特集 : World of Warcraftスターターガイド

この冬はWoWっと過ごしたい!「World of Warcraft」スターターガイド


Text by 星原昭典 

9種類のクラス

 WoWに用意されているクラスは,全部で9種類。攻撃力が高いクラス,防御力が高いクラス,味方を回復させるのが得意なクラスなど,それぞれ特徴を持っているのは,WoWとて例外ではない。しかしWoWでは,WarriorにもHealthを回復させる手段が用意されているし,Priestにも強力な攻撃手段が用意されている。このゲームでは,基本的にすべてのクラスでソロプレイが可能なよう設計されているのだ。

 では,各クラスの特徴が発揮されるのはいつかといえば,それはグループを組んでインスタンス攻略に挑むときである。小さなグループでフィールドのクエストを進めているようなときには,ゴリ押しプレイも通用するが,ダンジョンではそうはいかない。各々が現在のグループ構成における自分の役割を見極めて,それを遂行するようにしないと,幾度となく全滅を経験することになるだろう。

 WoWでグループを組む場合,必ず一人は必要であるとプレイヤー達に意識されている役割は,敵の攻撃を自分に引きつけることで味方を守る「タンク」役,主にそのタンクのHealthを回復,維持する「ヒーラー」役,タンクが引きつけている間にその敵を撃破していく「ダメージディーラー」(DPS)役の3種類だ。
 なお,グループ内に二人以上のタンク役,ヒーラー役がいる場合,その役をメインで担当する者を,それぞれ「メインタンク」「プライマリヒーラー」と呼ぶ。

 

Warrior(ウォーリア)

 分厚い鎧とシールドを装備可能なWarriorは,ゲーム中で最も高い防御力を誇るクラスの一つである。またゲーム中に存在する,ほぼすべての武器を使用可能なWarriorは,メレーによる攻撃を最も得意とするクラスである。

 グループの中では断然「タンク」としての役割を求められることが多い。Warriorのほとんどのアビリティには,対象に通常以上のスレットを与える能力が付随しているため,それを生かしてタンクとしての仕事を果たすことになる。もしグループ内に,よりレベルの高いメインタンクがいた場合は,シールドを外して両手持ちの武器や二刀流などを駆使することで「DPS」として活躍できるため,1グループに二人のWarriorがいることは,まったく変ではない。その場合は「オフタンク」としての仕事を果たし,冒険をより危なげないものにすることも期待される。

 WoWのWarriorには,ほかのクラスにはない特別な戦闘システムが用意されている。「Rage」の仕組みと「Stance」切り替えのシステムだ。

 

Rage

WarriorのRageのゲージ

 「Rage」(レイジ)は,Warriorだけが持つパワーゲージだ。Warriorはアビリティを使うときにRageを消費する。キャスタークラスのManaに似たものだが,Manaが放っておけば自然に回復していくものなのに対し,Rageは時間と共にどんどん失われて,すぐに0になってしまう。Rageを得るには,敵からの攻撃を受ける,もしくは敵にダメージを与えればよい。
 いうなれば,Rageは「怒りや興奮のパワー」である。戦闘に入って攻撃を受けると「怒り」が溜まっていき,ダメージを繰り出せば「興奮」が高まっていく。そして戦闘が終われば興奮は徐々に冷めていく。Rageの上限は100で固定なので,次の戦闘のために溜めておくようなことは難しい。基本的には,その場で上手に使い切ったほうが効率は良い。Warriorのアビリティは一つにつき5〜25程度のRageを消費する。
 Manaのような精神エネルギーではなく,怒りのパワーで戦いを進めていくというのは,いかにもWarriorらしい。Mana切れに陥ったキャスターはできることが激減してしまうのに対し,WarriorはHealthがある限りRageを生成し続けられる。だからキャスターとWarriorでは,戦闘中の姿勢に変化が生まれ,このあたりも面白い。また「ダメージを受けるほどRageが得られる」という仕組みは,Warriorを「敵の攻撃を引きつける」=「タンクをする」という行為に自然と導いていく。

 

Stance

 「Stance」(スタンス)は,メインタンクとしての役割と,DPSオフタンクとしての役割をしっかりと切り替えられるように用意された,Warriorにしかない特別なシステムである。Warriorは三つの「スタンス」を持っており,いつでも瞬時に切り替えられる。Warriorの持つ多くのアビリティは,特定のスタンスのもとでないと使用できない。

 

・Battle Stance

汎用的なスタンス。攻守のバランスに優れたアビリティを使用できる。

 

