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「Radeon RX 580」レビュー。第2世代Polaris最上位モデルはGTX 1060 6GBと真っ向勝負するGPUだ
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印刷2017/04/18 22:00

レビュー

第2世代Polaris最上位モデルはGTX 1060 6GBと真っ向勝負するGPUだった

Radeon RX 580
(ASUS ROG-STRIX-RX580-O8G-GAMING)

Text by 宮崎真一


ROG-STRIX-RX580-O8G-GAMING
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:テックウインド (販売代理店) info@tekwind.co.jp
メーカー想定売価:4万5500円前後(※税込,2017年4月18日現在)
Radeon RX 500
 別途お伝えしているとおり,日本時間2017年4月18日22:00,AMDは新型GPUシリーズ「Radeon RX 500」を発表した。
 今回4Gamerでは,AMDの発表に合わせる形で,シリーズ最上位モデルである「Radeon RX 580」(以下,RX 580)搭載のグラフィックスカード「ROG-STRIX-RX580-O8G-GAMING」をASUSTeK Computer(以下,ASUS)から借りることができたので,その性能をテストにより明らかにしてみたい。


価格も基本仕様もRX 480と同じながら,動作クロックが向上したRX 580


RX 580 GPU。GPU上のコードは「215-0910038」だった
Radeon RX 500
 ニュース記事でもお伝えしているとおり,RX 580は基本的に,グラフィックスメモリ容量8GBモデルと4GBモデルの2ラインナップ展開となる。北米市場におけるメーカー想定売価は順に229ドル,199ドル(いずれも税別)で,これらはRX 580の置き換え対象となる「Radeon RX 480」(以下,RX 480)がデビューしたときと同じ設定である。

RX 580の概要
Radeon RX 500
 採用するGPUコアは,第4世代「Graphics Core Next」(以下,GCN)である「GCN 1.3」アーキテクチャ,第2世代Polarisマクロアーキテクチャに基づくもので,開発コードネームは「Polaris 20」(ポラリス20)。GCNアーキテクチャベースということで,シェーダプロセッサ「Stream Processor」64基がキャッシュやレジスタファイル,スケジューラ,テクスチャユニットなどとセットになって演算ユニット「Compute Unit」を構成する仕様に変更はない。

 RX 580の場合,総Compute Unit数は36基。内部ではそれらが9基ごと4つに分かれ,それぞれ,ジオメトリプロセッサやラスタライザ,それに4基のレンダーバックエンドと一緒に“ミニGPU”的な「Shader Engine」を成している。つまり,シェーダプロセッサの総数は,“64×36”(もしくは“64×9×4”で2304基という計算だ。

 先ほど8GBもしくは4GBと紹介したグラフィックスメモリはGDDR5で,メモリインタフェースは256bit。メモリクロックは8000MHz相当(実クロック2000MHz)なので,メモリバス帯域幅は256GB/sという計算になる。

参考までにRX 480のブロック図。何かが秘密になっている可能性はゼロではないが,RX 580でも基本的には同じ構成という理解でいいはずだ
Radeon RX 500
 ……鋭い読者は,ここまでの説明で気付いたと思う。そう,ラインナップと価格だけでなく,GPUやメモリ周りのスペックも,RX 580はRX 480と完全に同じなのだ。では何が違うのかというと,それはGPUコアの動作クロックである。
 RX 580の動作クロックはベース1257MHz,ブースト最大1340MHz。これはRX 480と比べると順に約12%,約6%高い値だ。合わせて公称典型消費電力もRX 480の150Wから35W増大して185Wとなり,補助電源コネクタはRX 480の6ピン×1からRX 580では8ピン×1となっている。
 イメージとしては,RX 480の「Polaris 10」コアを最適化し,そこで生まれた余裕を動作クロックへ“全振り”したというイメージでいいのではなかろうか。

Radeon RX 500
 ちなみにAMDはPolaris 20で,通常版の「Polaris 20 XTX」と,AMDによる選別版となる「Polaris 20 XTR」を用意し,パートナーとなるグラフィックスカードメーカー各社へ提供している。今回入手したROG-STRIX-RX580-O8G-GAMINGはPolaris 20 XTXベースだが,おそらくASUSからはPolaris 20 XTRを搭載し,より高いクロックで動作する上位モデルもいずれ登場するはずだ。

 さて,表1はそんなRX 580の主なスペックを,RX 480と,上位モデルである「Radeon R9 Nano」,そしてAMDが競合製品と位置づける「GeForce GTX 1060 6GB」ともどもまとめたものである。

