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Sapphire渾身のRX 480カード「NITRO+」レビュー。メモリ容量8GB版と4GB版にはそれぞれ異なる個性があった
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印刷2016/09/23 00:00

レビュー

Sapphire渾身のRX 480カード,メモリ容量8GB版と4GB版にはそれぞれ異なる個性があった

Sapphire
NITRO+ Radeon RX 480 8G GDDR5 OC
NITRO+ Radeon RX 480 4G GDDR5

Text by 宮崎真一


NITRO+ Radeon RX 480 8G GDDR5 OC(左)NITRO+ Radeon RX 480 4G GDDR5(右)
メーカー:Sapphite Technology
問い合わせ先:アスク(販売代理店)
問い合わせフォーム
実勢価格:3万6000〜4万3000円程度(※2016年9月23日現在,NITRO+ Radeon RX 480 8G GDDR5 OC),3万1000〜3万4500円程度(※2016年9月23日現在,NITRO+ Radeon RX 480 4G GDDR5)
Radeon RX 400
 Sapphire Technology(以下,Sapphire)は,ゲーマー向けグラフィックスカードとして「NITRO」(ナイトロ)ブランドを展開しているが,Polarisマクロアーキテクチャ世代で同社は,最高性能を目指した製品シリーズとしての「NITRO+」も用意している。
 今回取り上げる「NITRO+ Radeon RX 480 8G GDDR5 OC」(国内製品名:NITRO+ RADEON RX 480 8G GDDR5 PCI-E DUAL HDMI/DVI-D/DUAL DP OC,型番:SA-RX480-8GD5NOC001/11260-01-20G,以下 NITRO+ RX 480 8GB)と「NITRO+ Radeon RX 480 4G GDDR5」(国内製品名:NITRO+ RADEON RX 480 4G GDDR5 PCI-E DUAL HDMI/DVI-D/DUAL DP OC,型番:SA-RX480-4GD5NOC001/11260-02-20G,以下 NITRO+ RX 480 4GB)は,まさにそんなNITRO+シリーズの新製品だ。

 どちらもGPUに「Radeon RX 480」(以下,RX 480)を採用する製品で,前者はグラフィックスメモリ容量8GB版,後者は国内においてAMD未発表という扱いのグラフィックスメモリ4GB版となっている。もちろん最高性能を目指す以上,どちらもメーカーレベルでクロックアップが施されたモデルなのだが,その恩恵はゲームで感じられるレベルか否か。両製品の実力をチェックしてみよう。


NITRO+ RX 480 8GBはリファレンス比で動作クロックが6〜8%程度向上


 RX 480がどういうGPUなのかはGPUレビュー記事を参照してもらうとして……という,お決まりの口上で始めたいところだが,グラフィックスメモリ容量4GB版のRX 480カードは初登場なので,先にその仕様を簡単に紹介しておこう。

グラフィックスメモリ容量4GB版のRX 480 GPU。パッケージ上にある刻印は(Polaris 10コアのフルスペック版であることを示すと言われる)「215-0876184」で,これはグラフィックスメモリ容量8GB版と同じだ
Radeon RX 400
 グラフィックスメモリ容量4GB版RX 480は,RX 480と名乗るだけあって,シェーダプロセッサ数は2304基,演算ユニットである「Compute Unit」数は36基と,そのスペックはグラフィックスメモリ容量8GB版とまったく同じ。GPUコアクロックがベース1120MHz,ブースト最大1266MHzなのも変わらない。
 また,L2キャッシュ容量が2MB,メモリインタフェースが256bitという点も共通なので,どこかのなんちゃら3GBとは違い,かなりまっとうなメモリ容量削減版だと言えるだろう。

 ただ,ならメモリ容量しか変わらないのかと言うと残念ながらそうではなく,メモリクロックが異なる。
 グラフィックスメモリ容量8GB版だとGDDR5で8000MHz相当(実クロック2000MHz)なのに対し,同4GB版はGDDR5で7000MHz相当(実クロック1750MHz)。メモリバス帯域幅で言えば256GB/sと224GB/sと,約88%になっているのだ。この点は押さえておいてほしい。

