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Radeon HD 6800
  • AMD
  • 発表日:2010/10/22
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印刷2010/10/22 11:01

レビュー

Northern Islands世代の開幕を告げる「Barts」実力診断

Radeon HD 6870
(ASUS EAH6870/2DI2S/1GD5)
Radeon HD 6850
(SAPPHIRE HD6850 1G GDDR5 PCI-E DL-DVI-I/SL-DVI-D/HDMI/DP)

Text by 宮崎真一


Radeon HD 6870&6850リファレンスカードのイメージ。シルエットはよく似ているものの,カード長が異なる
Radeon HD 6800
Radeon HD 6800
 別途ニュース記事でもお伝えしているように,日本時間2010年10月22日11:01,AMDは,開発コードネーム「Northern Islands」(ノーザンアイランズ)と呼ばれてきたDirectX 11対応GPUの第2世代シリーズの第1弾にして,同「Barts」(バーツ)こと「Radeon HD 6800」を発表した。

 ATI Radeon HD 5800シリーズの後継は,Bartsのほか,2010年第4四半期中の市場投入が予告されている同「Cayman」(ケイマン)も予定されているが,Barts(=Radeon HD 6800)は,AMDが「スイートスポット」と呼ぶ,150〜250ドルの価格帯を狙う製品となる。
 北米市場における搭載グラフィックスカードの想定売価は,上位モデル「Radeon HD 6870」(以下,HD 6870)が239ドル,下位モデル「Radeon HD 6850」(以下,HD 6850)が179ドルとなっている。

報道関係者向け事前説明会で公開されたRadeon HD 6000シリーズのロードマップ。「上から3つめのGPUなら,Bartsは“6700”が正解なんじゃないの?」と思うかもしれないが,これについてAMDでグラフィックス製品ビジネスを統括するMatt Skynner副社長は,「800番台は,3800,4800と続けて,200ドル程度の製品をターゲットにしてきた。5800だけが高い価格設定となっていたのだ。そこで,6800では価格設定に即したモデルナンバーに戻した」と述べている
Radeon HD 6800

 4Gamerでは,ASUSTeK Computer(以下,ASUS)からHD 6870搭載カード「EAH6870/2DI2S/1GD5」,Sapphire Technology(以下,Sapphire)の販売代理店であるアスクからHD 6850搭載カード「SAPPHIRE HD6850 1G GDDR5 PCI-E DL-DVI+SL-DVI-D/HDMI/DP」(以下,SAPPHIRE HD6850)の貸し出しを受けることができたので,さっそく,新世代GPUの実力に迫ってみたい。

Radeon HD 6800
EAH6870/2DI2S/1GD5
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ユニティ(販売代理店) news@unitycorp.co.jp
予想実売価格:3万円前後(※2010年10月22日現在)
Radeon HD 6800
SAPPHIRE HD6850 1G GDDR5 PCI-E DL-DVI+SL-DVI-D/HDMI/DP
メーカー:Sapphire Technology
問い合わせ先:アスク(販売代理店) info@ask-corp.co.jp
販売代理店想定売価:2万円台前半

AMD,新世代GPU「Radeon HD 6800」を発表。HD 5800シリーズの後継を150〜250ドルで



HD 5800シリーズをベースに

さらなる効率向上を目指したHD 6800


 もう1つのATI Radeon HD 5800シリーズ構成製品となるCaymanと,Cayman×2構成となる「Antilles」(アンティレス,開発コードネーム)は「Radeon HD 6900」の名が与えられる予定だが,それを踏まえたAMDのGPU上位製品移行計画をまとめたものが下のスライドだ。
 AMDはHD 6870を「ATI Radeon HD 5870」(以下,HD 5870)と「ATI Radeon HD 5850」(以下,HD 5850)の間に置き,HD 6850は,HD 5850より若干下に置いている。もう少し分かりやすく述べると,HD 6870はグラフィックスメモリ1GB版「GeForce GTX 460」(以下,GTX 460 1GB),HD 6850はグラフィックスメモリ768MB版「GeForce GTX 460」(以下,GTX 460 768MB)のそれぞれ対抗という位置づけである