・Defensive Stance

防御的なスタンス。防御,もしくは敵の攻撃を自分に引きつける能力に優れたアビリティを使用できる。このスタンスをとったWarriorは,受けるすべてのダメージが10%軽減される。またWarriorの攻撃が敵に与えるスレットの量にはボーナスが加算される。ただし攻撃力自体は10%下がる。

 

・Berserker Stance

攻撃的なスタンス。敵にダメージを与えることに優れたアビリティを使用できる。このスタンスをとったWarriorは,クリティカルヒットの発生率が増加する。ただし受けるダメージの量は10%増加する。

 

 グループでメインタンク役を任されたときには,防御力が高く,敵を引きつける能力にも優れたDefensive Stanceを使うとよい。オフタンクとして立ち回りたいときはBattle Stanceにすれば,スネアPBAoE攻撃など,Defensive Stanceをとっているメインタンクには使用できないアビリティを使うことでグループをサポートできる。敵の攻撃を引きつける必要がなく,ダメージを与えることに専念したいシチュエーションではBerserker Stanceをとればよい。自身のDPSとしての性能を向上させられる。

 

Rogue(ローグ)

 Rogueは非常に高い直接攻撃能力を持ったクラスだ。片手用の武器を両方の手にそれぞれ装備して,圧倒的な速さで敵のHealthを削っていける。そのためグループを組んだときには,DPSの一人と見なされる。Rogueは,自分で調合した毒を武器に塗ることで,与えるダメージを増したり,敵の動きを遅くしたりもできる。この「Poisoning」はRogue専用の生産スキルで,毒を作ることも使用することもRogueにしかできない。

 また,Rogueは最高のステルス能力を持ったクラスでもある。ステルス状態からしか繰り出せない強力な攻撃アビリティを持っているのは,大体どんなRPGでも同じだが,WoWのRogueにはさらに,このステルスを生かしたクラウドコントロール能力が与えられている。またステルス能力は,フィールドのクエストなどソロで活動する場合,非常に重宝する。こちらを追ってくる敵の前から,完全に姿を消して逃げおおせるようなことまで可能だ。
 Rogueの弱点は,防御力が心許ない革製の鎧しか装備できないことだ。グループでのプレイにおいては,どうすれば敵の注意を惹かずにいられるかを考えることも,Rogueプレイヤーの重要な仕事である。

 WoWのRogueには,ほかのクラスにはない特別な戦闘システムが用意されている。「Energy」の仕組みと,「Combo Point & Finishing Move」を使ったコンボシステムだ。

 

Energy

RogueのEnergyのゲージ

 「Energy」(エネルギー)は,Rogueだけが持つパワーゲージだ。Rogueはアビリティを使うとき,このEnergyを消費する。キャスタークラスのManaに似たものだが,Energyは0になっても,ほんの10秒程度で上限の100まで完全回復する。この回復レートは戦闘中でも変わらない。Rogueの戦闘アビリティはだいたい一回の使用につき,25〜60のEnergyを必要とする。つまりRogueの戦闘スタイルは,次から次へと溢れてくるエネルギーをどんどん消費するために,数秒ごとに技を連発していくようなものになる。  この仕組みのため,RogueはWarriorと同様,生きている限り戦闘を続行できる。とかく疲れがちな魔法使い達(戦闘中にManaが底を突いたり,戦闘後にMana回復のための休憩が必要になったり)との対比で,肉体労働担当であるメレー系クラスのタフさが表現されているようだ。

 

Combo Point & Finishing Move

Combo Pointは敵のHealth表示の右側にこのように溜まっていく

 Rogueの多くの攻撃アビリティは,「Combo Move」もしくは「Finishing Move」のどちらかに属している。敵に対してCombo Moveに属する攻撃アビリティを使用すると,その敵には「Combo Point」(コンボポイント)が1点つく。このポイントは最大5点までつけられる。そして「Finishing Move」(フィニッシングムーブ)は,このCombo Pointがついている敵に対してだけ,それを消費することで使用できる強力な攻撃だ。敵についているCombo Pointの数が多いほど,Finishing Moveの効果は上昇する。

 細かい技をいくつも繰り出しながらチャンスをうかがい,「ここぞ!」というところで大技を炸裂させる。Rogueでは,そんなプレイが楽しめる。完全に使いこなすには相応の研究が必要だろう。効率良くダメージを与えるために,効果的な技の組み合わせを研究して,状況によって使い分けるというのは,いかにもメレー攻撃のエキスパートであるRogueらしい振る舞いだ。

