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これぞ“匠の仕事”。CD「スクウェア・エニックス効果音集」をプロデュースする矢島友宏氏にいろいろ聞いてみた
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印刷2013/09/18 00:00

インタビュー

これぞ“匠の仕事”。CD「スクウェア・エニックス効果音集」をプロデュースする矢島友宏氏にいろいろ聞いてみた

効果音もテクノロジーの進歩と共に進化


4Gamer:
 こうして古いプラットフォーム向けの作品に付けられた効果音を聞いていると,プラットフォームの世代が変わるごとに音の鳴らし方も変わってきたんだろうと思うんです。そのあたりは,効果音を作る側としてはいかがでしょうか?

矢島氏:
 そうですねぇ。ちょっとゲームの音の歴史を簡単に整理してみましょうか。
 ファミコンやゲームボーイは,あらかじめ決まった波形が入っていて,それを変調させて基礎的な音源を作りつつ,長さと音階と音量で表現するというものでした。また,ハードとしての発音数が三つくらいしかないので,効果音に使える音は一つだけだったりします。
 スーパーファミコンの時代になると,今までより発音数が増えてメモリも多くなり,サンプリングといって楽器の音を取り込めるようになったりしました。表現に少し幅が出た時代ですね。

4Gamer:
 初めてスーパーファミコンのサウンドを耳にしたときは,「生楽器だ!」みたいに驚いたものです。今聴くと,全然そんなことはないんですが(笑)。

矢島氏:
 ですね。それでもインパクトはありましたよね。そういう経験を含めて,ファミコンやスーパーファミコンのサウンドは,“味のある音”として皆さんの記憶に残っているんだと思います。
 これがPlayStationの時代になると容量がとても大きくなり,音を取り込むのが普通になって,現在とそう変わらない生音も表現できるようになりました。ストリーミングといわれる,あらかじめ用意しておいたデータを流す技術も導入されました。

4Gamer:
 PlayStation以前と以後で,音の扱い方は一気に変わった印象があるんですが,制作の現場ではいかがでしたか?

矢島氏:
 ファミコンですと,効果音はプログラマーやプランナーが直接作っていたこともあるようです。スーパーファミコンからは効果音や楽曲の制作数が多くなりましたので,音の専門スタッフが制作するようになってきます。
 PlayStationの頃になると,音の鳴らし方が難しくなってきますので,カットシーンや環境音等はスクリプト(簡易言語)で制御されるようになって,プランナーが複雑な音を鳴らすタイミングやフラグを設定するようになります。
 PlayStation 2や3の時代になると,ツールが充実してきて,サウンド担当者が音を当てる作業も直接行えるようになりました。つまりここでようやく,サウンドセクションだけで作業を完結させられる時代がきたわけです。

4Gamer:
 効果音を作る人が,自分で音を付けられるようになった変化は,かなりのものだったのではないかと思います。

矢島氏:
 大きかったですね。それまでは作成後に鳴らしてもらうようにお願いをしなきゃいけないし,プログラマーは自分の仕事もある中で,こっちの作業もしないといけない。ましてや音周りの作業が忙しくなるのは,開発の後半になりますから,プログラマーにとって一番厳しい時期なんですよ。そういう中でお願いするのは,かなり気を遣います(笑)。

4Gamer:
 でも現在は,気兼ねすることなく自分で音付けにこだわれる,と。

矢島氏:
 そういうことです。サウンドで完結してほしいという本音はお互いに持っていたはずなんですけど,技術力はもちろん,ツールを作るためのプログラマーが必要になりますから,やはり時間を要しました。
 ただ,近年また過渡期が訪れて,原点回帰しているようなケースが出てきています。というのも僕が,新作の「LIGHTNING RETURNS: FINAL FANTASY XIII」PlayStation 3 / Xbox 360)で,バトル中に掛け声が変化する仕組みを考案したんですね。HPなどのパラメータから自分が優勢なのか劣勢なのかを判断して,それに応じてセリフがリアルタイムに変わっていくという仕組みで。

