― 連載 ―

ベルアイルな女たち

第1幕 パンツまみれのオンナ

 5月25日に正式サービスが開始されたばかりの,国産MMORPG「ベルアイル」。本作の基本的なゲーム内容については「こちら」(はじめての「ベルアイル」手取り足取りガイド)とか「こちら」(初級者向けステップアップガイド)とか「こちら」(続・初級者向けステップアップガイド)の記事を読んでもらうとして,さっそく筆者の主張を聞いてもらいたい。

 

 ベルアイルの魅力,それは豊富に用意されたスキルと生産物,そしてゲーム内の時間がキャラクターの成長(老成)とリンクする,そのゲームシステム……と言われている。

 

 青年期にあたる男女のキャラクターは「結婚」が可能で,さらに宿屋の2階を訪れると「子供」が生まれちゃうという妙なリアルさと,やがて親の能力を引き継いだ子供にプレイヤーキャラクターが移っていく,この「世代交代システム」こそが,ベルアイルの真髄なのだ(と思うのだけど,どうでしょう?)。
 「豊富に用意されたスキルと生産物」についても,筆者の考えを一言述べさせてもらいたい。確かにスキルには戦闘用のものだって多いし,生産物は武器や防具,道具や料理なんかも多い。でも何より,生産可能な「コスチューム」の豊富さこそ,ベルアイルの神髄なのだ(と思うのだけど,どうでしょう?)。

 

 本連載は,筆者の最大の関心事である「出会い」「結婚」「子供」,そしてそれらと切っても切れない関係にあるとしか思えない「コスチューム」が主題。年頃の「娘」にビシバシと花嫁修業をさせつつ,可愛いコスチュームで素敵な青年を捕獲,嫁がせて世代交代させるまでを描く,壮大で生々しいラブストーリーなのである。
 なお,筆者の最大の関心事というのは,あくまでベルアイルという作品の中に限定した話であり,筆者の実生活について深読みするような野暮なマネは,あの,やめてください。

我が娘の名は「Emma」

 そんな少々エキセントリックな姿勢で臨む本連載だが,親たる筆者に最初に課せられた使命は,前の娘である「ろーら・えすぱ田」よりも,しょんぼりを装って実は計算高い「劣等生パラディン」よりも,ミーアキャット顔の「ミッシェル」よりも読者受けする女性キャラクターを作成すること。とはいえ,ベルアイルのキャラクター作成は「顔の造形」と「髪型」を,それぞれ12種類のテンプレートから組み合わせるだけ(服と靴も同様に選べる)。あとは身長と体形,それにヘアカラーの3点をスライダーで調節可能なぐらいで,無限のバリエーションがあるとは言いがたい。その制限の中で,いかに個性的で愛される娘を生み出せるかが問われているわけだ。

 

クールな表情は普段なら間違いなく選ぶタイプだが,今回はパス。目元と口角がきつすぎて,なんかいけない

唇がぽってりと厚いセクシー系な顔立ち。しかし筆者のテーマはあくまで“清楚な乙女”ゆえに残念ながら却下

なんというか,あまり多くは語りたくないが,とりあえずこれも今回のテーマにはそぐわないということで……

 

 キャラの容姿を決める前に,まずは年齢を「少年期」「青年期」「壮年期」の三つから選ぶ必要があるが,今回は結婚という明確なゴールがあるため,迷わず「青年期」をチョイス。

 

最終的に選ばれたのは,ちょっと薄幸げで守りたくなるようなこれ。横分けピン止めヘアがミソなのだ

 確実にモテる容姿とは何か? を突き止めるため,少し予習をしておいたのだが,なんでも最近の世間の男性が思う「好ましい女性の身長」とやらは148〜155cmの“ミクロ系”で,ロングヘアらしい。というわけで身長はデフォルトより,やや低めに。
 テンプレートにロングへアや,おさげスタイルが用意されていないのは大変不満なのだが,仕方ない。今後のアップデートで「ツインテール」や「ポニーテール」などを追加してほしいと,この場を借りて強く訴えておこう。

 

