― 特集 ―

PCゲーム新作ガイド 2005

 

 

〜自分のペースでゲームの世界観を満喫したいゲーマーへ!〜

 もはやPCゲーム市場では地味なジャンルになってしまったが,ハードウェアの向上に伴って3D化し,最近はアクション性を高めた作品が数多くリリースされている。2004年も,「Thief:Deadly Shadow」「Prince of Percia:Warrior Within」などのアクションアドベンチャーが人気を博した。その傾向に変化はないが,ポイント&クリックによる伝統的なアドベンチャーも忘れられているわけではない。


Call of Cthulhu:
Dark Corners of the Earth

開発元:Headfirst Productions
発売元(欧) / リリース時期:Bethesda Softworks / 第1四半期
発売元(日本):未定

 一人称カメラ視点で繰り広げられる,H.P.ラヴクラフトの著作をゲーム化したアドベンチャーゲーム。1920年代,ニューイングランド地方にある孤島で失踪した店主を捜すべく調査に来た私立探偵ジャック・ウォルターが,奇妙でグロテスクな事件へと巻き込まれていく。
 シューティングゲームの要素があるが,正面から奇怪な生物と戦うパワーは主人公にはなく,周囲の状況やオブジェクトをうまく利用していかなければならない。実際に戦闘状態になったり,死体や生け贄の跡を見たときなどは"正気レベル"が極度に低下し,めまいがしたり(画面がぶれる)耳鳴りしたりしてしまうのだ。
 本作には,ヘルスメーターの類がまったく存在しない。ヘルスゲージの低下は,画面上につく血しぶき(メガネをかけているのだろう)で判断しなければならないし,出血は持続するため,要所に置かれた救急道具で治療しながら進んでいく必要がある。

 


Dreamfall:
The Longest Journey

開発元:Fun Com
発売元(欧) / リリース時期:Fun Com / 8月
発売元(日本):未定

 タイトル通り長い長い物語で,その大作感が人気となった「The Longest Journey」の続編。本作の主人公は,人生の目的を失って大学を中退したばかりのゾーイ・カスティロ。やがて夢の交差で中世都市のアルカディアに旅することとなり,世界の破壊を阻止するために動き出すのである。
 「Dreamfall:The Longest Journey」では,前作の主人公だったエイプリルと,アルカディアで無法者として生きるキアンという二人の主要キャラクターも登場し,プレイヤーがそれぞれのキャラクターを操作してゲームを進めていく局面もあるようだ。エイプリルがどのようにゲームに関ってくるのかは未発表のままだが,三つめの世界として登場する"ウィンター"という荒涼とした雪の世界と関係があるのかもしれない。
 本作は,一新されたゲームエンジンにより完全3D化されている。アクションアドベンチャーとしての要素も高くなり,パズルや会話に加えて戦闘場面も増えているようだ。

 


Grand Theft Auto:San Andreas

開発元:Rockstar North
発売元(欧) / リリース時期:Rockstar Games / 6月
発売元(日本):未定

 「Grand Theft Auto:San Andreas」は,PlayStation 2版が2004年末に発売され,同シリーズの名に恥じないヒット作となった。本作では,舞台を'90年代の西海岸に移し,家族や旧友のトラブルを聞きつけて故郷のロスサントスに戻ってきたカール・ジョンソンが主人公となる。
 厳密にはアドベンチャーゲームではないが,GTAシリーズのトレードマークでもある自由度の高さに加え,さらに今回はメインストーリーにさまざまなサブストーリーが絡み合って,一つの大きな物語を作っている。ロサンゼルスやサンフランシスコまでを模した広大な地域を描いており,マップの広さは前作の実に6倍だとか。
 声優としてサミュエル・L・ジャクソンらが参加しているほか,スヌープドッグやガンズ・アンド・ローゼズといった,'90年代に花開いたミュージシャンらが曲を提供している豪華さもウリだ。もちろんローライダーからマウンテンバイクまで,乗り物や武器も一新されている。

 


The Moment of Silence

開発元:Digital Jesters
発売元(欧) / リリース時期:The Adventure Company / 第1四半期
発売元(日本):未定

 「The Moment of Silence」は,2044年のニューヨークを舞台にした物語が展開する,美しい3D画像とポイント&クリックで楽しめる正統派アドベンチャーゲームである。
 広告代理店の幹部ピーター・ライトは,政府の依頼で言論の自由に関するキャンペーンを担当していたが,ある夜彼のアパートにSWATチームが乗り込み,隣人の男を連れ去ってしまう。その事件の謎を探っているうちに,彼自身も大きな陰謀に巻き込まれていくというストーリーだ。
 今から40年後の世界とあって,見覚えのある場所と,様子がまったく変わって近代化した場所が混在して描かれており,ゲーム自体はパズルを解いたりNPCとの選択方式の会話をしたりして進めていく。35人程度のキャラクター達は顔の表情アニメーションがリアルタイムで生成され,リップシンクにより現実味のあるインタラクションを楽しめる。カットシーンは30分程度用意されており,またアクションも十分に楽しめそうだ。

 


Myst V:End of Ages

開発元:Cyan Worlds
発売元(米) / リリース時期:Ubisoft / 今秋
発売元(日本):未定

 '90年代半ばに出現したCD-ROMの大容量を武器に,世界的ヒットとなったグラフィカルアドベンチャーの名作も,ついに最終章を迎えることになった。ランド・ミラー(Rand Miller)氏率いるCyan Worlds社も,「Myst V:End of Ages」をターニングポイントと捉えているようで,一生忘れられないような物語になるとコメントしている。
 ストーリーを重視するシリーズのため,詳しい内容は実際にプレイするまでは分かりそうにないが,本作の物語は第1作が終了した直後から始まり,失われた王国ディーニ(D'ni)を復興するために,プレイヤーはかなり知的なパズルを解き明かしながらゲームを進めていくことになる。シリーズ各タイトルで謎のまま語られなかったことなども,すべて結末で明かされるという。
 グラフィックスエンジンが一新されているほか,インタフェースなども大きく手を加えられて斬新さも演出している。

 


 The Adventure Companyの登場で,これまでなら海外に輸出されることもなかったようなヨーロッパ産のアドベンチャーゲームも,スポットライトを浴び始めている。今回取り上げたのは大作ばかりだが,まだ1〜2年は,大小問わずさまざまなアドベンチャーゲームが登場してくるのではないだろうか。

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