― 連載 ―

AoE3 新大陸漂流記

軍事ユニットの研究(前半)

 この冬,最注目のRTS「マイクロソフト エイジ オブ エンパイア III」(AoE3)を特集する本連載。今回から2回にわたって「軍事ユニット」について解説していきたい。
 AoE3の軍事ユニットは70種近くにも及ぶが,それぞれに得意な役割があり,長所/短所を持っている。また,「AのユニットはBのユニットに対して強いがCに対しては弱い」などといった,「ジャンケンの関係」といわれるユニット間の相性の属性も持っている。
 戦闘を有利に進めるためには,軍事ユニットの特性を理解して適材適所で使いこなすことが必要条件。これができるようになれば,今までよりはるかにAoE3が楽しくなること請け合いだ。

軍事ユニットの分類

 AoE3の陸上軍事ユニットは大まかにいって,五つのカテゴリに分けられる。

  • 重歩兵(Heavy Infantry)
  • 軽歩兵(Light Infantry)
  • 重騎兵(Heavy Cavalry)(別名:近接騎兵)
  • 軽騎兵(Light Cavalry)(別名:遠隔騎兵)
  • 砲兵(Artillery)

 各ユニットカテゴリの詳細については後ほど説明するので,とりあえずは読み進めてほしい。過去に歴史系RTSをプレイしたことがある人なら,これらユニットの種別について,だいたいのイメージは沸くと思う。徒歩で移動する兵士を歩兵,馬に乗って移動する兵士を騎兵,大砲を使って攻撃する兵士を砲兵と呼んで三つに分類し,歩兵と騎兵をさらに二つずつに分類したものだ。
 ただしAoE3での分類方法は,ほかの歴史RTSとはだいぶ異なっている部分があるので注意が必要だ。とくに「重騎兵」と「軽騎兵」はゲーム中でも説明が混同されている。
 一般に重騎兵というと,重装甲/攻撃力大の騎兵で,軽騎兵は軽装甲で足が速い騎兵ということが多い。AoE3でもゲーム中のヘルプなどで,そのように説明されている箇所もある。
 だがここでは,重騎兵=近接騎兵,つまり剣や槍などで接近戦のみを行う騎兵とし,軽騎兵=遠隔騎兵,つまり弓や銃で遠隔射撃を行うことができる騎兵という意味で使う。キュイラシェランセロ,ハサー,コサックなどはすべて重騎兵で,竜騎兵や弓騎兵が軽騎兵だ。これはゲーム中のデータがそういう名称で分類されていることに準拠している。

ユニット間の相性関係

 まずは下の表を見てもらいたい。これは5種類のユニットカテゴリのうち,砲兵を除いた4種類について,それぞれの得意/不得意を表した相関図だ。矢印の元のユニットは矢印の先のユニットに対して強いということを示している。

つまり,

  • 重歩兵は重騎兵に対して強い
  • 重歩兵は軽騎兵に対して強い
  • 軽歩兵は重歩兵に対して強い
  • 重騎兵は軽歩兵に対して強い
  • 軽騎兵は重騎兵に対して強い

 ということになる。戦闘ではこうしたユニット同士の相性を考慮し,得意な相手と戦わせるようにするのが効果的だ。敵側のユニット編成を見て,それに対抗する形で自分のユニットを生産するのだ。
 例えば敵が重騎兵ばかり生産しているのであれば,自分は重歩兵か軽騎兵を多く生産するのがよい。敵が重歩兵中心の編成であれば,自分は軽歩兵を生産するとよいだろう。
 実際には1種類だけ生産するということはありえず,敵もバランスの取れた編成をしてくるだろうから,こちらも複数種類のユニットを生産して,個々の戦闘ごとにユニットを使い分ける必要がある。それがストラテジーゲームの難しさであり,面白さでもある。

 上の表のような関係はあくまでも一般論で,例外も多く,すべてのユニットに当てはまるわけではない。相性の悪い相手でも数で上回れば勝てるだろうし,そもそも基本能力のとびきり高いユニットなら,苦手な相手などものともしない(例えばハッカペルは長槍兵を2回攻撃するだけで倒してしまうだろう)。
 とはいえ,大まかな戦略の方向性としては非常に重要なポイントでもあるので,頭に入れておいて損はないはずだ。実際にはこれに砲兵を加えた関係を考える必要があるが,砲兵を含めると複雑化するので次回に回すとして,まずは重歩兵,軽歩兵,重騎兵,軽騎兵の4種類について特性を詳しくみてみよう。