確度にかかわらず,100%の確証がない部分には「?」を加えました


300mm超級のカードとなるROG-STRIX-RX580-O8G-GAMING


 入手したROG-STRIX-RX580-O8G-GAMINGカードそのものもチェックしていこう。

GPU Tweak IIのメイン画面。中央上部にあるOC modeとGaming mode,Silent modeの各アイコンをクリックすると動作モードが切り替わる
Radeon RX 500
 ROG-STRIX-RX580-O8G-GAMINGはメーカーレベルのクロックアップモデルで,しかも,付属のGPUユーティリティソフト「GPU Tweak II」(Version 1.4.4.8)を使うことにより,ブースト最大クロックの異なる3つの動作モードを,メーカー保証の範囲内で選択できるようになっている。なお,メモリクロックはどの動作モードでもリファレンスどおりの8000MHz相当だった。

  • OC mode:ブースト最大クロック1380MHz
  • Gaming mode:ブースト最大クロック1360MHz,工場出荷時設定
  • Silent mode:ブースト最大クロック1340MHz,リファレンス相当の設定

Radeon RX 500
OC mode。ブースト最大クロックが1380MHzに上昇する
Radeon RX 500
工場出荷時設定であるGaming modeのブースト最大クロックは1360MHzだ
Radeon RX 500
Silent modeのブースト最大クロックは1340MHzで,これはリファレンスと同じ

カード長は300mm超級で,文句なしに長い
Radeon RX 500
 カード長は実測約301mm(※突起部除く)。基板長自体は同287mmなので,カード後方にGPUクーラーが14mmほどはみ出た格好だ。また,マザーボードに装着した状態の垂直方向へ,I/Oブラケットより実測約23mmもはみ出していたり,搭載する無銘のクーラーが2.5スロット仕様だったりと,ミドルクラス市場向けグラフィックスカードとしては極めて大きい。筐体を選ぶサイズなのは間違いないので,古いゲームPCでグラフィックスカードを差し替えたいという場合には,事前に内部のスペースをよく調べておく必要があるだろう。

クーラーは左の写真で左方向へ基板からはみ出し,右の写真では2スロット仕様であるI/Oブラケットよりもはみ出している。ちなみに外部出力インタフェースはDisplayPort 1.4×2,HDMI 2.0b(Type-A)×2,Dual-link DVI-D×1。HDMIを2系統用意する点は要注目だ
Radeon RX 500 Radeon RX 500

カードは表側が3連ファン付きクーラー,裏側が補強用兼放熱用と思われる金属板でそれぞれ大部分が覆われている
Radeon RX 500 Radeon RX 500

0dB Fan機能はGPU Tweak IIのメインメニュー右上から[OFF]を選べば無効化可能。標準ではSTRIXのフクロウマークが選択され,0dB Fanが有効になる
Radeon RX 500
 その大きなGPUクーラーは,90mm角相当のファンを3基搭載するもので,GPUの温度が55℃を下回るとファンの回転を停止させる機能「0dB Fan」が標準で有効である。
 0dBを含むファンの制御を行うのもやはりGPU Tweak IIで,メインメニューから「Professional Mode」を選んだ先にある「Fam Speed(%)」から行えるようになっている。工場出荷時設定は自動制御となる[Auto]だが,[Manual]ボタンを押せば任意のパーセンテージでファン回転数を固定でき,さらに[User Define]ボタンを押せば,温度ごとのファン回転数をグラフ上で指定できる。[User Define]ボタンを押した状態では,0dB Fanにおける閾値の温度も調整可能だ。

Radeon RX 500
Manualでファンの回転数を55%に指定したところ。Manualでは,回転数を1%刻みで0〜100%の範囲から設定できるようになっている
Radeon RX 500
Gaming modeにおける温度と回転数の設定をUser Defineから確認した例。0dB Fanが有効となる温度を1℃刻みで2〜94℃の範囲から指定できる。ファン回転数は42〜98%の間を1%刻みで設定可能だ

付属ソフトウェア「AURA」では,LEDの色を約1677万色から選択できる。光り方も常時点灯の「Static」,ゆっくり明滅を繰り返す「Breathing」,早い点滅の「Strobing」,色が順次変わっていく「Color Cycle」,Windows上で流す音に合わせて変化する「Music」,GPU温度によって色が変わる「GPU Temperature」から選べる
Radeon RX 500
 ファンのブレード部は,ASUSが特許を持つという,先端が膨らんだ独特な形状をしている。ASUSによると,このファンブレードにより,リファレンスカードに比べてヒートシンクにかかる風圧が5%向上しているとのことだ。

