― 特集 ―

PCゲーム新作ガイド 2005

 

 

〜名作の続編が次々に登場し,久しぶりに大漁の予感!?〜

 2004年のRPGシーンはお世辞にも華やかとはいえず,思い出そうとしても,出てくるのは2003年末に欧米でリリースされた「Star Wars Knights of the Old Republic」や「Sacred」ばかり。そんな中で,「Half-Life 2」のSourceエンジンで作られた「Vampire the Masquerade:Bloodline」は,大いに気を吐いていたといえるだろう。
 2005年は,少しは面白くなりそうだ。


The Bard's Tale

開発元:inXile Entertainment
発売元(米) / リリース時期:Vivendi Universal Games / 年内
発売元(日本):未定

 '90年代以降のRPGに欠けているもの,それは,プレイヤーをクスっと笑わせてくれるようなユーモアである。「The Bard's Tale」は,元々1987年にInterplay社からリリースされたRPGで,主人公がバード(吟遊詩人)という変り種であることに加え,各所に盛り込まれたユーモアのセンスで人気を得た。そのゲームの開発者でありInterplayの創設者であったブライアン・ファーゴ(Brian Fargo)氏が今回も開発を担当しているため,本作は1987年作の"精神的後継者"といえる。
 時にはゲームのナレーターにさえ議論を吹っかけるほどの皮肉屋,金と女性にしか興味のない主人公の吟遊詩人が,世界に巻き起こる奇々怪々な事件に巻き込まれていくという本作。複数のクリーチャーを召喚して,40時間ほどのシングルプレイヤー専用の冒険を楽しめる。
 Snowblind Studios社がPlayStation 2用ソフト「Champions of Norrath」のために開発したゲームエンジンを使用している。

 


Dungeon Siege 2

開発元:Gas Powered Games
発売元(米) / リリース時期:Microsoft / 年内
発売元(日本):未定

 前作の主人公達の活躍によってアランナの世界は平安を取り戻したかのように見えたが,やがてヴァルディスという魔人の策略によって内乱が起こり,再び混沌とした時代が訪れる。そんな世界を描いた「Dungeon Siege 2」で,プレイヤーは二つの勢力に挟まれながらも,強化されたクエストをこなしてストーリーを進めていくことになる。
 本作では,プレイヤーはヒューマン,エルフ,ドライアード,ハーフジャイアントの四つの人種からキャラクターを選択できる。また,スキルツリーでより細かく戦闘や魔法の技術を伸ばしていけるようになり,またパワーズと呼ばれる特殊能力も発動できるようになった。
 魔法効果も洗練されて美しくなっており,家屋を含めて,破壊されたり燃えたりするオブジェクトも大幅に増えたようだ。敵AIも作り直され,グループで襲ってきたり,遠距離攻撃系の味方キャラクターを真っ先に狙ったりするようだ。  マルチプレイにも,シングルプレイで育てたパーティをそのまま持ち込めるという。

 


The Elder Scroll IV:Oblivion

開発元:Bethesda Softworks
発売元(米) / リリース時期:Bethesda Softworks / 年内
発売元(日本):未定

 シリーズ第4作の「The Elder Scroll IV:Oblivion」は,自分のペースでプレイできるという伝統の仕様はそのままに,同じ場所で同じクエストをリピートしている感覚にならないように心がけて制作されている。
 王がいなくなったタムリエルの世界で,隠遁している跡継ぎを捜して旅するのがメインストーリー。毎度のことながら,途中で出くわすギルドや聖会などさまざまな勢力には,それぞれの背景やストーリーが用意されている。
 Oblivionは,すでに2年半以上にわたって開発されていて,洞窟の湿り具合から金属の照り,木漏れ日まで美しい情景が広がっている。また本作では新しいAIシステムが用意され,それぞれのNPCは朝起きてから夜寝るまでの生活を営んでいる。機嫌が悪ければプレイヤーキャラクターと会話しないかもしれないし,雨が降ってくると家に駆け戻るといった具合だ。ボイスや表情のアニメーションもフィーチャーされている。

 


Freedom Force vs. The Third Reich

開発元:Irrational Games
発売元(米) / リリース時期:Vivendi Universal Games / 3月
発売元(日本):未定

 欧米で高く評価された,ヒーローを操るRPG「Freedom Force」の続編が登場。ナチスと悪の組織が手を結んでアメリカ本土に上陸してしまい,メンターやエル・ディアブロなど前作に登場したヒーローに加え,数人の新キャラクターが時空を超えて戦うという内容だ。
 カラフルなグラフィックスやセリフの吹き出し,そして戦闘の効果音を文字で表現するアメコミ的な作風がユニーク。インタフェースは基本的に前作のままだが,戦闘は半リアルタイム制(Spaceバーでポーズできる)になったため,タクティカルな部分は薄れてアクション性が強調されているようだ。また,それぞれのヒーローにデフォルトの攻撃が加わったため,特定のキャラクターしか使わなかったという前作の問題点が改善されている。本作ではより多くのオブジェクトを破壊できるようになったが,そのとき市民に危害を加えると,特殊パワーを買うためのポイントが減ってしまう。  なお,マルチプレイヤーモードも予定されている。

 


Star Wars Knights of the Old Republic II:The Sith Lords

開発元:Obsidian Entertainment
発売元(米) / リリース時期:LucasArts Entertainment / 2月
発売元(日本):未定

 シリーズ第2弾「Star Wars Knights of the Old Republic II:The Sith Lords」は,2003年にリリースされて人気となった前作の5年後の世界を描く。シスとの戦いでジェダイが壊滅状態となった銀河で,3人の新たなるシス・ロードがジェダイの生き残りであるプレイヤーキャラクターを追跡してくるというストーリーだ。
 ゲームの開始時点から主人公はジェダイの騎士だが,負傷したためにジェダイパワーのほとんどが失われた状態であるという。もちろん,その後ダークかライトかの進路を決めるのは,プレイヤーの選択次第である。
 本作では,30種類のフォースパワーと30種類程度のフィート(技能)を習得でき,ボバ・フェットが使用していたようなロケットランチャーなど新種の武器も登場する。前作では最大で3人だったパーティも,今作からは10人までと大規模になり,またオリジナルキャラクターも増えている。なお今作では,テロスやペガサスなど,珍しい七つほどの惑星が舞台となるようだ。

 


 シングルプレイヤー専用RPGが全滅状態にあった数年前とは違い,大規模で精巧なソフトがポツポツと発表されるようになったのはありがたい。その立役者ともいえるBioWare社は,現在「Dragon Age」という独自の世界感をもつRPGを制作中だ。またBethesda Softworks社は「Fallout 3」の版権を手に入れており,そして「World of Warcraft」の開発が一息ついたBlizzard Entertainment社は,North支部(Diabloの開発部門)に人材を集めているという情報もある。

All rights reserved to the appropriate holders. Otherwise noticed.