― 特集 ―

PCゲーム新作ガイド 2005

 

 

〜ゲームシステムにスパイスを利かせた大作が粒揃い〜

 2004年のMMORPGは,アメリカでは「EverQuest II」と「World of Warcraft」の双璧が続いてリリースされ,どちらも堅調な滑り出しを見せている。おそらく,この人気は2005年も持続するはずだ。この流れに対抗してか,今年はネームバリューが高く,それでいてかなりスパイスを利かせたMMORPGが用意されている。


Auto Assault

開発元:NetDevil
発売元(米) / リリース時期:NC Soft / 今夏
発売元(日本):未定

 MMOでは珍しく,RPG以外のジャンルで勝負をかけているのが,NC Soft社がアメリカで開発中の「Auto Assault」である。このゲームの基本は車を使ったプレイヤー対プレイヤーの戦闘で,稼いだ資金でマイカーを改造して強化し,また戦いを続けていく。
 プレイヤーキャラクターの種族には,ヒューマンのほかミュータントやバイオメックと呼ばれるアンドロイドなどがあり,またクラスも用意されている。舞台は荒廃した未来世界らしく,映画「マッドマックス」のような世界観だと考えられる。
 Auto Assaultで最も興味深いのは,敵の拠点や街のビルなど破壊できるオブジェクトが多く,一度破壊されるとプレイヤーキャラクターが修理するまで壊れたままの世界になるという点だ。城を防御するギルドウォーはほかのMMORPGにも増えてきたが,本作では敵の基地を徹底的に破壊して,しばらく廃墟にしてしまうこともできるのである。

 


Imperator

開発元:Mythic Entertainment
発売元(米) / リリース時期:Mythic Entertainment / 年内
発売元(日本):未定

 ローマ帝国が世界征服に成功し,近未来まで2000年以上の歴史を築き上げたという仮想世界を舞台にした,一風変わったMMORPG「Imperator」は,「Dark Age of Camelot」のMythic Entertainment社の次期公開作。
 この世界ではすでに宇宙開拓も行われており,月には二つのスペースコロニーが建設され,一見ローマ風の建築様式を残しながらもハイテクな機器で溢れているという設定だ。
 もちろんImperatorにはさまざまなファクションが存在し,ドイツ系,アジア系,アフリカ系,北アメリカインディアン系などに分かれて独自の文化を形成している。マヤに至っては宗教的エッセンスを成熟させながら高度文明化し,ローマとの対立から宇宙へ飛び立っていったという奇妙な背景もある。そのマヤ文明が,ゲーム中では宿敵としてプレイヤー達の存在を脅かすのである。プレイヤー同士の戦闘は考慮されておらず,コロシアムでの腕比べなどに留まりそうだ。

 


The Matrix Online

開発元:Monolith Productions
発売元(米) / リリース時期:セガ オブ アメリカ / 今春
発売元(日本):未定

 βテストの延長によりリリースは持ち越されたが,マーシャルアーツを基本としたゲームスタイルが期待される「The Matrix Online」は,映画シリーズのその後の世界を描いた"真の続編"とも呼べる設定になっている。
 ジオン,マシーン,エクザイルの3陣営が,それぞれの目的を持ってマトリックス内部で戦い合うという内容だが,誰を信じるのかはプレイヤー次第。つまるところは,自由と未来の獲得はプレイヤーの意思に委ねられているというわけだ。
 シティと呼ばれるゲーム空間は,さらに四つの区域に分かれており,ビル内外でクエストをこなし,襲いかかってくるNPCと対峙し,ときには敵対する勢力との戦争を楽しむことになる。映画に合わせて,マトリックスの世界の中では青色はまったく使用されていないなど,細かいところでもファンを納得させる内容になっているようだ。
 ストーリーが重要視されており,毎月,映画に登場した俳優が出演するビデオクリップが配信される予定。

 


Middle-Earth Online

開発元:Turbine Entertainment
発売元(米) / リリース時期:Vivendi Universal Games / 今夏
発売元(日本):未定

 小説「指輪物語」(ロード・オブ・ザ・リング)をベースとした「Middle-Earth Online」は,2005年内リリースが予定されているMMORPGの中では,比較的オーソドックスな形式の作品になりそうだ。映画ではなくトールキンの原作小説をライセンスしており,その契約上,主要な登場人物は一切登場しない。プレイヤーはフロド達がリングクエストに出かけている間の留守番役として,モリアから西の地方で荒れ狂うオーク達と戦うのだ。
 選択できるキャラクターはヒューマン,ホビット,エルフ,ドワーフの4種類で,ヒューマンならソルジャーとセージといった具合に,二つずつクラスが用意される。少しユニークなのは,プレイする過程でチャンピオン(光の軍勢側)かマーセネリー(闇の軍勢側)かのサブクラスを選択し,それによってクエストや使用アイテムが変化する点。具体的にどのような違いが出てくるのか,楽しみだ。
 バトルシステムは,自動制御を嫌う開発チームの方針で,「Asheron's Call」に似たキーやアイコンで動作を選ぶような形式になるようだ。また,拡張パックなどで,モリア以外の地域でも遊べるようになるに違いない。

 


Tabula Rasa

開発元:Destination Games
発売元(米) / リリース時期:NC Soft / 9月
発売元(日本):未定

 さすが"ウルティマシリーズ"を生んだリチャード・ギャリオット(Richard Garriott)氏の最新作だけあり,「Tabula Rasa」は一味違う異色のMMORPG。大人数が同一世界上でプレイするMMOゲームでありながら,自分がヒーローであるという感覚を得られるように,シングルプレイヤー的なゲームシステムや演出が満載されている。
 この世界のキャラクター達は時空旅行の技術を獲得しており,チャットやアイテム売買も楽しめるサンクチュアリと呼ばれるハブから,瞬時に異なる世界へと旅立てる。サンクチュアリの周囲には,プレイヤー個人に与えられた浮遊島が文字通り浮かんでおり,そこには家を建てられる。戦闘では,攻撃を繰り返すことで"気"(Chi)と呼ばれるパラメータが満タンになれば,特殊ムーブを繰り出せるという。さらには,ボイスチャットシステムも搭載されているなど仲間と連れ立ってのクエストも楽しそうだ。ロード・ブリティッシュの復活となるだろうか?

 


 今回は筆者がアメリカ在住ということもあり,情報に乏しかったため取り上げられなかったが,4Gamerで何度も紹介している「Granado Espada」や「ヨーグルティング」など,韓国産ゲームにも気になるタイトルが多い。
 また日本でも,「ファンタジーアース ザ リング オブ ドミニオン」「UniversalCentury.net GUNDAM ONLINE」など注目作がいくつかあり,日本人ゲーマーとしては悩み多き年となりそうだ。

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