 ファンに関して続けると,カード後方には4ピンのファン接続端子が「FanConnect II」として2つ用意され,ここに取り付けたサードパーティ製ファンは,GPU Tweak IIから制御可能になる。

Radeon RX 500
先端が膨らみ,ファンの流れる先へ向かって少し飛び出たような格好になっている,ASUS独自のファンブレード形状
Radeon RX 500
FanConnect II用のファン接続端子が基板上の最後部にある

GPUクーラーを取り外したところ
Radeon RX 500
 GPUクーラーの取り外しはメーカー保証外の行為となるが,今回はASUSから特別な許可が得られたので,取り外し,クーラーと基板をより細かくチェックしていこう。

 というわけでまずはクーラーからだが,分解すると,ASUSが長らくこだわってきた,ヒートパイプの一部がGPUと直接触れる「DirectCU」仕様ではなく,枕でGPUの熱をベースで受け,それを6mm径のヒートパイプ6本で,GPUベース上のヒートスプレッダと,カード後方側にあるもう1つのヒートスプレッダへ送り,3基のファンで冷却する仕様になっていることが分かる。
 ASUSは「GPUベース上のヒートシンク部は厚みが40%増しており,これによって冷却性能が30%向上し,静音性も上がっている」としているが,それで2.5スロット仕様になってしまっているのも確かなので,ここは評価が分かれるところかもしれない。

Radeon RX 500
この写真では分かりにくいかもしれないが,ヒートシンクの厚みが増しているという
Radeon RX 500
6mm径のヒートパイプを6本用いたGPUクーラーは,GPU上のヒートシンクと放熱フィンの2ブロック構造だ

補強板兼放熱板(と背面の金属板)を外すと,基板がお目見えする
Radeon RX 500
 基板は,メモリチップと電源部を覆う補強板兼放熱板を外すことで,初めて全体を確認できるのだが,さすがにミドルクラス市場向けGPU搭載モデルということか,基板サイズの割に実装される部品点数は少なく,かなりすっきりした印象を受ける。
 電源部はASUSの資料だと7+1フェーズ構成となっているが,MOSFETの並びや基板上のシルク印刷を見る限り,6+2フェーズ構成ではなかろうか。

基板サイズが大きいこともあり,基板上には空白地帯が多い。GPUクーラーのサイズに合わせて,余裕を持ったデザインにしてあるのだろう
Radeon RX 500 Radeon RX 500

 電源部は,ASUSが「Super Alloy Power II」と呼ぶ,耐久性を重視した部材構成になっている。GPU用には,MOSFETとドライバICを統合し,60A出力に対応するInternational Recifierの「IR3555M」を採用するのが見てとれる。一方,メモリチップ用と思われるMOSFETは,UBIQ Semiconductor製のN-Channelタイプである「QM3054M6」を1基と,同じくN-Channelタイプの「QM3056M6」を2基組み合わせた構成になっているようだ。

GPU用の電源部ではIR3555Mを,一方メモリチップ用と思われる電源部ではQM3054M6と2基のQM3056M6を組み合わせた構成だ。右は電源部全体で,これを見ると6+2フェーズのように思える
Radeon RX 500 Radeon RX 500

Radeon RX 500
 なお,搭載するメモリチップはSamsung ElectronicsのGDDR5「K4G80325FB-HC25」(8Gbps品)だった。なので,スペックどおりのメモリチップを搭載し,スペックどおり動作させることになるわけだ。
 搭載枚数は8枚で,これによりグラフィックスメモリ容量8GBを実現している。


RX 480やR9 Nano,GTX 1060 6GBと比較。グラフィックスドライバはレビュー用のものを用いる


Radeon RX 500
 今回,RX 580のテストにあたって用意した比較対象は,先の表1でその名を挙げたRX 480とR9 Nano,GTX 1060 6GBだ。主役として入手したROG-STRIX-RX580-O8G-GAMINGはクロックアップモデルであるため,工場出荷時のGaming modeで動作する状態(以下,STRIX RX 580)と,動作クロックをリファレンス相当に落としたSilent modeの状態(以下,RX 580)でもテストを行うことにした。
 まだ見ぬリファレンスデザインと比べ,ROG-STRIX-RX580-O8G-GAMINGの大型クーラーが持つ冷却能力が高いことに疑いの余地はないため,「RX 580」として示すスコアは少なからずブーストのかかりがリファレンスよりも良くなっているはずだが,そこはやむを得ないものとして話を進めるので,この点はあらかじめお断りしておきたい。

