インタビュー
「MMORPGはお任せします」「RMTがなぜまだ問題なのか分からない」「Microsoftさんからは返事がありません」ネクソンジャパン社長David K.Lee氏,大いに吼える
月額無料の次は,何をタダにする?
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そういうことを踏まえたとき,実はけっこう大きな問題があると思っていまして。というのも,日本のオンラインゲームシーンは,ものすごい勢いで変貌しています。先にパッケージゲームの市場があって,そこにオンラインゲームが出てきた。
オンラインゲームが市場に食い込むに当たって,最初にしたのは,パッケージに相当するクライアントソフトをタダにすることでした。それでハードルを下げようと。で,次にプレイ料金をタダにしました。もう捨てるものがないわけです。次はアイテムもタダにするくらいしかないわけですが,この先の展開は,いったいどうなっていくとお考えでしょうか?
David氏:
うーん,その選択が必要なんですかね? 確かにお金を払わないプレイヤーさんがいまや多数を占めていますが,その人達が楽しめるコンテンツがいっぱいある状況ですから,そこは問題ないんじゃないかと。
逆に,(アイテム課金であれ)いま課金を払っているプレイヤーさんは,価値を感じて払ってくれている。それを捨てる必要はないんじゃないかと。
4Gamer:
なるほど。でもどこかの時点で誰かが,生き延びるためにブレイクスルーをかけてしまう気がします。そもそも基本無料にしても,日本の既存のゲームマーケットから見れば,とんでもない椿事だったわけで。クライアント無料の時点で,そうだったともいえますが。
David氏:
うーん,月額課金を捨てられたのは,その代わりに別のビジネスモデルが成立したから,ですよね?
4Gamer:
そのとおりです。
David氏:
つまり,アイテム課金に代わり得るような次のビジネスモデルが成立するのであれば――仮にそれが可能だったとして,ですが――そちらに移行すればよいわけですから,あまり恐れるようなことではありません。
4Gamer:
うーん,なるほど。
David氏:
ただし,新しいビジネスモデルに関しては――うちもいろいろ研究していますが――まだまだ時間がかかりそうです。
そして二つ目のポイントは,別に新しいビジネスモデルが出てきたからといって,旧来のビジネスモデルが直ちに無効になるわけではない,ということです。例えば「アイドルマスター」では,パッケージ販売に加えて,アイテム課金を採用しています。
お金で,ゲーム体験のどこかを変えられるというアイテム課金のニーズは,依然としてあるだろうと。
4Gamer:
はい,そこはよく分かります。ただそれが言えるのは,Nexonさんが大手パブリッシャだからですよ。生き残りに必至な中堅どころはいっぱいあるわけで,彼らはどこかでブレイクスルーを作らなければならない。
David氏:
いやでも,そこで無理をしてブレイクスルーを達成したとしますね。プレイヤーさんも集まったとしましょう。で,有料化に踏み切れるかというと,それは無理ですよね。とすると,現実的な次の選択肢は何だろうということに。
4Gamer:
何でしょうね。
David氏:
そこまで無理をするパブリッシャさんが出てきますかね? まあ,ともあれいまの話は,日本のゲーム会社から見たら,クライアントソフトを無料化したり,定額課金を捨てたりといったことも,あり得ない話だったはずだ,と。
4Gamer:
そうです。
David氏:
そこはおっしゃるとおりだと思うんですけど……。
4Gamer:
次もきっと,あり得ないことが起こる。そう思っているわけです。アイテム課金のモデルにしてからが,おかしな話であって,そもそも80%くらいの人が,お金を払っていない。
David氏:
まあ,そうなんですよね。プラス/マイナスの帳尻が合っているというだけで。
4Gamer:
その80%の人のために,サーバーコストなり何なり,大きな運営コストを払っている。これはそもそもおかしいのではないか,と。
David氏:
ですからそのあたりで,その80%のプレイヤーさんを生かすビジネスモデルもあるのではないかと。
4Gamer:
そのとおりです。なんとかして,生かしたいところですよね。その意味で,この先をどうお考えなのだろうと。もちろん,全然大丈夫という話であれば,それも一つの見通しですが。
