発売から1か月ちょい経過し,新国家(本連載では便宜上,スー族やイロコイ族も含め“国家”と呼びます)を含めたセオリーも固まってきた感のある人気RTS「マイクロソフト エイジ オブ エンパイア III:ザ ウォーチーフ」(以下,AoE3:TWC)。今週から,本作の対戦攻略連載を開始する。
なお本攻略は,主に「チーム戦」をベースに話を進めていく点をご了承頂きたい。チーム戦とは,3対3や4対4などといった多人数で対戦するプレイ形式のこと。1対1における戦略/国家評価とは,多少異なるので注意してほしい。
エイジ オブ エンパイアシリーズといえば,日本でも知名度の高い,世界的に人気のRTSシリーズ。シングルプレイのみならず,対戦型ゲームとしてのバランスやシステムに力を入れている点が大きな特徴で,シリーズ最新作である「マイクロソフト エイジ オブ エンパイア III」(以下,AoE3)では,専用のマッチングロビーである「Ensemble Studios Online」を実装。オートマッチング機能やランキングシステム,クラン/フレンドの登録機能などなど,オンライン対戦をサポートするさまざまなサービスが盛り込まれており,今まで以上にオンラインゲームとしての性格が強くなっている。
本連載では登場する全11か国を国別に攻略していくが,まずその前に基礎となる「チーム戦のセオリー」について触れておく必要がある。攻略が早く見たいという人は,「国家攻略:スー」に
「こちら」から直接向かってほしい。
さて,上記のように,AoE3:TWCは対人戦をかなり意識して作られたタイトルである。つまり,本作をより楽しむにあたっては,オンライン対戦という部分は避けて通れない。しかしながら,常連プレイヤー達のプレイスキル向上や,戦術/序盤手順の定石化が進んだ結果,いわゆる一見さんでは,なかなか参加しづらい環境になってしまっているのもまた事実。ある程度の戦略戦術を知識として備えておかないと,ゲームらしいゲームにならないまま,一方的にボコボコにやられてしまうということも少なくない。要するに,「対戦を楽しむ」ためのハードルが,非常に高くなってしまっているという現実があるのだ。
今回の攻略連載では,そういった問題点を少しでも解消すべく,オンライン対戦をするにあたっての基礎知識,そして国家ごとの具体的な戦略,対抗策などをレクチャーしていく。この攻略が対戦に挑戦するにあたっての道標となるよう,序盤の簡単な手順などを含めた,なるべく実用的な内容にしていくつもりだ。
ただし,本連載はいきなり実践的な話から入るため,本当のRTS初心者やAoE3未経験者には,まず導入にピッタリなAoE3の週刊連載記事
「新大陸漂流記」,また
「こちら」や
「こちら」のレビュー記事をオススメしたい。興味を持ったら,
「こちら」や
「こちら」の体験版で遊んでみよう。製品版を購入したら,マルチプレイのチーム戦デビューに向けて,あらためて本連載を活用してもらいたい。
本作は安定した人気を誇るだけに,プレイヤー達のプレイスキルが熟達し,すでに一定の「セオリー」(定石)が生まれてきているのは紛れもない事実。実際,ある程度のセオリーを知らなければ,ゲームに勝つどころか,互角に戦うこともままならない。
そんなわけで,これからマルチプレイ(とくにチーム戦)を行うにあたっての,最も基本となるセオリーをいくつか紹介していく。マニュアル(手順)というよりは「考え方」に近い内容なので,やや堅苦しい話になってしまっている点はご容赦頂きたい。
「騎兵担当」「弓兵担当」「槍兵担当」など,チーム内で出すユニットを調整しよう。ただ騎兵と槍兵は操作が難しいので,慣れないうちは弓兵を担当するのが無難
チーム戦においては基本的に,味方内での「役割分担」が重要になってくる。これを理解するために,まずは本作における軍事ユニットの得手不得手の存在について軽く説明していこう。
AoE3:TWCに登場する軍事ユニットには,それぞれに明確な相性が設定されており,「AのユニットはBのユニットに対して強いが,Cに対しては弱い」などといった,いわゆるジャンケンの関係にある「ユニット間相性」というものが存在する。この相性関係は非常に強力なもので,例えば,苦手なユニットに対しては,倍の数で挑んでもあっさりと負けてしまうほどだ(ユニットにもよるが)。
要するに,編成が一部の兵科に偏ってしまうと,その軍隊には「穴」ができ,不利な戦いを強いられてしまうのが,AoE3:TWCというゲームの大原則なのだ。
騎兵ばかりの編成をしたら,相手に長槍兵がいて手も足も出ない,などというのがその好例だろう。逆に長槍兵をたくさん揃えたのに,相手に騎兵が少ないなどの場合も不利を免れない。つまりは,なるべく隙のない軍団編成を目指していくと,必然的に「2種類以上の兵科」で軍隊を編成することになるわけだ。
