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PCゲーム新作ガイド 2009「今年の注目作64本を一挙に紹介!」
ここで紹介するのは,FPSにせよTPSにせよ,タクティカルにゲームを進めていくタイプのシューターである。コアなPCゲーマーにとっては,「ArmA II」と「OPERATION FLASHPOINT 2: DRAGON RISING」が共にリリースされるのが楽しみなところだろう。全体として戦争を扱ったゲームが多いが,「Aliens: Colonial Marines」や「Section 8」のようなSF系のタイトルにも注目しておきたい。
また今回,情報が少なくて紹介できなかったが,Call of Dutyシリーズの最新作「Call of Duty: Modern Warfare 2」も年内の発売を予定しているらしい。さらに,追加コンテンツとして,「Team Fortress 2 DLC」や「Unreal Tournament 3 DLC」などが,近々配信予定であることを,記憶に留めておこう。
Aliens: Colonial Marines
「Aliens: Colonial Marines」は,映画「エイリアン」をベースにしたゲームだ。これまでもエイリアンシリーズのゲーム化は何度も行われてきたが,本作ではプレイヤーがスクワッドに属する4人のスペースマリーンを交互に操って戦うというシステムになっている。一人一人にコマンドを与えながら展開させていくのは,同じGearboxのBrothers in Armsシリーズなどでおなじみだろう。
Aliensに登場する敵は,当然ながらエイリアンだ。映画でおなじみの“ウォーリアー”から,プレイヤーの行動を監視して仲間を呼ぶ“スカウト”,兵士の顔に貼りついて体内に卵を産みつける“フェイスハガー”,そしてボスキャラとなるであろう“クイーン”など,複数のタイプのエイリアンが登場することになっている。
エイリアンが船内のダクトを伝ってこっそり忍び寄ってきたり,兵士の攻撃を並外れた身体能力でかわしながら接近戦に持ち込んできたりなど,映画っぽい演出が随所に盛り込まれた,緊張感の高い戦闘が楽しめそうだ。
America's Army 3
多くのFPSプレイヤーが,一度ぐらいは聞いたことがあるはずの「America's Army」も,ついに第3世代へと突入する。アメリカ陸軍が新兵をリクルートする目的で制作したFPSシリーズの最新作は,従来と同じく,アメリカ市民であるかどうかに関わらず誰でも無料でダウンロードして楽しめるタイトル。ゲームエンジンとしてUnreal Engine 3.0を使用しており,やや不満のあったグラフィックスも,今回はかなりなものになりそうだ。
ゲームのコンセプトが,「軍隊がどんなものかを知ってもらうための,バーチャル予習」であるため,入隊時にトレーニングがあり,その後の実戦に突入するという二段階になっているのもこれまでどおりだ。
ゲームプレイはかなりリアルで,例えば必要なトレーニングをすることなく特殊なミッションを始めても,なかなか上手くいかなかったり,装備を持ちすぎると重くて動作が遅くなったりする。プレイヤー専用キャラクターを登録し,ミッションをクリアすることで昇格していくという,最近流行りのアチーブメント要素も用意されている。
ArmA II
チェコのプラハに拠点を置くデベロッパ,Bohemia Interactiveは,2001年に「オペレーション・フラッシュポイント」を制作し,世界中のファンに強い存在感を示した。2006年に発売された「ArmA: Armed Assault」は「最もリアリスティックな戦場シミュレーション」とメディア/プレイヤーから評されたが,そんなBohemiaが発売を予定しているのが,ArmAの続編となる「ArmA II」だ。
本作の舞台となるのは,かつて旧ソビエト連邦に属していたという設定の,Chernarusという架空の国だ。ベラルーシという国名が「白ロシア」であるのに対し,“チェルナルーシ”は「黒ロシア」を意味するらしい。このChernarus政府がロシア軍部の介入を許してしまう。そして,その状況を打破するために潜入したNATOの特殊チーム“Team Razor”の兵士というのがプレイヤーの役どころだ。
ゲーム世界は実に240平方kmの広さを持ち,道路全長も326kmに達する。そんなマップを遙か地平線まで一望できるなど,描画エンジンは非常に優秀だ。また,細かく描き込まれた兵器のモデリングなどを見ても,ArmA IIのグラフィックスは尋常ではなく,乗り物だけで150種類も登場するなど,そのマニアックさにも舌を巻く。プレイヤーがどのようにゲームを進めるかでその後の展開が変化するという,RPG的なシステムも興味深い。
Battlefield Heroes
「Battlefield Heroes」は,欧米の大手パブリッシャとしてはほぼ初の試みとなる,基本料金無料アイテム課金制を採用するチームベースのマルチプレイTPSだ。「Battlefield 1942」以来,PC版バトルフィールドシリーズに使われ続けている「Refractor 2」エンジンを改良しつつ,トゥーンシェーダーを採用。コミックス的なグラフィックスになっただけでなく,ドイツ軍風のNational Armyと連合軍風のRoyal Armyが戦うなど,設定などにもかなり遊び心の感じられる作品になっている。
ゲームモードは,いわゆるConquestをアレンジしたもの。ゲーム開始時には各チームに50チケットが用意されており,対戦中,敵に倒されるごとにチケットが消費され,フラッグのある拠点に長く居座ることでチケットが増えていくという仕組みだ。