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いや,ビジネスモデルもコンテンツも,この先いろいろと挑戦していかねばなりません。課金も含めて,レベニューソースを増やしていかないといけない。ゲーム内広告も,その一つではあると思っています。
ただしそれは,まずアメリカで成立しないとおかしい。アメリカが一番単価が高いですから。でも,そうするためにはまず認知度を上げる,つまりそのゲームを流行させる必要があります。
レベニューソースの二つ目は,オフラインコンテンツ化やライセンシングなどになると思います。ゲームだけで終わっちゃうとつまらないよね,ということで。「メイプルストーリー」のアニメにしても,いろいろ勉強になっていますね。今度,積極的に展開するにはどうすればよいかとか。
アメリカや中国,韓国をそれぞれ見たとき,やはりゲームと同じく,一つのコンテンツで通じるわけではない。アニメでも,ローカライズできるコンテンツを作らなければならない,とか。
4Gamer:
アニメも各国で感性が大きく異なりますよね。
David氏:
でも,おかげさまで日本でも,視聴率が上がってきました。7〜8%をボトムに,多いときは2倍強と良い数字が出ていますので,放送局側もおそらく満足してくれているのではないかと。
4Gamer:
しかし,割とゲーム業界の人も「メイプルストーリー」のことを知らないですよね。
David氏:
そこも課題で,やはりメジャー感を出さないといけない。オンラインゲームとしては,トップ3に位置しないといけないのですが。
4Gamer:
実はメガヒットクラスですよね。それは毎回の記事のPV(ページビュー)からも,容易に想像がつきます。ちょっとびっくりするような数字がコンスタントに出ていますし。
David氏:
その割に,認知は進んでいないなあと。
4Gamer:
不思議ですね。
David氏:
(広報担当者のほうをチラっと見て)広報宣伝とか?(笑)
4Gamer:
いやいやいや(笑)。
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とにかく,ビジネスモデル面でチャレンジしなければならない部分もあると思います。アメリカでは「メイプルストーリー」のトレーディングカードゲームも販売されているんですけど(編注:つい先日,日本国内版の発売もアナウンスされた),ほかの例,まあポケモンはあまりに特殊な例すぎますけど,うまくいけばものすごい規模の収益になるわけですし。
4Gamer:
「遊戯王」とかもそうですよね。
David氏:
そう。オンラインとオフラインの連携とか。
4Gamer:
では,割とブランドを育てる流れになってきたと。「マビノギ」についても,そんなお話がありましたし。
David氏:
そうですね。「マビノギ」はdevCAT Studioの作品としての顔がありますし,カジュアルゲームでいえば,「BnB」「Kart Rider」「Bubble Fighter」がRodomani Studioで揃っています。
4Gamer:
韓国では「BnB」のアニメがありますしね。
David氏:
はい。韓国での第1回の視聴率はけっこう良かったようですし。メディアさんが大騒ぎしているということもありませんが,着実に前に進んでいると思っています。
オンラインゲームにおける,ゲーム内広告
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先ほどの話題にもちょっと出ましたが,ゲーム内広告に関してどう思います? 昨今いろいろな人が騒いでいますが。
David氏:
まずはっきり言い切れるのは,「Second Life」はナシ,ってことです。なぜそこまで取り上げられているのか,私には理解できないし,そういうビジネスモデルではないと思うんですよね。
先ほど申し上げたように,まずはアメリカでいろいろなことに挑戦しないといけないでしょう。ゲーム内看板とか,いろいろな方法がありますけれども,まだビジネスモデルとしてきちっと検証されていないですからね。
ゲームの合間のブレイクタイムとして映像を見せて,有料プレイヤーなら見なくてよいとか。そういう選択肢もあるでしょうし。以前アメリカの「Pop Cat」の無料トライアルにそれが入っていましたが,3ステージ……時間で言えば5分ごとくらいに広告映像が出ていました。これが割と違和感がないんですね。
4Gamer:
つまり,それはアリじゃないかと。
David氏:
テレビは受身で見ているじゃないですか? だから関係ない映像にはとにかく早く終わってほしい。それに対して,ゲームでは自分が積極的に,集中してプレイしていますから,逆によいブレイクになっているんですね。
それでいながらテレビと似ていますから,馴染みがあります。ゲーム本編と併せて,エンターテイメント的な演出になっているというか。
4Gamer:
それは文字通りのブレイクですね。
David氏:
そういった形なら成り立つと思いますし,また広告を見たら特典がもらえたりする形もアリでしょうね。プレイヤーからすれば,見たい人だけ見ればよいのだけれど,特典の内容によっては,実質ほとんどの人が見る,とか。
まあまだ何も整理されていませんし,ゲーム自体の運用とマーケティングが先に来る問題ではあります。すでに始まりつつあるエンディングバナーとかから始まって,ゲーム内でもいろいろ挑戦していくと思います。ただし,プレイスメント(PPL)は難しいと思いますね。あれはどうかと思います。
4Gamer:
そもそも,インゲームアドバタイズの手法,つまり出し方や,リーチできた人のカウント方法とかは固まっているんですかね?
David氏:
いや,そこから開発せねばなりません。
4Gamer:
業界的にも決まっていないわけですね。
David氏:
決まっていないし,レーティングみたいなものもありません。それがあれば,非常に助かるんですけどね。そこからもう,広告主との合議が必要なのです。どういう形でどれくらい出せるかとか。現時点でゲーム内広告の技術を持っているという触れ込みの会社と話しても,そこまでのものはまだないんですよ。どの人が何秒間見ていたとか。それは技術的にもできないですし。
4Gamer:
もしそれができるようなシステムを構築するとしたら,日本でいえば電通さんや博報堂さんのような,大手広告代理店以外にあり得ないですよね。しかし,そういった大企業さんが,たかだか数千万円のバジェットで動くとは,ちょっと思えない。
David氏:
現状ではそうなんですよ。だから,アメリカが先になるだろうと。やはり,単価がめちゃくちゃ高いですからね。消費者中心の社会というか,宣伝広告の単価を見ていたら,もうびっくりです。Webでもそうですが。
4Gamer:
アメリカは尋常じゃないですね。Gamespotが儲かるわけだ(笑)。
David氏:
ねえ,ホントに。うちも,大手ゲーム情報Webサイトのメインページに広告打ちましょうよと考えたら,これがまだまだ……。なぜGoogleの時価総額が,あそこまで上がっているかよく分かる,というか。
4Gamer:
(笑)
David氏:
とはいえ,そのシステム部分も含めていろいろ話し合っていくしかないです。韓国にもある程度実例はあるんですけど,アメリカだったらまた変わってくるでしょうからね。
内部でのソリューションもいくつか持っていますが,それで十分かどうかも分かりません。その意味で,実現にはもう少し時間がかかると思いますね。いずれできるのは間違いないと思いますが。
4Gamer:
どうやったら,クライアントに価値を証明できるかは,宿題のままと。
David氏:
その宿題を解くのが,うちの仕事というわけですね。
4Gamer:
まあ,まったくもってWebメディアが偉そうに言えた筋ではないのですけどね。オンラインゲームの場合,例えば同時接続者数20万人のゲームがあったとしても,ある広告がリーチするのが数%で……とか考えていくと,通常の広告よりずっと小さな数字になっていきますよね。
David氏:
だから,基本全体に向けて見せることにして,有料プレイヤーだけを除くとか,そういう考えに落ち着くわけです。逆に,うちの場合基本無料ですから,もともとタダだし,テレビと同じですから,まあ広告も見てくださいよ,というふうになると思います。私の体験としては,それで違和感はないですし。
同時接続者数20万人の数%とかじゃなく,それだけの数字が出ている以上,ユニークユーザー数は百数十万人になるでしょうから,その人達がほぼ全員見るような仕組みだと,話が変わってくるんじゃないかと。
4Gamer:
その意味では,広告入りのシングルゲームというのはアリじゃないかと。みんな必ず同じところを通るわけですから。
David氏:
PPLとしてはそういうのがよいと思うんですよ。ただし,オンラインゲームとしてはどうかな,ということですね。一定のところを通るわけでもないですし。
4Gamer:
ゲームデザインを変えて,通らせてしまうのは?