AMDが示している製品移行計画
Radeon HD 6800

ちなみにNVIDIAは,Radeon HD 6800シリーズに対抗する形でGTX 460 1GBの価格を199.99ドルに,「GeForce GTX 470」を259.99ドルにそれぞれ引き下げ,「HD 6850の対抗はGTX 460 1GBで,HD 6870の対抗はそのクロックアップ版もしくはGeForce GTX 470だ」という声明を発表した。クロックアップ版はカードメーカーの製品なので,どちらの言い分が正しいということは決められないが,筆者の主観で述べるなら,NVIDIAの主張はやや苦しい印象だ。

 下に示したのは,左がBarts,右がATI Radeon HD 5800シリーズとなるCypressのブロックダイアグラムだ。公開されたBartsのダイアグラムが正確であることを前提に話を進めると,5基の「Stream Processing Unit」(以下,SP)が「Thread Processor」を構成し,さらにそのThread Processorが16基集まって「SIMD Engine」を構成し,テクスチャユニットやL1キャッシュとセットで1つにまとめられている点をはじめ,基本的なアーキテクチャはATI Radeon HD 5800シリーズとほとんど同じである。

Barts(左)とCypres(右)のブロックダイアグラム。「どれがThread Processor?」など,疑問がある場合は,ATI Radeon HD 5800シリーズの解説記事を参照してほしい
Radeon HD 6800 Radeon HD 6800

 ただし,Cypressのフルスペック(=HD 5870)でSIMD Engineが20基あったところ,HD 6870では14基(5×16×14=1120 SP),HD 6850では12基(5×16×12=960 SP)となった。64bit幅のメモリコントローラを4基搭載する256bitインタフェースのメモリ周りや,32 ROPという仕様は据え置きなので,ハードウェアとしてはより小規模になったわけだ。
 実際,HD 6870とHD 5850を比較すると,同じ40nmプロセスを採用しながら,ダイサイズは334mm2から255mm2へ,トランジスタ数も21億5000万から17億へと,それぞれ25%ほど小さくなっている。

HD 5850と比べてダイサイズとトランジスタ数が減少しながらHD 6870でパフォーマンスは向上したというスライド
Radeon HD 6800

Radeon HD 6800
Radeon HD 6800
 そんなBartsのキモはどこにあるかというと,2基のラスタライザを効率よく使えるよう,2基のSIMD Engineクラスタごとにそれぞれ「Ultra-Threaded Dispatch Processor」(ウルトラスレッド・ディスパッチプロセッサ)を搭載し,さらに,2基の同プロセッサそれぞれにInstruction Cache(命令キャッシュ)とConstant Cache(定数キャッシュ)が用意された点ということになるだろう。
 また,「ATI Radeon 8500」の「TRUFORM」以来,第7世代と位置づけられるテッセレータが,ATI Radeon HD 5000シリーズ比で2倍の性能に引き上げられたとされるのも,DirectX 11世代のアプリケーションでGeForce 400シリーズに水をあけられがちだった前世代からの重要な改善点といえそうだ。

 これらのマイナーだが意味のある改善を施すことで,GPUの規模を小さくし,より製造コストを抑えながら,前世代より高い性能を獲得したというのが,HD 6870&HD 6850の大きな特徴ということになる(表1)。このほかアーキテクチャの詳細は,ニュース記事を併せて参照してほしい。



完全な“箱型”が印象的なリファレンスクーラー

SAPPHIRE HD6850は基板の短いオリジナル設計に


Radeon HD 6800
 今回入手した2枚のグラフィックスカードをチェックしていこう。
 まずEAH6870/2DI2S/1GD5だが,こちらはリファレンスデザインを踏襲したモデルで,完全な箱形と述べて差し支えない形状のGPUクーラーを搭載している。
 基板のサイズは約241mm(※突起部含まず)で,HD 5850のリファレンスデザインとほぼ同じだが,そのGPUクーラーが基板から若干はみ出しているため,カード長としては6mmほど長い同247mmとなる。

