パッケージ
ATI Radeon HD 5800公式サイトへ
  • AMD
  • 発表日:2009/09/23
お気に入りタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

最近記事を読んだタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

LINEで4Gamerアカウントを登録
特集記事一覧
注目のレビュー
注目のムービー

メディアパートナー

印刷2009/10/10 10:30

連載

西川善司連載 / 「ATI Radeon HD 5800」徹底分析(1)〜「ゲームが変わる」新世代グラフィックス

西川善司の3Dエクスタシー「ATI Radeon HD 5800」徹底分析(1)〜「ゲームが変わる」新世代グラフィックス
第2回へ

 

image

ATI Radeon HD 5870(左)とATI Radeon HD 5850(右),両リファレンスカードのイメージ

 北米時間2009年9月23日,AMDは新型GPU,「ATI Radeon HD 5000」(以下,HD 5000)ファミリーの上位製品2モデル,「ATI Radeon HD 5870」「ATI Radeon HD 5850」を発表した。
 4Gamerではニュースやレビュー記事などを掲載済みなので,あらためて述べる必要はないかもしれないが,「ATI Radeon HD 5800」(以下,HD 5800)シリーズは,DirectX 11への完全対応を実現したGPUであり,DirectX 11世代のプログラマブルシェーダ仕様5.0(Shader Model 5.0,以下 SM5.0)に対応した,現時点における唯一の製品シリーズとなる。
 今回から3回に分けて,製品発表に先駆け9月上旬に開催された報道関係者向け事前説明会の内容を中心に,HD 5800シリーズのアーキテクチャを,じっくり分析していきたい。

 

ATI Radeon HD 5870レビュー記事
ATI Radeon HD 5850レビュー記事

 

 

ATI Radeon HD 5800シリーズも「スイートスポット戦略」で展開

 

image

2009年春の時点における,AMDのスイートスポット戦略(Sweet Spot Strategy)模式図

 さて,HD 5000ファミリー,そしてHD 5800シリーズは,ATI Radeon HD 4000シリーズから提唱され始めた「スイートスポット戦略」を継承した製品群となっている。
 先に補足説明から入ると,2009年10月時点において,競合のNVIDIAは,新世代GPUを,まずウルトラハイエンドのフラグシップ製品として市場投入し,それから徐々に,ハイエンドやミドルクラス,エントリークラスへと,トップダウン式に製品を展開していく戦略をとっている(※AMDグラフィックス部門の前身,旧ATI Technologiesも,ATI Radeon X1000シリーズまでは,この戦略をとっていた)。

 ウルトラハイエンドのフラグシップ製品は,そのブランドの「高性能」なイメージを確立するのに最適である一方,搭載グラフィックスカードの店頭価格は軽く6万円以上。場合によっては10万円近くなることもあり,購入者は,ハイエンドスペック志向のゲーマーか,ベンチマーカーくらいしか見込めない。しかも,フラグシップ製品とミドルクラス以下の製品ではスペックに大きなギャップがあるため,フラグシップGPUをミドルクラス以下の市場に向けて最適化するのには時間がかかり,出てきた頃には,「やっと下りてきた」イメージが強くなってしまうのだ。

 これに対して,AMDは,ミドルハイクラス〜ハイエンドあたりを「Performance」(パフォーマンス)クラスと定義し,このクラスに,最新世代のGPUシリーズ第1弾を投入することで,コスト(≒店頭価格)を可能な限り低く抑えるとともに,ミドルクラス以下の価格帯へも早いタイミングで落とし込んでいくことにした。この戦略がスイートスポット戦略だ。ある意味,これを「パフォーマンスクラス戦略」と呼んでも間違いではないだろう。
 この戦略だと,理論上,競合のウルトラハイエンド製品には対抗できないことになるが,そこは,パフォーマンスクラスのマルチGPU構成で対抗する。

 

image

Jon Peddie氏(Jon Peddie Research代表)

image

Jon Perrie Researchによる,AMDとNVIDIA,2社のASP推移グラフ。縦軸の高いほうが「利幅が大きく,儲かっている」ことを示している

 AMDは事前説明会で,外部調査期間「Jon Peddie Research」のJon Peddie氏を登壇させ,氏のデータを引用する形で,この“パフォーマンスクラス戦略”が功を奏していることを紹介していた。
 AMDとNVIDIAで,全グラフィックス製品のASP(Average Sales Price,平均販売価格)推移を見たこのデータによると,2008年の第4四半期を堺に,AMDとNVIDIAの立場が逆転していると分かる。2008年第4四半期といえば,「ATI Radeon HD 4800」(以下,HD 4800)シリーズが登場した次の四半期であり,ハイコストパフォーマンスな「ATI Radeon HD 4670」が投入された四半期でもある。