1チームにつき最大8人が参加できるところは,従来のバトルフィールドシリーズに比べてこじんまりとした印象を受けるだろう。ただ,リスポーンタイムが従来作のほぼ3分の1にあたる5秒と短く設定されているので,実際に遊んでみると「少ない」という感じはない。むしろ,少人数でゴチャゴチャと戦う楽しさがあるだろう。
四つのキャラクター用スロットが用意され,ソルジャー,ガンナー,コマンドーの三つのクラスから好きなものを選んで登録できる。レベルアップで獲得できるさまざまなスキルにより,キャラクターをプレイスタイルに合ったものに作り上げていくことが可能だ。
Delta Force: Angel Falls
長い歴史を持つ,NovaLogicのDelta Forceシリーズの最新作である。サブタイトルからも分かるように,エンジェルフォール(エンジェルの滝)のあるベネズエラやコロンビアなど,南米の政情不安定地帯にデルタフォースが潜入するという設定だ。戦争モノのアクションゲームの舞台として,最近,中東やロシア南部といった乾燥地帯が選ばれることが多かっただけに,新鮮味のあるアプローチといえるかもしれない。
ゲームエンジンは一新されており,DirectX 9向けながらも,滝の水しぶきや鬱蒼としたジャングルの表現が印象的だ。マップサイズは非常に大きく,ヘリコプターやジェットボートなど,陸だけでなく空や海/川をシームレスに動き回れるものになる。マルチプレイモードでは,最大で200人規模の戦闘が楽しめるという。
ゲームの雰囲気は,シリーズで最も人気のあった「Delta Force: Black Hawk Down」(2003年)に近いとされており,専門家の監修を受けた12種類のミッションが,三つのキャンペーンにまとめられている。PLAYSTATION 3とXbox 360向けにも開発されているが,それらは,ゲーム内容が異なる「Delta Force: Cuba」というタイトルでリリースされる見込みだ。
OPERATION FLASHPOINT: DRAGON RISING
前作から実に7年ぶりとなるシリーズ最新作,「OPERATION FLASHPOINT: DRAGON RISING」は,日本の北方にある架空のSkira島を舞台にしている。もともと中国領だったこの島は,日本が戦時中に占領したが,戦後処理でロシアの手に渡ったということになっており,近年,世界最大級の原油層が発見されたため,再び中国が領有権を主張。かくして中国とロシアが真っ向から激突する,東アジアのホットスポットと化したのだ。
ゲームで使用されているのは,Codemastersが開発した「EGO」エンジンの最新版で,そのリアリティ溢れる描画力と作り込みはすごい。銃や兵器のリベット(鋲)の位置や数まで本物そっくりで,すでに紹介した「ArmA II」同様,兵器マニアならよだれの出そうな描き込みだ。敵兵も,その装備で役割が分かるほど細かく描かれているので,指揮官や通信兵を先に狙うといった戦略も可能だ。
220平方kmに及ぶ広い島内には,150万本もの針葉樹林が生えており,これは前作に欠けていた,「カバー」の要素を演出するために用意されてものらしい。戦闘ヘリコプターなどに狙われた歩兵は,あわてて森に駆け込むのだろう。また,マップの状況はゲームの進行につれて刻々と変化し,例えばマップ上で爆破されたものは永久的に消滅してしまうことになる。
Section 8
近未来,エイリアンの侵攻を受けた地球は,テスト中のアーマースーツを志願兵に装着させ,宇宙ステーションから地球に向けて送り出すという特殊作戦を実施する。「こんな無謀な作戦に志願するヤツは頭がおかしい」と関係者の間でささやかれたことから,参加した兵士達は,精神的問題を理由に退役させることを意味するアメリカ軍用語,「Section 8」という名で呼ばれた。
……というストーリーを持つSection 8は,Kohanシリーズや「F.E.A.R.: Perseus Mandate」などを制作したTimeGate Studiosが開発する,スクワッドベースのアクションゲームだ。特筆すべきは,戦闘の起きている地球上の地点に向けて,プレイヤーを含む兵士達が発射される場面の迫力だろう。ゲーム開始時やリスポーン時には,地球表面の戦闘地域を確認することができ,プレイヤーはアーマースーツを着たまま直接大気圏へ突入していく。落下速度を利用して敵の戦車に激突,破壊することが可能など,まさに“ぶっ飛んだ”アクションが楽しめる。
マルチプレイモードでは最大8人までの協力プレイが用意されており,ここでは仲間が隕石のように落下してくるシーンが面白そうだ。
Sky Gods
「Sky Gods」は,オンラインで複数のプレイヤーが遊ぶことを前提に開発が進められるタクティカルシューティングだ。
タイトル名になっている“スカイゴッド”とは,ヘリコプターから飛び出して着陸直前までパラシュートを開かずに急降下する「HALO」(High Altitude,Low Opening)という戦法が得意な特殊空挺部隊の愛称である。というわけで,本作の各ミッションは,スカイダイビングから始まるのだ。
開発元であるBlackfoot Studiosは,Tom Clancy's Rainbow Sixのオリジナルシリーズを手がけたRed Stormのメンバーが再集結したチームである。まだ情報がほとんどないものの,PC版はダウンロード販売で2009年内のリリースを目指しているという。
ゲームエンジンにはUnreal Engine 3.0が採用されており,風景はもちろんのこと,カスタマイズ可能なプレイヤーキャラクターや武器も細かく表現される。Blackfoot Studiosらしく協力プレイに重点が置かれたゲームになるようだ。また,スカイダイビングは生半可なシミュレートではないらしく,プレイヤーが慣れるためのトレーニングも用意されるようだ。
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