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印刷2012/09/11 13:00

テストレポート

ソニー,720p&立体視対応ヘッドマウントディスプレイの新型「HMZ-T2」を国内発表。さっそく使ってみた

 2012年9月11日13:00,ソニーは,ヘッドマウントディスプレイの新製品「HMZ-T2」を発表した。10月13日発売予定で,予想実売価格は7万円前後だ。先にSony Europeから欧州市場に向けて発表済みだが,今回,国内でも正式にアナウンスされたことになる。

HMZ-T2

HMZ
 一口にヘッドマウントディスプレイといっても,外界を見ながら情報を付加表示するタイプと,視界を閉ざして映像を表示する没入タイプの2種類があるが,2011年11月11日に発売されたソニーのヘッドマウントディスプレイ「HMZ-T1」は,ゲームとの相性で優れる没入タイプにおける,久々の大型製品だった。
 有機ELパネルによる鮮明な画面,720p対応という(民生用のヘッドマウントディスプレイとしては)圧倒的に高い解像度,立体視対応,そして未来的な外観を持ちながら,これまでにない低価格という条件が揃って,高い注目を集めたのも記憶に新しいところだろう。今回登場したのは,そんなHMZ-T1の後継機である。


基本仕様はHMZ-T1を踏襲しつつ

使い勝手を大幅に改善


レンズユニットのイメージ。確かにHMZ-T1と同じに見える
HMZ
 結論めいたことから先に述べると,HMZ-T2の基本仕様は,HMZ-T1から変わっていない。つまり,720p(1280×720ドット)解像度の有機ELパネルを左右の目それぞれに向けて1枚ずつ搭載し,約20m先に750インチの仮想画面が見えるような設計になっている点や,クロストークのない立体視が可能という点はこれまでどおりだ。実際,有機ELパネルやレンズユニットなどは,HMZ-T1に使われているのと同じものだという。
 また,HMZ-T2を専用のプロセッサユニットと接続し,PCやPlayStation 3などといったHDMI出力機器とプロセッサユニットをつないで使うというあたりもこれまでどおりだ。

有機ELパネルユニットのイメージ(左)とプロセッサユニット(右)。プロセッサユニットの型番は「HMZ-T2P」だ。ヘッドマウントディスプレイ接続端子は,物理的にはHMZ-T1と互換性があるものの,信号的な互換性はなく,実際に利用できるのはHMZ-T2のみとのこと
HMZ HMZ

 では何が変わったのか。それは使いやすさだ。ソニーがHMZ-T1のユーザーにアンケートを行ったところ,「重さ」「装着感」「音質」が改善要望のトップ3だったとのことで,HMZ-T2では,それらを中心に,主に使い勝手の改善が図られている。

HMZ-T2では,HMZ-T1の特徴でもあったオンイヤーヘッドフォンが廃された
HMZ
 数字的にインパクトがあるのが軽量化で,本体重量は,HMZ-T1の420gからHMZ-T2では330gと,90g,パーセンテージにして約20%も軽くなった。それに合わせて筐体もスリムでシャープな印象になっているが,ここで気づくのが,HMZ-T1にあったオンイヤーのオープンエア型ヘッドフォンが廃されていることだ。
 そしてその代わりにHMZ-T2では,本体側に3.5mmミニピン対応のヘッドフォン端子を用意し,実勢価格3200〜4500円程度(※2012年9月11日現在)の「MDR-EX300」相当とされる付属のソニー製イヤフォンを差したり,あるいはユーザーが好みのイヤフォンやヘッドフォンを差したりできるようになっているのである。

 また,使い勝手の改善も,HMZ-T1のユーザーからするといちいち納得させられるものになっている。具体的には以下のとおりだ。

  1. 本体上部のヘッドパッド部をワイド化し,かつ,奥行き方向の位置調整を可能にした
  2. 外光の流入を防ぐ「ライトシールド」は,HMZ-T1だと本体下部のみに取り付けられる仕様だったが,これを上部にも取り付け可能とした。また,下部用のライトシールドは形状を変更した
  3. HMZ-T1では長さをある程度決めうちしてから掛ける必要のあったヘッドバンドを,装着後にも長さ調整出来るよう変更。また,ヘッドバンドの長さ調整機構を変更し,装着時に外れてしまわないようにした
  4. 本体底部の音量調整ボタンを電源ボタンから離し,“誤爆”の可能性を下げた
  5. 目の幅を調整するスライダーは,HMZ-T1だと左右連動だったが,左右独立して調整できるようにした

HMZ
ヘッドパッドが大きくなった。その下に見えるスイッチが奥行き方向の調整用だ
HMZ
本体底面。電源ボタンとボリューム増減ボタンが左右に散ったのが見て取れる

 また,本体の設定モードに「パネルドライブモード」が追加され,「標準」「クリア」の二択から後者を選択すると,1コマあたりの有機ELパネル発光時間を短くすることで,動きの速いアクションゲームにおいて画面がぼやけた印象になるのを防げるようになったとされているのは見逃せないところ。
 さらに,主に映画用の機能だが,フィルム映画と同じ毎秒24コマ表示に対応した「24p True Cinema」や,コンテンツに合わせて自動的に色温度を調整する機能「色温度ナチュラル」も,HMZ-T2の新機能となる。24p True Cinemaは,ソニー製液晶テレビ「ブラビア」と同じ機能だそうだ。