 一応NVIDIAのフォローもしておくと,NVIDIAが大きなダイサイズで,コストのかかるウルトラハイエンドのGPUを開発し続けているのにはワケがある。GPGPU製品として,HPC(High Performance Computing)分野に,「Tesla」ブランドで,精力的に販売するためだ。
 NVIDIAのウルトラハイエンドGPUは,GeForceブランドの製品としては高価だが,HPC用途のGPGPUとしては,破格に安価な製品として評価されており,しかも,その“破格に安価”なレベルでも,NVIDIAにとっては,同じGPUをGeForceとして売るときの10倍近い価格で販売できる旨さがある。今やNVIDIAの最新世代GPUというのは,「3Dグラフィックスも高速に処理できるHPCプロセッサ」というコンセプトになりつつあるのだ。

 話を戻そう。
 AMDは,今回のHD 5800シリーズ発表に当たって,開発コードネーム「Evergreen」(エバーグリーン)とされてきたHD 5000ファミリー全体を通じ,スイートスポット戦略を継続する中短期ロードマップを示している。

 

image

開発コードネーム「Evergreen」とされてきたHD 5000シリーズのロードマップ。このような「中短期ロードマップを,何のためらいもなく示していく」スタイルは,AMDとATI Technologiesが一つになってから始まったことだ。私見だが,「スイートスポット戦略」(≒パフォーマンスクラス戦略)というのは,最近のAMDがCPU製品で採用する戦略とよく似ていると思う

 

 Evergreen(常緑樹)ファミリーということもあり,製品シリーズのコードネームは,軒並み常緑樹。今回発表されたHD 5800シリーズの開発コードネームは「Cypress」(サイプレス)だが,これは建築材として知られるイトスギ(糸杉)から来ている。

 

image

カナダツガの写真。最上位モデルが「Canadian」Hemlockというあたりに,“ATI魂”を感じる(Cathedral State Park West Virginia Eastern Hemlock.jpg: Licenced under the Creative Commons.

 CypressコアのGPUをデュアルGPUで動作させるソリューションは「Hemlock」(ヘムロック)。これはカナダツガ(Canadian Hemlock)という,マツ科の常緑樹から取られたコードネームだが,これまでの命名規則からいけば,製品には「X2」の称号が与えられるはずだ。
 AMD関係者によると,Hemlockでは,デュアルGPU動作時に,ハードウェアレベルで2基のGPUが協調動作する「リアル並列駆動モード」を備えているとのこと。これまでの並列駆動モードは,2基のGPUを交互に動作させるAltanative Renderingモードでないと最大パフォーマンスを得られにくかったが,Hemlockでは,2基のGPUが,あたかも1基のGPUとして動作できる,特別なモードを備えているらしい。2枚のグラフィックスカードを同時に動作させる,ATI CrossFireXよりも,一段高いレベルのデュアルGPU動作が実現されるとのことなので,これには期待したいところ。

 ミドルクラス市場向けに,年内の登場が予告されているのは,開発コードネーム「Juniper」(ジュニパー)。ヒノキ科の常緑樹ネズ(西洋杜松)から取られた名前だ。これまでの命名法則に従えば,“HD 5600”あるいは“HD 5700”シリーズとなる可能性が高い。
 さらに,2010年の年明け早々には,開発コードネーム「Redwood」(レッドウッド,セコイアスギの意)と,「Cedar」(シダー,ヒマラヤスギの意)が,HD 5000シリーズのエントリー市場向けモデルとして投入される見込みだ。

 なお,ミドルクラス以下の製品群は,ノートPC用にも同一コアで転用される予定になっている。AMDとしては,向こう半年以内に,すべてのGPUをHD 5800シリーズで置き換える予定のようだ。
 グラフィックス機能統合型チップセットに関してはもう少し時間がかかると思われるが,単体GPU製品は,DirectX 11環境への移行が,相当アグレッシブに進むことになる。

 

 