David氏:
だったら,ブレイクタイムで見せたほうがよいでしょう。そのためにゲームデザインを合わせるくらいなら,レベル(ここではひとかたまりのマップの意)間の移動中とか,マップからマップへのワープ中とか。
4Gamer:
まあそうですね。
David氏:
そうしたタイミングで15秒間とか見せても,それほど違和感はないと思います。ともあれ,アメリカでゲーム内広告が騒がれる理由は,よく理解しました。
4Gamer:
日本では,違う形で騒いでしまっていますからね。
逆インタビュー? なぜ騒がれる「Second Life」とRMT
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逆にお聞きしたいのですが,「Second Life」をどう思います?
4Gamer:
うーん,正直なところ,我々のスタンスではいまのところどうでもいいというか(笑)。
David氏:
そうなんですよ。なのに,マスメディアではなんであんなに騒がれるのか。
4Gamer:
やはり,一見分かりやすく思えるところがポイントですかねえ。周期的に来るバーチャルワールド幻想というか。それにガチっとはまったのが「Second Life」だったんじゃないかと。
もう一つ脚光を浴びているのが,LindenドルとUSドルの直結ですよね。そのノウハウを持っているのは,あそこだけですから。
David氏:
いやあでも,そこが法律的にも技術的にも一番危ないところかなあと。
4Gamer:
そうです,危ないです。大いに問題があるんじゃないですかね。
David氏:
そこも最初のコメントで包括できるかもしれませんね。つまり,ぱっと想像がつく構造になっている。私としては,うらやましい半面,何か釈然としない。ゲームメディアが騒いでないのに,なんで一般のマスメディアがあんなに大騒ぎしているやら。
4Gamer:
広告とゲーム内起業は,また別の話だと思うんですけどねえ。大手広告代理店が持ち上げることで,そこがごっちゃに語られてしまっている。
大手広告代理店はここまで,blogであれSNSであれ,新たな広告媒体になり得るものに,ことごとく乗り遅れてきた感覚が強いと思うんですよね。「次にハズしたら,オレ達やばい」という思いが,あると思います。
David氏:
ああまあ,それもあるかもしれないですね。
4Gamer:
結局,一つも成功していないじゃないですか。おそらく乗り遅れてきたことが裏目に出ていて「これからは,Second Lifeっすよ」みたいなノリになっちゃってる。いや,そうじゃないだろと,思ってるだけですが。
David氏:
そう,ちょっと違うよなあ,という。
4Gamer:
ゲームですらないですしね。
David氏:
そうなんですよ。
4Gamer:
後学のためにちょっとやってみましたけど,エンタテインメントとして面白いモノではないですよね。そもそもの狙いとして。まあ,やっぱりLindenドルなのかなあと。
ゲームとお金との連動性で言えば,RMTの問題も混迷を極めたままですが,そういえばRMTについて,あらためてお聞きしたことがなかったですよね。実際どうお考えですか?
David氏:
うーん,プレイヤー側のニーズは,確かにあるわけですよね。その意味で,全面的に否定するのもどうかな? とは思うんですよ。定額課金のゲームと相性が悪いのは当然ですが,そもそも定額課金のゲームの中で,有料アイテムを提供することは不可能じゃない。RMTが問題になったまま,手をこまねいているくらいなら,むしろ運営会社側から,プレイヤーが求めるものを安全な環境で売ればいいのではないかと。私はそう思うんですよ。
4Gamer:
なるほど。消極的肯定ですね。いや,積極的か?
