ナムコ LEDZONE,谷波氏&土屋氏に聞く「CS-NEO」のこだわりと展望

Text by Seirou / Photograph by kiki 

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筐体のデザインは,あくまでアーケードゲームとして違和感なく

4Gamer
 筐体のデザインですが,アーケードゲームの筐体としては変わった形状になっている理由をお聞かせください。

土屋氏

 前のバージョンもそうなんですけど,並べたときに見栄えがするようになっているんです。ここ(編注:AMショーの会場)は明るいからピンときませんが,ゲームセンターの中で暗いところに並べたときの効果を考えてます。
 ちなみに,以前の筐体から設計を改めたところもけっこうあります。全国展開するに当たってマウスやキーボードなどのインタフェース,あとイスなどは,前のほう(Ver.1)がカッコ良かったねとも言われるんですが,あれだと搬入時にエレベーターに入らなかったりするんですよね(笑)。
 設計を改めたといえば,コインシューターを付けたのは販売するうえで分かりやすくするためだったりします。カードを使うというのに,わざわざシューターがあるのはそのあたりです。実際,蒲田のLEDZONEの筐体にコインシューターはないんですよ。LEDZONEでは,カードで課金を行っていますので,本来いらない部分なのですが,「なんで100円入れるところがないんだ」という話になるので。要はゲームセンターという場に合わせたわけです。

4Gamer
 なるほど,コインシューターがあると確かにゲームセンターの機械という感じですね。

土屋氏
 10台にしたのも,我々が(プレイ上)想定できる最低単位で,同時に買っていただける最高単位が10台くらいかなと,これを4台とか,本当に最小限にするとコンセプト自体が変わっちゃうので,ここはギリギリのところまで頑張って値段を下げて,とにかく10台セットでしか売れないと,説明しています。

4Gamer
 まずはそこを理解してもらうことが大事なわけですね。


土屋氏
  そうです。ぜひとも分かってもらわないといけない部分ですよね。ただそこは最近のゲーム業界が怠ってきたと思う部分でもあって,昔は「FINAL LAP」のように8人で遊べるゲームもあったのに,それ以後少人数のものしかなかったわけです。大人数のときの面白さとか,そのときのゲームのあるべき姿というのを掘り下げないまま,ハードウェアの性能が上がっちゃって一人で遊ぶゲームがジャンルとして進化していったんですよね。
 大人数で遊ぶゲームは,まだ進化しきれていないので,未知の部分がすごく多く,それらをゲームセンターでやるということには意義があると思います。

4Gamer
 確かに,大人数で遊べるゲームはここのところほどんとありませんでしたね。これだけネットワークが普及したのに。

土屋氏
 例えば「麻雀格闘倶楽部」みたいに対人で麻雀をするという構想は,前からあったわけです。最近になってそれが実現したわけですよね。対戦ゲームも発想としてはあったけど,それを形にするとまだまだ分かってもらいにくい。そこをがんばって形にしてみようと。

4Gamer
 麻雀格闘倶楽部ならまだ理解されやすいでしょうに,なぜCSを選ばれたんですか?

土屋氏
 CSは台湾で流行っていると聞いて,実際2 vs. 2でやってみると面白かったんですよ。それで海外のValve社と手探りで交渉を始めました。社内からは,最初は"なにやってんの?"みたいなキワモノ的な扱いでしたが,今は評価も変わり,自前の開発要素だけでなく,さらに海外のエンジンを扱ったりとかいったゲーム開発のスタイルが,ようやく理解されてきてますね。

4Gamer
 そういえば,先ほどマウスやキーボードの話が出ましたが,カウンターストライク ネオはFPSなのに,ヘッドホンがないですよね。これは何か理由が?

土屋氏
 ええ,あえて付けていません。これをやる前に谷波と二人で中国や韓国などのインターネットカフェを見て回ったんですが,香港でゲームセンターを運営している,あるオペレーターさんのところはヘッドホンを使ってなかったんです。
 バーンと大きな音に加えて,真っ暗い中にスーパーウーハーがついていて,すごい銃撃音がしていたんですね。その迫力が印象に残っていて。やはり場所に入ったときの雰囲気とか,遊んでいる場所だっていうイメージが大事だったんですよ。なんていうか,ヘッドホンがなかった場所には高揚感があったわけです。

4Gamer
 なるほど,基本は盛り上がり感が大事なんですね。

土屋氏
 プレイヤーからすれば作戦がばれちゃうとか,音でどこにいるか分かるといったことはあるでしょう。しかし,それ以前に"遊ぶ気持ちになる"っていうところがすごく大事だと思うんです。
 蒲田(編注:東京・蒲田にあるLEDZONE)は,お客さんも声を出したりしてにぎやかですが,それが楽しいということですね。家じゃないところで騒げるというか。

4Gamer
 作戦がばれたりするとなると,プレイヤーからヘッドホンを付けてくれと要望は来ませんか?

土屋氏
 来ますね。ガチガチの試合になってくると横並びで座るのは嫌とか,部屋を分けてくれとか,ほかにもいろいろ要望が出てきますよ。あとはけっこうテキストチャットでコミュニケーションを取っていますね。
 すごく上までいけばe-Sportsのような遊び方もあるのですが,大多数の人は遊びとして楽しむのであって……。その先にe-Sportsがあってもいいんですが,プロ野球の前に草野球,みたいなところですね。ただ,ヘッドホン台を作ってほしいという要望が多ければ,作ってもいいかもしれません。

4Gamer
 具体的なプレイヤーターゲット層などは想定していますか?

谷波氏
 対戦格闘などに飽きた人に遊んでもらいたいですね。インターネットカフェというスタイルを取るよりは,ゲームセンターというスタイルで,気軽に100円を入れるような感覚で遊んでもらいたいです。  ご存じのようにCSはもともとPCゲームタイトルなわけですが,お客さんの中には家のPCで練習して,実際に来店してくれる方もいらっしゃるんですよね。

4Gamer
  PC版とのコラボレーションなどはどうですか? 例えば家のPCで,リプレイや現在対戦中のプレイ映像を,ストリーミングで見られようにするとか。

谷波氏
 スクリーンショットを保存して見たり,クラン戦の成績などを見たりするための専用ビューアを用意して,チーム戦のデブリーフィングをするような……そういった機能を将来的には実装していきたいです。家で起動してお店と対戦するとかは,今のところ考えていないです。

4Gamer
 プレイヤーから,「ソフトを単体で販売して」っていう声も上がってるんじゃないかと思うんですけど。

谷波氏
 今は考えていないですね。アミューズメントスポットに展開するのでいっぱいっぱいです。

 

チュートリアルは簡潔に,ゲームモードは敢えてデチューン:間口を広げるための工夫とは
4Gamer
 先ほどプレイしてみたんですけど,PC版と比べて突き放した感がなく,ゲームにすんなり入りやすいですね。

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タイトル カウンターストライク ネオ
開発元 ナムコ LEDZONE 発売元 ナムコ
発売日 2005/秋 価格 N/A
 
動作環境 アーケード専用

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