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ガーデンオーダー
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ガーデンオーダー

ガーデンオーダー
公式サイト
発売元 富士見書房
開発元
発売日 2015/09/19
価格 1600円(税込)
ジャンル
レーティング
備考
その他
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このゲームの読者の評価
80
グラフ
読者レビューについて
 4Gamer読者レビューは,読者の皆さんがご自身の判断で書いたレビューを掲載するためのコーナーです。掲載前には編集部で主に公序良俗面のチェックを行っていますが,掲載されている情報について,4Gamer.netが正確さの保証を行うものではありません。掲載情報のご利用は,読者の皆様自身の判断と責任で行ってください。
 なお,ゲームの評価を表す「GamerScore」は,投稿されたレビューの平均点を表示したものではありません。投稿の傾向を分析・考慮し,補正を加えることで,有用と思われるスコアを目指した形となっております。詳しくは「こちら」をご参照ください。
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  • 『TRPG』を知らない人にこそのゲーム 80
    良い点
    ・経験者以外お断り、じゃない!

     何だかんだと言って、TRPG(テーブルトークロールプレイングゲーム)は敷居の高いものである。
     ゲームマスターとプレイヤーを揃えるだけでも大変だし、場所だって用意しないといけない。何よりも遊ぶゲーム自体が必要になるのだが、正直TRPGのルールブックはお値段がそれなりにするものが多く、初めて触れる人は二の足を踏むことも多いだろう。そして折角ルールブックを買ってみても、いざ読んで見ると「何だかよく分からない……」と感じてしまう人は多いはずだ。TRPG特有のシステム。濃い世界観。慣れてくるとそれが良さになってくるのだが、初めての人にはとっつきにくいものがある。
     なら、どうすればいいのか。知り合いに経験者がいるなら、勿論その人に色々と教えてもらうのも手だ。でもそうじゃない人もいるだろうし、寧ろ自分が切っ掛けとなってTRPGを広めていきたい、なんて意欲のある人もいるだろう。そういう方々におススメしたいのがこのゲーム、『ガーデンオーダー』である。


    ・共有しやすい世界観

     舞台は現代日本にほど近い世界。プレイヤーは第二次世界大戦末期に出現した人類の天敵『ネフィリム』に対抗できる存在、『オーダー』と呼ばれる超能力者達となって戦う。このゲームの世界観はそんな、悪く言えば使い古されたような、しかしそれ故に誰にでも理解しやすいものとなっている。王道的な世界観は共通認識が得やすい。サブカルチャーにある程度触れたことのある人間であれば、このゲームの『世界』を一緒に楽しむことは容易いはずだ。
     また、このゲームを制作した『F.E.A.R.』社は幾つものTRPGを世に送り出してきた実績のある会社であり、そのゲームの多くが重厚な世界観を持っていることでファンの間では知られている。ならばこのゲームもガチガチに固められた設定が練りこまれていると思いきや、意外や意外、現状でのこのゲームは非常にファジーなものとなっているのだ。
     基本的な情報はある。味方が誰なのか、敵は誰なのか、プレイヤーは何をすればいいのか。ゲームをする上で最低限以上の設定は記されているのだが、世界観を深く掘り下げる様な、所謂『フレーバー的』な情報がかなり削られている。経験者にとってはショックかもしれないが、これは初心者にとってはチャンスである。何せ、ゲームをやる上で知っておいた方がいい設定の量が非常に少ないのだ。最近のソーシャル・ゲームを楽しむように、気軽にこのゲームをプレイすることが出来るだろう。TRPG初心者でも安心だ。 


