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印刷2012/10/13 00:00

レビュー

ソニーの720pヘッドマウントディスプレイ,その強化ポイントをチェックする

ソニー HMZ-T2

Text by 西川善司


HMZ-T2
メーカー:ソニー
問い合わせ先:総合サポート・お問い合わせ
実勢価格:7万円前後(※2012年10月13日現在)
HMZ
 2012年10月13日,ソニーの新型ヘッドマウントディスプレイ「HMZ-T2」が発売日を迎えた。最後まで品不足が解消しなかった第1世代モデル「HMZ-T1」ほどの品不足にはならないよう準備しているとソニーは述べているが,少なくとも発売当初は注文して待たないと買えない状態にあるようだ。

 そんなHMZ-T2について,4Gamerでは先行して基本スペックや基本的な使用感をテストレポートでお伝えしており,先週には開発者インタビューもお届けしているが,今回は,ゲーム用途での使い勝手を中心にチェックしていきたいと思う。

製品ボックスの内容物一覧。ヘッドマウントディスプレイ「HMZ-T2H」とプロセッサボックス「HMZ-T2P」のほかに,ケーブルの結束バンドや,後述する「ライトシールド」,イヤフォン(および交換用イヤーパッド),HDMIケーブルなどが用意される
HMZ
プロセッサボックス,HMZ-T2P。外観はもちろんのこと,HDMI入力と,電源オフ時のみ機能するHDMIスルー出力端子,そしてHMZ-T2P専用接続端子を持つだけというシンプルな仕様はHMZ-T1から変わっていない
HMZ HMZ

ソニー,720p&立体視対応ヘッドマウントディスプレイの新型「HMZ-T2」を国内発表。さっそく使ってみた

ソニーの開発者に聞く,ヘッドマウントディスプレイ「HMZ-T2」。第1世代からズバリ何が変わったのか?



HMZ-T1より軽量化し

装着感も向上


上下段とも左がHMZ-T2,右がHMZ-T1。テストレポートでも紹介したとおり,イヤフォンが着脱式になったこともあって,HMZ-T2のほうがすっきりした外観になっている
HMZ
HMZ
 ヘッドマウントディスプレイを使うにあたって,最初に気になるのが装着感だ。

 カタログスペック上は,HMZ-T1が420g,HMZ-T2が330gで,約20%――ソニーいわく「コンビニのおにぎり1個分」――軽量化されているとのことだが,手に取った感じでは,重量感にそう大差はない。

 しかし装着すると,HMZ-T1よりもHMZ-T2の方がしっくり来る。HMZ-T2もHMZ-T1も鼻の近くは凹んでいるのだが,HMZ-T1はどうしても本体と鼻筋が当たってしまうのに対し,HMZ-T2ではそういう事態が生じないのだ。
 鼻に当たる部分で凹み部の横幅を比較してみると,HMZ-T2のほうが実測で7mmほど大きくなっているので,スペック表からは見えない部分が改善されているようである。

左の写真は左がHMZ-T2,右がHMZ-T1で,右はHMZ-T2の“鼻を収める凹み”。HMZ-T2のほうがHMZ-T1よりも大きくなっている
HMZ HMZ

 重心も,「接眼位置あたりにある」という点ではHMZ-T2とHMZ-T1で大きな違いはないのだが,装着してみると,HMZ-T1が前下がりになりがちなのに対し,HMZ-T2のほうがしっかりと安定して頭部に固定される。これは,90gの軽量化と,固定バンドの配置最適化によるものだろう。

固定バンドは,本体左右上部に用意されたボタンを使って長さ調整を行えるという意味では変わっていないが,HMZ-T1だと分離していた左右のバンドがHMZ-T2では分離しなくなった。それにより,装着した状態での長さ調整時に「左右のバンドをしっかり留める」作業がなくなり,いきおい,最終調整を行いやすくなっている。なお余談だが,左下の写真を見ると分かるように,本体前面に埋め込まれた青色LEDはHMZ-T2のほうが明るい
HMZ HMZ
HMZ HMZ
こちらがHMZ-T2を装着した状態の筆者(※付属のインナーイヤフォンは接続していない)
HMZ HMZ
一方,HMZ-T1を装着してみた状態がこちら。ゲームを長時間プレイしていると,どうしても前下がりになりがちとなる
HMZ HMZ