 というわけで,以上を踏まえて入手した2製品を見ていきたいと思うが,まず,その動作クロック設定を以下のとおり確認しておこう。

  • NITRO+ RX 480 8GB:ベースクロック1208MHz,ブースト最大クロック1342MHz,メモリクロック8000MHz相当(実クロック2000MHz)
  • NITRO+ RX 480 4GB:ベースクロック1208MHz,ブースト最大クロック1306MHz,メモリクロック7000MHz相当

 すぐ上でRX 480のリファレンスクロックはお伝え済みだが,それと比べると,NITRO+ RX 480 8GBはベースクロックが約8%,ブースト最大クロックが約6%ほど引き上げられた製品となる。一方のNITRO+ RX 480 4GBだと,ベースクロックは約8%ほど高いが,ブースト最大クロックのほうはわずかに3%ほど高いのみだ。また,メモリクロックはどちらもリファレンスどおりである。

V BIOS SWITCH(とLED MODE SWITCH)
Radeon RX 400
 なお,両製品はいずれも,ビデオの外部出力インタフェース近く,一昔前のRadeon搭載カードならCrossFireブリッジ用コネクタがあったあたりに,「V BIOS SWITCH」というトグルスイッチを搭載している。その名称でピンときたRadeon派も多いだろうが,これはRadeon搭載グラフィックスカード上位モデルでお馴染みの「Dual BIOS Toggle Switch」的なものだ。
 スイッチのデフォルト設定はカード後方側だが,前方側に切り換えると,GPUのブースト最大クロックがリファレンスにまで落ちた。前方側はセーフモード的なものだという理解でいいだろう。

 なお,V BIOS SWITCHのすぐ近くには「LED MODE SWITCH」という説明の入ったプッシュスイッチもあるが,こちらは,LEDイルミネーション機能「NITRO Glow」に関連したものとなる。
 NITRO Glowは,

  1. 青色での常時点灯
  2. 色がランダムに変わっていく常時点灯
  3. 基板温度に応じて速度が変わる点滅(※温度が高くなると点滅が速くなる)
  4. ファンの回転数に応じて速度が変わる点滅(※ファン回転数が大きくなると点滅が速くなる)
  5. ユーザー指定の色を用いた常時点灯
  6. 消灯

の6通りから選べるようになっており,スイッチを押すたびに光り方が順繰りに変わっていく仕様だ。デフォルトだと,色がランダムに変わる常時点灯だが,あまり明るくないため,それほどうるさい印象は受けなかった。

写真だと分かりにくいが,左が1.の青色常時点灯で,中央は2.のランダム常時点灯におけるあるタイミングを撮影したもの,右は5.のユーザー指定で赤を選択したところである
Radeon RX 400 Radeon RX 400 Radeon RX 400

 機能面ではもう1つ,NITRO+ RX 480 8GBとNITRO+ RX 480 4GBの両製品が,Sapphire独自のオーバークロックツール「TRIXX Overcloking Utility 3.0」(以下,TRIXX)に対応する点も押さえておきたい。

TRIXX。ちょっと見づらいが,必要な機能は一通りあると表していい。ちなみに前述した,NITRO Glowの「ユーザー指定の色を用いた常時点灯」は,TRIXXの左下にあるNITRO Glowアイコンをクリックすると設定できる
Radeon RX 400

NITRO Glowの設定ウインドウ。「Custom Color」から点灯色を選択できる。また,「Brightness」からは明るさも50%,75%,100%の3通りで選べる
Radeon RX 400
 TRIXXでは,左上から少し中央寄りのところにある「GPU Clock」部へ数値を直接入力するか,上下中央部の左端にある「GPU Clock」のスライドバーを使うことにより,ブースト最大クロックを変更できる。範囲は2製品とも1MHz刻みで0〜2300MHzだが,実際に適用される下限は625MHzだった。また,中央部にある「GPU Voltage」のスライドバーを使えば,GPUコア電圧も,1mV刻みで−200〜+200mVの範囲からオフセット可能だ。

 なお,メモリクロックの設定方法はGPUブースト最大クロックと同様で,「Memory Clock」に数値を入力するか,「Memory Clock」のスライドバーを使うことで,クロック設定を調整できる。設定は実クロックの1MHz刻みで,範囲は0〜2700MHz。
 ブースト最大クロックとは異なり,オフセットではなくメモリクロックそのものを設定することになる。