 

Sap

 もう一つ,WoWのRogueにおける重要な能力が,StealthとSapを使ったクラウドコントロールだ。「Sap」(サップ)は,1体のヒューマノイドを数十秒間,頭フラフラの無力状態にするスキル。非常に強力だが,ステルス状態でしか使えない。ダンジョン内でヒューマノイドが数体まとまって配置されている場所があったら,Rogueの出番だ。ステルスで近づいて,1体をSap,それに気づいたほかの敵を仲間の元までプルして倒す。その後,覚醒した始めの一体を集中攻撃で倒す。こうすることで一度に相手にする敵の数を減らすことができるため,ダンジョンの攻略が容易になる。

 

Sapを使ってヒューマノイド系の敵1体をフラフラの無力状態にしたRogue Stealth状態のRogue

 

Hunter(ハンター)

 弓やライフルを使った,レンジ攻撃のスペシャリストである。遠距離からの素早い連続攻撃が可能なのに加えて,DoTスネアなど,さまざまな効果の付いた一撃も放てる。またHunterは,クマやライオン,イノシシ,オオカミといった動物系のMobを捕まえて,調教して,自分のペットにできる。敵にペットをけしかけておいて,本人は遠距離から弓や銃で攻撃,というのがハンターの基本的な攻撃スタイルだ。この戦闘方法は非常に安定しているので,Hunterは最もソロプレイに向いたクラスの一つでもある。

 さらにハンターは,サバイバル技能にも長けている。両手持ちおよび二刀流での近接戦闘も可能なほか,獲物を発見して追跡したり,地面にトラップを仕掛けたりもできる。「死んだふり」を駆使して敵の目を欺くことも可能だ。

ペットを使ったHunterのソロプレイ

 Hunterは高い攻撃力を持っているので,グループを組んだときにはDPSとしての活躍が期待される。加えてHunterは,敵を数十秒間氷漬けにしてしまうトラップを使ったり,ペットに敵の一体をしばらく引き受けさせたりといったクラウドコントロールもできるので,その役割も任される。その場合は本人がプルを担当したほうが,仕事はやりやすい。

 WoWのHunterのペットシステムは非常に奥が深く,またとても練り込まれており,自身の親友でもある動物の相棒とのつながりが,強く感じられるだろう。

 

Hunter Pets

野生動物を手なずけて,自身のペットにしようと試みるHunter

 Hunterは,レベルが自分以下のビースト系Mobを飼い慣らすことができる。Hunterと共に戦うペットは,経験値を得て,Hunterと共にレベルアップしていく。もちろん動物の種類が違えば,防御力が高い,攻撃が得意,といったように能力も違ってくる。さらに使用可能なアビリティも変わってくる。
 ペットは「happiness」(幸福度)のパラメータを持っており,幸福な状態のペットは通常よりも高い攻撃力を発揮してくれる。happinessを上げるにはエサを与えてやればいい。食べられるエサの種類は動物の種族によって異なるので注意が必要だ。Hunterはペットにトレーニングを施して,新しいアビリティを教えたり,基本能力を鍛えたりできる。プレイヤーキャラクターがトレーナーからスペルやアビリティを習うように,自分がトレーナーとなってペットに技を教えるようなイメージだ。

 

Hunterのペット

 ちゃんとエサを食べさせることでペットをハッピーな状態に保っておくと,ゆっくりとペットの「royalty」(忠誠心)が上がっていく。忠誠心が上がったペットは,より多くのトレーニングを受けられるようになる。好きな食べ物を分かってあげて,それをきちんと食べさせてあげ,さらに長い時間を一緒に過ごす。そのように手をかけていくことで,Hunterのペットはこちらの期待に応えてくれる頼もしい相棒へと成長していくのである。

 

Trap

地面にトラップを設置するHunter

 Hunterは地面にトラップを設置できる。トラップは,その場所まで敵を呼び込むことで作動する。トラップには敵にダメージを与えられるもののほか,敵単体を凍らせて数十秒間無力化したり,一定範囲の敵の足を遅くしたりといったクラウドコントロールに利用できるものが強力だ。

 

Aspect

 「Aspect」(アスペクト)は,野生動物の性質を自分に宿らせてパワーアップするという,Hunterにしか使えない能力だ。敵からの攻撃をDodgeする確率を上げるサルのAspect,レンジ攻撃の威力を上げるタカのAspect,足が速くなるチーターのAspect,といったものが用意されている。一度に有効にできるAspectは一つだけ。使い心地は,切り替え式のセルフバフといったところだ。