    ・分かりやすさ重視の『%ロール』

     TRPGの基本的な部分とも言えるのが『判定』である。例えば何らかの行動をキャラクターにさせた時、その行動が成功したのか、あるいはその行動によって望む結果を引き起こすことができたのかどうか、その成功と失敗を決めるためにサイコロを振ること。それが判定であり、TRPGはこの判定の繰り返しによって進んでいくと言っても過言ではない。
     ところで、以下の二つの文章を見て欲しい。これは実際のTRPGでよく使われる言葉の一例である。
     「では、判定を行いましょう。2D6で10以上で成功です」
     「では、判定を行いましょう。1D100で80以下で成功です」
     さて、分かりやすいのはどちらだろう。『2D6』は六面体のダイスを二個振ることで、つまり上の文章はサイコロを二個振って出目の合計が10以上であればいい、と言っている訳だ。一方下の文章はどうだろう。『1D100』は百面体のダイスを一個振ることで、この場合はその出目が80以下であれば成功ということになる。これを一言で言いかえてしまえば、「成功率は80%」ということになるのだ。
     前者は六面体を使用した判定方法であり、後者は百面体を用いた(勿論本当に百面体を使うわけではなく、しばしば十面体サイコロ二個で代用される)判定方法である。後者は我々が日常的に使用している『%』を用いて考えることができるため、俗に『%ロール』と呼ばれている。
     『ガーデンオーダー』ではその%ロールが採用されているのだが、これは初見でも成功と失敗が分かりやすいということ、そして同じく%ロールを採用している『コールオブクトゥルフ』が流行していたことが理由だ。動画サイトで『クトゥルフ』の動画は見たことがあるというような人には馴染み深い(?)システムであり、そういった人ならばこのゲームもすんなりとプレイできるはずだ。勿論、動画を見たことのない初心者にもおススメである。極論を言えば、このゲームをプレイするには十面体のダイスを二つ振るだけでいいのだから。


    ・ロールプレイを“したくなる”システム

     感覚を強化して、遠距離から針に糸を通すような狙撃を行う。他人の心を読んだり、操ったりする。電撃を発生させ、電磁誘導を起こして擬似的なレールガンを作る。そんないかにもライトノベルであるような超能力を使ってみたい、と思ったことのある人は多いはずだ。
     そんな欲望に見事答えてくれたのがこのゲームである。プレイヤーは『オーダー』と呼ばれる超能力者になって様々な事件を解決していくのがこのゲームの趣旨となるわけだが、何と選べる特殊能力の種類は現在十種類。発火能力、電撃能力といったよくあるものを始め、重力操作といった痒い所に手が届くような能力も使用可能だ。
     しかも他のTRPGのように、能力が使えると言っても技はそのうちの一つや二つだけ……ということにはならない。なんと使用する能力の種類を決定すれば、その能力が出来ることの全てが使用可能になるのだ。例えば『発火能力』を能力としたキャラクターを用いるとすると、そのキャラクターは武器に炎を纏わせることも出来るし、炎を直接敵にぶつけて攻撃することも出来る。あるいは何もない所を燃やして、そこに爆発を生じさせるといったことも可能なのだ。
     さらにこのゲームでは、「この能力はこういったものにしか使用できない」というような制限は然程ない。むしろ「能力を利用して判定を行うと成功率に+の修正が付く」といった仕様の特技がどの能力にも存在し、あらゆる場面における能力の使用を推奨すらしているのだ。
     この場面で能力を使用する。では、どのように使うのか。そしてその能力で何をするのか。そういったことを考えたり、演出するのが好きだという人は、是非このゲームをやってみるといいだろう。自信を持っておススメする。
    悪い点
    ・シート類には改良の余地あり

     TRPGをプレイする際にキャラクターのデータ等を記入するシートがあるのだが、それが少し使いにくい。
     基本的なレベルには達しているので、プレイに致命的な問題が発生するわけではない。しかし自身の技能に修正値を加える計算表が『キャラクターシート(キャラクターのデータを書くもの)』ではなく『レコードシート(体力やシナリオ中に手に入れた情報などを管理するためのもの)』に書かれていたり、ゲームの進行役であるゲームマスターがプレイヤーのあれこれを管理、把握するための『セッションシート』にキャラクターの名前を書くための場所が存在しなかったりなど、所々で作りの甘い箇所が見受けられる。
     プレイヤーによる工夫で何とかなるレベルではあるのだが、やはり修正してもらいたいところである。