David氏:
運営会社が何を怖がっているのかは分かるんですけど,RMTの「問題」を放置し続けることと比べて,どうなんですかねえ。何らかの措置はとるべきではないかと。
4Gamer:
非常に微妙なテーマなので,お答えいただきづらいだろうなあと思いながら振ってみたわけですが。結局,RMTそのものを根底から否定している人は,業界内にはそれほどいないというのが,こちらの見立てです。
David氏:
そうかもしれませんね。
4Gamer:
RMTという行為そのものは,必要ならば仕方ないんじゃない,と。それを会社として認めるか否かという問題と,以前ハイファイブの澤さんが言っていた「ひとんちの庭で商売しないでください」という問題と,現状この2点に尽きると思います。そういえば,Nexonさんの作品で,そういう話はあまり聞かないなあ。
David氏:
まあ,うちのゲームがあまりRMTの対象にならないですし。
4Gamer:
アイテム課金のゲームは,そもそもなりにくいですよね。そのサービス形式からして。
David氏:
それに加えて,例えばうちではMTS(Maple Trading Space)のように,ゲーム内でのアイテム売買を仲介するシステムを,プレイに組み込んでいますしね。
リストを見るだけでも,オークションのように楽しいこともあって,プレイヤーさんの反応もよいです。どんなプレイヤーが,何をどれくらい欲しがっているか。どのくらい価値を感じているか。いろいろなことが見えますから。
4Gamer:
確かにそこもすでに,ゲームの楽しみの一環かもしれません。
David氏:
トレーディングニーズを受け止めながら,その実施方法もゲームっぽく楽しいように。日本でMTSの開発に着手するときには,そういったことを考えました。その結果,たいへん評判が良いので,これからほかの国にも導入しようと考えています。
4Gamer:
なかなか興味深い展開ですね。
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David氏:
ただ,日本で好評を博している背景には,クレジットカード詐欺が非常に少ないということがあります。そこがそうでない国では,非常に難しいな,という気もしています。RMTの問題も,一つにはそこだと思うんですよ。アイテムを渡したのにお金がもらえないとか,お金だけ取られたりとか。
4Gamer:
そう,問題の大きな柱の一つですね。
David氏:
ただ,それ以外の部分で考えたとき,RMTを問題視する人にとって,どこが問題なのでしょうか?
4Gamer:
そこは立場によっていろいろ違いますね。例えばパブリッシャさんの本音はしばしば「面倒くさい問題を持ってこないで」だったりします。法的な解決がつかないですからね。直接に違法ではないですし。
David氏:
そう,直接に違法ではない。ただし,現実に取り引きがあるから,その安全を図らなければならない。そりゃ面倒だ,という流れですか?