重歩兵

IIの時代(植民の時代)で速攻をかけるなら,おのずと重歩兵中心になる。重歩兵は建物に対する攻撃力が高いからだ

 重歩兵の特性を一言で表すと,「騎兵に対して強い歩兵」ということになる。実際にゲーム中のデータで,騎兵に対するボーナスダメージを持っているユニットのことだ。
 重歩兵は細かく分けて,さらに2種類のタイプが存在する。一つは長槍兵など接近戦オンリーのタイプ(A),もう一つはマスケット銃兵など射撃/接近戦両方を行えるタイプ(B)だ。Bタイプについては,射撃の攻撃にはボーナスは付かず,接近戦の場合のみ騎兵に対してボーナスが付くことに注意が必要(イロコイトマホークのみ射撃にもボーナス有り)。
 AタイプとBタイプでは利用できる戦術コマンドが異なる(連載第6回参照)。Aタイプのユニットは,援護(Cover)モードを取れる点が大きな特徴だ。大砲に撃たれそうな場合に活用しよう。
 重歩兵は,AoE3の戦闘において中心的存在になるものだ。一般的な特徴としては,比較的コストが安く,HPもそこそこあり,建物に対する攻撃力が高く,移動速度が遅めである。攻撃にも守備にも使え,幅広い場面で活躍してくれる汎用性の高いユニットなのだ。
 速攻(ラッシュ)を仕掛ける場合は,まず重歩兵中心の編成になる。中盤以降は大砲と共に行動することが多くなるだろう。軽歩兵に対して弱いので,できれば騎兵か大砲と一緒に運用したい。射撃に関しては軽歩兵のほうが射程が長いため,遠距離から一方的に撃たれやすいので注意しよう。

・Aタイプのユニット
 Pikeman 長槍兵
 Rodelero ロデレロ
 Halberdier 矛槍兵
 Doppelsoldner ドッペルゾルドナー
 Aztec Jaguar Warrior アステカジャガー戦士
 Incan Huaminca インカ神兵
 Maya Holcan Spearman マヤホルカン槍兵
 Nootka Clubman ヌートカ棍棒兵
 Barbary Corsair バルバリア海賊
 Landsknecht ランツクネヒト
 Ronin 浪人
 Swiss Pikeman スイス長槍兵

・Bタイプのユニット
 Musketeer マスケット銃兵
 Janissary イェニチェリ
 Iroquois Tomahawk イロコイトマホーク
 Highlander 高地連隊兵
 ※Grenadier 擲弾兵

軽歩兵

軽歩兵はたくさん数が揃うと,とくに強みを発揮する。射程が長いため,近接系のユニットを近づいてくる前に倒せる

 軽歩兵は,歩兵の中で重歩兵に分類されないものすべてだが,これも2タイプに分けられる。一つは弓矢を使うタイプ(C)であり,もう一つは銃などを使うタイプ(D)である。
 このうちDタイプのユニットは,射撃時に重歩兵に対してボーナスダメージを持っている。ゲーム中のデータを見る限り,歩兵全体に対してボーナスがあるように見えるが,実際には重歩兵に対してのみのボーナスである。

 軽歩兵の一般的な特徴としては,コストが若干高め,HPが低い,射撃の攻撃力が高く射程が長い,接近戦能力は低い,移動速度が速い,などが挙げられる。
 軽歩兵の第一任務は,重歩兵を倒すことだ。重歩兵に比べて移動速度が速く射程が長いため,一方的に攻撃できる。さらに軽歩兵の防御属性は遠隔攻撃に対するものなので,撃ち合いになった場合にも有利だ。とくにDタイプのユニットは重歩兵に対してボーナスダメージがあるので,優先的に重歩兵を攻撃させよう。
 逆にいうと,軽歩兵が得意とする相手は重歩兵のみ。騎兵,大砲に対してはとことん弱いので,軽歩兵単独で運用するのは危険だ。軍編成の中心的存在にはなりにくいだろう。だが,数が揃えば揃うほど効果的なユニットでもあるので,ある程度まとまった数で運用したい。

・Cタイプのユニット
 Crossbowman 石弓兵
 Longbowman 長弓兵
 Iroquois Mantlet イロコイマントレット
 Seminole Sharktooth Bowman セミノール鮫歯弓兵
 Tupi Blackwood Archer トゥピブラックウッド射手

・Dタイプのユニット
 Skirmisher スカーミッシャー
 Cassador カサドール
 Strelet ストレレッツ
 Aztec Eagle Warrior アステカイーグル戦士
 Carib Blowgunner カリブ吹矢兵
 Cherokee Rifleman チェロキーライフル銃兵
 Cree Tracker クリー追跡兵
 Incan Bolas Warrior インカ投縄戦士
 Jaeger イェーガー
 ※Abus Gun アブス砲

重騎兵(近接騎兵)