最上位のATI Radeon HD 5870は1600SPを内蔵 演算性能は驚きの2.72TFLOPSへ

 

 以上を踏まえつつ,まずはHD 5800シリーズの基本スペックを総ざらいしておこう。
 冒頭でお伝えしたとおり,発表時点におけるHD 5800シリーズのラインナップは,HD 5870とHD 5850の2種類となっている。

 

image

HD 5870のGPUパッケージ

 総トランジスタ数は先代「ATI Radeon HD 4800」(以下,HD 4800)シリーズの倍となる,約21億5000万。ついにGPUは,1プロセッサで20億トランジスタの大台に乗ってきたことになる。一方,ダイサイズは334mm2だ。
 「ATI Radeon HD 4770」で初採用となったTSMCの40nmプロセス技術の第2世代を用いて製造され,動作クロックはHD 5870が850MHz,HD 5850が725MHzとなっている。HD 4800シリーズは,65nmプロセス技術をベースとした中間進化世代(ハーフノード)である55nmプロセス技術を採用することもあって動作クロックは高めで,「ATI Radeon HD 4890」だと850MHzに到達していたため,コアクロックという観点からすると,変わり映えはないことになる。

 とはいえ,侮ることなかれ。
 HD 4800シリーズは,「ATI Radeon HD 4850」(以下,HD 4850)で,民生向けGPUとして世界初の1TFLOPS超えを果たしたとして話題を集めた。さらに,シングルGPU仕様の最上位モデルとなる「ATI Radeon HD 4890」(以下,HD 4890)で1.36TFLOPSを実現していたが,HD 5800シリーズ最上位のHD 5870では,HD 4890のちょうど2倍となる,2.72TFLOPSを実現に達しているのだ。これは,汎用シェーダユニットである「Stream Core」(「Stream Processor」ともいう。以下 SP)が,HD 4850とHD 4870,HD 4890の800基から倍増した1600基になっているからにほかならない。
 ちなみに,下位モデルであるHD 5850も,SP数は1440基で,演算性能は2.09TFLOPS。ついに最新GPUの性能競争は2TFLOPS台に突入したということだ。

 

image

HD 5870とHD 4870のスペックを比較した表。詳細は後ほど詳しく見ていくが,HD 5870は,HD 4870をベースとしつつ,規模をほぼ倍化したGPUだといえる

 

 HD 5870とHD 4870を比較すると,HD 5870では,SP数だけでなく,テクスチャユニット,レンダーバックエンド(Render Back-End。ROPユニットともいう)の数も2倍になって,それぞれ80基,32基となった。そのため,「コアクロック×ユニット数」で理論値のパフォーマンスは向上することになり,結果,テクスチャフィルレートや,レンダーバックエンドのピクセルフィルレートは,順当に2倍以上となっている。

 

image
image

HD 5870とHD 5850の主なスペック

 

 搭載するグラフィックスメモリは,HD 5870,HD 5850ともにGDDR5。特筆すべきは,グラフィックスメモリ容量が,HD 5870,HD 5850とも1GBになった点である。
 これは,HD 4800シリーズのリファレンス比で2倍。その理由をハードウェア的な側面から見ると,「グラフィックスメモリに用いられるメモリチップの粒度が増加してしまっている」というのが一番の理由だろうが,ソフトウェア的な視点で見ると,「DirectX 11の仕様により,最大テクスチャ容量が16384×16384テクセルとなった――つまり,実用的な意味合いにおいて,解像度無制限となった――状況に向けた対応」という側面もあると考えられる。また,高解像度の多画面出力,「ATI Eyefinity」(以下,Eyefinity)テクノロジーは,1GBグラフィックスメモリの搭載があってこそ,現実的に使えるものなのだ。

 一方,意外だと思うかもしれないが,HD 5800のグラフィックスメモリバス幅は,HD 4800シリーズと同じ256bitのまま据え置かれている。GDDR5が動作クロックの4倍のデータレートがあるため,「メモリ帯域幅的にはこと足りるはず」という判断があるのだろう。ただ,レンダーバックエンドが前世代比で2倍となっているのに対し,グラフィックスメモリバス帯域幅は30%強ほどしか向上していないので,ピーク性能は,もしかすると,メモリバス帯域幅によって頭打ちとなる可能性がある。

