ソビエトでゲームを開始。勝利ポイント40というのは,つまり日本のほぼ全域ということ。最初にどこに勝利ポイントがついているかを確認しておくといいだろう
まずはソビエトから着手してみよう。シナリオ開始時,ソビエトは歩兵36個,戦車16個,司令部2個師団の陸軍を保有している。ちなみに歩兵は1943年式。シナリオが1945年10月開始なので旧式だが,戦車は最新式だし日本軍は41年式歩兵なので,問題ないといえばないのだが。
一方で日本陸軍は合計135個師団。このうち相当数は守備隊と民兵とはいえ,割と気が重くなる数字ではある。
まずはできることから始めてみようということで,朝鮮半島の南にいる日本軍を駆逐する。朝鮮半島にVPプロヴィンスはないが,上陸作戦の選択肢を広げるため,内地に近い軍港を押さえておく。
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海軍の分布。日本海軍はかろうじて存在するが,あくまでかろうじてな水準 |
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日本を守る人の壁。守備隊はともかく,民兵33個師団というのがなかなか凄まじい |
さて,ここからが問題である。ソビエト軍最大の問題は,上陸用舟艇の圧倒的不足にある。なにしろこのシナリオでソビエトが使える艦艇は,たった9ユニット。そのうち輸送艦は4ユニット。まかり間違って日本軍の残存潜水艦に出会いでもしたら,指揮官の余生は決まったようなものである。
まかり間違わなかったとしても,輸送艦が4ユニットということは,同時に上陸させられるのは4個師団までということだ。日本列島は15プロヴィンス,ここを大本営発表135個師団,民兵を除くとして102個師団が守っているわけで,単純に均等化すれば1プロヴィンスあたり6.8個師団。上陸が始まれば当然隣のプロヴィンスから防御支援が来るので,実質13.6個師団が待ち受けている計算になる。なんだか暗雲が立ち込めてきた。
しかし,シナリオの導入部にも書いてあったとおり,アメリカの上陸作戦を待っていては,日本に勝ってもアメリカに勝てない。不利だなんだと言わずに,上陸するしかないのだ。
旭川に上陸成功。近くにアメリカの大艦隊が見えるが,とくに何かを手伝ってくれたりするわけではない
というわけで,上陸に適したプロヴィンスを物色する――どこも大変そうだ。同じなら,1980年代まで少なからぬ日本人が頭に描いたはずの展開,北海道を舞台にソビエトと日本が交戦するという図式を描いてみようではないか(新潟上陸も考えたのは秘密)。
旭川プロヴィンスにジューコフ率いる戦車4個師団を投入してみる。当然のように弾き返される。コネフ率いる戦車師団も投入する。まるでダメ。ヴォロシロフスキーにもがんばってもらう。これもダメ。全然ダメじゃないですか。
単純な力押しではダメというならば,そこはそれソ連軍,もっとすごい力押しをするのみ。南樺太に陸軍大部隊を結集させ,対岸の旭川プロヴィンスに波状攻撃を仕掛ける。まず歩兵4個。ダメ。即座に次の歩兵4個。ダメ。素早く次の歩兵4個。ダメ,だけど戦況をモニタリングすると日本軍の指揮統制が崩壊しかかっている。そこにすかさずジューコフの戦車師団を投入すると,ついに日本軍は崩れた! 旭川に鎌とハンマーの旗がたなびく。プロレタリアートの勝利である。
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数で負けていようとも戦車の破壊力で圧倒。ソビエトはこれがあるので楽だ |
試しに東京上陸作戦。しかしこの直後,海に叩き落される
橋頭堡を確保してしまえば,あとは簡単だ。南樺太にいたコネフとヴォロシロフスキーの戦車部隊も旭川に輸送,万全の体制を敷いて札幌に攻撃を仕掛け,北海道から日本軍を駆逐する。一度地面に足が着いてしまえば,ソビエト戦車部隊を止めるものはいない。
……と大見得を切ってみたが,ここからも難問の山である。まず津軽海峡を渡ってみる。渡る先は山地で海越え,おまけに大兵力。まったくもって無理。東北方面に敵兵力が集中したので,隙をついて東京に上陸してみる。上陸はできたけど,すぐ海に叩き落される。ならばオリンピック作戦(ソビエト製)ということで,朝鮮半島から九州を狙ってみる。ここは大兵力のうえ空軍支援が凄まじく,話にならない。