4Gamer:
ゲーム内アイテムに物権は認められないですよね。認める必要もないし,認めたら認めたで,いろいろ不都合がある。巻き戻ったりパッチで修正されたりするものに,どのみち確固たる価値は付与できません。
David氏:
そのとおりです。
4Gamer:
そしてプレイヤーさんから見ると,お金を払った人が強いという構図に納得がいかない。
David氏:
だからこそ,そもそもアイテム課金にしてしまえば,もっとうまく回るかもしれない。そもそもお金で変わる要素が,正規のゲーム要素としてあるわけですから。タダでプレイしているプレイヤーと,お金を払っているプレイヤーであれば,そこに差があっても問題はないでしょう? という。
4Gamer:
まったくおっしゃるとおりです。
David氏:
RMTが問題であるか否か,ほかの会社のゲームに関してはコメントできないですけれども,うちのゲームに限っては,プレイヤーのニーズに合わせて解決するのが,オペレーターとしての任務だと思っています。
4Gamer:
なるほど。
David氏:
「メイプルストーリー」に関しては,プレイヤーさんにも納得できる形で,解決できたと思っています。……RMTに関しては,それくらいですかね(笑)。正直,なんでそこまで大きな話題になるか分からないんですよ。
4Gamer:
RMTに関しては,アイテム/ゲーム内通貨を生成させている一部プレイヤーと,それを買い上げている/組織している業者に,問題の大半があると思います。
裏を返せば,RMTという行為そのものを問題視している人は,それほどいないと思いますね。4Gamerがプレゼント企画と同時にとっているアンケートでも,「RMTがあってもよい」「RMTがあったほうがよい」を合わせると,70%くらいになるんですよ。
David氏:
そういうものですよね。
4Gamer:
そういうものかな,と思います。
David氏:
正直,RMTがなぜホットポテトになっているか分からないです。
4Gamer:
プレイヤーニーズはきちんと捉えるべきだと思うのですが,なにせ面倒ですから,どこも音頭を取りたがりません。そこで宙ぶらりんのまま,ずっと来ているというのが印象です。
David氏:
確かにそうかもしれません。
4Gamer:
スクウェア・エニックスくらいにきっちりとポリシーを決めて,マンパワーで押し切れるならば,あれはあれで一つの策として十分アリだと思います。「政府機関に働きかけようと思います」と言われても……ねえ。違法じゃないですし……。韓国の例を思い起こしても,むしろ政府は,そこから税金を取ることを考えかねないし,それは大局で見れば非常に正しい判断です。
David氏:
そうでしょう(笑)。ある意味正論ですね。
4Gamer:
では,ひととおりの話が一段落したところで,4Gamerの読者に向けて「来年はこんな感じで行きます」といった抱負をいただけますか。
David氏:
最近は新タイトルが少なかった気がしますけれども,G★2007の記事を4Gamerでご覧になっていれば分かるとおり,来年からは作品がバンバン出てきますので,楽しみにしていてください。
ネクソンジャパンとしても,プレイヤーさんのニーズに合わせて,気軽に楽しく安全に遊べる環境を作っていきますので,ぜひ応援してください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
インタビューで氏が熱く語る「カウンターストライクオンライン」には,Valveにとって苦い前史がある。Valveはかつて韓国のインターネットカフェにおけるCounter-Strikeのサービスライセンス取り扱いで,インターネットカフェ事業者と折り合えなかった。それがために韓国でのCounter-Strike熱は冷め,Valveが収益機会を逃すとともに,韓国製のライトなオンラインFPSの台頭を許した。
いわばValveは,今回の「カウンターストライクオンライン」でそのストライクバック(いや,まさに“カウンターストライク”というべきか)をNexonに託した。それはやや大げさにいえば,アジアのビジネスはアジアの方法論で進められるべきというテーゼ(アメリカから見ればアンチテーゼ?)が,形になった瞬間だ。名と実は揃った。あとは進撃の合図を待つのみである。
韓国におけるストライクバックの構図を縮小した形で持ちつつも,そこにより大きく新規市場開拓を付加したのが,日本おける「カウンターストライクオンライン」のミッションだろう。2008年夏には日本にやってくるこの作品が,元の作品の良さを生かしつつも,具体的にどんなコミュニティ政策を打ち出してくるのか。インタビューでもある程度踏み込んだとおり,仮借なき勝負の世界であるFPSでは,上級者と初心者の両方を見据えた運営が不可欠だ。運営者にとっての勝負も,さほど時日なく幕が上がる。
まだまだMMORPGが強い日本市場だが,市場の成熟につれて,多様な選択肢が求められるようになるのは一種の必然である。韓国を先行市場として,そうした時代に向けた準備を着々と進めてきたNexonのビジョンが,個々の作品に即して具体的に語られたのが,今回のインタビューの意義といえる。“火力”重視の重厚長大MMORPGから,“機動力”重視の多ジャンル/カジュアル編成へ。彼らのパラダイムシフトが,日本での快進撃につながる日もまた,それほど遠い先のことではない気がする。
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