クーラーはファンを着脱可能。2製品は共通の基板を採用しつつ,電源部の構成が異なる


 続いて,カードそのものについて紹介していきたいと思うが,NITRO+ RX 480 8GBとNITRO+ RX 480 4GBで,カードの外観は同じである。その点はあらかじめお断りしておきたい。

カードは基板のほぼ全体をクーラーと補強板で覆うデザインとなっている。右の写真を見てもらうと,前段で紹介したV BIOS SWITCHおよびLED MODE SWITCHの場所が分かりやすいと思う
Radeon RX 400 Radeon RX 400

Radeon RX 400
 さて,そのカード長は実測で約240mm(※突起部除く)。RX 480のリファレンスカードが同244mmだったので,約4mm短いが,ほぼ同じ長さと言ってよいだろう。ただ,マザーボードへ装着したときの垂直方向に,ブラケットから約19mmはみ出しているため,リファレンスカードと比べると大きな印象も受ける。
 また,リファレンスの6ピン×1より電源供給能力の増した8ピン×1の補助電源コネクタが,マザーボードへ装着したときの水平方向を向いた実装となっているため,カード後方にスペース的な余裕が必要となる点は注意が必要だろう。

8ピンの補助電源コネクタは,カード後方側に実装(左)。その反対側,ブラケット部の外部出力インタフェースはDisplayPort 1.4×2,HDMI 2.0b×2,Dual-Link DVI-D×1となっている。HDMI Type Aポートを2基持つので,たとえば液晶テレビとVR対応HMDの両方に出力するといった場合に便利だ
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カードは2スロット仕様
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ファンの隙間にプラスねじが見える
 搭載するGPUクーラーは2スロット仕様の「Dual-X Cooling」で,95mm直径のファンを2基搭載したタイプである。

 面白いのは,採用するファンユニットがそれぞれプラスねじ1本で留まっており,ネジを外すだけで簡単に引き出せること。これにより,ファンに埃(ほこり)が溜まったときの清掃が恐ろしく簡単になっている。またSapphireによれば,仮にファンが故障したときでも,交換が容易とのことだ。
 どのように「交換用ファン」を入手するのかといった部分は明らかになっていないため,壊れたとき,ユーザーレベルで交換できるのかどうかは不明だが,面白いギミックなのは間違いない。

Dual-X Coolingのファンユニットは簡単に取り出せる。取り出すと,「ファンの支柱部に金属端子を採用することで,このようなギミックを実現している」ことも分かる
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TRIXXには「Fan Check」という機能があり,ファンが正常に動作しているかどうかを確認できるようになっていた。右はファンを片方外した状態でPCを起動した結果で,こんな感じにエラー表示が出る
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 ちなみに,ファンをクーラーから取り出すとよく分かるのだが,ファンは羽の先端部が直角に折れ曲がった構造となっている。Sapphireによると,このデザインは航空機の翼と同じコンセプトによるもので,この羽形状により,静音性とエアフローの向上を期待できるそうだ。

取り出したファンユニット。羽の先端部が特殊な仕様になっていた
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TRIXXのメインウインドウを再掲。ファン回転関連の項目は左下にある
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 最近流行の,アイドル時にファンの回転を停止する機能は,「Intelligent Fan Control 3」として実装。さらに,前述したTRIXXではファン回転の制御方法として「Automatic」「Fixed」「Custom」を選択できるようにもなっている。
 標準はAutomaticだが,Fixedを選ぶと,回転数を0〜100%のパーセンテージから1刻みで指定できる。またCustomなら,温度と回転数のグラフから温度ごとのファン回転数を指定可能だ。

TRIXXのメインウインドウでファン回転数設定Fixed,Customを選ぶと,それぞれ設定用のウインドウが開く。いずれもマウス操作でファン回転数を指定する仕様だ
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NITRO Free Flowのスリット
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 もう1つ,クーラー関係で面白いのは,先ほど述べた「マザーボードの垂直方向にはみ出たデザイン」を活かして,カード背面側の補強板にスリットを設け,エアフローの強化に使っているところだ。
 このスリットをSapphireは「NITRO Free Flow」と読んでいるが,NITRO Free Flowの採用により,排気をブラケットおよびカード後方だけでなくカード背面側からも行えるようになるため,排気された「温まった空気」をファンが再び給気することで冷却能力が低下する現象「Bounce back」(バウンスバック)を抑制できるとのことである。