 固定バンドの話が出たので調整周りについて続けると,HMZ-T2では,HMZ-T1から,各種調整系に細かく手が入っている。以下,写真中心にチェックしてみよう。

■上面ライトシールド追加


上面用ライトシールドを取り付けているところ。2か所の凹みにライトシールド側の突起を差し込むイメージだが,正直,付けやすくはない
HMZ
 室内の明かりが接眼部へ侵入してしまうのを防ぐ「ライトシールド」は,HMZ-T1だと本体下側に取り付ける仕様だったが,HMZ-T2ではそれに加えて上側にも取り付けられるようになった。

 もっとも,額に当たるヘッドパッド周辺の開口部からは光が入ってくるので,完全な遮光を考えるならば室内の照明を落とすべきだろう。

上下ライトシールドを取り付けた状態(左)と取り外した状態(右)。取り付けると遮光性は間違いなく上がるが,ヘッドパッド周辺は“無防備”でもある
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■ヘッドパッドの前後調整機構追加


ヘッドパッドでは,額にかかる圧力を軽減すべく,HMZ-T1よりワイド化された点も改善点といえる。写真はヘッドパッドカバーを装着した状態
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 HMZ-T1はメガネを装着した状態でも使用可能とされていたが,メガネの形状によってはフレームと本体が当たるなど,うまく装着できないことがあった。また,メガネをしていない人でも,睫毛がレンズに当たってレンズを汚してしまう問題があったのだが,こういった問題を解決すべく,HMZ-T2ではヘッドパッドの位置を前後4段階で調整できるようになっている。

ヘッドパッドの位置調整例。根元のスイッチを使うとロックが外れて最奥へ押し込めるようになっている。引き出すときはヘッドパッド全体を手前に軽く引っぱればOKだ
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■目幅の調整機構が左右独立型に


目幅の調整機構は左右独立して設定できるようになった
HMZ
 HMZ-T2ではその仕様上,レンズ越しに有機ELパネルを覗き込むことになるわけだが,そのレンズの幅を調整する機構が,HMZ-T1では左右連動だったのに対し,HMZ-T2では左右独立になった。
 しかし,1ステップでの調整幅が実測3mmと大きい点はHMZ-T1から変わっていない。ソニーはこの点について「レンズ設計のマージンを踏まえた刻み幅にしている」と述べ,どうしても左右の位置が合わない場合は本体を微妙に左右方向へずらすなどの対応をするよう勧めているのだが,個人的には,調整幅が粗く感じられる。現状と比べて半分かそれ以下の単位で調整できるようにしてほしかったところだ。


ボタンの操作性は若干改善

HMZ-T1譲りのUIは使いやすい


 HMZ-T1は,音量変更の[+][−]ボタンと電源ボタンとが近い位置にあった。そのため,「音量を変えようとして電源ボタンを“誤爆”してしまう」という事態が生じやすかったのだが,HMZ-T2では,音量変更ボタンと電源ボタンの距離が離された。具体的には,電源ボタンが本体向かって右下というのは変わらず,音量変更ボタンが左下へと移されている。

HMZ-T2本体底面のボタン&スイッチ群(左)と,HMZ-T1のレビュー記事から流用となるHMZ-T1のボタン&スイッチ群。HMZ-T2では音量調整用ボタンが電源ボタンから離された
HMZ HMZ

 ただ,今度は電源ボタンとメニュー操作用ボタンの距離が縮まってしまい,十字ボタン操作時に電源ボタンを押してしまいそうになる。形状が露骨に異なるため,HMZ-T1ほどの心配はないのだが,電源ボタンというのは,それほど頻繁に押すわけではない一方,押すときは確実に押したいものでもあるので,せっかく配置を見直すなら,ほかに何のスイッチもボタンもない,たとえば底面中央などへ移設したほうがよかったのではなかろうか。