 テストに用いたグラフィックスドライバは,Radeon用が,RX 580のレビュー用にとAMDから全世界のレビュワー向けに配布された「17.10.1030-170406a-312988E-All-OS-CrimsonReLive」だ。最近リリースされたRadeon Softwareの「Display Driver Package」を振り返ると,


なので,17.3.3ドライバの後,17.4.1としてリリースされる前の状態から枝分かれしたのが,今回のレビュワー向けドライバと言えそうである。
 一方のGTX 1060 6GBでは,テスト開始時の公式最新版である「GeForce 381.65 Driver」を使うことになる。そのほかテスト環境は表2のとおりだ。


 テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション19.0準拠。ただし,今回はテストに使える日数が事実上3日しかなかったため,「Fallout 4」と「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク」を省略した。
 解像度は,AMDがRX 580では2560×1440ドットをターゲットにしていることもあり,同解像度で,アスペクト比16:9でその1つ下となる1920×1080ドットを選択している。

 なお,テストにあたって,CPUの自動クロックアップ機能「Intel Turbo Boost Technology」は,マザーボードのUEFI(≒BIOS)から無効化している。これは,テスト状況によってその効果に違いが生じる可能性を排除するためだ。


RX 480からは最大約6%のスコア向上を確認。対GTX 1060 6GBでは「勝ったり負けたり」


 順にテスト結果を見ていきたい。
 グラフ1は「3DMark」(Version 2.3.3693)のDirectX 11ベンチマークである「Fire Strike」の総合スコアをまとめたものだ。RX 580はRX 480に対して5〜6%高いスコアを示し,対GTX 1060 6GBだとよりグラフィックス描画負荷の高い「Fire Strike Extreme」で約99%,より負荷の低い“無印”で約104%という結果になっている。
 ただ,さすがにR9 Nanoとのスコア差は明白で,高クロック化によって大きくスコア差を詰めるような状態にはなっていない。


 グラフ2はそんなFire Strikeから,GPU性能を見る「Graphics score」を抜き出したものだが,全体的には総合スコアを踏襲する結果と言っていいだろう。


 続いてグラフ3は,同じく3DMarkからDirectX 12のテストである「Time Spy」の総合スコアをまとめたもの,グラフ4はそこからGraphics scoreを抜き出したものとなる。
 やはりスコア傾向が変わらないので,まとめて語ってしまうが,RX 580のスコアは,R9 Nanoの92〜93%程度,RX 480の約106%,GTX 1060 6GBの約102%というところ。STRIX RX 580はRX 580より約1%だけ高い数字を示した。


 実際のゲームタイトルから,「Far Cry Primal」の結果がグラフ5,6だ。Radeon同士の比較だと,RX 580はR9 Nanoの87〜93%程度,RX 480の102〜105%程度で,STRIX RX 580はそこから最大約2%高いスコアだ。
 対GTX 1060 6GBだと,「最高」プリセットの1920×1080ドットで後塵を拝する理由が今ひとつ分からないものの,同じプリセットの2560×1440ドットでは互角。「標準」プリセットでは5〜7%程度高いスコアを示した。


 「ARK: Survival Evolved」(以下,ARK)の結果がグラフ7,8だが,ここでR9 580は,グラフィックスメモリ容量4GBが足枷となっているR9 Nanoとのスコア差を詰めた。ただし,対GTX 1060 6GBだと83〜92%程度に沈んでおり,ここはAMDによる最適化不足と見るべきではなかろうかと考えている,


 一方,グラフ9,10のVulkan版「DOOM」だと,RX 580はGTX 1060 6GBに対して9〜17%も高いスコアを示した。「DirectX 12とVulkanに強いRadeon」の面目躍如といったところである。
 Radeon同士の比較だと,「ウルトラ」プリセットでSTRIX RX 580がRX 580に対して7〜10%程度と,目に見えて高いスコアを示しているのが目を惹く。VulkanのようなAPIだと,それだけクロックが効くということなのかもしれないが,ブースト最大クロックは20MHzしか変わらないわけで,正直,このスコア差は謎である。