Radeon HD 6800 Radeon HD 6800

 GPUクーラーの動作音は,筆者の主観であることを断ったうえで述べると,「低負荷時はまったく気にならないが,高負荷時は多少耳に付く」といったところ。OSの起動後,30分間放置した時点を「アイドル時」,「3DMark06」(Build 1.2.0)を30分間連続実行した時点を「高負荷時」とし,それぞれの時点におけるファンの回転数を確認してみると,前者は1051rpm,後者は1839rpmで,それほど高回転というわけではないのだが,少なくともHD 5850のリファレンスクーラーよりは動作音が大きい印象を受けた。

GPUクーラーを取り外したところ
Radeon HD 6800
 次にGPUクーラーを取り外してみると,電源周りの回路が外部出力インタフェース側に用意されているのに気づく。構成部品からすると,電源部は4+1フェーズではなかろうか。
 PCI Express補助電源コネクタは2系統用意されており,これもHD 5850のリファレンスデザインと変わらない。ただ,HD 5850だと,PCI Expressスロットに差したときマザーボードと水平方向を向くような補助電源コネクタ配置だったのに対し,HD 6870のリファレンスデザインは垂直方向を向くようになっている。

GPUクーラーは,2ピース+カバーという構成。3本のヒートパイプが走るGPU用ヒートシンクと,メモリチップや電源部用のヒートシンクが一体になったファン部を,箱のようなカバーが覆う。クーラーは完全外排気かと思いきや,PCケース内部にも排気する構造だ
Radeon HD 6800 Radeon HD 6800 Radeon HD 6800

 搭載するメモリチップはHynix Semiconductor製のGDDR5「H5GQ1H24AFR-T2C」(5Gbps品)で,「ATI Radeon HD 5970」のリファレンスカードに搭載されていたものと同じ。EAH6870/2DI2S/1GD5は,コアクロックだけリファレンスの900MHzから915MHzにクロックアップされている一方,メモリクロックはリファレンスどおりの4.2GHz相当(実クロック1050MHz)なので,メモリクロックの動作マージンはたっぷり設けられている計算になる。

HD 6870 GPUとメモリチップ。デジタルノギスで計測すると,GPUのダイサイズは18.27×14.62mmだったが,ダイサイズは255mm2とされているので,もう少し小さいはずだ
Radeon HD 6800 Radeon HD 6800

Radeon HD 6800
 続いてSAPPHIRE HD6850だが,こちらはSapphire独自の基板設計に独自のクーラーを搭載した,完全オリジナル設計モデル。カード長も実測216mm(※突起部含まず)と,リファレンスカードの同228mmから12mmほど短くなっている。
 PCI Express補助電源コネクタは6ピン×1で,これはHD 6870に対するHD 6850の差別化ポイントと述べていいだろう。端子の向きはマザーボードに対して水平で,これはリファレンスカードと同様だ。

Radeon HD 6800 Radeon HD 6800

 GPUクーラーのファン回転数は,アイドル時1240rpm,高負荷時2220rpm。ただ,風切り音はそれほど大きくなく,筆者の主観では「かなり静か」と言えるレベルにある。
 そのクーラーを取り外してみると,電源部が3+1フェーズのように見えるなど,多少の簡略化は見えるものの,基本的にはHD 6870のリファレンスデザインと似た設計になっていることが窺えよう。

2本のヒートパイプを採用し,ファンを組み合わせたアクティブクーラーに,カバーを取り付けた構造になっているGPUクーラー。電源周りのレギュレータにはヒートシンクが装着されている一方,メモリチップには用意されていないので,メモリチップの冷却はファンからのエアフローに頼ることとなる
Radeon HD 6800 Radeon HD 6800 Radeon HD 6800