 以上を踏まえつつ,HMZ-T2とHMZ-T1の違いをにまとめてみたので,参考にしてもらえればと思う。

※HMZ-T2の新要素は赤字で示した


「おにぎり1個分」の軽さを体感できるHMZ-T2

使い勝手面の不満が多く改善された印象


 さて,今回4Gamerでは,国内発表にあたって,HMZ-T2の開発途上版サンプルに短時間ながら触れる機会が得られた。新しいライトシールドが用意されていないなど,製品版と異なるところはあったのだが,使うこと自体に問題はなかったので,ファーストインプレッション的に,HMZ-T1との違いを実使用上の印象から語ってみよう。

HMZ-T2の開発途上版サンプル。写真左に見えるのがMDR-EX300相当とされるイヤフォンだ
HMZ

本体前方(写真手前側)に重心があるというのはHMZ-T2(左),HMZ-T1(右)とも同じ。それだけに90gも軽くなったのは意味がある。ちなみに本体前面の青色LEDはHMZ-T2のほうが明るい
HMZ
 前段でお伝えしたとおり,HMZ-T2における最大の特徴は「軽くなった」ことだ。
 そもそも,HMZ-T1における問題の多くは,独特な形状と重さに起因していた。「きちんと画面が見える」幅,いわゆるスイートスポットが意外に狭く,正しく装着しないとクリアな立体視映像を楽しめなかったり,平面視でも細かな文字がボケて見えてしまったりといった問題が発生していたのだ。
 さらに,正しく掛けたとしても,「重量のほとんどが本体前方に集中する」という事情のため,長時間掛けているとズリ落ちてくることがあった。ある意味で重量は諸悪の根源だったわけだが,それが90g――ソニーによれば,コンビニのおにぎり1個分だそうだ――も軽くなったのは大きい。

左がHMZ-T2,右がHMZ-T1。ヘッドパッドの大きさはこんなに違う
HMZ
 付け加えると,HMZ-T1の場合,その重量を支えるために,ヘッドパッドとヘッドバンドで頭を堅く固定しなければならず,「ゲームや映画を終えて取り外すと額が赤くなっていた」なんて事態もよく発生するのだが,HMZ-T2では額への圧迫感もずいぶんと軽減されている印象を受けた。
 重量の軽減とヘッドパッドの大型化とによって,額(というか頭部)への負担がHMZ-T1とは比べものにならないほど小さくなっているのは,短時間掛けただけでも分かる。

HMZ-T2(上)とHMZ-T1(下)の装着例。いずれもソニーの担当者に装着してもらったものだ。耳周りと正面から見たときの膨らみがHMZ-T2ではかなりすっきりしているのが見て取れるだろう。そのぶん軽くなっているわけだ
HMZ HMZ
HMZ HMZ

 なお,軽くなったからといっても,「正しく装着しないとクリアな映像が得られない」という点で,HMZ-T2とHMZ-T1の間に違いはない。正しく装着する難度,そして正しい装着姿勢を維持する難度がHMZ-T2で下がったと理解しておくのが正解だろう。

目の幅を調整するスライダーが左右独立して動かせるようになったのも地味にありがたい
HMZ
 また,細かいところではあるが,ヘッドパッドの奥行き調整が行えるようになっているのと,ヘッドバンドの扱いやすさが向上しているのも好印象だ。とくに前者は,メガネの上からヘッドマウントディスプレイを装着するのが難しいという声に応えたものだそうだが,メガネをしていない人にとっても,「目に最も近い透明板にまつげが触れて汚れてしまう」という問題の解決策として優れている。


ヘッドパッドの奥行き調整はかなり大きく行える
HMZ HMZ

HMZ
ヘッドフォン出力端子は,左目用の有機ELパネルユニット部に近いところへ用意されている
HMZ
Dolby Digital形式などで圧縮された音声の「消え際の微小な音」を再現し,音に深みを与えるという機能「ハーモニクスイコライザー」を搭載するのも,HMZ-T2の特徴とされる
 オンイヤーヘッドフォンが廃されたのも,使い勝手にプラスの影響を与えている。
 HMZ-T1のオンイヤーヘッドフォンは,“普通に”コンテンツを楽しむ分には十分な音質である一方,オーディオ好きからするとかなり不満の残るものだった。しかも取り外せないため,音にこだわる人のなかには,「HMZ-T1のオンイヤーヘッドフォンが耳に被らないようにして,音は別途,手持ちのサラウンドスピーカーセットから出力」,なんて対策を行うケースもあったほどだ。
 その点,イヤフォン端子を用意することによって,装着位置の問題を根本的に解決しつつ,ユーザーが好みと予算に応じて高音質化を図れるようにしたのはいいアイデアといえるだろう。