本拠地で資源採取に勤しんでいる入植者を強襲するなら,重騎兵が最適だ。機動力があるため,索敵しながらの荒らしができる。反撃が激しくなったらいったん撤退だ

 重騎兵は,前述のとおり,騎兵の中で接近戦のみを行えるユニットだ。攻撃力が高くHPも高いため,攻めるときの中心的な存在となる。大砲を破壊するのは主に重騎兵の役割だし,敵の本拠を荒らすのにも最適なユニットだ。
 時代背景もあってか,これまでのAoEシリーズと比べて重騎兵は冷遇されており,活躍できる場面がかなり限定されている。重歩兵や軽騎兵に対して弱く,使いどころを間違えるとあっという間に死んでしまうためだが,そうした苦手なユニットをうまく回避できれば,依然として最もパワフルなユニットなのは間違いない。  個々のユニットについて見てみると,ランセロはスペインのユニークユニットで,重歩兵/軽歩兵の両方に対してボーナスダメージを持つ唯一のユニット。キュイラシェはフランスのユニークユニットで,通常の攻撃が範囲攻撃という非常に特殊なユニットだ。オプリーチニックはロシアのユニークユニットで,建物と市民ユニットに対してボーナスダメージを持っている。
 騎兵の利点は,なんといってもその機動力にある。一箇所に留まって戦うようでは重歩兵に劣ってしまうので,布陣する位置,攻撃するタイミングなどが重要になってくる。使い方が最も難しいユニットといっていいだろう。

 Hussar ハサー
 Lancer ランセロ
 Cossack コサック
 Oprichnik オプリーチニック
 Uhlan ウーラン
 Spahi シパーヒー
 Cuirassier キュイラシェ
 Lakota Axe Rider ラコタ斧騎兵
 Hackapell ハッカペル
 Mamuluke マムルーク
 Stradiot ストラディオット

軽騎兵(遠隔騎兵)

軽騎兵は入植者に対しての攻撃にマイナスのダメージ補正が入ってしまうため,荒らしにはさほど使えない。だが,槍兵で守られている箇所への攻撃など,場合によっては重騎兵より有効に使える場面もある

 軽騎兵は,弓矢あるいは銃で遠隔攻撃を行うことができる騎兵のことだ。これもまぎらわしいのだが,ゲーム中のデータを参照すると,騎兵に対してボーナスダメージがあると表示されているが,実際には重騎兵に対してのみボーナスがある。つまり,軽騎兵同士の戦闘ではボーナスダメージはつかない。

 軽騎兵のポイントは,重騎兵よりも移動が速いことだ(戦闘馬車は例外)。だから重騎兵に追われた場合でも振り切れる。軽騎兵は接近戦においても重騎兵に対してボーナスを持つので,重騎兵と接近戦をしても決して不利ということはないが,重騎兵はもともと攻撃力が高めなので,あまり得策とはいえない。基本的には離れたところから射撃し,近づいてきたら逃げるというのがよいだろう。

 歩兵相手にはとくに利点もないため,使いどころが難しい。移動速度の速さは魅力的だが,重騎兵のほうが攻撃力が高いので,いざというときの使い勝手で劣るのだ。敵の重騎兵がよほど強力でない限りは,軽騎兵は必ずしも生産する必要はないかもしれない。実際,プレイヤーの間でもあまり使われていないようである。それだけに,今後うまい活用法が考案される可能性に期待がかかる。

 Dragoon 竜騎兵
 Ruyter ロイテル
 War Wagon 戦闘馬車
 Cavalry Archer 弓騎兵
 Comanche Horse Archer コマンチ騎馬射手
 Black Rider 黒騎兵
 Manchu 清軍弓騎兵

※擲弾兵とアブス砲については次回で詳しく取り上げる。この2種類のユニットは砲兵でありながら歩兵ユニットでもある非常に特殊な存在だ。

 

■■Sluta(ライター)■■
年末年始の暴飲暴食で4〜5キロ太ってしまったSluta氏は,外食を控えて,自炊によるダイエットを敢行。ちょうど近所のスーパーで調理用アルカリイオン水の無料サービスを実施しており,米を炊くのに使ってみたところ,これが絶品。今までは水道水で炊いていたのだが,味が雲泥の差だという。で,家で白米を暴食して太ったそうである。うーん,Sluta氏のプロフィールはいつも家庭的だなぁ。
タイトル マイクロソフト エイジ オブ エンパイア III
開発元 Ensemble Studios 発売元 マイクロソフト
発売日 2006/01/27 価格 9400円(税別)
 
動作環境 OS:Windows XP(+DirectX 9.0c以上),CPU:Pentium 4/1.40GHz以上[Pentium 4/2GHz以上推奨],メインメモリ:512MB以上,グラフィックスチップ:DirectX 9.0c以上に対応,グラフィックスメモリ:64MB以上[128MB以上推奨]

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