「オルガン砲」は,対歩兵には圧倒的な火力を誇る。ただ射程が「ファルコネット砲」などと比べて短いため,大砲の撃ち合いとなると,あっさり負けてしまうのがネックである
ポルトガルは基本的に後発型の国家として位置づけられており,序盤には強力なユニークユニットが存在しないのが,やや苦しいところ。ただ,IIの時代から町の中心が二つになるという国家特性の恩恵はかなり大きく,その内政の立ち上がりの早さは全国家の中でもトップクラスである。
よってポルトガルの序盤の戦略は,その経済力を背景に「数で押す」というのが基本。今回紹介するカード選択順序は,「石弓兵」を生産するケースを想定したもので,育成所を2個建設することで,素早く,そして多くの石弓兵を揃える。石弓兵では,オランダの「スカーミッシャー」やイギリスの「長弓兵」,あるいはロシアの「ストレレッツ」などとまともに対峙すると,劣勢は必至。それらに撃ち負けないようにするためには,とにかく数を出す以外に方法がない。
またポルトガルでは,「トルデシーリャス条約」というカードを使うことで,IIIの時代から石弓兵を「ベスティエロ」という強力なユニークユニットに進化させられるため,石弓兵を作りすぎても無駄にならないのは嬉しいポイント。
ベスティエロは,IIIの時代では主役ともいえる強力なユニットで,石弓兵からベスティエロに繋げる戦い方は,ポルトガルの最も基本的な戦術の一つといっても差し支えないだろう。
ただ,敵にスーやフランスなど騎兵国家がいる場合は,「早期竜騎兵」カードを使った竜騎兵主体の編成も有効だ。そちらについての詳しい解説は今回は割愛するが,選択肢の一つとして,そういった方法があることはぜひ覚えておこう。
ベスティエロについてはもう少し解説しよう。これは「ベスティロス」という技術(「トルデシーリャス条約」カードを使った後,教会で研究可能)を研究すると生産できるようになる強化型石弓兵。通常の石弓兵よりも,ヒットポイントおよび攻撃力が30%も高いという優れもので,IIIの時代ではゲーム全体を通して最もコストパフォーマンスの良いユニットの一つであり,その能力値は破格である。III〜IVの時代初期までは,このベスティエロを主軸にすれば,ほぼ確実といえるほどの強さを誇っている。
問題は,ベスティレロのアップグレードコストが「木材2400」と,かなりの高コストだという点だろう。とくにIIIの初期でこの資源量を揃えるのは難しく,また前提としてカードを一枚使っておかなければならない(トルデシーリャス条約)など,どうしてもアップグレードまでは間が空いてしまう。「外来の硬材」などの木材の採集効率を上げるカードを事前に切っておくなどしないと,なかなかこの木材2400というコストは捻出できないだろう。
しかしポルトガルを使うにあたり,ベスティエロは最重要ユニットの一つ。IIIからは竜騎兵に切り替えるという戦い方ももちろん選択肢の一つではあるが,敵側に騎兵があまりいない場合などは,迷わずこのベスティエロを目指すことをお勧めしたい。同じ役割を担うはずのポルトガルのユニークユニット「カサドール」の性能がイマイチという理由も大きいが,それを差し引いても,ベスティエロの強さは本物だ。
IVの時代まで進んでしまえば,ヒネーテ(竜騎兵)と「重カノン砲」の組み合わせがお勧めの編成。ヒネーテは,大砲が苦手とする敵の大砲(カルバリン砲など)や近接騎兵を排除でき,かなり穴のない編成となるからである。
ポルトガルは「マスケット銃兵」もかなり強くできる国家で,こちらを主軸に据えるという選択肢もあるにはある。ただ,マスケット銃兵の強化カードはIVの時代からしか選択できないなど,扱いづらい要素も多い。ある程度好みの問題だが,敵を一気に突き崩したい場合はマスケット銃兵,そうでない場合は,やはりヒネーテが後半の主力としては安定しやすい。