装備アイテムの帽子類は,標準〜ぽっちゃりキャラクターに合わせたグラフィックスになっているようだ。Emmaはやや細めに設定したせいか,どんな頭装備をかぶっても,お椀をかぶせたようなアンバランスさに

 

 外見とスキルの2点を決めたら,あとは「アリアバート」「カルガレオン」「ボーダー」の,三つの国家のうち,なんとなく無難そうな国家カルガレオンを選び,Emmaを派遣(?)するだけだ。

「乙女スキル」……それは「料理」「裁縫」「雑貨製作」

迷うことなく三大乙女スキルを選択。目指すは「バッグの中にいつもソーイングセット」が入っている女のコだ

 スタート地点の国家やら何やらと決めることは多々あるが,それより大事なのは初期スキル。趣味でプレイするMMOならば迷わず前衛職を選び,序盤からガツガツ殺りまくるのが筆者のプレイスタイルだが,今回は違う。大切な娘を見初めてもらうためにも,ここはグっと我慢して,花嫁修業にふさわしいスキルを選んでみた。
 ズバリ「裁縫」「雑貨製作」「調理」の3点で,まとめて「乙女スキル」と勝手に呼ばせていただこう。

 

婿探しの第一歩はブラ&パンツ作り

 さて,ここから本編ともいうべき婿探しが始まる。しかし街に降り立って気がついたのは,Emmaの着ている初期装備の服が,ひどく野暮ったいこと。キャラメイキングでは練りに練ってチョイスしたつもりの服だが,街は初期装備とは別世界のお洒落さんで溢れ返っており,気分はもう田舎者のおのぼりさん。あんれやだよ,わだす!

 

今夏の流行を押さえた,ピンクのチュニック姿のお姉さん。Emmaも一刻も早く着替えないと,お,お嫁にいけない

すでに結婚して子供もいちゃったりすると予想される,らぶらぶカップルを町外れで発見。いつかうちのEmmaだって……

二人並んでフリーマーケット,すなわち露店を出している子供達。思わず「カワイー」と,犯罪的にジロジロ眺めてしまう

 

 初期スキルに「裁縫」を設定しているため,Emmaはそこそこ縫い物が作れるはず。1秒でも早く「モテかわワンピ」に着替えるために,糸と針をしこたま購入して街中の「工房」へ向かわせたのだが。……スキル値30%では,まだまだロクなものが作れないし,成功率もかなり低い。多少は成果物をNPCに売り飛ばさなければ,次の針と糸を買う資金も尽きてしまうため,まずは低スキルでも成功しやすい「ビキニトップ」と「ビキニボトム」を作らせることにしてみた。つまるところブラとパンツである。

 

スキル値は足りていても,素材となる「なめしたアニマルハイド」や「絹糸」がないと作れないレシピばかり。そんな中,ビキニは最も少ない素材で,しかも効率良くスキル値が上げられるレシピだ

装備アイテムはスタックしないため,バッグの中がビキニだらけになってしまった。もちろん1枚は試しに着用済み。しかし,この大量のビキニがEmmaを窮地に追いやるのであった……

 

 バッグの中に溜まっていく,大量のビキニ。素材もすっかり尽きたので工房モードから抜けてみると,なんと一歩も動けないではないか! ベルアイルでは所持可能な重量を超えると,まず走れなくなり,さらに荷重オーバーすると一歩もそこから動けなくなってしまうのだ。工房の中で生産活動している間は気づきにくいため,アイテムを作ってはみたものの,その場に捨てていくしかない……なんてこともマレに起こる。

 

 しかし,そのような基本ルールすら把握していないEmmaは,身動きが取れないまま,理由も分からずに立ち尽くしていた。「誰か助けて……」窮地に陥り,ついにそんな言葉がEmmaの口から漏れそうになったとき,一人の青年が現れる。

 

「動けなくなった?」

 

 パンツまみれで動けなくなった女(いや,パンツ在庫は外から見えないんだけど)を,見るに見かねた彼の名はJ君(仮名)。Emmaと同じく初期装備のままの彼は,同じ初心者の苦しみを瞬時に理解したに違いない。
 もともと困った表情のEmmaが,よりいっそう困った感じで事情を告げると,青年は銀行にアイテムを預ければいいと教えてくれた。しかも銀行まで,荷物を半分持ってくれるという。ああ,もうダメ。その優しさと整った顔立ちにメロメロになった私,もといEmmaは,目をハート型にさせながら,どさどさと彼にパンツを渡すのであった。