 

Paladin(パラディン)

 PaladinはWarriorに引けを取らない防御能力を持ち,さらにヒールおよび防御系の魔法が使用可能なハイブリッドクラスである。Warriorとの大きな違いはDPSとしての能力にあり,敵にダメージを与える能力はどちらかといえば低い。WarriorがタンクDPSとしての役割を演じ分けられるのに対し,Paladinはタンクもしくはヒーラーとしての役目を果たせるクラスとしてデザインされている。Warriorと同じ分厚い鎧を装備可能なことも手伝ってか,タンクとしてグループに参加する機会が多い。

 Paladinの攻撃魔法から生成されるダメージは,その多くがホーリー属性である。メインタンクとして動く場合には,「自分が与えるホーリー系ダメージが,敵に与えるスレット量を増加させるセルフバフ」をかけて,ホーリー系ダメージを敵にどんどん与えていくというスタイルになる。またスレットの生成を抑える効果を持つ「Blessing」を,メンバーにかけておくのも有効だ。

 WoWのPaladinが使用する魔法は,Priestの魔法を安易に焼き直したようなものではなく,ヒール,シールド,レザレクションなどを除けば,まったく異なったPaladin独自のものになっている。「Aura」の切り替えと「Blessing」のメンテナンスで味方をガードしつつ,さらに「Seal」と「Judgement」で攻撃を行い,加えて誰かのHealthが減ってきたらヒールもする。そんなPaladinでのプレイは,テクニカルで忙しく,やりがいがあるものだ。

 

Seal,Judgement

自分にかけたSealの聖なるパワーを、敵の頭上にJudgement(天罰)として振り落とす

 「Seal」(シール)は,Paladinが自分自身にかけられる,30秒の短時間バフだ。その効果はすべて,自分自身のメレー攻撃への追加効果の付加である。攻撃速度増加,ホーリーダメージ追加,対象をスタンさせる確率の追加,といった効果を持つSealが存在する。

 そしてSealには,もう一つの使い方がある。Paladinは自分にかけたSealの聖なるエネルギーを,「天罰」として敵にぶつけられるのだ。それが「Judgement」(ジャッジメント)である。Judgementしたときに敵に降り注ぐ効果はSealによって異なり,DDのほか,デバフ,逃走の阻止などがある。この仕組みのため,Paladinは一回の戦闘中にSealとJudgementを数度使用しつつ戦うことになる。

 

Aura

 「Aura」(オーラ)はパーティメンバー全員に効果が行きわたるグループバフだが,ほかのいくつかのクラスが持っているグループバフとは,使い勝手がかなり違う。AuraはPaladinが周囲に発する聖なるエネルギーであり,その側に近づくだけで効果が及び,離れると消える。Manaコストは0で,Paladinが生きている限り効果が続く。一人のPaladinが一度に使用できるAuraは1種類だけだが,たとえ戦闘中でも瞬時に別のAuraに切り替えることが可能だ。Auraの種類には,防御力アップ,ダメージシールドのほか,ファイア/フロスト/シャドウ系の各ダメージへのレジストアップなどがある。

 

Blessing

Blessingを使用するPaladin

 「Blessing」(ブレッシング)は自分も含めた味方単体にかける,効果時間5分(例外もある)の短時間バフである。種類がかなり豊富なので,パーティプレイ中のPaladinは,仲間のクラスに合わせて,また状況に合わせて,このBlessingを細かくメンテナンスすることになる。Blessingには,攻撃力増加,Mana回復速度増加のほか,スレットの生成を抑えるもの,受けたダメージの一部をPaladinが肩代わりするものなどがある。

 

Shaman(シャーマン)

 Shamanは,Paladinのようなメレー&マジックのハイブリッドクラスだ。どちらかといえばPaladinがメレー寄りのデザインなのに比べ,Shamanはどちらかといえばマジック寄りのデザインになっている。そして,WoWのShamanといえば「Totem」である。Shamanはさまざまな効果を持ったTotemを,地面にポコンと立てられる。

 Shamanは,グループにおいてはタンクヒーラーDPS,三つすべての役割を演じられるポテンシャルを秘めたクラスである。比較的高い防御力に加えて,敵にスレットを与える能力にも長けたShamanは,タンクとしての活躍が可能だ。ただし高レベルになってくると,よりタンクに向いたクラスとの防御能力の差が大きくなり,メインタンクとして活躍することはなくなる。その場合でも,オフタンクは十分に可能である。

