― 特集 ―

PCゲーム新作ガイド 2005

 

 

〜対「Medal of Honor」系ソフトが狼煙(のろし)を上げる!〜

「Medal of Honor」「Call of Duty」,そして「Men of Valor」と,ドラマチックに演出されたミリタリー系のタクティカルアクションゲームは,2004年のゲームシーンを彩った。2005年は,新旧織り交ぜたさまざまな作品が登場する予定で,相変わらずの激戦区となりそうな予感がする。


Battlefield 2

開発元:Digital Illusions C.E.
発売元(欧) / リリース時期:Electronic Arts / 2005年第2四半期
発売元(日本) / リリース時期:エレクトロニック・アーツ / 2005年春

 戦場を一気に近未来の中東テロ戦争にまで進めた「Battlefield 2」では,米軍のほかにも中国軍や中東連合軍でもプレイ可能。物理効果に力を入れたゲームエンジンもさることながら,ボイスチャットのサポートやプレイヤー数によって自動的に調節されるマップ,さらにはゲームデータをセーブして対戦後に三人称視点で再生視聴できるBattlefield TVなど,新しい要素が盛りだくさんとなっている。独自のラダーシステムも用意され,対戦成績によってメダルを与えられて"昇進"できるのも面白い。
 ハイテク機器が増えるだけに,対戦車兵やメディックといったタイプの歩兵が強化されており,各チームには司令官役のリーダーが必要となる。司令官は,サテライトを駆使して敵の動きを観察しつつ,迅速に仲間のプレイヤーを誘導しなければならないのだ。マルチプレイに100人以上が参加可能ということも話題になったが,最大参加人数64人で最終的な調節が行われているようだ。

 


Brothers in Arms

開発元:Gearbox Software
発売元(米) / リリース時期:Ubisoft / 3月
発売元(日本):未定

 「Brothers in Arms」は,"現実に起こったこと"をできる限り忠実に再現しているという,一風変わったアクションゲームである。オマハ上陸作戦時にドイツ軍の反撃を阻止するために降下した第101空挺師団など,ヨーロッパ戦線で活躍した部隊の兵士達が"実名"で登場し,それぞれのパーソナリティや役割も与えられている。プレイヤーは,マット・ベイカー軍曹(もちろん実在の人物)として,兵士にコマンドを与えながら,それぞれの戦地を(やはり忠実に)再現したマップ上で戦っていくのだ。
 ゲームは戦況を確認しながら一歩一歩慎重に進めていくといった感じで,プレイヤーの戦略眼が試されることになりそう。かなりの人数に指令しなければならないが,その分コマンド系統は簡単になっており,ダイナミックにゲームを進められる。激しい戦闘に萎縮する兵士も出てくるなど,味方の兵士の特性も理解してプレイしなければならない。Xboxを念頭に置いて開発されているだけあり,かなり低スペックのPCでも十分に楽しめそうだ。

 


Star Wars:Republic Commando

開発元:Raven Software
発売元(米) / リリース時期:LucasArts Entertainment / 3月
発売元(日本) / リリース時期:エレクトロニック・アーツ / 2月17日

 アクションゲーム「Star Wars:Battlefront」は,(エピソードVI以降に登場する)帝国軍の視点で描かれていたため,現行の「スター・ウォーズ」三部作の世界観とはずいぶんと違っていた。しかし,「Star Wars:Republic Commando」は共和国に属するクローントルーパーのコマンドーとしてプレイできるため,映画「エピソードII クローンの攻撃」を観て"クローン戦役"に興味を持った人でも十分に堪能できるだろう。開発を手がけるのは,Quake IVと同じRaven Software社で,すでに開発終盤に入っているという。
 「Halo」のゲームシステムやアクションをヒントにしているため非常に遊びやすくなっており,それでいてチームリーダーとして隊員に指示を出していく面白さも味わえる。16人までの対戦モードが楽しそうだが,シングルプレイヤーモードも満喫できるように,AIやオーディオ面での大幅なチューンナップが行われているようだ。

 


SWAT 4

開発元:Irrational Games
発売元(米) / リリース時期:Vivendi Universal Games / 2005年春
発売元(日本):未定

 開発途中ですべて最初から作り直すなど,すったもんだの末にようやく全貌を現し始めた「SWAT 4」は,なんといってもマルチプレイヤーモードが楽しそうだ。最近のゲームでは珍しい都市空間を主な舞台とし,現在スワットで使用されている銃器のほかにも,催涙ガスやテイザー(スタンガン)などを利用できるのも興味深い。ストーリー性はほとんどなく,ハイリスクな逮捕,対テロ,人質救出,要人護送といった16種類のミッションを着実にこなしていくようだ。
 コマンドは,「Tom Clancy's Rainbow Six 3」のようなダイアルシステムで行われ,右クリックすることで数種類の命令を下すことができる。グラフィックスにはUnreal系統の「Tribes:Vengeance」のエンジンを利用しており,物理エンジンはHavokを採用している。とにかくマップ上にはオブジェクトが多く,ゴミから建築資材,各種商品に至るまで街の雰囲気をうまく表現している。

 


Tom Clancy's Splinter Cell:
Chaos Theory

開発元:Ubisoft Montreal
発売元(米) / リリース時期:Ubisoft / 3月
発売元(日本):未定

 「Tom Clancy's Splinter Cell:Chaos Theory」は,大人気作品へと成長したシリーズの名に恥じない仕上がりになりそうだ。  これまでのように敵の背後に忍び寄って抹殺していくサム・フィッシャーの基本的な行動は変わらないものの,ゲームを進めるうえでいくつかの手段がとれるマルチパス制が採用された。ドアを爆破して進入するとか,ナイフを使わずに敵の首をへし折って即死させるということまで可能になっており,非常時でもサブマシンガンや手榴弾でしっかりと応戦できるようになっている。
 マルチプレイヤーモードでは16人までがプレイできるほか,二人で協力しながらゲームを進めていくCo-opモードも用意されている。グラフィックスは魅力的で,ノーマルマッピングに対応させたキャラクターモデルや水面のテクスチャが緻密だ。
 トム・クランシーシリーズのファンにとっては,「Tom Clancy's Ghost Recon 2」や「Tom Clancy's Rainbow Six:Lockdown」など,目の離せそうにない一年となりそうだ。

 


 まだ情報は入ってきていないが,シリーズ5作めとなる「Tom Clancy's Rainbow Six:Lockdown」は,5月のE3で発表されそうな気配。残念ながら「Operation Flashpoint 2」は2006年の発売が発表されたが,一時代を築き上げている「Medal of Honor」や「Call of Duty」も,いつまでも黙って見ているわけではないだろう。「Joint Operation:Escalation」を出したばかりのNova Logic社の動向も気になるところだ。

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