 ここからは,GPUクーラーを取り外すとメーカー保証は失われるので,仮に本稿の内容を真似してみようと思う場合はくれぐれも自己責任でお願いしたいと述べつつ,今回はレビューのために取り外し,GPUクーラーと基板を詳しく見ていこう。

 まず,GPUクーラーだが,GPUのダイと触れる部分は銅製の枕があり,そこから,8mm径が2本と6mm径が1本で計3本のヒートパイプが,大型のヒートスプレッダ部へ熱を運ぶ構造になっている。
 メモリチップと電源部は熱伝導シート経由でヒートシンクとつながる仕様なのだが,どういうわけかNITRO+ RX 480 8GBだけは,8枚搭載するメモリチップのうち,1枚だけ,熱伝導シートが用意されていなかった。

上下段とも左がNITRO+ RX 480 8GB,右がNITRO+ RX 480 4GB。搭載するクーラーは見る限り2製品で完全に同じなのだが,なぜかNITRO+ RX 480 8GBはメモリチップ用熱伝導シートの枚数が1枚少ない
Radeon RX 400 Radeon RX 400
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 鋭い読者だと上の写真だけで気付いたと思うが,NITRO+ RX 480 8GBとNITRO+ RX 480 4GBでは,同じ基板を採用しつつ,電源部の仕様が若干異なっている。より正確を期すと,NITRO+ RX 480 8GBは見る限り5+1(+1)フェーズ構成なのに対し,NITRO+ RX 480 4GBは6+1(+1)フェーズで,不思議なことに下位モデルのほうがフェーズ数が多いのだ。

あまりにも不自然だったので取り違えてしまったのかと思ったほどだが,間違いなく,左がNITRO+ RX 480 8GB,右がNITRO+ RX 480 4GBの基板だ。フェーズ数は下位モデルのほうが多い
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 基板上のシルク印刷は「109-D00947-00B_02」「P010-0238-00」と同じなので,「見た目は同じだが,レイヤー数が異なる」ということもなく,両製品で基板はまったく同じもののはず。だとすると,下位モデルで,動作クロック設定も大人しいNITRO+ RX 480 4GBのほうで電源部をリッチにする理由が分からないのだが,グラフィックスメモリ容量4GB版RX 480では,歩留まりの都合上,同8GB版RX 480よりも電源部を厚くしなければならないとか,そういった理由でもあるのだろうか?

電源部に寄ったところ。もちろん左がNITRO+ RX 480 8GB,右がNITRO+ RX 480 4GBである。不思議な仕様にばかり目が行ってしまうが,本来は,1万6000時間という長寿命を誇るアルミ固体コンデンサや,従来製品と比べて冷却性能が10%,省力効率が25%向上したというヒートシンク付きチョーク「Black Diamond Chokes 4」が並んでいるのが,電源部の見どころである
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GPU用のMOSFETは40Aに対応するInternational Rectifierの「IR3553」,メモリ用はON SemiconductorのN-Channel MOSFET「4C10N」となっていた
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マルチフェーズコントローラはおなじみ,International Rectifierの「IR3567B」。V BIOS SWITCHの近くにあるのは,ELAN Microelectronic製EEPROM「EM88F758NSO20J」だ。2種類のグラフィックスBIOS(VBIOS)はここに書き込まれているわけである
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 搭載するGDDR55メモリチップは,NITRO+ RX 480 8GBだとSamsung Electronics製「K4G80325FB-HC25」。8Gbitチップ8枚で容量8GBを実現している。8Gbps品なので,メモリクロックのマージンは用意されていない計算だ。
 一方のNITRO+ RX 480 4GBはSK Hynixの「H5GC4H24AJR-R0C」で,こちらは4Gbit品8枚で容量4GBとなる。6Gbps品なので,NITRO+ RX 480 4GBでSapphireは,メモリチップの仕様を超えたクロック設定を行っていることになる。

K4G80325FB-HC25(左)とH5GC4H24AJR-R0C(右)
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RX 480のほかGTX 1060 6GB・3GBと比較。リファレンス相当のVBIOSでのテストも実施