 なお,メニューの操作感自体は,HMZ-T1と同様,HMZ-T2でも良好だ。カーソルはキビキビと動き,カーソルで選択しているメニューアイテムの基本解説も画面内で表示されるため分かりやすい。

HMZ-T2のメニューは,画面右を覆うような形で表示される(※画像はイメージです)。メニュー下部には「何を設定しようとしているのか」が表示されるので,ある程度はマニュアルなしでもなんとかなる
HMZ


コントラストや階調表現はHMZ-T1と変わらずも

色表現が向上。映画再生時は「24コマ表示」も効く


 ここからは性能評価に入っていきたいと思うが,その前に,筆者の連載「(善)後不覚」でも扱った「HDMI階調レベル」の話に触れておこう。
 手持ちの初期型PlayStation 3(型番:CECHB00)を接続して実験してみたところでは,「RGBフルレンジ(HDMI)」設定を「フル」(0-255)ではなく,「リミテッド」(16-235)にすることで正常な階調が得られたので,この点には注意してほしい。後期型PlayStation 3では未確認だが,このあたりの確認方法は連載バックナンバーにまとめてあるので,参考にしてもらえれば幸いだ。

 さて,まずは画質から。「画質は,高彩度・高コントラストのゲームグラフィックスより,実写映画のほうが評価しやすい」という理由から,映像評価用の定番Blu-rayソフト「ダークナイト」を用いて検証するので,その点はあらかじめお断りしておきたい。

有機ELパネルユニットのイメージ
HMZ
 というわけで暗部の沈み込みを見てみると,HMZ-T2,HMZ-T1ともに拮抗している。甲乙つけがたいレベルで黒は漆黒に近い暗さで沈んでいるし,夜空の星や夜のビル群などといった「暗闇に高輝度画素が点在するような表現」でも,「黒は黒」「高輝度は高輝度」と,互いに影響されることなく描き切れている。自発光デバイスである有機EL画素の真骨頂が,フレーム内のそこかしこに感じられた。
 階調も同様で,正しいHDMI階調レベルに調整できてさえいれば,暗部付近の微妙な明暗による表現もしっかりと見える。暗い映像でも情報量が多いのはHMZ-T2,T1で共通だ。

 では,違いはないのかというと,そんなことはない。「色」が異なるのである。
 ソニーは,HMZ-T2とHMZ-T1で光学系は同じものを使っており,有機ELパネルの世代も同じだとしているが,HMZ-T2には有機ELパネルの色特性を最大限に活用するとされる機能「14ビットリニアRGB3×3色変換マトリクスエンジン」が新搭載されており,これが非常にいい具合で効いてくれるのだ。
 しかもこれ,「分かる人には分かる」というレベルではなく,2台並べて比較すれば確実に分かるレベルの違いだったりする。

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 たとえば緑色の服に落ちる影。HMZ-T1だとすぐ黒に落ちてしまうのに対し,HMZ-T2では,影で暗くなっている部分に緑の色味が残って見える。また人肌でも,手や腕などに注目すると,光を浴びた肌のハイライト部分には透明感を感じる明部のグラデーションが現れ,一方,間接光に照らされる肌は皮膚下に走る血管の存在が分かるほどリアルに描き分けられる。一言でまとめるなら,色味のダイナミックレンジが非常に広くなっているのだ。
 一見すると彩度が上がっただけのように感じるかもしれないが,暗部でも明部でも色情報量が上がっているので,単なるブースト処理ではないことが分かる。

ソニーのHMZ-T2製品情報ページより,24p True Cinamaの概念図
HMZ
 HMZ-T2で新搭載となった「24p True Cinema」も,映画を見るときにはぜひとも有効化したい。
 これは,映画やアニメに多い毎秒24コマの1080/24p映像を,2-3プルダウン処理などを経ることなく,リアルに24コマ表示してくれる機能だ。2-3プルダウン表示の場合,映像の1コマを2フレーム時間分表示している時間帯と,3フレーム時間分表示している時間帯とがあるため,カクツキ感が生じるのだが,リアル24コマ表示ではこれがなくなる。
 実際,カメラが左右にパンしたり,奥に進んでいく3Dスクロール的なシーンでは,この効果が大きかった。ゲームにはあまり関係のない機能にはなるが,HMZ-T2を100%ゲームにしか使わないというのでなければ,憶えておいて損はしないだろう。