チーム戦においても,この基本はまったく同じ。ただし,ソロプレイだと一人で複数の種類のユニットを作らなければいけないのに対して,チームでは,それぞれのプレイヤーが専門的に一つの兵科を担当することが基本となる。
これは,純粋に「効率」の問題から定石化していった戦略だ。非常に単純な話だが,一人で2種類のユニット生産するとなると,そのために必要な建物をより多く建てなければならなかったり,複数のユニットをアップグレードしなければならなかったりなど,余計なコストと時間がかさむもの。そんなことをするよりは,プレイヤーAがハサー,プレイヤーBが石弓兵などというように,それぞれで専門的に作成したほうが,結果として強力なユニットを数多く,素早く揃えられるというわけだ。
最近のマルチプレイでは,スタート開始直後にチャットで自分が作る兵科を宣言し合うのがセオリーとなっており,これが「連携」の最初の一歩といっても過言ではない。慣れないうちは多少面倒だと思うかもしれないが,味方とのコミュニケーションを図る意味でも覚えておきたい。
※AoE3における軍事ユニットの基礎については,週刊連載「新大陸漂流記 第7回」を参照してほしい
小屋の位置は,味方と連絡し合って決めよう。大抵は,マップの中央や,優先的に狙いたい敵陣地の前などになる
最も基本となる連携方法は,チーム戦において,最初に建てる「兵舎」(軍事施設)をチームメイトのものと隣接させること。これは,チーム全体の軍隊を集中させることで,敵に各個撃破されないようにするという,基本的な戦略の一つ。とくに,まともな防御施設を築けない序盤においては,軍事ユニットの数の差がダイレクトに勝敗に影響してしまうことが多いので,ルーキープレイヤーには最初に覚えてほしい定石だといえる。
もちろん,あえて小屋の位置を分けて戦う戦術もなくはないのだが,大抵の場合,各個撃破によるユニットの消耗をリカバリできなくなることを覚えておいてほしい。例外は,機動力のある騎兵を生産する場合(合流するまでのタイムロスが少ない)などだが,スー以外の国家は,やはり兵舎の位置を合わせたほうが無難。いずれにせよ,連携がチーム戦の要であることは間違いなく,その初歩こそが「兵舎を合わせる」という行動なのである。
そもそも対戦型RTSにおいて,初心者が最も陥りがちな(チーム戦における)負けパターンは,自分の陣地を守ることだけに意識がいってしまって,周りで起こっている戦いに目がいかず,自分の軍隊が遊兵化してしまうことだ。例えば,防御のために軍事ユニットを自陣に配置しているときに,敵の軍隊がほかの味方の陣地(あるいは前線)へ殺到してしまうケースなどが,その典型。
その場合,急いで軍隊を救援に向かわせても,「2国vs.3国」となり,やがて「1国vs.3国」になるという,時間差を付けての各個撃破戦法の餌食になってしまいがちなのである。
チーム戦において,味方が受ける被害は自国への被害と同じこと。慣れないうちは自国のことで手一杯だとは思うが,より広い視野で戦局を見られるようになろう。
難しく聞こえてしまうかもしれないが,逆にいえば,兵舎の位置を合わせて味方と軍隊を集結させておきさえすれば,とりあえずの連携作業は行えているという意味でもある。戦力は,一極集中が基本。まずはこの意識だけでもしっかり持つようにしたい。
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このような状況になると目も当てられない。一対多の戦闘は,圧倒的に不利なキルレシオ(航空軍事用語で,もともとは自軍と敵軍との撃墜比のこと)になりがち。絶対に避けるようにしたい |
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IIの時代初期の動物ラッシュ(別名ムツ●ロウアタック)は非常に強力。4対4のチーム戦なら,いきなり約30体の動物が揃うことに
数あるRTSの中でも,AoE3は,チーム戦を“かなり”重視している作品の一つ。本作のウリであるカードシステムにも,その方向性は色濃く表れており,チーム全体に効果がおよぶ「チームカード」がまさにそれ。基本的にチームカードは,自国のみに適用される通常のカードよりも若干効果が控えめなことが多いが,中には通常カードの効果となんら変わりのないカードもいくつか存在し,地味ながらも勝敗を大きく左右する要素の一つだといえる。
中でもとくに覚えておきたいのは,
- アステカの「チーム:ペットのジャガー 3」
- アステカの「チーム:町の人 3」
- アステカの「チーム:漁船のコストダウン」
- アステカの「チーム:外来の硬材」
- アステカの「チーム:医術」