 グループメンバーのHealthを維持するのに,十分な性能を持ったヒールが使えるShamanは,ヒーラーとしての活躍が可能だ。Priestに比べれば後れをとる部分はあるが,その分はTotemを使ったり,高い直接攻撃力で敵を素早く倒したりすることで補っていく。Shamanがプライマリヒーラーを担当することは日常茶飯事である。
 Shamanは敵にダメージを与える能力にも優れている。DPSとしての力が求められた場合には,武器を強化する「Weapon Buff」,そして使いやすい「Shock」系のダメージ魔法を組み合わせて戦っていく。このように,さまざまな役割として動けるクラスなので,グループの中で足りない部分を補ったり,Totemによってグループ全体の能力を底上げするサポート役として認識されることが多い。

 

Weapon Buff

自分の武器にEarth系のWeapon BuffをかけたShaman

 Shamanは自分の手にある武器に魔法をかけて,いろいろな効果を追加できる。シャーマンの持っている魔法は,Elemental(自然界の元素)に基づいたものが多い。これは「Weapon Buff」に関してもそうで,地の力を付与して攻撃力を上げるもの,水(氷)の力を付与して触れた敵の動きを遅くするもの,火の力を付与して追加ダメージを得るもの,などが存在する。

 

Shock

 遠距離から詠唱して放つ普通の攻撃以外に,レンジが短く詠唱なしで撃てる「Shock」系のダメージ魔法を持っていることも,Shamanの特徴だ。Flame Shock,Earth Shockといった具合に,こちらもElementalに基づいたものになっている。これらのShockやWeapon Buffの中には,スレットが高いものもあるので,場合によっては,必要以上に敵の注意を引いてしまわないように,うまくタイミングなどを調節する必要があるだろう。

 

Totem

Totemにはいろいろな種類がある

 「Totem」(トーテム)の設置は,Shamanだけが持っている特別な能力(システム)である。地面に立てられたTotemは,その周囲にいるすべての対象に対して効果を発揮する。Shamanは成長するに従って,さまざまな種類のTotemを使えるようになり,さらに違った効果を持ったTotemを同時に数本設置できるようになる。
 味方に影響するTotemとしては,周囲のパーティメンバー全員のHealthを徐々に回復するもの,同様にManaを回復するもの,攻撃力を上げるもの,各種レジストを上げるものなどがポピュラーだ。敵に影響を与えるTotemには,範囲内の敵を足止めするものや,敵に向かって火の玉を発射するものなどがある。
 グループ構成や敵の性質を見て,現在の状況に最適なTotemは何かを考え,設置していく面白さはShamanにしか味わえない。それに加えて,ヒールや攻撃もしていかなければならないShamanは,忙しくも楽しいクラスである。

 

Mage(メイジ)

 直接攻撃力はないに等しく,防御力も最低に近いが,攻撃魔法の多彩さと,それを使った攻撃力では誰にも負けない。Mageはまさにピュアキャスターと呼ぶにふさわしいクラスである。テレポートなど,いくらかの便利なユーティリティスペルも持っているが,覚えていく魔法のほとんどは敵にダメージを与えるためのものだ。
 グループ内での役割は,どのような構成においても魔法を使った「DPS」となる。メレー系のDPSであるRogueが,敵単体に大量のダメージを与えることだけに優れているのに比べ,Mageはそれに加えて,複数の敵に同時に大量のダメージをばらまくAoEPBAoEの魔法を多く持っている。WoWのインスタンスダンジョンには,そのようなエリア攻撃魔法が必要になる場所が意図的に用意されており,MageやWarlockの出番となる。
 WoWのほかのクラスには,そのクラスにしか使えない戦闘システムや,そのクラスならではの魔法の仕組みが用意されているが,Mageにはとくにそういった「WoWらしさ」がない。Manaがなくなると何もできなくなったり,無用なダメージを受けないようクレバーな自制心が求められたりと,Mageの魔法使いとしてのキャラクター特性は,旧来のMMORPGの魔法使いが持っていたものに近い。WoWにしてはクラシックなタイプのクラスという印象だ(逆にそれがWoWの中では個性的かもしれない)。
 戦闘中はとにかくダメージ,といった印象のMageだが,特定の状況下では,クラウドコントロールスペル「Polymorph」(ポリモーフ)が大活躍する。また,戦闘と戦闘の合間にManaを回復させるための飲料水を魔法で召喚できることも,Mageのよく知られた特徴の一つだ。

 