HD 5850リファレンスカードの背面。パターンを見ると,電源部が写真右上部にあると分かる
Radeon HD 6800
 今回は,カード入手スケジュールの影響で,“剥いた”状態での直接比較は行えていないのだが,カード背面で比較すると分かるように,実のところHD 6850のリファレンスカードだと,電源部はATI Radeon HD 5800シリーズと同様,外部出力インタフェース部の反対側に用意されていた。その意味でSAPPHIRE HD 6850は,HD 6870リファレンスデザインを基に,カード長の短縮を図ったモデルと言えそうだ。
 電源周りには補助電源コネクタおよび電源部の空きパターンも見られるので,ひょっとするとこのサイズでHD 6870搭載モデルが出てきたりするのかもしれず,今後に期待したい。

 なお,SAPPHIRE HD6850が搭載するメモリチップはEAH6870/2DI2S/1GD5と同じHynix Semiconductor製の5Gbps品。SAPPHIRE HD6850の動作クロックはリファレンスどおりのコア775MHz,メモリ4.0GHz相当(実クロック1GHz)なので,そのマージンはHD 6870リファレンスデザインよりも大きいことになる。

HD 6850 GPU(左)。同じBartコアなので当たり前だが,HD 6870と実測のダイサイズは同じだった。レビュワー向けサンプルということもあってか,GPUチップにはエンジニアリングサンプルであることを示す「ENG」の刻印があった。搭載するメモリチップはHD 6870リファレンスデザインと同じ(右)
Radeon HD 6800 Radeon HD 6800

Radeon HD 6800シリーズのリファレンスデザインだと,外部グラフィックス出力はDVI-I×2(※Dual Link,Single Link各1),HDMI×1,Mini DisplayPort×2.EAH6870/2DI2S/1GD5はさすがにリファレンスどおりだが,SAPPHIRE HD 6850はMini DisplayPort×2の代わりにDisplayPort×1となっていた
Radeon HD 6800 Radeon HD 6800


Catalyst 10.10ベースのレビュワー向けドライバで

HD 6870&HD 6850の立ち位置を探る


 テスト環境は表2に示したとおり。置き換え対象となるHD 5850のほか,上位モデルにどこまで迫れるか,下位モデルに対してどれだけの差を付けるかを見るべく,HD 5870と,「ATI Radeon HD 5830」(以下,DH 5830)を用意した。上で紹介したとおり,EAH6870/2DI2S/1GD5はメーカーレベルでコアクロックが15MHz引き上げられたクロックアップモデルだが,今回はリファレンス相当にまで落としてテストすることをあらかじめお断りしておきたい。
 競合製品からは,AMDが対抗と位置づけるGTX 460 1GBとGTX 460 768MBの両リファレンスカードを用意し,さらに,NVIDIAの主張上HD 6870の対抗になるGTX 470も比較対象に加えている。

 Radeonの検証に用いた用いたドライバソフトウェアは,AMDから全世界のレビュワーに配布された「8.782-100930m-106214E」。これは近々リリースされる2010年10月版グラフィックスドライバ「Catalyst 10.10」の製品候補版(RC2)と位置づけられているバージョンだ。一方のGeForce勢は,テスト時の公式最新版となる「GeForce Driver 260.89」でテストする。


 テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション10.0に準拠し,テスト解像度は1680×1050&1920×1200ドットを選択した。
 なお,テストに用いている「Core i7-975 Extreme Edition/3.33GHz」は,パフォーマンスに影響し,かつBIOSから有効/無効を切り替えられる機能のうち,「Intel Hyper-Threading Technology」「Enhanced Intel SpeedStep」は有効にしたままとしつつ,テスト時の状況によって影響が異なるのを避けるため,「Intel Turbo Boost Technology」は無効化している。