- イロコイの「チーム:ペットのクマ 4」
- スーの「チーム:バイソン 6」
- オランダの「チーム:歩兵のヒットポイント」
- フランスの「チーム:遠隔歩兵の攻撃力」
アステカはチームカードの宝庫。とくに「外来の硬材」などは,一人用の強化カードと比べても遜色ない効果を持つ
など。こう書くと,アステカに優秀なチームカードが揃っている点が目立つわけだが,このすべてのカードを1ゲームで使えるわけでもないので,何をデッキに組み込むかは考えどころだろう。ただ「チーム:ペットのジャガー 3」と「チーム:町の人 3」の二つは,ほぼ全ゲームを通じて有用な場合が多く,優先的にデッキに組み込んだほうがよいことは覚えておいておこう。
また恩恵を享受できる国家は限定されてしまうが,
などもなかなか有用。とくにイロコイと組み合わせたときが非常に有効で,IIの時代から強力な「フォレスト プロウラー」を作成できるようになるのは,戦略的な価値として侮れないものがあるのだ。
ともあれ,地味ながらも非常に有用なチームカード。自分なりのデッキ(戦略)を考えるうえで,ぜひ念頭に置いておいてほしい。
本作の最も特徴的なシステムの一つである「ホームシティ」と,その「レベル」。ホームシティのレベルが上がるたびに,選択できるカードが解除されてゆき,戦略性の幅が増えていくというユニークなシステムだが,これが新規プレイヤーの参入の障壁になってしまっている。
というのも,ただでさえプレイヤースキルに差があるルーキーとベテランの間に,さらに「レベル」というシステム的な面でも差が生まれてしまっているわけで,新規プレイヤーにとっては風当たりの強いことこの上ない。実際,いかにベテランプレイヤーでも,低レベルのホームシティで,高レベルのホームシティを有するプレイヤーに勝つのは難しく,「マルチプレイをする前に,ホームシティのレベルを上げておく」という作業は,自ずと必要になるのだ。
しかも,マルチプレイ用のホームシティは,マルチプレイでほかのプレイヤーと「対戦」を行わなければレベルを上げることはできず,一人で黙々とレベルを上げる……といった選択肢すら与えられていないのである(※ただし,オートマッチングシステムである「クイックサーチ」を使えば,近いレベル同士のプレイヤーがマッチングされる)。
そんな状況の中,誰もが「とはいっても,あんまり勝ち負け関係なく楽にレベルを上げたい」と思うのは必然なわけで,プレイヤー達の間では,効率的に「レベルを上げるためのゲーム」が開催されることも少なくない。ここでは,そんなゲームの代表的な設定を紹介しておきたい。
具体的には,専用のマッチングサーバーのESOを眺めていると,たまに「農園爆破レベル上げ」などのようなタイトルのゲームが開催されていることに気づくはずで,これがいわゆる「レベル上げのためのゲーム」である。実際どのような内容なのか解説していこう。

●ゲーム設定
- プレイヤー数:2人
- マップ:サグネー(大)
- ルール:スタンダード
- 開始する時代:帝国後の時代
- ゲーム速度:高
- フリープレイ:オン
建設すると高い経験値を入手できる「農園」を双方で建て合い,また建てた農園を自爆(Delキー)させ合うというレベル上げ方法。農園を自爆させると,相手に破壊ボーナスの経験値が加算されるため,自分が建てた分と相手が壊した分の経験値が短時間で獲得できる。
サグネー(大)を選ぶ理由としては,農園を建てる十分なスペースがあること,中立の交易所として「クリー族の集落」が存在し,そこで研究できる「クリー族の紡織技術」に建物の建設コストを下げる効果があり,大量の農園建設に向いていることなどが挙げられる。

●ゲーム設定
- プレイヤー数:2人
- マップ:五大湖
- ルール:スタンダード
- 開始する時代:帝国後の時代
- ゲーム速度:高
- フリープレイ:オン
拡張パックが発売されてからはやり出したやり方で,どちらかのプレイヤーが先住民勢力(スー,イロコイ,アステカ)を使う必要があるのが大きなポイント。具体的には,先住民勢力特有の建物である「ファイア ピット」を建設し,そこに最大人数の「町の人」「神官」を割り当て,「賜り物の踊り」を実行させて放置するというやり方だ。
しかしながら,西洋国家にはファイア ピットが存在しない。そこで西洋国家側は,6個ある交易所を独占し(相手の陣地側にある交易所は,相手に「町の中心」を自爆させてもらわないと建てられない),交易所のテクノロジーを研究。その後,やはり放置するというスタイルになる。
上記で紹介した農園爆破に比べるとやや時間はかかるが,操作がほとんど必要ないのが大きな特徴。一緒にレベルを上げるプレイヤーのどちらかが先住民勢力の場合は,こちらのやり方をお勧めしたい。