Arcane,Fire,Frost

敵に向かって遠距離から攻撃魔法を撃つMage

 Mageの覚える攻撃呪文は「Arcane」(秘術),「Fire」(炎),「Frost」(氷)の三系統のどれかに属する。Arcane系は,主に飲み物召喚やテレポートなどのユーティリティ系の魔法だ(攻撃魔法もある)。Fire系の攻撃魔法の多くにはDoT効果が付いている。Frost系統のスペルには大抵,敵の動きを遅くしたり止めたりする効果が付随している。

 

Conjure Water

 WoWのManaやHealthの自然回復速度は,かなり高めに設定されているので,戦闘後に長すぎる休憩が必要となることはない。ただ,やはりある程度の休憩は必要で,その時間を短縮してくれるのが食べ物や飲み物である。とくにManaの回復を早める「飲み物」は重要で,キャスターとしては毎戦闘後に飲めたら理想的だ。Mageは,この飲み物をタダで召喚できるので,文字通り湯水のように消費していける。戦闘では出し惜しみすることなくManaを消費して,とにかくダメージを叩き込み,終わったらゴクゴク飲んで回復する。そんなアクティブなイメージがWoWのMageにはある。

 

Polymorph(Sheep)

Polymorphを使い、ヒューマノイド系の敵(ハーピー)を羊に変えて無力化するMage

 Mageが持つユニークなクラウドコントロールスペル「Polymorph」は,ヒューマノイド系&ビースト系のMobを羊に変えられる魔法。羊にされてしまったMobは数十秒間,ただの羊として,メーと鳴きながらそのあたりを無目的にウロウロ歩き回ることしかできない。多くのプレイヤーは,この魔法のことをただ「Sheep」と呼んでいる。
 見た目はコミカルだが,Sheepは非常に強力なクラウドコントロールスペルだ。人間や動物の敵と戦う機会は多く,かけ直しによる時間延長が可能なので,MageのいるグループではこのSheepをうまく利用しながら多数の敵をさばいていく機会が,とても多くなる。ほかのクラスの無力化系アビリティと同様,Sheepもダメージを与えることで解けてしまう点に注意。

 

Teleport&Portal

 移動関連の魔法には,Mage本人のみテレポートするもののほか,パーティで使用可能な主要都市へのポータルを開くものもある。基本的には冒険に出掛けるときではなく,帰るときに使うものなので,「Mageがいないとグループでの移動が超たいへん!」という性質のものでは,もちろんない。

 

Warlock(ウォーロック)

 Warlockは,ローブをまとったMana系キャスターであるという点で一見Mageに似ており,さらにパーティでは「DPS」としての役割を担うところも共通しているが,ダメージを与える方法やプレイスタイルは,まるで異なっている。
 まずWarlockは,デーモンのペットを呼び出して使役できる。召喚できるデーモンは何種類かおり,タンクタイプ,DPSタイプなど,それぞれで性格が異なっている。ペットを前面に立たせて本人は後方から攻撃するというスタイルは,ソロプレイではとくに安定性が高く,WarlockはHunterと並んでソロプレイが得意なクラスでもある。グループにおいてもペットは有用で,グループバフが使えるもの,優秀なダメージソースとなるもの,クラウドコントロールに活用できるものなどがいる。
 Mageの持つスペルは,そのほとんどがDD系なのに対し,WarlockはほとんどDDを持っていない。その代わりにあるのが複数のDoTだ。炎のDoT,腐敗のDoT,そして呪いのDoTを重ねがけすることで,敵のHealthをゆっくりと,しかし大量に削り取っていく。

 また,Mageがダメージを与えることにフォーカスしたストイックなデザインなのに対し,Warlockは便利なユーティリティスペルを多く持っている。Health回復ポーションのように使える石を召喚したり,敵を一時的に逃走させたり,味方に一度だけ生き返る能力を付与できたり,遠く離れた場所にいるグループメンバーを自分のところに召喚したりもできる。さらに敵からHealthやManaを吸い取ったり,自分のHealthをManaにコンバートしたりといったトリッキーな魔法も持っている。

 

Curse

 DoTを含むデバフのスペシャリストであるWarlockは,敵に強烈な呪いをかけられる。「Curse」(カース)には,強力なDoT効果を持つもの,相手の攻撃力を激減させるもの,レジストを大幅に下げるものなどが存在する。Curseは詠唱時間も0と強力だが,重ねがけはできず,また一つのCurseは一体の対象にしかかけられない。二体の敵にそれぞれ別のCurseをかけるようなことは可能だ。この仕組みのため,複数の敵と戦う場合,どの敵にどのCurseをかけるのか,Warlockには戦術的に考える必要が生じている。