4Gamer:
 そこまで凝ったものだと,サウンドの部署だけではまかないきれなくなりそうな気がするんですが……。

矢島氏:
 まさにそうで,仕組みを考えたのはいいんですけど,これを使ってもらわないといけなくなったんです(笑)。
 そのためにはプログラマーやプランナーに相談してシステムに導入する必要があるし,やると決まったら台本制作の際に「今回こういう仕組みがあるので,掛け声を今までより多く用意してください」と言わないといけない。
 ツールのおかげで音に関することはサウンドチームで完結させる方向に進んでいたんだけど,もう一歩踏み込んでみた結果,ケースによっては部署を超えて協力連携することで,更にいいものになったということです。

4Gamer:
 分業でできるようになったはずのものが,やがて回帰していくのは興味深いですね。

矢島氏:
 音関係のスタッフは,プランナーから発注を受ける,あるいはプログラマーに音を付けてもらうというスタンスが大半で,独自に完結できることが少な過ぎたと思うんです。
 それが自分達の手で音周りを完結させられることが多くなってきて,今までやってもらっていた部分が良く分かるようになってきたからこそ,プランニングにまで踏み込んでいけるようになったんだと思います。そしてこれは,自社ですべての開発を行う事が出来るからこそだと思っています。

4Gamer:
 技術による効果音の進化という意味では,「FINAL FANTASY XIII」で導入された“MASTS”という自動サウンド生成システムも,矢島さんのアイデアですね(関連記事)。

矢島氏:
 あれも発想自体は昔からあったんですよ。思いついたのは,「ベイグラントストーリー」の開発の時なんですけど,効果音のすべてを手作業で付けていたんです。足音一つ一つを,絵を見ながら強弱をつけていくという途方もない作業で,すごく満足するものが出来上がったんですけど,さすがにこれを常にやるとなると厳しいぞ,ということで,それを自動化できないかと考えたのがMASTSなんです。

4Gamer:
 必要から生まれたアイデアだったんですね。

矢島氏:
 ええ。すごく簡単にいうと,キャラクターなどの骨となっている部分の挙動を元に自動で音を鳴らす仕組みなんですけど,最初はプログラマーから「これを完成させるには10年かかる」と言われました。
 元々音を制御するのと,音をジェネレートするという二つの要素でMASTSは成り立つんですけど,今は制御部分が完成していてジェネレート部分は一部だけなんです。音自体をゼロから生成するジェネレート部分を動かすには,現行機でもマシンパワーが足りませんので,これからのハードに期待しているところです。

4Gamer:
 それにしても,プレイヤーが見えない部分に,これだけの力が注がれてるとは想像もしませんでした。

矢島氏:
 でも,見えないところにこだわるっていうのは“粋”じゃないですか?(ニヤリ)
 まぁ,さっきも言ったように効果音だけ目立っても仕方がないので,プレイヤーの皆さんは知らないのが普通でしょう。今しているような話を知ってもらっても「へー」となってくれれば,それでいいです(笑)。



効果音集には“効果音屋の矜持”が込められている


4Gamer:
 さて,ある意味本題の効果音集のCDについても,あらためていろいろとお聞きしたいんですが……。

矢島氏:
 最初にも言いましたけど,プレイヤーの皆さんはこれを聴いてもチョイスの理由が分からないものも多いと思います。僕が選曲しているんですけど,プレイヤーの皆さんにとっての“あるある”は半分だけで,残りは効果音屋としての矜持をチョイスしていますから。
 社内のスタッフからも「なんで最初がカーソル音なんですか?」って聞かれるんですが,そこは「これが効果音だよ!」って説明です。プレイヤーの皆さんの反応を見ると,一定の理解をいただけているようで安心しました。

4Gamer:
 CDの制作作業で,何か苦労したポイントはありますか?

