― 特集 ―

PCゲーム新作ガイド 2005

 

 

〜古参・新参入り乱れ,大規模ながら細かい職人芸も達成させたソフト群〜

 「Warcraft 3」「Age of Mythology」,最近でも「Rome:Total War」「Lord of the Rings:The Battle for Middle-Earth」と,3Dグラフィックスをうまく利用した大作感漂うソフトでひしめいているのがRTSジャンル。このトレンドは,ここしばらく変わりそうにないようだ。


Act of War:Direct Action

開発元:Eugen Systems
発売元(欧):Atari / 3月
発売元(日本):未定

 2004年末に発表されたばかりのタイトルだが,すでにデモもリリースされており,プレイした人も多いだろう。現在リリースされているデモは北アフリカの砂漠地帯が舞台だが,驚異的な描き込みが堪能できる市街地戦でこそ,その真価が問われると思われる。
 デイル・ブラウン氏による同名小説を題材にしたストーリーは,世界経済の掌握を狙う謎の組織がスポンサーとなり,世界各地でテロリストの活動が活発化するという近未来の対テロ戦を描いており,プレイヤーはタロン・タスクフォースという特殊部隊を率いて応戦する。何千何万というユニットを率いるなど大型化する最近のRTSの中で,「コマンドス」や「Splinter Cell」のような,少数精鋭のユニットを率いての緊張感溢れる戦いを楽しめる作品である。
 施設などの建設の必要がないことや,俳優を使ったカットシーンなどで競合との差別化を図っている。

 


Age of Empires III

開発元:Ensemble Studio
発売元(米) / リリース時期:Microsoft / 年内
発売元(日本):未定

 1997年にリリースされて以来,RTSジャンルの一角を担う"Ageシリーズ"の最新作で,新世界(アメリカ大陸)の覇権をかけて争うイギリス,スペイン,そしてフランスの,繁栄と戦争が描かれる。帝国主義が芽生え出す時期であり,マスケット銃から大砲まで,銃器の重要性がクローズアップされそうだ。シングルプレイヤーモードでは,プレイヤーが新しい土地を求めてアメリカ南北大陸を旅するという,開拓者としてのアドベンチャーが描かれることになる。
 「Age of Mythology」の3Dエンジンを大幅に改良して描かれたマップは非常に緻密で,Shader3.0を利用した焼けつくような日差しと濃度のある影のギャップがリアリティを増している。オブジェクトにはある程度の物理効果も適応される見込みで,キャノンで破壊された建物の瓦礫が,その付近に立てこもっていたユニットにダメージを与えるということも想定できるだろう。

 


Black & White 2

開発元:Electronic Arts
発売元(欧) / リリース時期:Electronic Arts / 3月
発売元(日本) / リリース時期:エレクトロニック・アーツ / 年内

 いつものように開発が遅延している,Lionhead Studios社の「Black & White 2」。プレイヤーが育成できるクリーチャーをリーダーにして,部隊を率いて敵地に乗り込むといったように一般的なRTSの作風へ近づけられており,城やユニット製作用の施設の概念導入も含めて,前作と比べかなりゲームの目的が絞られた感がある。その分,奇抜すぎた前作よりも,かなり取っ付きやすくなっているようだ。
 もちろん,プレイヤーがその土地に降り立った神として君臨できる基本的なゲームシステムはそのままで,また調教で性格や行動パターンが変化するクリーチャーも前作通り。草や花で覆われた地形のレンダリング技術やキャラクターのアニメーションが大きく進化しており,地震や火山で地形が変化するし,クリーチャーの毛皮のフサフサ感から表皮に突き立つ矢まで,細かい表現が達成されている。
 なお対戦モードは,リリース後に追加される予定だ。

 


Imperial Glory

開発元:Pyro Studios
発売元(欧) / リリース時期:Eidos Interactive / 3月
発売元(日本):未定

 「Imperial Glory」は,「コマンドス」で一躍有名になったスペインのPyro Studios社による最新作だ。帝国主義が開花した18〜19世紀頃のヨーロッパが描かれており,ナポレオンの登場で絶頂期を迎えたフランスのほかに,イギリス,ロシア,プロシア(プロイセン),オーストリアの計5か国の陣営を選択できる。プレイヤーは,ターンベースによるマネージメントモードとリアルタイムの戦闘モードをこなして,長い戦乱を戦い抜いていく。
 Rome:Total Warのようなゲームシステムだが,近代戦だけあって銃器と隊形が重要視されており,本格的な海戦マップも用意されている。ヨーロッパから北アフリカまで51の地域と31の海域マップが収録されており,内政,外交,軍事などのテクノロジツリーで90種程度の進化を楽しめる。ロゼッタストーンの発見や証券取引の開始などのイベントも発生し,最終的にはヨーロッパ皇帝の座につくことも可能だ。

 


Stronghold 2

開発元:Firefly Studios
発売元(欧) / リリース時期:Global Star Software / 年内
リリース時期:3月
発売元(日本):未定

 2001年に発売され,攻城戦に特化したゲームプレイでカルト的な人気を博した「Stronghold」(邦題 ストロングホールド)の続編。今作では完全3Dグラフィックスとなり,中世の城塞都市の様子がより一層細かく表現されている。また行き交う人々や施設のアニメーションでも,ヨーロッパの開発者らしい描き込み具合が見られる。
 城壁や見張り塔の建設はもちろん,教会,倉庫,鍛冶屋,さらにはパン屋や粉ひき小屋に至るまでを建設して,住民の不満を抑えながら,いずれ来る敵に備えていく。今作からは,都市が巨大化するに従って起こる衛生問題も重要な要素になっており,例えば住民の生活によってゴミが路上に捨てられるようになる。これを放っておけば伝染病が発生してしまうので,清掃者を使って城外のゴミ捨て場に運ばなければならないのだ。
 ほかにも,蜂や晩餐用のガチョウの養殖,ワインやキャンドル生産などの経済サイクルも強化されている。

 


 ひと頃ほど大量のRTSがリリースされることはなくなったものの,「Empire Earth 2」「The Settlers:Heritage of Kings」「Nexus:The Jupiter Incident」など,今回紹介した以外にも期待できそうなゲームは数多い。
 リアルタイムではないが,今回画像を入手できずに紹介を控えた「Civilization IV」は,2005年末のリリースが予定されている超大作の一つである。ヨーロッパの強豪CDV Softwareからは「Cossacks II:Napoleonic Wars」が控えているし,「Hidden Strike II」の制作も発表された。

All rights reserved to the appropriate holders. Otherwise noticed.