フォーカスの安定化にはヘッドパッドの調整機構が貢献

表示遅延は「安定して」約2フレームに


画面内をキャラが動くゲームでは,ウソみたいに首を動かしてしまう。映像は常に正面のはずなのだが,つい反射的に動いてしまうようだ
HMZ
HMZ
 いよいよ本題。ゲームをプレイしてのインプレッションに移ろう。
 まず,HMZ-T2とHMZ-T1でPlayStation 3版の「スーパーストリートファイターIV アーケードエディション Ver.2012」(以下,スパIV AE Ver.2012)をプレイしてみたが,普通に遊べる。ただ,ふと気づくと,なぜか首が傾いていたり,右に向いていたりする。

 なぜこんなことが起こるのか。
 要するに,画面中で自キャラが移動するとき,それを目で追うだけでなく,反射的に首も動かしてしまうので,結果的にそんな事態が生まれるのだ。FPSやTPS,あるいはドライブといったジャンルなら,視点は(基本的に)画面中央で固定されるため,そういったことは起こらない。なので画面内をキャラクターが動き回るゲームはHMZ-T2でプレイするのに適さない可能性がありそうだ。
 もっともこのあたりは,HMZ-T1のレビュー記事でも似たような指摘があるので,「HMZ-T1から変わっていない」という認識のほうが正解だろう。

マネキンに取り付けた例。HMZ-T1のヘビーユーザーであるほど,ヘッドバンドと目幅調整機能に頼ってしまいがちになると思う。最初は意識してヘッドパッドの前後調整を行ったほうがいいだろう
HMZ
 さて,映画を見ているときには気づかなかったのだが,スパIV AE Ver.2012をプレイしたところ,HMZ-T1よりもHMZ-T2のほうが,画面外周のフォーカス感がかなり甘く見えてしまった。体力ゲージやスーパーコンボゲージのような,画面外周に描き出されている情報がHMZ-T2の方がぼやけて見にくくなっていたのである。

 「劣化!?」と早合点することなかれ。実はこれ,HMZ-T2の新要素として上で紹介したヘッドパッドの前後調整がうまくいっていなかったために生じた現象だった。ソニーの開発者が述べているように,まずここを調整しなければならなかったというわけ。ここをきちんと調整すれば,HMZ-T1と同等の見え方になる。
 もし,中央にだけフォーカスが合い,外周がぼけて見えにくいと言うときは,ヘットパッドの前後調整を試してみることを強くお勧めしたい。

HMZ-T1では厚みの異なるヘッドパッドを差し替えることで目と接眼レンズまでの距離を調整していたが,HMZ-T2では,ヘッドパッドが引き出し調整式に変わったため,厚みの異なるヘッドパッドは付属していない
HMZ
 なお,「しっかりと装着しているのに,どうしても映像が全体的にぼけて見える」という場合は,本体が左右にずれている可能性や,正面方向に回転ズレを起こしている可能性がある。
 HMZ-T2やHMZ-T1はヘッドマウントディスプレイであり,左右の目は,それぞれ個別の映像パネルを見ている。平面視映像を見る場合,HMZシリーズは両方の目に同じ表示内容を見せて1つの映像として見せているので,左右ズレや回転軸ズレはボケとしてシビアに“効いてくる”のだ。この点は,ヘッドパッドの調整問題と同じか,場合によってはそれ以上に注意したい。


■気になる表示遅延も確認


 ゲーム用途と言えば気になるのが表示遅延だろう。
 今回,HMZ-T2では「スタンダード」および「ゲーム」,HMZ-T1では「スタンダード」の画調モードで計測を行ったが,結果,ほとんどのケースで約33msの遅延を確認した。60Hz換算で約2フレームの遅延であり,現行のソニー製液晶テレビシリーズ「ブラビア」と同等ということになる。