矢島氏:
 意外に手間がかかるところですね。開発を担当しつつアイデア出しをするんですけど,家でも悩んでたりしますから。実作業もゲームの数が多いので2〜3か月かかっていますし。
 そうそう,2枚目からは99トラック目を「?」にしたんですけど,あれの正解は分かった人はいるのかなあ(笑)。

4Gamer:
 実は気になっていたんですよ,それ。答えを教えていただくわけには……。

矢島氏:
 ここだけの話ですけど(略)。

4Gamer:
 ……うっわ。確かにありましたね,そんなものが。気付く人はどれだけいるんでしょうか(笑)。

矢島氏:
 いないでしょうね(断言)。

4Gamer:
 ですよねぇ……。
 そんな中,「ARTNIA LIMITED EDITION」はちょっと毛色が違いますね。

矢島氏:
 ええ。こちらは弊社のオフィシャルショップARTNIAの店頭でしか買えないお土産を作ろうというのがそもそもなんですけど,一目見て“ジャケ買い”したくなるような可愛いデザインにしたかったんです。試作でデザインを10数パターン作って,そこから厳選したのが製品のジャケットです。盤面もチョコボの黄色にしてもらっています。

4Gamer:
 聴いてみて驚いたのは,チョコボの鳴き声にここまでのバリエーションがあることでした。

矢島氏:
 実はチョコボの鳴き声ってコンセプトが存在していなくて,タイトルごとに違うんですよ。それでも自分でもある程度,方向性は似ているだろうと思っていたのですが,いざ集めてみると「バラバラじゃん!」って。ここはプレイヤーの皆さんと気持ちを共有出来るところだと思います(笑)。

4Gamer:
 聞き比べてみることで発見があるんですよね。

矢島氏:
 しかも,チョコボの鳴き声ってたいていの人にとって「クエ」,あるいは「ホヒホー」とかなんですけど,実際にクエっていう音なのは「チョコボの不思議なダンジョン」のシリーズだし「ホヒホー」は「FINAL FANTASY VII」だけ。
 それに調べてみたら,鳴き声が用意されたのはスーパーファミコンの後期からなんですよね。と,意外なことだらけでした。

4Gamer:
 では,東京ゲームショウ2013でリリースされる新譜「効果音集3」は,どんな内容になるのでしょう?

矢島氏:
 ファミコン,スーファミと来たら……ということで,ついにPlayStation編です。タイトルが多すぎて,選んでいくのには難儀しました。

4Gamer:
 当時のスクウェアは,ものすごい勢いでタイトルをリリースされてましたよね。

矢島氏:
 かなり厳選したんですがそれでも数が多すぎて,危うく1タイトルにつき2,3個しか収録できなくなるところでした。今回プレイヤーの皆さんに感じてほしいのは,この時代の混沌さですね。コンセプト立ても半ば放棄してます(苦笑)。
 1,2作目って,開始から後半までの“流れ”をイメージしていたりするんですけど,今回はジャンルの違うゲームだらけで,まとまらないんです。
 自分もこの時代になると仕事で関わってきているので,クリエイターの視点で見ると,ハードの表現力がアップして,色々チャレンジしたかったんだろうな,というのがよーく分かります(笑)。

4Gamer:
 では収録タイトルもバラエティに富んだものに?

矢島氏:
 そうですね。具体的なタイトルは買ってくれた方のお楽しみとしたいんですけど,僕がどうしても入れたかったのが「アナザー・マインド」。正直,知らない人も結構いるんじゃないかとは思うんですが,効果音CDをきっかけに知ってもらえたら面白いかなって(笑)。
 そのほかにも定番シリーズの効果音はもちろん,意外なタイトルの効果音も収録しているので,手にとって確かめてもらえたらありがたいです。

4Gamer:
 絞り込むだけでも大変なことになりそうです。

矢島氏:
 この時代からは圧倒的に物量が多くなるので,それぞれの音を入れていくと確実に収まりきらないんですよね。そこは開発スタッフ,そしてファンの皆さんの声なども参考にしつつ,絞り込んでいます。タイトルによって収録数がバラバラなのもポイントです(笑)。

4Gamer:
 イベント当日は,売り切れる前に物販コーナーへ急いだほうがよさそうですね。しかし,効果音集シリーズにはライナーノーツがないので,こういったお話をしていただくと,知らないことばかりで驚かされます。