 

image

最大消費電力,そしてアイドル時の消費電力も低い,HD 5800シリーズ

 グラフィックスカードを語るうえで,もはや無視できないファクターとなっている最大消費電力は,HD 5870で188W,HD 5850で151W。HD 4870は160Wだったので,HD 5870で18%程度高い程度に収まり,HD 5850ではむしろ下がっているというのは,高く評価できる部分だ。
 さらに,レンダリングパイプラインが動作していないとき,いわゆるアイドル時に省電力モードへ移行したとき,グラフィックスカード全体の消費電力は,27Wにまで引き下げられる。

 この圧倒的な省電力性を実現できた最大の要因は,第2世代とされるTSMCの40nmプロセス技術にあるが,それ以外にも,アイドル時に,GPUコアやGDDR5メモリを低クロック&低電圧駆動させる工夫を盛り込んだことが,功を奏している。
 スイートスポット戦略における主目標に,「1W当たりのFLOPS性能向上」「1mm2当たりのFLOPS性能向上」というものがあるが,プロセスシュリンクと総合的な省電力最適化により,HD 4800シリーズ比で,2倍近い達成率を実現することになった。

 

image
image

ワット当たり性能,平方mm当たりの性能向上はムーアの法則を上回り(左),1ドル当たりのGFLOPSも歴代最高である(右)と謳われる

 

 

1GPUで最大6画面出力 Eyefinityによる多画面出力の詳細

 

image

HD 5870 Eyefinity6 Editionの予告イメージ

 ところでAMDは,3画面出力に対応した通常版HD 5800シリーズとは別に,1枚のカードで6画面出力に対応した特別版を準備中だ。「Eyefinity6 Edition」という仮称が与えられている特別版は,「近日発売」としかアナウンスされておらず,価格も未定だが,説明会会場で話を聞いたAMD関係者によれば,通常版と,それほど大きな価格差はないとのことだった。

 

image
image

AMDが公開した,HD 5870 Eyefinity6 Editionの実機サンプル(左)。標準でDisplayPort×6をサポートする。右は,AMDの示す6画面ユースケースの一例

 

 最大6画面出力を実現する仕組みはどうなっているのかというと,HD 5800シリーズには,レンダリングパイプラインとは別に,独立した表示用パイプラインが6本ある。そして,これが6基のTMDS(Transition Minimized Differential Signaling)/DP(Display Port)ロジック(≒デジタル表示インタフェース)および2基のDACロジック(≒アナログ表示インタフェース)とクロスバー接続されている。
 各表示パイプラインはRGB各10bit対応で,広色域,あるいはハイダイナミックレンジ表示が可能だ。

 

image

3画面出力対応となる通常版の搭載コネクタバリエーション。DisplayPortを利用しない限りは,2画面までしか出力できない点に注目

image

HD 5870 Eyefinity6 Editionの搭載コネクタバリエーション。こちらも,3画面以上出力する場合には,DisplayPortを利用する必要がある

 ただ,制限もある。D-Sub 15ピンやDVI-I,HDMIを利用するに当たっては,「“当該出力コネクタ専用”のディスプレイ出力タイミングクロックを入力しなければならない」というハードウェア的な制約があるのだが,HD 5800シリーズは,このタイミングクロックジェネレータを2基しか持っていない。よって,これらのインタフェースを使う限りにおいては,従来のATI Radeonと同じく,最大2画面となる。逆にいうと,3画面以上の出力を行いたい場合には,DisplayPortを利用するしかないのだ。ここは重要である。

 具体例に則して述べると,HD 5870リファレンスカードは,Dual-Link対応のDVI-I×2,HDMI×1,DisplayPort×1の合計4コネクタが用意されているが,3画面出力を行う場合には,出力インタフェースに必ずDisplayPortを含めねばならない。このとき,残る一つのコネクタは使えなくなるのかというと,そうではないらしく,「任意の1画面のクローン表示は行える」(AMD関係者)とのことだった。
 なお,DisplayPort×6となるEyefinity6 Editionだと,さすがにそのままでは接続できるディスプレイが限定されすぎてしまうため,6系統中2系統をDVI-D/HDMI/D-Subに変換できるアダプタが付属する予定だという。

 

image

リファレンスカードの出力コネクタコンフィグレーションを図化したもの

image

1カードで6画面出力を行うためには,DisplayPort×6を利用する必要がある

 