 ちなみに,いま「ほとんどの」ケースでとしたのには理由がある。インタビュー記事でも簡単に触れてあるとおり,HMZ-T1では遅延に揺れがあったのだ。
 下に示した10枚の写真は,手前に写っているのがヘッドマウントディスプレイ(※写真内に「T1」という表記があるものはHMZ-T1で,ないものはHMZ-T2)で,奥が東芝製テレビ「レグザ 26ZP2」(メーカー公称遅延時間60Hz時0.2フレーム。テレビとしては業界最速)。HDMIスプリッタ経由で「LCD Delay Checker」の画面を出力しているが,すると,HMZ-T1では設定によって遅延にブレが生じるのに対し,HMZ-T2では安定した遅延状況になっているのが分かる。

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HMZ-T2とHMZ-T1の遅延をチェックした結果。入力ソースが720pのときと1080pのとき,そして,コントラスト強調機能「コントラストリマスター」(画像中はCTRRと表記)の無効/有効を切り替えたときとで比較している。HMZ-T2はすべてのテスト条件で33〜34msに収まっているが,HMZ-T1は720p時にコントラストリマスターを無効化すると54ms,1080p時に有効化すると43msといった具合でバラツキが見られる
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 ちなみにこの2フレームというのは,一般的な(もしくはやや高速な)テレビに接続したときと同等のものであり,より低遅延のディスプレイデバイスとつないで格闘ゲームや音楽ゲーム,弾幕シューティングなどをプレイしている人だと,若干の遅れを感じる可能性があるレベル。要するに,ほとんどの人にとって遅延は問題ないレベルだが,全員にとってではない,というわけだ。
 ただ,せっかく「ゲーム」という画調モードが用意されているにも関わらず,「スタンダード」と遅延周りが変わらないというのは残念に感じた。ソニーはインタビュー記事内でその理由を語ってはいるのだが,さらなる低遅延モードを実現する工夫が欲しかったところではある。

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 ちなみにHMZ-T2では「画質・映像設定」メニュー内に「パネルドライブ」という項目が新規で追加されており,「ゲーム」モードを選択すると,「クリア」が自動的に選択される。ソニーはパネルドライブモードのクリア設定を「動画にキレを与える」ものと紹介しているが,試してみると,一定速度で動くオブジェクトなどを目で追ったときの残像感は確かにかなり低減される印象だ。
 パネルドライブモードのクリア設定は,いわゆる黒挿入とかインパルス表示と言われる明滅表示になるわけだが,60Hz映像ではそれほどフリッカーも感じられず,明るさも必要十分だ。ただ,「24p True Cinema」とパネルドライブモードのクリア設定を併用して映画などの24Hz映像を表示させると強いフリッカーが出るので,この特性には念のため注意しておきたい(※ゲームで24p True Cinema」を有効にするケースはないので,ゲーム用途では関係ないが)。

なお,HMZ-T2の画調は,ソニーのハイエンド4Kプロジェクタ「VPL-VW1000ES」をリファレンスにしてチューニングしたとのことだ
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 画調の話を続けておくと,HMZ-T2で用意されるモードは「ダイナミック」「スタンダード」「シネマ」「ゲーム」「カスタム」の5種類。有機ELらしく,輝度重視の「ダイナミック」設定でも,プロジェクタで水銀ランプを使ったときのような「黄味が強くなる」ようなこともなく,非常に整った色あいになっている。

 また,いずれの画調モードでも,階調バランスは良好で破綻がない。肌色の自然さは「スタンダード」と「シネマ」が良好なので,人物が出てくる映像を視聴するときにはこの二択になるだろう。「ゲーム」は彩度が高い画調で,記憶色再現志向といったところだ。ユーザーが設定できる「カスタム」の初期状態における色合いは,HMZ-T1と似ているので,HMZ-T1のような飾り気のない画調を好む人は,“HMZ-T1モード”的に「カスタム」を選ぶのもいいかもしれない。