 性能検証の最後,グラフ11,12の「Forza Horizon 3」では,グラフィックスメモリ容量4GBのR9 Nanoが,容量不足で競争から脱落してしまったが,そんな中RX 580はRX 480の100〜103%程度,GTX 1060 6GBの95〜99%程度というスコアを示した。描画負荷が高まるにつれ,置き換え対象より高いスコアに,競合より低いスコアになっていく傾向を確認できよう。



消費電力はRX 480から最大で30W増大。GPUクーラーの冷却性能はさすがに優秀


 RX 580は動作クロックと公称典型消費電力がRX 480から上がっているわけだが,実際の消費電力はどういう傾向を示すだろうか。ログの取得が可能な「Watts up? PRO」を用いてシステム全体の消費電力を測定,比較してみたい。

 テストにあたっては,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイの電源がオフにならないよう指定したうえで,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時としている。

 その結果がグラフ13だ。アイドル時はGTX 1060 6GBが一段低いが,Radeon同士で比較するとRX 580も従来製品より下がっており,Polaris 20における最適化の効果が出ている気配が感じられよう。
 一方の各アプリケーション実行時だと,RX 580はRX 480から消費電力が11〜30W程度増大した。タイトルによってはRX 480よりもR9 Nanoに近い値が出ているほどだ。もちろん,ROG-STRIX-RX580-O8G-GAMINGというグラフィックスカードが尋常でなく豪華な作りなので,そこは割り引いて考えるべきだが,ただ,少なくともTDPがRX 480比で35W上がっただけのことはある結果であり,こと消費電力に関して言えば,残念ながらGTX 1060 6GBとは勝負になっていない。


 ROG-STRIX-RX580-O8G-GAMINGが搭載する大型GPUクーラーの冷却性能も確認しておきたい。ここでは3DMarkの30分間連続実行時点を「高負荷時」とし,アイドル時ともども「GPU-Z」(Version 1.19.0)からGPU温度を取得することにした。なお,テスト時の室温は24℃。システムはPCケースに組み込まず,いわゆるバラックの状態で机上に置いてテストを行っている。

 結果はグラフ14のとおりだ。カードごとに温度センサーの位置やファン回転数の制御方法は異なるため,横並びの評価にあまり意味はない点は注意してほしいが,ファンの回転していないアイドル時で40℃台前半,高負荷時にも60℃台前半という数字からして,GPUクーラーの冷却能力は十分に高いと述べていいだろう。


 なお,気になるROG-STRIX-RX580-O8G-GAMINGの動作音だが,筆者の主観であることを断ったうえで述べると,このクラスの製品としては十分静か。なお,これは個体差によるところが大きいので,すべてがそうとは言わないが,やや大きめのコイル鳴きが聞こえる点は気になった。


GTX 1060 6GBといい勝負ができるRX 580。価格次第では大いにチャンスがある


Radeon RX 500
 まとめると,スペック一覧から想像できるとおり,RX 580というGPUは,RX 480から動作クロックと消費電力が上がった製品である。競合の「Maxwell」が「第2世代Maxwell」になったときのようなインパクトを期待すると,「第2世代Polaris」にはがっかりすると思われるが,AMDの言うとおり,「Radeon R9 380X」や「GeForce GTX 960」あたり,あるいはそれ以前の世代のGPUから乗り換える,北米市場におけるメーカー想定売価で200ドル台前半の製品としては,GTX 1060 6GBと同じように,有力な選択肢になるだろう。

 あとは,GTX 1060 6GBと同じくらい魅力的か,という話だが,残念ながら消費電力に関してはノーだ。古い世代のミドルクラス市場向けGPUからRX 580に乗り換えようとした場合,RX 480から増加した消費電力がネックになる可能性はかなりある。
 性能は勝ったり負けたりということも踏まえると,GTX 1060 6GBカードの税込実勢価格である2万9000〜3万6000円程度というところを(なるべく早いタイミングで)下回り,店頭価格が消費電力周りの弱点を補えるかどうかが,市場における成功のカギとなりそうだ。Polaris 20 XTX版でグラフィックスメモリ容量8GB仕様のRX 580が,税込2万円台中後半から3万円強あたりで出揃うようだと,夏の商戦期に向けた勝負ができるのではないかと考えている。

AMD,第2世代Polarisベースの「Radeon RX 500」シリーズを発表。RX 400シリーズを置き換えるミドルクラスおよびエントリー市場向け

Radeon公式Webサイト(英語)


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