 

工房前で助けてくれた青年J君。か,か,かなり好みのタイプですよっ。いや,筆者じゃなくてEmmaの

何も言わない心優しい青年だが,きっと内心では驚いていたことだろう。後から後から渡される白いビキニ……

 

苦手な相性占いのために練習相手になってくれ,というNPC「ドミティア」。魔法使いはたいてい見た目より年齢がいっているので,彼女も外見は幼児だが,実際は100歳を超えているに違いない

 Emmaの口座はビキニで満たされたが,心は未だ満たされず。ここで普通にお礼を言って帰してしまったら,次のステップにつながらない! そこでEmmaが,もう一つ潤んだ瞳でおねだりしたのは,初心者ミッション「占い師見習い」の同行だ。このミッション,難しいことは何もないのだが,異性キャラクター同士が二人きりでパーティを組んで,NPC「ドミティア」の質問に答えるという内容がポイント。
 荷重オーバーのことも知らないEmmaが,なんでそんなミッションのことを知っているのかはさておき(恋の駆け引きってやつ?),男女二人だけのパーティ……親密度を高めるのに,こんな有効なミッションを使わない手はない。ちなみにこのミッションを無事終えると,アイテム「トークジュエル」が1個もらえる。

 

初めてのパーティ要請を憧れのJ君(仮名)に,しかも自分から誘っちゃうなんて,うふふ

 

しかもドミティアの質問は結構鋭いところを突いてくるので,油断できない。友達からよろしくお願いいたします

Emma,初の撃沈!

 無事にミッションもクリアして,親密度は急上昇。潤んだ瞳のEmmaは,いつのまにか一張羅の手作りビキニに着替え,青年にそっと寄り添った。

 

「あ,あのっ,こんな私で本当に……じゃなくて,幸せにしてくださ……でもなくて,その,結婚とか」

 

ミッションは無事終了。協力してくれたJ君(仮名)に,そっと寄り添うEmma。大胆なふるまいをする娘に親もビックリ

えっと,こ,これは違うんです。そんな深い意味はなくて,たまたま勝負服がビキニしかなかったから……

 

 と,その時,「ごめんごめん」と駆け出す青年J。そこには都会育ちの洗練された衣装を着た女性キャラクターが,怖い顔で立っているではないか。うっそ〜ん。振り返りもせず立ち去る二人の後ろ姿を見守る,哀れなEmma。次回までには必ずやモテ服を作成して,カルガレオン中の男をトリコにしてやると誓いながら,再び初期装備に着替えるのであった。

 

そんな言葉に耳も貸さず,立ち去る二人を見守り,ビキニ姿で立ち尽くすしかない我が娘,Emma。どことなく母親似か

失恋の傷心を癒しつつ,裁縫に必要な「獣の毛」を集めるべく,テーベ高地でモンスター「ダーティハウンド」を虐殺するEmma

 

スキル
調理:30%
裁縫:30%
雑貨作成:30%
勝負服:ビキニトップ,ビキニボトム

 

 

 

■■麻生ちはや(ライター・独身)■■
単に「ニーソックス好き」というだけの理由から「絶対領域 ヨーグルティング」を書かされ,「えすぱ田家の人々」では編集部の過酷な要求に応えるべく必死で取り組んだ挙げ句,「致命的な妄想癖」などと暴言を吐かれて殺意を燃やす乙女ライター。4Gamerのヨゴレ仕事を一手に引き受けさせられている感はあるが,さすがに今回の連載はどうかと思っているようだ。
タイトル ベルアイル
開発元 ヘッドロック 発売元 VerX
発売日 2006/05/25 価格 基本プレイ無料
 
動作環境 OS:Windows 2000/XP(+DirectX 8.1以上),CPU:Pentium III/800MHz以上[Pentium 4以上推奨],メモリ:256MB以上[1GB以上推奨],グラフィックスチップ:GeForce 4 Ti以上[GeForce FX以上推奨],HDD空き容量:6GB以上

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