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[GDC2008#44]「Far Cry 2」 開発者が考察するオープンワールドにおけるストーリー構成
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Far Cry 2は,広大なマップでミッションを自由に獲得/遂行するという,いわゆる“オープンエンド”なスタイルを採用。これは,本来テンポの良さが決め手の一つであるはずのFPSとは相反するゲームシステムだ。「S.T.A.L.K.E.R. - Shadows of Chernobyl」「JUST CAUSE」などのゲームでも,同じ試みがなされてきた。
しかし,Far Cry 2ではこれをさらに一歩進め,「物語の創作」でプレイヤーのイマジネーションの力を借りることで,より柔軟に対応しながらも,ストーリーテリングが緩慢にならないようにしていこうという設計になっているらしい。
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本作が,S.T.A.L.K.E.R.のような同系統の作品と大きく異なるものになると期待される要素が,Redding氏の説明する「Infamy」(汚名)レーティングであろうか。Redding氏は,「プレイヤーキャラクターは,Far Cry 2の中では一定の道徳がある世界に存在する」として,同作には「Dungeons & Dragons」に見られるような評判システムが存在することを公表する。
味方,敵,一般人に関わらず,このInfamyレーティングによって,プレイヤーへのNPCの接し方が微妙に異なってくる。戦闘ミッションを援助してくれる仲間も,どのように援助してくるかが変化するらしい。
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またFar Cry 2では,プレイヤーキャラクターがマラリアに罹ることがあり,序々にヘルス値のキャップ(上限)を失っていく。治療すれば最上限まで戻すことも可能なのだが,マラリア用の薬はNPCしか持っていない。つまり,Infamyレーティングが高くなるにつれて,プレイヤーの要請を断って薬を分けてくれないNPCだって出てくるだろう。「どんなNPCとコンタクトすることになるか分からない」という,ゲームにありがちな行きずり以上の社会性を与えていくことで,プレイヤーの行動の選択,ひいてはストーリーに微妙な影響を与えていくのである。
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マップのどの地点からプレイヤーが移動してくるのかは分からないし,いきなりどういう行動を取るのかを予測して対処していくのは,開発者にとっては時間がかかるばかりで至難の業だ。
それならば,大仕掛けのスクリプトシーンを特定の場所に用意しておくのではなく,NPCの決まった行動パターンをさまざまなケースに応用していくことで,バラエティを演出するのである。これを,Redding氏は「小さなストーリーのレンガ積み」(Bricks of Micro-Narratives)と呼んでおり,「ストーリーというのは,ただのデータではありません。ゲーム体験の底部分に基礎として設置し,うまく運用していかなければならないのです」と続けた。
ちなみに,Far Cry 2のストーリー的なアイデアは,19世紀の小説家ジョセフ・コンラッドの「闇の奥」,そしてそれを原作にした映画「地獄の黙示録」から得ているそうで,「薄板の礼儀的関係と残酷な真実」がテーマとなる。プレイヤーの行動や思考が,ゲームストーリーの補助になるというのは,今回のGDCでも何度か聞かれたゲームデザイナー達の意見であるが,Far Cry 2を成功に導くことができるのだろうか。
- 関連タイトル:
Far Cry 2
- この記事のURL:
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