画調モードは「画質モード」として「画質・映像設定」以下に用意されている
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 ちなみに,パネルドライブモードのクリア設定は,「ゲーム」モードを選んだときと,「カスタム」から追い込んだときとで異なるものになっているとのこと。「ゲーム」モードでは特別な設定がなされているというわけだ。なので,「ゲーム」モードの残像感低減具合が気に入ったならそのまま使うのをお勧めするが,そうでもないという場合は,表示遅延に違いもないことなので,あえて別の画調モードを試してみるというのもアリだろう。

ソニーのHMZ-T2製品情報ページより,アクティブシャッター式(上)とデュアルパネル式(下)の違い
 最後に,3D立体視の印象を述べておこう。HMZ-T2とHMZ-T1では光学系が同じということもあり,HMZ-T1で特筆すべきだった「クロストークのない立体映像」は,そのままHMZ-T2でも知覚できる。

 今回は「グランツーリスモ5」を3D立体視でプレイしてみたが,アクティブシャッターグラス方式の3D立体視における「左右の目で時間差を伴った3D映像」ではないため,ただ「立体感が得られる」という以上に自然に見える。慣れてくると,あまりにも自然なので,立体視していることを忘れてしまうほどだ。迫り来る敵車の後部バンパーが視界いっぱいになって追突しそうになったときに,思わず「ワッ」とビクついて,やっと「ああ,そういえば立体視だったんだっけ」と気づくくらい自然である。


音のサラウンド感はHMZ-T1と同じ傾向

着脱可能なヘッドフォンで音質は向上した


3.5mmミニピン端子は左目用レンズの脇に置かれる。標準ではケーブル長の短いインイヤータイプのイヤフォンが付属するので,ひとまずこれを使ってみるといい
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 HMZ-T2における大きな特徴の1つに,HMZ-T1で実装されていたオンイヤータイプのヘッドフォンが廃され,3.5mmミニピン端子経由で好みのイヤフォンやヘッドフォンを取り付けられるようになったことが挙げられる。
 HMZ-T2に付属してくるのは,市販のソニー製インイヤー型イヤフォン「MDR-EX300SL」をベースとするカスタム――というか,ケーブル長が短い以外は同じに見える――モデルだ。

 HMZ-T1は,ソニー独自の「VPT」(Virtual Phones Technology)を用いたバーチャル5.1chサラウンドサウンド機能を提供していたが,これはHMZ-T2でも同じ。基本技術が同じこともあって,サラウンド感はHMZ-T1とHMZ-T2であまり変わらないように聞こえる。一方,音質的には,HMZ-T2付属イヤフォンのほうがクセはない印象で,相対的に音質は向上しているといえるだろう。

 HMZ-T2の場合,工場出荷時点ではVPTの挙動がインイヤータイプのイヤフォンに向けて設定されているが,メニューの「音質・音声設定」にある「ヘッドフォンタイプ」から「オーバーヘッド」に切り替えると,インイヤーではない,被るタイプのヘッドフォンに向けて挙動を切り替えることができる。
 筆者はアラウンドイヤータイプのヘッドフォンとしてBOSEの「QuietComfort 2」を愛用しているため,これをHMZ-T2に接続してみたが,「ヘッドフォンタイプ」を「オーバーヘッド」に切り替えると,確かにインイヤー型イヤフォンをつけているときと同等のサラウンド感が得られた。

上段は付属のイヤフォンを使っているところ。下段はQuietComfort 2を使っているところ。付属イヤフォンと異なり,汎用タイプだと,ケーブルの取り回しがやや面倒。ただ,イヤーパッドとHMZ-T2本体が干渉するようなことはなく,違和感なく利用できる
HMZ HMZ
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 もう少し具体的に述べると,リアチャネルは概ね「真横の肩口よりやや後ろ」に来る感じで,フロントチャネルは映像の左端と右端にある感じだ。真後ろにまで音がしっかり回る感覚はさすがに得られなかったが,それでも,音像が動くとその移動はきちんと立体的に感じられる。マルチチャネルスピーカーセットの設置された部屋の後ろ側に座っているような音像をイメージしてもらうのがいいだろう。