さて困った。改めてじーっと地図を眺め直す。と,一か所だけ日本の弱点が見えた。四国である。
四国は,大阪へと陸軍が直接移動可能だが,それには制海権を握っている必要がある。いまは米ソが日本全域の制海権を握っているので,日本軍は大阪から四国へ移動できないし,逆もしかりだ。そして,四国はほかの地域と違って1プロヴィンスで構成されているので,上陸作戦中に援軍が来る可能性ゼロ。
かくして朝鮮半島に結集したソビエト陸軍は,北海道戦と同じ要領で四国に波状攻撃を仕掛ける。今度は第3波の歩兵が四国への道を切り開いた。
こうなってしまえば日本は陥ちたも同然である。四国に全陸軍を結集させ,海軍も四国へ基地移動。広島に向かって波状攻撃を仕掛ける。広島−福岡間は四国−大阪間と同じ構造になっているので,援軍は大阪からしか来られない。四国−広島間は非常に近い(当たり前だ)ため,多少の援軍ではソビエトの物量を崩すことはできない。
かくして血染めの旗(ロシア人の血のほうが多い気もする)を翻しながら,ジューコフらは広島の大地を踏んだ。あとは議論にも値しない殲滅戦である。確かに日本軍は数で勝っているかもしれないが,最新鋭の戦車12個師団による攻勢を,防げるほどの数的優位ではない。
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四国に上陸し,そこから広島に直行。四国から大阪へ瀬戸内海を越えると,最悪金沢と名古屋から防衛支援が来るので,まず無理。一度橋頭堡が出来れば,増援をピストン輸送して安定させられるが |
赤軍が日本を蹂躙していく一方で,別の問題が持ち上がりつつあった。時間である。日本に残されたVPプロヴィンスは九州の2プロヴィンスのみ。釜山から強襲上陸あるいは広島から突撃させれば陥落させられるものの,東北にはいまだ日本軍の大兵力が残っている。ここまで内地で連戦連勝を重ねているのは,
□戦車で強引に突破
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□指揮統制の崩壊した日本軍が隣のプロヴィンスに撤退
↓
□間髪入れずそのプロヴィンスを攻撃
↓
□撤退したばかりの日本軍は指揮統制回復が間に合っておらず,戦力外
↓
□日本軍敗走
↓
□それを追撃
という戦い方をしているからであって,事態が落ち着いてしまうと,指揮統制が回復した日本軍に押し返されること必至である。このまま津軽海峡に日本軍を追い落とす以外,内地における勝利を確定させる術はないのだ。
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日本の陸軍がほぼ壊滅。しかし残された時間はわずか |
しかしながら,それをしていて九州上陸に間に合うかどうかは,極めて微妙だ。でもやるしかない。やるしかないからやってしまえ! というわけで日本軍を津軽海峡まで押し込んで打ち破ると,即座に軍を戦略再配置で広島へ。とてもではないが輸送船で上陸作戦をしている暇はない。
残り1週間というところで,広島に再配置した軍に関門海峡を越えさせて福岡強襲。アメリカが徹底した戦略爆撃を実施していたこともあって,戦闘にはあっさり勝利する。残り3日。鹿児島に全軍突撃。日本軍が地上から消え去る。機甲部隊が鹿児島に殺到,到着予定時間は1947年11月2日13:00。え,負けた?
なんとかぎりぎり間に合った。四国が弱点ということに気づいてしまえば,もっと手際の良い作戦遂行も可能だ
えー……20日前くらいのデータをロードして,慎重に慎重に進めたところ,なんとか10月28日に鹿児島占領。11月2日までっていうのは,11月2日0:00までってことだったんですね。いやはや。
ともあれ,初プレイで13時間差の負け,ということを鑑みるに,バランスは非常に良好だと思う。朝鮮半島制圧後,北海道で遊んでいないで有無を言わさず四国に上陸すれば,もっと簡単に終わったとは思うが,なかなか楽しめる出来栄えではないだろうか。実プレイ時間は3時間弱と,お手軽でもある。
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日本列島の赤化完了。台湾にちょっぴり日本領が残っているのはご愛嬌 |
東西日本時代の幕開けを告げるエンディング。いやはや,分割統治ですか |