 

Soul Shard

 Warlockの使ういくつかの魔法(とくに召喚系)は,触媒として「Soul Shard」(ソウル シャード)を必要とする。なのでWarlockのバックパックの一部には,いつもSoul Shardが詰まっている。Soul Shardは死んでゆく敵に対して,魂を抜き取る魔法を使うことで得られる。意識していくつかキープしていないと,Soul Shardはすぐに底を突いてしまうので注意が必要だ。

 

Warlock Pets

・Imp

 キャスター型のペットで,遠距離から炎の魔法を撃って敵を攻撃する。メンバー全員のStamina(つまりはHealth)を増加するグループバフが使えるほか,敵から攻撃を受けている味方メンバーに自動でダメージシールドを施してくれるので,グループとの相性が良い。さらに非戦闘時には,魔法で姿を消してからついてくるので,Addが怖いインスタンスダンジョンではとても使いやすい。

 

・Voidwalker

 タンク型のペット。Healthが多いことに加えて,シングルとAoEの二つのタウントアビリティを持っているので,敵をキープさせるのに最適。減ってしまったHealthを戦闘後に自分で回復させる能力もある。自身が後衛であるWarlockにとってはソロプレイでとても使いやすいペット。グループ構成によっては「オフタンク」として働かせることで,ダンジョンでの戦闘をより安定したものにできる。

 

・Succubus

 メレーDPS型。高い直接攻撃力と近距離用のDDを持ち,敵にダメージを与える能力に秀でている。うっかり敵のターゲットとなってしまうのを防ぐ魔法(スレットリディース)を使用可能。さらにSuccubusは,敵を魅了して一定時間無力化できるクラウドコントロールスペルも持っている。WoWのペットのAIはとても賢く,SuccubusはAddしてきた敵を自動的に無力化しようと試みる。

 

・Felhound

 アンチキャスター型という,変わった特性を持つペット。敵にかかっているバフおよび味方にかけられたデバフを解除して,そのエネルギーを自分のHealthに変換できる。その様子はまるで魔力を食べているかのようだ。また,対象の敵がスペルを唱え始めたら,それをキャンセルして,さらにしばらくその魔法を使えなくさせるという能力も持っている。魔法使いタイプの敵の相手をさせると,Voidwalker以上にうまくタンクして,場合によってはそのまま倒してしまうこともある。

 

 

Priest(プリースト)

 Priestは,自分やグループメンバーのHealthを回復するのが得意なクラスである。通常のヒールに加えて,キャストの速いヒール,グループヒール,HoTなどさまざまな回復魔法が使用可能。インスタントキャストのダメージ吸収シールド,ゲーム中で最も強力なStamina(つまりはHealth)バフなども使って,グループメンバーのHealthをキープする。グループを組むときには,ほとんどの場合「ヒーラー」としての活躍が期待される。

 加えてWoWのPriestは,意外にも,スペルによる攻撃力が高いクラスでもある。「PvPで最も強いのは,DPS能力を強化したPriestだ」などと言われることもあるくらいだ。ソロプレイ時には,この高い攻撃力を使って敵を撃破していく。グループの中でプライマリヒーラーとして動く場合は,ヒール用のManaをキープしておくため,また敵の攻撃目標となるのを避けるために,攻撃魔法の使用は控えることになるが,例えばPriestが二人いるような状況では,一方がヒールを担当して,もう一方が「DPS」として活躍することは珍しくない。
 ヒールとダメージ魔法以外にも,Priestが使用可能なスペルは数多い。非常に強力なインスタントキャストのAoE「Fear」や,アンデッドの動きを一定時間完全に封じる「Shackle Undead」魔法,ヒューマノイド系の敵の身体を一定時間完全に乗っ取る「Mind Control」など,クラウドコントロールのスペルも持っている。対象のManaを奪い,そのショックでHealthまで減少させるマナバーンは,キャスター相手の遭遇戦PvPではクリティカルな効果を発揮する。さらに,すべてのクラスの中でPriestだけ,「Racial Spell」(種族限定の魔法)が存在する。
 ファンタジーRPGに中には,「クレリック(プリースト)は重い鎧を装備できる」ものもあるが,WoWのPriestは最も防御力の低い布系の装備しか身に着けられない。そのため,外見はローブをまとったMana系キャスターと似たものになる。

 

