬殺したというのが真相だ。しじまが忠兵衛からもらったというかんざしは,実は死に際に忠兵衛から受け取った物だったのだ(このとき忠兵衛は「かえでを頼む」と遺言を残している)。

ゲームマスターの解説により,すべての謎が解けていく。ゲームマスターによれば,今回のシナリオは動機にまで至るのは難しいが,アリバイや証拠を丁寧に追っていくことで,犯人は特定できる作りとのことだった
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 一方で,ほかのキャラクター達も,いろいろな思惑の元に動いていた。
 総司は忠兵衛を「自分より弱いくせにうざい先輩」と考えていて,旅の途中で果たし状を叩きつけ,殺してしまう予定だったらしい。果たし状は書き終えたが,忠兵衛に渡す前に服と一緒になくしてしまっていた(それを春風が拾い,自分宛と勘違いしたわけだ)。

 しじまが松助を好きだったのは真実だったが,密談で松助に思いを告げたところ,「(しじまのことは)なんとも思っていない」とバッサリだったとか。そんな松助は,総司に一目惚れしていた。風呂で倒れた総司を自室に運び込んだときも,正視できずに部屋を飛び出したのだとか。その後,松助は総司との密談で愛を告白したそうだが……総司曰く「すごく熱烈に迫られたけど全スルー」とのことだった。なにそれ,そのシーンはちょっと見てみたかったかも。

 なぎは,かつて井戸に落ち洞窟に入ったことがあり(なので木乃伊の傍にあったものと同じ,【びいどろの腕飾り】を持っていた),村の掟を当初から疑っていた。この村の因習を打ち破り,村を出て剣士になりたいとも思っていたそうだ。そのため,今回は明るみに出ることがなかったが,忠兵衛の部屋から剣術の指南書を盗み出している。そしてこれを隠蔽するために,忠兵衛の目撃情報を握りつぶしていた。
 さらに忠兵衛がしじまに渡したかんざしは,しじまの部屋を漁ったなぎがずっと隠し持っていた。かんざしにはかえでの名前が彫られていたので,もし公開されていれば,しじまがこれを受け取った経緯を追及できたかもしれない。

 そして,春風の正体は高杉晋作だった! 春風は彼の幼名であり,今回の事件は江戸からの帰り道に飛騨方面を通ったときに遭遇した出来事という設定だ。日本史に詳しい人なら,長州藩からの呼び出しや,背丈に似合わぬ長刀といったヒントで,気が付くこともあるそうだ。
 なお史実の高杉は,これ以降,急に日記をしっかりつけ始めるようになったという。ゲームマスターによれば,記録を付けるようになる何かしらの出来事が,この時期にあったのかもしれない,というのがこのシナリオの着想だったとか。

 春風のプレイヤーは,結果としてほかのプレイヤーに怪しまれ,投票で最多票を集めてしまったことを悔いていたが,これはその実,村の入口付近で春風らしき人物を目撃したという情報が大きかった。実際,その人物はしじまの変装であり,春風はその時間に松助と会っている(リョウメンスクナの足音とされる音について問いただしている)ので,そこで強くアリバイを主張しておくべきだった……かもしれない。

 しかしゲームマスターによれば,シナリオ上用意されたエンディングの分岐は,実は最多票とは連動していないそうだ。もちろん,犯人当てを達成できたか否かと言う意味では大事だが,どのエンディングに行き着くかは,旅人側の2人――総司と春風が誰を指名したかによって決定される仕組みになっている。今回は総司がしじまに投票していたので,あのエンディングになったというわけだ。

全国各地でマーダーミステリーをプレイして来たゲームマスターの酒井氏によれば,地域によってプレイスタイルにも若干の違いがあるという。例えば関東では,入手した手がかりは基本的にオープンにしていく人が多いが,関西だととりあえず秘匿しておく傾向を感じるとか
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マーダーミステリーの世界に飛び込もう


 というわけで,やや駆け足ながらお送りしたマーダーミステリーの実プレイ紹介だったが,いかがだったろうか。感想戦まで含め,実プレイ時間にして4時間程度。慣れない筆者は脳みそが酸欠になりそうなくらい疲労してしまったが,その分非常に濃密な体験だった。読者にも,その魅力が少しでも伝わったなら幸いだ。