 では,テスト環境を説明していこう。
 今回,比較対象にはRX 480リファレンスカードと,競合製品となる「GeForce GTX 1060 6GB」(以下,GTX 1060 6GB)および「GeForce GTX 1060 3GB」(以下,GTX 1060 3GB)を用意。さらに,NITRO+ RX 480 8GBとNITRO+ RX 480 4GBは,V BIOS SWITCHで設定のうえ,リファレンス相当の動作クロック設定にした状態でもテストすることとした。
 スペースの都合上,グラフ中に限り,「NITRO+」は「NITRO」,この「リファレンス相当の設定」を「Ref.」と書くことを,あらかじめお断りしておきたい。なお,RX 480では,最高性能を得るべく,「Compatibility Mode」は無効化している。

 テストに用いたグラフィックスドライバは,Radeon勢が「Radeon Software Crimson Edition 16.9.1 Hotfix」,GeForce勢が「GeForce 372.70 Driver」。いずれも,テスト開始時点の最新版だ。そのほかのテスト環境はのとおりとなる。


 テスト方法は,4Gamerのベンチマークレギュレーション18.0に準拠。ただし,「3DMark」(Version 2.1.2973)では,DirectX 12版テストである「Time Spy」もテスト対象として追加する。詳細は近々,レギュレーション19世代の解説でお伝えしたいと思うが,今回の時点で述べておくと,Time Spyでは,テストを2回実行し,総合スコアの高いほうを採用するという,レギュレーション18世代における「Fire Strike」テストと同じルールを適用している。

 解像度は,AMDがRX 480を「Beyond HD Gaming」用と位置付けていることから,1920×1080ドットと,アスペクト比16:9でその一段上となる2560×1440ドットの2つを選択した。
 テストにあたっては,CPUの自動クロックアップ機能「Intel Turbo Boost Technology」を,マザーボードのUEFI(≒BIOS)から無効化している。これは,テスト状況によってその効果に違いが生じる可能性を排除するためだ。

 なお,ここまでの紹介してきたテスト環境は,先日掲載した「PowerColor Red Devil RX 480 8GB GDDR5」のレビュー記事とまったく同じ。そのため今回,RX 480とGTX 1060 3GBのスコアは,当該記事より流用している。


RX 480と比べて順当な性能向上を示すNITRO+ RX 480 8GB。GTX 1060 6GBに完勝する場面も


 スコアのグラフは「主役の2製品,主役の2製品をリファレンス相当の動作クロックで動かした状態,RX 480,競合製品をモデルナンバー順」で並べてあるが,いずれもグラフ画像をクリックすると,より高い描画負荷条件におけるスコアを基準に並び替えたものを表示するようにしてあると紹介しつつ,考察に進もう。

 グラフ1は3DMarkのDirectX 11版テストであるFire Strikeの総合スコアをまとめたものだが,NITRO+ RX 480 8GBはRX 480に対して6〜7%,NITRO+ RX 480 4GBも約3%高いスコアを示している。V BIOS SWITCHを使って動作クロックをリファレンス相当にまで落とした状態でも2製品がRX 480より高いスコアを示していることからすると,Dual-X Coolingクーラーの冷却能力はそれだけ優秀という理解でいいだろう。

 競合との比較だと,相対的に負荷の低いFire StrikeでNITRO+ RX 480 8GBはGTX 1060 6GBの約103%,負荷の高いFire Strike Extremeでは約98%という結果だった。対GTX 1060 3GBでは4〜9%程度高いスコアだ。
 NITRO+ RX 480 4GBのほうは,対GTX 1060 6GBで94〜100%程度,対GTX 1060 3GBで100〜106%程度という結果になっている。

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 続いてグラフ2はTime Spyの総合スコアをまとめたものだ。Time Spyでも全体的な傾向は変わらずながら,NITRO+ RX 480 8GBがRX 480の約107%,GTX 1060 6GBの約104%,GTX 1060 3GBの約111%といった具合に,競合製品とのスコア差を若干広げている。