HD 5870に迫る勢いを見せるHD 6870

HD 6850はHD 5850とほぼ同程度の性能


 例によって前置きが長くなったが,テスト結果の考察に入ろう。以下,3D性能を見ているグラフは,基本的にRadeon→GeForceのモデルナンバー順でバーを並べてあるが,一部,その並びだと見にくいものもあるので,グラフ画像をクリックすると,スコア順に並び替えたものを別ウインドウで表示するようにしてある。見やすいほうでチェックしてもらえれば幸いだ。

 さて,グラフ1,2は,3DMark06の総合スコアをまとめたものになる。アンチエイリアシング&テクスチャフィルタリングを適用していない「標準設定」,4xアンチエイリアシング&16x異方性フィルタリングを適用した「高負荷設定」とも,HD 6870のスコアはHD 5870に一歩届かない程度のスコアになっており,AMDが競合と位置づけるGTX 460 1GBには7〜16%の差を付けた。NVIDIAが競合とするGTX 470に対してもほぼ互角だ。
 HD 6850はHD 5850とほぼ同じスコアにまとまっており,GTX 465 768MBどころかGTX 460 1GBより高いスコアを示している。

Radeon HD 6800
Radeon HD 6800

 続いてグラフ3〜7は,3DMark06のデフォルトである解像度1280×1024ドット,標準設定における「Feature Test」のテスト結果をまとめたもの。まずグラフ3〜5は順に,Fill Rate(フィルレート),Pixel Shader(ピクセルシェーダ),Vertex Shader(頂点シェーダ)のスコアだが,SIMD Engine数がATI Radeon HD 5800シリーズよりも少なく,いきおいテクスチャユニット数も少ないため,よりテクスチャユニット性能がモノを言うMulti-TexturingでHD 6800シリーズは大きくスコアを落とした。ただ,それでもGeForceの3モデルに対しては十分に高い値だ。
 また,テクスチャユニットと同じくDirectX 9世代のパフォーマンスを左右するPixel Shaderのスコアも,同様の傾向を見せている。
 Vertex Shaderだと,HD 6870とHD 5870がほぼ同じ。HD 6850がHD 5850より若干高いスコアとなった。

※グラフ3のスコア順グラフはMulti-Texturingの値,グラフ5のスコア順グラフはComplexの値をそれぞれ基準に並び替えています
Radeon HD 6800
Radeon HD 6800
Radeon HD 6800

 DirectX 9世代における汎用演算性能を見るShader Particle(シェーダパーティクル),長いシェーダプログラムの実行性能を見るPerin Noise(パーリンノイズ)の結果が順にグラフ6,7だが,ここでの結果はおおむねPixel Shaderと似た印象だ。

Radeon HD 6800
Radeon HD 6800

 実際のゲームにおけるパフォーマンスはどうか。
 グラフ8,9は,「S.T.A.L.K.E.R.: Call of Pripyat」(以下,STALKER CoP)における「Day」シークエンスの結果となる。
 Dayシークエンスは比較的負荷の低いDirectX 11世代のテストになるが,ここでHD 6870はHD 5870に届かず,7〜9%の差を付けられた。DirectX 11世代のアプリケーションに強みを見せるGTX 470にも置いて行かれ気味だ。ただし,AMDが対抗と位置づけるGTX 460 1GBは安定的に上回った。
 HD 6850は,HD 5850より若干低い程度,ほぼ互角といえるレベルに踏みとどまっている。

Radeon HD 6800
Radeon HD 6800

 同じくSTALKER CoPから,最も負荷の高い「SunShafts」シークエンスのスコアがグラフ10,11だが,ここだとHD 5870とHD 6870の差が開くだけでなく,HD 6870はGTX 460 1GBの逆転を許し,GTX 460 768MBに並ばれてしまう。HD 6850は言うまでもなくそれよりさらに低く,「振り返ればHD 5830」という状態である。
 DirectX 11タイトルの場合,テッセレーションなどの負荷が一定範囲内に収まる場合は,アーキテクチャの最適化でまかなえるが,それを超えると,SP数の少なさや,“DirectX 11特化型GPU”たるGeForce 400と比較して数歩譲るテッセレーション性能の影響が出てくる傾向にあるようだ。