 ところで,前段でHMZ-T2にはイヤフォンやヘッドフォンを取り付けられると説明したので,「ヘッドフォンも?」と疑問に思った人もいるのではなかろうか。
 実のところHMZ-T2では,オンイヤーヘッドフォンの廃止に伴って,本体側面を薄くし,ヘッドフォンをその上から掛けられるように設計変更した。これにより,ヘッドフォンも(音漏れなどの心配をあまりすることなく)装着できるようになっている。

HMZ-T2とHMZ-T1で,本体側面をクローズアップしてみた。言うまでもなくいずれの写真も左がHMZ-T2だ。ソニーいわく,この薄型化により,イヤーパッドが厚いヘッドフォンでもしっかり音が出るようになっているとのこと
HMZ HMZ

HMZ-T2では,ヘッドフォンの省略にともなって,本体前面から側面までのラインが全面的に白くなり,ツートンのHMZ-T1よりもすっきりした
HMZ
 オーバーヘッド型のヘッドフォンも装着できるようにしたことで,必然的に本体両サイドが細くなり,軽量化を実現しただけでなく,近未来感が際だつようになった点も評価すべきではなかろうかと思う。
 なお,インイヤーのイヤフォンとオーバーヘッドのヘッドフォンでは,当然のことながら音声信号の処理すべき方向性が変わってくるため,HMZ-T2では,基本設定のメニューから「イヤフォンを使うのか,ヘッドフォンを使うのか」選択できるようになっている。ここは忘れずに設定しておきたい。


HMZ-T1のユーザーは6割がPS3を利用

全体の5割がゲームにも使う


 HMZ-T2に触れるにあたって,ソニーの開発担当者に話を聞くこともできたのだが,いくつか興味深い話があったので,最後に紹介しておきたい。
 HMZ-T1のユーザーアンケートによると,購入者の99%が男性で,約60%が独身。つまり,購入者の6割が独身男性だったとのことだ。ソニー製品のなかでも,ここまで偏った製品はないという。

HMZ
 購入理由では,有機ELパネルの採用や,クロストークのない立体視映像,16:9のワイドアスペクト,没入感が重視されているとのこと。チラツキのないデュアルパネル方式の立体視は,たしかに現状ではベストなのだが,アンケートの回答に「クロストーク」や「没入感」といった言葉がぽんぽんと出てくるあたりからは,ユーザーのマニア度の高さが伝わってくる。

 気になる接続機器はPlayStation 3(以下,PS3)が61%で最多。PS3以外のBlu-ray再生装置(=プレイヤーとレコーダーの合計)は30%程度なので,圧倒的な数字といえるだろう。Blu-ray 3Dに対応したプレイヤーで最も普及しているのがPS3なので,妥当といえば妥当なのかもしれないが。

HMZ
 視聴されたコンテンツは90%が映画を挙げていたそうだが,50%がゲームを挙げていたのは,ソニーも予想していなかったという。この「50%」の内訳には,3D立体視対応タイトルだけでなく平面視タイトルも多く含まれていたそうなので,ソニーの予想以上にHMZシリーズはゲームとの親和性が高かったということなのだろう。

 今後欲しい機能としては,今回対応された使い勝手や音周りを除くと,ワイヤレス化やモバイル対応,フルHD化への要望が高かった。ソニーの担当者は,「HMZの『Z』は『究極』を意味するものであり,究極の再生デバイスとして認知を拡大させていきたい」と語っていたので,次の世代以降で,要望の高かった要素への対応が行われる可能性は十分にありそうだ。


 「HMZ-T1のブラッシュアップ版が,HMZ-T1より約1万円高くなっている」というのをどう評価するかは意見が分かれそうであるものの,HMZ-T1を使ったことがある人ならまず間違いなく惹かれる製品になっているのは確かだ。今回も争奪戦になる……かどうかは分からないが,購入する気があるなら,予約できるショップを早めに見つけておくのがいいかもしれない。

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ソニーのHMZシリーズ製品情報ページ


東京ゲームショウでHMZ-T2による最新ゲーム試遊体験会を開催

 ソニーでは,9月20日から幕張メッセで開催される東京ゲームショウのソニーブースPlayStation 3コーナーで今回紹介したHMZ-T2を使ったPS3の新作タイトル試遊会を開催する(一般公開日は9月22日と23日)。
 話題の新製品で新作ゲームを体験してみたい人はソニーブースに行ってみよう。

 また,ソニーでは東京ゲームショウ限定仕様のヘッドマウントディスプレイ「PROTOTYPE-SR」を使った公開実験を「センス・オブ・ワンダーナイト ヘッドマウントディスプレイ 没入快感研究所 Powered by Sony」ブースで行う。これは,ヘッドトラッキングシステムやライブカメラを付加した特製のヘッドマウントディスプレイによる「新感覚エンタテインメント」の実験とのことである。開催されるのは,9月22日と23日の両日で,ソニーではこの公開実験の体験参加者を最大44名限定で募集している。興味のある人は,

http://www.facebook.com/hmz.lab

から応募してみよう。応募締め切りは9月13日だ。なお,内容に刺激的な表現などがあることから16歳以上限定での募集なのでご注意を。
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