アンデッド系の敵を無力化する魔法「Shackle Undead」 複数の敵を一瞬で逃走状態にできる「Psychic Scream」 「Mind Control」で敵を操り,同士討ちをさせるPriest

 

Racial Spell

 基本的にクラス用のスペル/アビリティの中に,種族によって使えたり使えなかったりというものはないが,Priestだけは例外だ。Priestになれる種族それぞれに,その種族限定のPriestスペルが二つずつ用意されている。D&Dのクレリックは選択した神格に応じて,特別な領域呪文をボーナスとして得られるが,WoWのRacial Spellはそれにインスパイアされたもののようにも見える。クラシックゲームに対する作り手のリスペクトが,垣間見られるようで興味深い。

 

Druid(ドルイド)

 WoWのDruidの持つヒーリング能力は,Priestのそれと比べてひけをとらない。通常のヒール,HoT,ヒール&HoTの複合スペル,AoEHoTなどを組み合わせて,グループのHealthを一人で十分に守りきれるDruidは,しばしば「ヒーラー」としてグループに参加することになる。もちろんヒール関連だけでなく,バフデバフDDDoTダメージシールドルートといった,それ以外の魔法も所持している。
 プライマリヒーラーとしての性能と並んで,Druidを特徴付けている能力が「Shapeshift」(変身)だ。ほかのMMORPGにも,姿を動物に変えられる能力を持つクラスは存在する。しかし大抵は,攻撃力が少し上がったり,足がちょっと速くなったりするくらいだろう。だがWoWのDruidの変身による能力変化は,その程度のものではない。Shapeshiftは,そのキャラクターのグループにおける役割をガラリと変更してしまう。違う戦闘システムを持つ,まったく違う性質のキャラクターへの変身といっていい。

 

Shapeshift

・Bear form

 クマへの変身。クマへと変身したDruidは,魔法を唱えられなくなり,直接攻撃力がやや上がり,Healthの量と防御力が大幅に増える。いままでManaバーが表示されていたところには,新たに「Rage」バーが現れ,アクションバーはクマ専用のRage消費タイプのアビリティが並ぶものに切り替わって,Druidは完全なWarriorタイプのキャラクターへと変貌する。Rageを得る仕組みはWarriorのものと同じ。クマ用アビリティにはタウントをはじめ,Warriorのアビリティとかなり似たものが用意されているが,ちゃんとクマらしいものにアレンジが施されている。この形態に変身したDruidは,完全な「タンク」型であり,グループで求められるタンクの役割を十分に果たせる。メインタンクとしてグループに迎え入れられることもあるほどだ。

 

・Cat form

 ネコ科の猛獣への変身。ネコへと変身したDruidは,魔法を唱えられなくなる代わりに直接攻撃力が大きく上がり,ステルス状態にもなれる。今までManaバーが表示されていたところには,新たに「Energy」バーが現れ,アクションバーはネコ専用のEnergy消費タイプのアビリティが並ぶものに切り替わって,Druidは完全なRogueタイプのキャラクターへと姿を変える。Energyまわりのシステムは,Rogueと同じ。ネコ用アビリティには直接攻撃のダメージを上昇させるRogueのアビリティと,かなり似たものが用意されているが,ちゃんとネコ科の猛獣らしいものにアレンジが施されている。さらにネコにはRogueの「Combo Point & Finishing Move」のシステムも実装されており,これを使って,さらなるダメージアップを狙える。この形態に変身したDruidは,完全な「DPS」型であり,グループで求められるDPSとしての役割を十分に果たせる。

 つまり,Druidは変身していないときは「ヒーラー」としての活躍が,Bear formに変身したときには「タンク」としての活躍が,Cat formをとったときには「DPS」としての活躍が可能になるという,驚くほどフレキシビリティの高いクラスである。グループで必要とされる三つの基本役割をすべて楽しめて,さらにWarriorのRageシステム,RogueのEnergyシステム,Manaキャスターとしての魔法のシステムすべてを1キャラクターで体験できるDruidは,おいしいクラスだといえるかもしれない。

 

 

タイトル World of Warcraft
開発元 Blizzard Entertainment 発売元 Vivendi Games
発売日 2004/11/23 価格 49.99ドル
 
動作環境 OS:Windows 2000/XP(+DirectX 9.0c以上),CPU:Pentium III/800MHz以上,メインメモリ:512MB以上,グラフィックスチップ:GeForce 2以上[GeForce FX 5700以上推奨],グラフィックスメモリ:32MB以上[64MB以上推奨]

(C)2005 Blizzard Entertainment. All rights reserved.