Radeon HD 6800
Radeon HD 6800

 別のDirectX 11タイトルではどうか。グラフ12,13は「Battlefield: Bad Company 2」(以下,BFBC2)のテスト結果となるが,ここでは「HD 6870≒HD 5870」,「HD 6850≒HD 5850」と述べて差し支えない。
 SP数の少なさは,Ultra-Threaded Dispatch Processorの二重化や第7世代テッセレータなどで十分にカバーできていると述べていいだろう。

Radeon HD 6800
Radeon HD 6800

 2010年秋を迎えても市場で支配的なのはDirectX 9世代のタイトルだが,おおむね3DMark06と同様の傾向にまとまるのか。グラフ14,15は「Call of Duty 4: Modern Warfare」(以下,Call of Duty 4)のスコアだが,ここでは2つの見方ができそうだ。1つは,「DirectX 9タイトルだと,HD 6870はHD 5870,HD 6850はHD 5850を超えられない。HD 6800の性能はHD 5800から若干低く見積もるべき」ということ。もう1つは,「DirectX 9タイトルにおいて,HD 6870は,NVIDIAが対抗と位置づけるGTX 470と同等かそれ以上の実力を示す」ということである。

Radeon HD 6800
Radeon HD 6800

 グラフ16,17に示したDirectX 10世代のタイトル「Just Cause 2」だと,GeForce Driver 260.89に問題があるのか,GeForceの3製品が軒並みスコアを大きく落とした。そのためここではRadeon間の比較に留めるが,HD 6870がHD 5870に若干離され,HD 6850とHD 5850がほぼ同じスコアに落ち着いているという意味では,これまでと同等の傾向といえる。

Radeon HD 6800
Radeon HD 6800

 同じDirectX 10世代のタイトルとなる「バイオハザード5」だと,GeForceのスコアが正常と思われる値を示したので横並び比較したいと思う。本タイトルはGeForceへの最適化度合いが顕著なので,グラフ18,19ではGTX 470でHD 5870を上回るスコアが出ていたりするが,そんななかでもHD 6850がGTX 460 1GBに対して優勢な点は押さえておくべきだろう。

Radeon HD 6800
Radeon HD 6800

 性能検証の最後は,DirectX 11世代の「Colin McRae: DiRT 2」(以下,DiRT 2)である(グラフ20,21)。DiRT 2は,Radeonへ最適化されているにも関わらず,DirectX 11アプリケーションに強いGeForce 400シリーズで高いスコアが出るのだが,やはりというかなんというか,GeForceが強い。AMDが想定する対抗製品,GTX 460 1GBとGTX 460 768MBに対して,HD 6870とHD 6850は付いていくのがやっとで,届いていない場面も見られる。

Radeon HD 6800
Radeon HD 6800


HD 6870はHD 5870,HD 6850はHD 5850比で

消費電力が下がる


Radeon HD 6800
 Radeon HD 6800シリーズの公称最大消費電力はHD 6870が151W,HD 6850が127W。後者は補助電源コネクタが6ピン1系統であり,実際AMDは,最高の消費電力あたり(そしてダイサイズあたり)性能を目指したとアピールしている。
 実際,その目標は達成されているのか,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の消費電力を計測し比較してみよう。テストにあたってはアイドル時に加えて,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時としている。