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 グラフ3,4は「Far Cry Primal」の結果だ。
 Far Cry PrimalでもNITRO+ RX 480 8GBはRX 480比で5〜7%程度高いスコアを示した。「ノーマル」プリセットでは完全にGTX 1060 6GBを超え,「最高」プリセットでもいい勝負を演じているので,クロックアップ設定はうまくいっているという理解でいいだろう。
 一方のNITRO+ RX 480 4GBはRX 480とほぼ横並びのスコアになってしまっており,「グラフィックスメモリの容量が少なく,かつ動作クロックが低いこと」がボトルネックとなっている気配を感じられる。

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 Radeon Softwareによる最適化度合いがあまりよくないことで知られる「ARK: Survival Evolved」(以下,ARK)の結果がグラフ5,6だ。ただ,そんな状況でも,NITRO+ RX 480 8GBはRX 480から4〜9%程度高いスコアを示し,GTX 1060 3GBにあと一歩というところには迫っている。「ドライバさえなんとかなれば」と期待を抱かせる数字と言っていいのではなかろうか。
 NITRO+ RX 480 4GBとRX 480とのスコア差は2〜6%程度と,やや開いた。

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 グラフ7,8は「Tom Clancy’s The Division」(以下,The Division)のスコアだ。ARKとは対照的に,The DivisionではRadeon Software側の最適化が進んでいるのだが,果たしてNITRO+ RX 480 8GBはGTX 1060 6GBに8〜10%程度と,かなり見栄えのするスコア差を付ける結果となった。
 NITRO+ RX 480 4GBですらGTX 1060 6GBに対して3〜7%程度高いスコアを付けているのは見事であり,ベストケースにおけるNITRO+ RX 480シリーズの性能には相当に期待できると言えそうである。

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 「Fallout 4」の結果をまとめたグラフ9,10だと,ドライバの問題かどうか,Radeon勢のみ,1920×1080ドット条件で相対的なGPUボトルネックが生じたような横並びのスコアになってしまった。
 一方,2560×1440ドット解像度条件だと持ち直し,分かりやすい例で言えば,対GTX 1060 6GBで,NITRO+ RX 480 8GBは95〜98%程度,NITRO+ RX 480 4GBは91〜94%程度と,店頭価格差を考えればまずまず妥当な数字に落ち着いている。よく言えば「Beyond HD」な環境でこそ光る最適化が入っている,といったところか。

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 GeForceに最適化されている「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク」(以下,FFXIV蒼天のイシュガルド ベンチ)だと,競合との比較はさすがに厳しい(グラフ11,12)。ただ,そんななかでも,NITRO+ RX 480 8GBがRX 480比で2〜6%程度高いスコアを示し,スクウェア・エニックスの示す「スコアの見方」の最高指標「非常に快適」のラインである7000を,「最高品質」の2560×1440ドットで突破してきたのは素直に賞賛できよう。

Radeon RX 400
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 なお,グラフ11’,12’は,そんなFFXIV蒼天のイシュガルド ベンチのスコアを,平均フレームレートベースで示したものだ。興味のある人はこちらもチェックしてほしい。

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 ARKと同様,Radeon Software側の問題を指摘できる「Project CARS」のスコアがグラフ13,14で,ここでもRadeon勢は全体的にいいところがない。
 ただ,RX 480の比較で語るなら,NITRO+ RX 480 8GBは5〜6%程度,NITRO+ RX 480 4GBは0〜2%程度と,動作クロックに応じた,まずまず順当なクロックアップ効果が得られている。

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NITRO+ RX 480 8GBの消費電力はRX 480から大きく増大。GPUクーラーの実力は文句なし


 クロックアップモデルが消費電力の増大を免れないことは,もはや説明するまでもないだろう。その前提に立って,NITRO+ RX 480 8GBとNITRO+ RX 480 4GBの消費電力が,どの程度増えているのかを確認してみよう。
 ここでは,いつものようにログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用い,システム全体の消費電力で比較を行ってみたい。

 テストにあたっては,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイの電源がオフにならないよう指定したうえで,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時としている。