矢島氏:
 僕は(ライナーを)入れろと言っていたんですけどね。

スクウェア・エニックス ミュージック制作担当者:
 まだ早いですかね。もうちょい大きい企画になったら考えます。

矢島氏:
 マジかー(笑)。
 まぁたしかに,元々僕が作っていることすらアナウンスしていなくて,クレジットも「ヒナチョコボーズ」(FF XIIIのドラマCDで使われたペンネーム)だったりと,かなりいい加減な状態で(笑)。さすがにそろそろプレイヤーさんと,もう一段階深い交流をしていきたいなということで,こうやって顔を出すことにしたわけです。

4Gamer:
 では,シリーズが10枚に達したあたりで,分厚いライナー付きのCDボックスを期待したいですね。

矢島氏:
 いい読みしてますね(笑)。あとは「プレイヤーが選んだこの1音」とかね。その効果音にどれだけの思いやエピソードがあるかを聞いてみたいですね。

4Gamer:
 そういうCDに込められたコンセプトを読み解くのも,楽しみの一つになりそうです。


“粋”の詰まったCDに触れてみよう


4Gamer:
 長らく効果音を作られている矢島さんですので,効果音作りの中での変わったエピソードなどもお持ちなのでは?

矢島氏:
 たくさんありますよ! 一つ挙げると,風の音などの環境音をマイクで録音してくるんですけど,交通量や人気がなくて……と理想の場所を探していくと,山の頂上みたいな危険な場所になってしまうんですよ。当然そんな危ない場所に行くわけにもいかないので,安全な穴場を探すことになります。都内でもけっこうあるんですが……。

4Gamer:
 ちょっと怖い雰囲気もする場所ですか?

矢島氏:
 公園とかでも交通音が入らない場所とかはありますよ(笑)。で,夜遅くに人気のないところでマイクを立てて録音していると警察官が「どうしましたか〜」みたいに声をかけてくるんですよ。こっちは仕事中だってぇの(笑)。

(一同笑い)

矢島氏:
 まぁ結局,説明するんですけど,あえて人気のないところを選んでいるから,どうしても不審に見られてしまう。逆に雑踏の音が録りたくて街中でマイクを向けていると,いいタイミングで「これ,なんの取材〜?」っておばちゃんが聞いてきたりね。全部マイクが拾ってしまうのでおいしい所が没になってしまったとか……そんな話ばっかりです。

4Gamer:
 まだまだ,僕らが知らない裏方さんならではのエピソードはいっぱいあるんでしょうね。

矢島氏:
 ほかにもたっぷりあります。でも,こういった経験は効果音の仕事では当たり前だったりします。それらはプレイヤーの皆さんからしてみたら,「へー」って話なわけで。「そんなことより,もっといい音をゲームに入れて欲しい」というのが,一番望まれていることでしょうし,それに向けて尽力するだけです(笑)。

4Gamer:
 あくまで“粋”の姿勢なわけですね。では最後に,効果音集シリーズに期待している方へのひと言お願いします。

矢島氏:
 1作目を出したときは,ここまで皆さんに喜んでもらえるシリーズになるとは思っていませんでしたが,こちらの悪ノリを理解してくれる方々が多くて,嬉しい限りです。
 スクウェア・エニックスファンの皆さんと効果音を通して思いを共有出来ればという気持ちで作っているので,いい思い出になってくれればいいなと思っています。
 3作目に関しては,ジャケット内にちょっとした隠しメッセージを仕込んだので,封を開けてくださる方は,探してみてください。もちろん開けずに飾っていただくだけでもオーケーです(笑)。

4Gamer:
 ちなみに,さらなるシリーズの予定も?

矢島氏:
 そうですね。まずARTNIAの第2弾はやりたいと思っていて,アイデアもあります。企画段階ながらスピンオフものも考えていますし,ナンバリングはもう,続きを出さないと皆さんの期待を裏切ることになりそうなので(笑)。
 これからも色々“粋”なアイデアを盛り込んだ製品を出していきたいと思いますので,期待していてください。

4Gamer:
 楽しみにしています。今日はありがとうございました!



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価格:500円(税込)
収録曲数:99曲

スクウェア・エニックス ミュージック公式サイト

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