 なお,この6本の表示パイプライン機能はHD 5800シリーズコアに内蔵されているので,Eyefinity6 Editionという専用のGPUが用意されているのではなく,HD 5800シリーズすべてが,この出力ポテンシャルを持つことになる。

 マルチディスプレイのモードは,デスクトップを拡張する「Extended」モードと,(先ほどちらりと出てきたが)複製する「Clone」モードという定番の二つのほかに,今回は「Large」モードが新設される。
 Largeモードとは,MatroxのParheliaシリーズに搭載されていたのと同じモードで,一つの巨大な超高解像度デスクトップを仮想的に構築し,これを複数のディスプレイへ割り当てるように出力するモードだ。

 このモードではHD 5800シリーズのGPU,1基あたり最大で8192×8192ドットのデスクトップを定義できるそうで,この巨大なデスクトップから,複数のディスプレイで表示を切り取って割り当てていく。ディスプレイで表示できる解像度の合計よりも,定義した“Largeデスクトップ”の解像度のほうが大きい場合には,当然,未表示領域が生まれることになる。
 ちなみにこのモードだと,Windowsのタスクバーは,複数のディスプレイにまたがって表示されることになる。これはWindowsの使い勝手をユニークなものにしてくれそうだ。

 

image

268Mピクセル環境とは,8192×8192ドットデスクトップ×4を,4枚のカードで実現するという意味もある?

 余談だが,8192×8192ドットのデスクトップを最大4カードで用いると268Mピクセルということになる。Eyefinty発表時にアピールされた「268Mピクセル環境」というのは,これを含意しているのかもしれない。

 さて,Largeモードでは,システムからは1枚の高解像度画面として見えるため,3Dゲームを手軽にマルチディスプレイでプレイするためのソリューションとしても応用できる。

 

image

AMDが示した,多画面の組み合わせ例

 例えば,1920×1080ドットのディスプレイを横に並べた3画面環境を構築したうえで,5760×1080ドット(※5760=1920×3)のLargeモードを定義すれば,3枚のディスプレイに,3画面に分けて5760×1080ドットのデスクトップを表示できることになる。そして,この状態で,ゲームを起動すれば,ゲームプログラム側は「5760×1080ドット解像度を持った1枚のディスプレイが接続されている」と認識するため,ゲーム側のオプションから,5760×1080ドットを選択可能で,とくに何のパッチも当てることなく,3画面でプレイできるようになってしまうのだ。

 

image

Largeモードを活用すれば既存のゲームも簡単に多画面プレイが可能。ディスプレイを置く場所の確保が一番大変?

image

Largeモードで多画面動作ができたと,AMDが確認したゲームタイトルの一覧。有名タイトルならかなり遊べるようだ

 

image

既存のゲームを手軽に多画面プレイが可能なLargeモードの例

 今や1920×1080ドットの液晶ディスプレイは,格安品なら1万5000円程度から手に入る。3画面でも5万円未満だ。さすがに画質面で過度の期待はできないが,多画面の迫力を手軽に楽しむソリューションとしては「アリ」だろう。あるいは,中央のメイン画面を高級機にして,左右のサブ画面を格安品で抑えるという選択なら,画質面でもコスト面でも,満足度の高い環境が構築できるはずだ。
 AMDはEyefinityで「ゲームの遊び方が変わる」というメッセージを強調しているが,コストの妥当性も含め,絵空事ではなく,十分に現実味のある提案だといえる。ハイエンドを志向するPCゲーマーの間では,ちょっとしたブームを引き起こすかもしれない。

 

image
image

「ゲームは変革した」とAMD。Eyefinityの多画面プレイでゲームの楽しみ方も変わるか? ちなみにAMDは,もちろん性能面でもHD 5800シリーズのインパクトを訴えているが,右のスライド,よく見るとチェスの駒の色に毒がある!(笑)

 

 近日掲載予定の第2回では,ATI Radeon HD 5800シリーズの突っ込んだアーキテクチャ解説を始めていきたい。

 

ATI Radeon HD 5800 徹底分析(2)
ATI Radeon HD 5800 徹底分析(3)

 

  • 関連タイトル:

    ATI Radeon HD 5800

  • この記事のURL:
4Gamer.net最新情報
プラットフォーム別新着記事
総合新着記事
企画記事
スペシャルコンテンツ
注目記事ランキング
集計:04月23日〜04月24日