 マーダーミステリーには,さまざまな魅力がある。
 例えば今回彦作役を担当したベテランプレイヤーのだーしゅさんは,自由に嘘がつけるところに魅力を感じているそうで,ハンドアウトを読むときは,毎回どんな嘘をつこうか考えながら読み込んでいるという。
 一方,総司役で参加した海老江邦敬さんは,普段とは違う人格を演じられるところが楽しいそうだ。曰く「サイコパスを演じるためにマーダーミステリーをやっている」そうなので,エンディングで突然ブチ切れる今回の総司役はピッタリだったかもしれない。だーしゅさんも,単なる勝ち負けを超え,キャラクターの心情に寄り添ってプレイできるのが,良いシナリオの条件と話していた。

エンディングで一際の熱演を見せる総司のプレイヤー。実に楽しそうだった
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 また,なぜか犯人役に当たることが多いという,しじま役のコマノアキさんは,犯人役の面白さについて,皆を偽の情報にうまく誘導し,話を盛り上げられたときの達成感を,一番の魅力に挙げていた。
 犯人役は秘すべき情報が多いのでプレッシャーが大きいのは確かだが,筆者が演じたかえでがそうであったように,マーダーミステリーでは犯人以外の人物も,腹に一物抱えていることがほとんだ。なので,どちらを引いてもあまり変わりはないのかもしれない。
 なおコマノアキさんによれば,犯人役のコツは密談などで「自分はちゃんと犯人を捜そうとしている」ことをアピールすることと,誰がどういう情報を持っているか聞き出すこと,だそうだ(序盤で筆者に父親について尋ねたのは,これが目的だったらしい)。
 
 徐々に増えていく手がかりを元に,謎を解きあかす楽しみ。誰かの秘密を暴いていく快感の裏で,自分の嘘に怯える焦燥感。意外な真実が明らかになり,常識がひっくり返るギミックの面白さ。そして,すべての疑問が線でつながり,真相に至ったときの達成感などなど。受動的に楽しむ映画や小説などとは違い,自身が物語に入り込むがゆえに得られる魅力が,マーダーミステリーにはある。
 筆者としても,物語の展開をこんなにもハラハラドキドキしながら見守ったのは久方ぶりだったし,なにより「ヤバい因習があるヤバい村の,ヤバい村長と巫女」という,“いかにも”な役をやりきった! という達成感を強く感じた4時間だった。

 時節柄,皆で集まってプレイするのはハードルが高い昨今だが,近頃はオンラインで遊べるマーダーミステリーも増えつつある。読者の皆さんも,ぜひ機会を見つけてマーダーミステリーの世界に飛び込んでみてほしい。

左から総司を演じた海老江邦敬さん,彦作を演じただーしゅさん,しじまを演じたコマノアキさん,かえでを演じた筆者,そしてゲームマスターを務めた酒井りゅうのすけ氏
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今回遊んだタイトル「維新奇談 四つの眼窩」について


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監修:酒井りゅうのすけ
シナリオライティング:秀島在(HOX)
キャラクター・キービジュアル:越水ナオキ
デザイン:秀島在
ロゴ:白坂翔
総合企画:運営T
公式サイト:https://rabbithole.jp/event/ganka
©dwango・Rabbithole・越水ナオキ・後藤貴徳

 Rabbitholeが贈る維新奇談シリーズの第1作。現在はRabbithole渋谷店で遊べるほか,続編にあたる新作「京都炎上 陽炎編」「京都炎上 狂炎編」も登場し,プレイ可能となっている。ただし第1作である「四つの眼窩」は,この記事を読んだ人はプレイできないので,その点はご注意いただきたい。
 なお「四つの眼窩」は,ゲーム実況者やVTuberが遊んだ公式動画がYouTubeで公開されているので,そちらもチェックしてみるといい。真相を知ったうえで見てみると,それぞれの思惑や苦悩が分かって大変面白い。

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【幕末マーダーミステリー】維新奇談『四つの眼窩』実況者編

【幕末マーダーミステリー】維新奇談『四つの眼窩』VTuber編


Rabbithole公式サイト


 
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