 その結果はグラフ22のとおり。グラフが大きくなりすぎたため,縮小版を掲載しているが,まず,アイドル時の消費電力でATI Radeon HD 5800シリーズの27Wから19Wへ低減したという効果は,残念ながらテストからは確認できなかった。
 一方,アプリケーション実行時だと,タイトルによってバラツキこそあるものの,HD 6870はHD 5870,HD 6850はHD 5850より確実に低いスコアを示している。HD 6850の公称最大消費電力がHD 5850やHD 6870の151Wから127Wへ24Wも下がった効果までは確認できていないものの,3Dベンチマークテストの結果も踏まえると,「前世代のGPUとほぼ同じ性能を維持したまま消費電力が下がっている」とは述べてよさそうだ。

 ただ,同じ公称最大消費電力のGPUとして見ると,HD 6870がHD 5850より高いのは気になるところ。調べてみると,今回試したHD 6870カードであるEAH6870/2DI2S/1GD5の場合,定格のGPUコア電圧が1.172Vで,HD 5850リファレンスカードの同1.0875Vと比べて若干高かった。歩留まりを向上させるため……なのかどうかは分からないが,この高いGPUコア電圧設定が,HD 5850よりも消費電力が高くなった一因とは考えられそうである。
 それにしても,GTX 470の突き抜けた“圧勝”ぶりは,あらためて指摘するまでもないとは思うが,閉口させられる。

※グラフ画像をクリックすると,数値を含めた完全版を別ウインドウで表示します
Radeon HD 6800

 最後にグラフ23は,室温21℃の環境におけるアイドル時と高負荷時のGPU温度を,GPU-Zから測定したものになる。
 搭載するクーラーが異なるので,横並びの比較に意味はないのだが,それでも,HD 6850が搭載するSapphireオリジナルクーラーはかなり優秀だとは言えるだろう。HD 6870のリファレンスクーラーは,高負荷時に77℃と,まったく問題ないレベルではあるものの,高いGPUコア電圧設定の影響が出ているとは言えそうだ。



カード長が短く,電源コネクタが1系統で済む

HD 6850は要注目。ハイエンドの人はもう少しの辛抱を


左から順に,HD 5870(※正確にはHD 5870 Eyefinity 6 Edition),リファレンスデザインを採用したASUSのHD 6870カード,SapphireオリジナルデザインのHD 6850カード,GTX 460 768MBカード。SAPPHIRE HD 6850のカード長はGTX 460 768MBとほぼ同じだ
Radeon HD 6800
 以上のテスト結果を踏まえるに,HD 6870とHD 6850は,ATI Radeon HD 5800の後継製品として,驚きはないが,グラフィックスカード製品としてのバランスのよさに磨きがかかった製品とまとめることができそうだ。HD 5870やHD 5850に匹敵する性能のGPUが,150〜250ドルの価格帯で投入されることは,かなり魅力的と言っていいだろう。
 メーカー各社の初値は,HD 6870が2万円台中盤から3万円程度,HD 6850が2万円台前半〜中盤になる気配で,多分に“ご祝儀相場”的と言わざるを得ないが,年末商戦に向けて,国内の店頭価格が北米市場におけるAMDの想定売価に近づいていけば,かなり面白い選択肢として浮上してくると思われる。とくに,補助電源コネクタが1本で済み,カード長も短くなるHD 6850は,近い将来,かなりの人気を集めるのではないだろうか。

EAH6870/2DI2S/1GD5(左)とSAPPHIRE HD6850(右)の製品ボックス
Radeon HD 6800 Radeon HD 6800

 ただ,すでにHD 5870やHD 5850を使っている人からすると,買い換え対象になり得ない性能の製品なのも確か。ハイエンド志向のユーザーにとっては,「もう1つのATI Radeon HD 5800後継」として年内に投入される予定のRadeon HD 6900シリーズこそが本命といえ,それらが発表されるまで,もう少し待つ必要がありそうだ。


AMDのRadeon HD 6000シリーズ製品情報ページ

GAME.AMD.COM



※2011年10月22日13:15追記
 北米市場における搭載グラフィックスカードの想定売価について日本AMDから情報が公開されたため,記事中の価格情報をアップデートしました。
  • 関連タイトル:

    Radeon HD 6800

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