 ちなみにセンターチャネルはHMZ-T2にプリセットされているサウンドモードによって聞こえ方が劇的に変わる。「シネマ」と「ゲーム」では映像中央前方に来る感じだが,「スタンダード」と「ミュージック」では頭部に近い位置で定位している感じで聞こえる。
 「サラウンドらしいサラウンド」効果が得られるのは「シネマ」と「ゲーム」で,ゲームではこの2つを常用するといいと思う。「シネマ」は音像がユーザーよりも遠く,「ゲーム」はやや近い感じがあるので,好みやコンテンツの種類に応じて感覚的に決めればいいと思う。
 「ミュージック」はよくあるホールやライブハウスの残響を再現するものではなく,指向性と輪郭重視のHi-Fi志向というか,スタジオサウンドライクなチューニングになっている。


HMZ-T1を持っている人は買い換えなくてもいいが

これから新規で買う人には強くお勧めできる


製品ボックス
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 今回,HMZ-T2とHMZ-T1の両方を使ってみたが,機能や装着のしやすさなど,さまざまな点でHMZ-T2が進化していることを確認できた。「HMZ-T1ユーザーが買い換えたくなるほどの製品か?」というと正直ノーだと思うが,HMZ-T1はとにかく入手性が悪かっただけに,「落ち着いたら買おう」と思っているうちに買うタイミングを逃してしまっていたという人には,強くお勧めできる。
 重要なのは,光学系の仕様が共通でありながら,HMZ-T2でHMZ-T1から画質が向上している点で,いまからHMZ-T1を選ぶ理由はないと言ってしまっていいだろう。

余談だが,HMZシリーズ装着使用中の飲食は難しい。細い缶ジュースならば飲めるかな? といった程度だ
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 今後に向けた要望として挙げられるのは,まず,表示遅延性能の改善だろうか。
 HMZ-T2を「バーチャル大画面」としたとき,ソニーは2012年,ゲーム用途に最適な「リアル大画面」として,超短焦点性能×超高輝度性能を持ったプロジェクタ入門機「VPL-BW120S」を発売している。実勢価格は6万8000〜8万円程度(※2012年10月13日現在)で,解像度は1280×800ドットとなっているため,(スクリーンのコストを無視すれば)HMZ-T2と張り合う製品なのだが,こちらは表示遅延が60Hz時に1フレーム強と,HMZ-T2より良好なのだ。
 HMZ-T2でせっかく設けた「ゲーム」画調モードだけに,低遅延の方向へぜひもう一歩先へ進んでほしいと思えてならない。

 そしてもう1つは,やはり,1080pモデルへの期待だ。
 幸いなことに,過半数の家庭用ゲーム機向けゲームは720p解像度のレンダリング解像度なので,ゲーム用途に限ればHMZ-T2の1280×720ドット解像度に不満はないのだが,PCゲームをプレイしたいとか,それこそBlu-ray Discの映画も本格的に楽しみたいということであれば,1080p対応はやはり欲しいところだ。
 ただ,HMZ-T2(とHMZ-T1)では,0.7インチで720p解像度を実現する有機ELパネルを採用しており,これが1080p化するにはもう少し時間がかかるだろう。仮に来年“HMZ-T3”が登場するとして,それがフルHD対応かというと,そういうことにはならないと思われる。


ちびっ子が装着。近未来のお茶の間はこんな感じに?
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 ……「ゲーム×HMD」という括りでは,昨今,ネットで話題の「Oculus Rift」も注目を集めてきている。東京ゲームショウ2012ではソニー自体が,改造版のHMZ-T2で代替現実エンターテイメント「PROTOTYPE-SR」のデモを実現していた(関連記事)。
 ヘッドマウントディスプレイを使ったコンピュータエンターテイメントはまだ立ち上がったばかりだが,注目度,そして認知度は確実に上がりつつあり,今後の動向が注目される。HMZシリーズはその先駆け的存在として,これからもテクノロジーリーダーであり続けてほしいものだ。

ソニーのHMZシリーズ製品情報ページ

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ソニーストアのHMZ-T2販売ページ

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