 その結果はグラフ15のとおり。アイドル時はおおむね横並び。競合製品と比べるとNITRO+ RX 480 8GBとNITRO+ RX 480 4GBの数字はやや高いものの,それほど大きな問題ではないだろう。
 一方,注目の各アプリケーション実行時だと,NITRO+ RX 480 8GBとNITRO+ RX 480 4GBは揃って高いスコアを示した。VBIOS切り換えで動作クロックをリファレンスまで落としてもRX 480より高いので,消費電力の増大は覚悟のうえのカード設計なのだろうが,それでも「カードの定格クロックで動作するNITRO+ RX 480 8GBが,GTX 1060 6GB比で72〜113Wも高い」というのは,インパクトのある結果だ。

※そのまま掲載すると縦に長くなりすぎるため,簡略版を掲載しました。グラフ画像をクリックすると,完全版を表示します
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 GPUの温度も確認しておこう。3DMarkの30分間連続実行時点を「高負荷時」とし,アイドル時ともども,TechPowerUp製のGPU情報表示ツール「GPU-Z」(Version 1.10.0)からGPU温度を取得した結果がグラフ16となる。
 なお,ファンの回転数設定は,すべてのカードで工場出荷状態のまま。テストシステムは,室温約24℃の環境で,PCケースに組み込まず,いわゆるバラック状態で机上に置いている。

 GPUクーラーが異なるうえ,温度センサーの位置や取得タイミングが異なるため,横並びの比較に大した意味はない。なので,あくまでもDual-X Coolingの持つ冷却能力を確認する程度に留めたいと思うが,アイドル時はDual-X Coolingのファン回転が停止するため,NITRO+ RX 480 8GBとNITRO+ RX 480 4GBは温度が高めである。もっとも,実スコアは50℃台前半なので,まったく問題のないレベルだ。
 高負荷時も,RX 480と比べると10℃以上低い温度に留めているので,十分な冷却能力を持っていると評していいだろう。


 最後にGPUクーラーの動作音もチェックしておきたい。聴感上の印象が変わらなかったため,今回はNITRO+ RX 480 8GBを代表として,カードと正対する形で30cm離した地点にカメラを置き,録画したものをアップしてみた。
 下に示したムービーでは,まずアイドル状態で1分間放置し,その後,FFXIV蒼天のイシュガルド ベンチを最高品質の2560×1440ドットで4分間実行した様子を収めたものだ。

 テスト開始後最初の1分間はアイドル状態でファンは停止しているため,聞こえる音はすべて周囲の環境音となる。そして,60秒後にFFXIV蒼天のイシュガルド ベンチを実行すると,それから約20秒後にファンが回転を始める。
 回転数は次第に増し,ベンチマーク実行開始の約3分後(=ファイル冒頭から約4分後)に動作音は最大に達しているが,実際に聞いてもらうと分かるとおり,ミドルハイクラスのGPUを搭載するカードの動作音としては,十分に静かと言っていいレベルである。



さすがの完成度と言えるNITRO+ RX 480 8GB。NITRO+ RX 480 4GBの存在もけっこう面白い


製品ボックス
Radeon RX 400
 本稿の序盤でも紹介したとおり,SapphireはNITRO+シリーズを「最高性能を目指した製品」と位置づけているわけだが,リファレンスカードとほぼ同じサイズでより高い性能,より低いGPU温度,より静かな動作音を確実に実現できているのは見事である。懸念は消費電力くらいだろう。
 とくにNITRO+ R9 480 8GBは,クロックアップの効果がはっきりと出ており,このあたりはさすがSapphireといった感が強い。実勢価格は3万6000〜4万3000円程度(※2016年9月23日現在)と,少なくとも安価なRX 480カードではないが,それだけの価値はある製品だ。

 対するNITRO+ RX 480 4GBは,やはりクロック面でパンチを欠くのと,今となっては少なめのグラフィックスメモリ容量がやや気になるテスト結果ではある。ただ,その分実勢価格は3万1000〜3万4500円程度(※2016年9月23日現在)と,オリジナルデザイン採用のRX 480カードとしては低めなので,価格重視なら十分に選択肢となるはずである。

Radeon RX 400

 両製品はターゲットとなるユーザー層が少し異なっており,うまく棲み分けができていると言ってよいのではなかろうか。

NITRO+ R9 480 8GBをAmazon.co.jpで購入する(Amazonアソシエイト)

NITRO+ R9 480 4GBをAmazon.co.jpで購入する(Amazonアソシエイト)

SapphireのNITRO+ R9 480 8GB製品情報ページ(英語)

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