    ・人によっては気になる、世界観の薄さ

     世界観については良い点の方でも記したが、やはり如何せん設定が薄すぎるところがある。例えばプレイヤーは『GARDEN』という国連の関連機関に所属することになるのだが、何故所属する必要があるのか、そういった動機付けに必要な情報が現状では少し弱いとも言えるのだ。このゲームでは、こういった「少々気になること」が結構多い。
     また、他の『F.E.A.R.』作品では作りこまれた世界観自体に魅力を感じ、それが切っ掛けで作品に愛着を持ったという人間も多いが、今作においてはそれを期待するのは難しいかもしれない。受け入れられやすくした分、世界観の『濃さ』や『クセ』がどうも弱くなっており、熱狂的なファンを作ることができるかは未知数である。
     勿論、通常のゲーム進行に問題はないし、こうしたことを気にしない人も多いだろう。が、少なくとも筆者の周りでプレイした人間の感想を聞く限りでは、設定の薄さに愚痴を溢す人が少なくはなかった。ただし、これは後々に世界観を補完する『サプリメント(ルールブックと世界観を同一にした、データなどを追加するための本)』などが出れば解決する可能性もあるため、「こんなことを言っている人もいるんだ」程度に考えておけばいいかもしれない。
    総評
     『ガーデンオーダー』は角川が数年前からのTRPGブームを受け、『コールオブクトゥルフ』などでTRPGに興味を持った新規層に向けて打ち出したゲームである。
     事実、このゲームは多くの要素が初心者向けにデザインされており、全くTRPGを知らない人でも比較的簡単にプレイすることができる。TRPGを始めたいけど他にやっている人がいない、友人を誘ってやってみたい、という人には非常におススメできる作品だ。値段が二千円以下と比較的手を出しやすいものとなっているのもあって、TRPGを始める切っ掛けとしてはかなり受け入れられやすいものだろう。
     また、このゲームの拡張性はかなり高い。世界観の薄さを逆に利用して、様々な方向性のシナリオを作成することが出来るだろう。ネフィリムを倒すだけのシナリオは勿論、街を舞台にしたシティアドベンチャー風味のものも出来るだろうし、ネフィリムが一切出てこない恋愛物のシナリオだって作ることができる。『3×3のマス目が書かれた戦闘マップ』や『プレイヤーごとに与えられるコードネーム』など、物語を作成するうえで利用できそうな要素はかなり多い。自分でシナリオをプロデュース出来る人なら幾らでも面白くできる、素材としては非常に優秀な作品だ。
     ただTRPGに慣れた経験者が、独自のシナリオやギミックを用いることなく、この作品に元々備わっている物のみで遊び続けるには向いていないかもしれない。世界観が薄くなっている分、そこで愛着を持つのが少々難しいのだ。システムや自分で作成したキャラクター自体に愛着を持つか、あるいはシナリオを自作してストーリーを楽しむようにしないと、数回のプレイのみで飽きてしまう可能性もある。ルールブックに書かれているサンプルのシナリオが一つのみであるため、複数回遊ぶためにはどのみちシナリオを自作するか、あるいはサンプルや有志が作ったシナリオが増えるのを待つ必要があるが。

     総評としては、初心者の人が友達を誘ってやってみたり、これでTRPGを始めようとするのはおススメ。経験者がこれを基にシナリオを自作したり、独自の要素を加えたりして遊ぶのはおススメ。もしくはそういった人が作成したシナリオを遊んでみるのも良し、といったところであろう。
     現状では多少のマイナス点もあるものの、これからの展開で十分に巻き返し可能な程度のものでしかない。これからの作品展開とデータの拡張の次第によっては、新たなTRPGの金字塔となることも十分に可能であろう。

     TRPGを知らなかった人こそ、このゲームをやってみて欲しい。「物は試し」には一番向いているゲームである。
    プレイ時間
    5〜10時間
    グラフィックス サウンド 快適さ/運営 熱中度/ストーリー ボリューム
    4 3 4 4 3
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