日本語によるサービスが行われていないため,日本では今一つ知名度の低いMMORPG「World of Warcraft」(以下,WoW)。しかし世界的には“トップ独走”の“一人勝ち状態”である。その実力がいかほどのものなのか,試しに一つ見てやろうと思った人に向けて,2006年末に冬休み特集として4Gamerに掲載したのが,「World of Warcraft スターターガイド」だ。
「World of Warcraft スターターガイド」はこちら
2007年8月11日現在,公式サイトではWoW本体の10日間無料体験のほか,拡張パック第一弾「The Burning Crusade」のトライアルも申し込める。拡張パックのトライアルはすでに正規のアカウントを持っている人が対象なので,初めてWoWで遊ぶ人は右側の青いほうを申し込もう
このスターターガイドは,プレイを開始するまでの手順と,最序盤の冒険の手引きをまとめたもので,グループでのプレイはサポートしていなかった。
いうまでもなく,こういったMMORPGの面白さの中核をなす要素の一つは“グループでの協力プレイの楽しさ”である。WoWにおいても,グループでの協力プレイはとてもやりがいがあり,面白い。しかしこれもまたMMORPGにはよくあることだが,グループプレイにあたって事前に知っておきたいセオリーのようなものが,WoWにも存在する。本稿「グループプレイガイド」では,そのような,WoWをプレイするうえで知っておくと役に立つ知識をまとめていきたい。
日本の一般的なオンラインゲーマーに「MMORPGの代表的な作品は?」と質問したら,その答えは「ファイナルファンタジーXI」「ラグナロクオンライン」だったりするだろう。しかし日本以外の国に住むゲーマーに同じ質問をした場合……とくに英語圏のオンラインゲーマーの多くは,「そんなの,WoWに決まっているじゃないか」と迷うことなく答えるはずだ。
WoWは,世界で最も多くの人々にプレイされているMMORPGだ。制作したのはアメリカのゲームデベロッパ,Blizzard Entertainment。アクションRPG「Diablo」シリーズ,リアルタイムストラテジーの「Starcraft」シリーズや「Warcraft」シリーズなどで,WoWの発表以前から世界規模のヒットメーカーとして知られてきたスタジオである。そのBlizzardが自社の大ヒットRTS「Warcraft」シリーズの世界設定を使って作り上げたMMORPG,それがWoWだ。正式サービスが開始されたのは2004年11月。以来数十か月ものあいだ,プレイヤーの数は右肩上がりに増えていき,現在では900万以上のアカウント登録者がいると発表されている。
WoWは比較的オーソドックスな西洋ファンタジー世界をベースに作られており,MMORPGとしての基本的な枠組みも,以前から存在していた「EverQuest」や「Dark Age of Camelot」などと,それほど変わらない。モンスターを倒し,クエストを遂行することで経験値やお金,アイテムを得て,キャラクターをレベルアップさせていくという,お決まりのスタイルである。にもかかわらず,この作品は世界で一番プレイヤーが多いMMORPGであり続けている。
もちろん優れた点はある。むしろ,この作品の面白さを知るプレイヤーにいわせれば,WoWにはほかに類を見ないほど優れた点があふれているという。きびきびと快適な操作,絶妙な難度設定,ストレスを感じさせない成長曲線,最新テクノロジーに頼らずセンスの良さと豊富なモーションを重視して作られたグラフィックス,完全に保証されたソロプレイ,練り込まれたグループプレイの面白さ,1キャラではとても遊び尽くせないほど膨大な量のコンテンツ……。WoWでは,ゲーム内のすべての要素がよくデザインされており,遊びやすい。そしてその出来の良さが,“世界で一番の出来の良さ”であったことは,900万というアカウント登録者数が証明しているといえよう。
「スターターガイド」の掲載から約半年が経過したが,その間にWoWの世界にもいくつか変化が起きている。ここでは,それをまとめて紹介しよう。
ここ半年の間に起こった変化の中で最も大きなものは,WoW初の拡張パック「The Burning Crusade」(以下,TBC)が発売されたことだ。
TBCでは,プレイヤーキャラクターとして選択可能な種族が新たに2種族追加され(DraeneiとBlood Elf),それに合わせて低レベルキャラクター向けの新たな冒険エリアも追加された。プレイを始めたばかりのキャラクターを育てるエリアの選択肢が増えたので,新キャラクターを育成する楽しみは以前よりも増したといえる。
Blood Elf |
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Draenei |
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TBCで追加されたプレイアブル種族Blood ElfとDraenei。Blood ElfはHorde陣営,DraeneiはAlliance陣営の種族だ |
またTBCでは,プレイヤーキャラクターのレベルの上限が60から70に上がり,レベル60以上のキャラクターを対象とした新たな冒険エリアやダンジョン,アイテムなどが大量に追加された。
WoWのゲーム内コンテンツはもともと良質だが,TBCで追加された新コンテンツはそれに輪をかけて質が高い。以前からWoWを遊んでいるプレイヤーには,プレイを通してそのことが実感できる。さらに,レベルキャップに達してしまったキャラクターに対するコンテンツの追加などもあって,WoWはより長く遊んでいられる,より奥深い楽しさを持つゲームになったのだ。
ゲーム外の部分でも変化はある。WoWの本体は以前からダウンロードで購入できたが,TBCは発売後しばらくの間,パッケージのみの販売であった。それが現在ではTBCもダウンロードで購入できるようになっている。
また,拡張パック第2弾となる「World of Warcraft: Wrath of the Lich King」が先日発表されたばかり。こちらの発売日は未定だが,この世界がますます広がっていくのは間違いない。
サーバー数に関しては,ひところほど頻繁に追加や分割のニュースを聞かなくなったものの,増え続けていることには変わりなく,USの公式サイトで確認できるサーバー数は,2006年末に「186」だったものが,現在(8月10日時点)では「222」になっている。この数字がどれほど“常識はずれ”なものかは,MMORPGのプレイ経験者であればすぐに分かるだろう。
このように,内容的にもプレイヤー数的にも,以前と変わらず世界最高であり続けているMMORPGがWoWだ。