4Gamer:
では,三國志 Onlineの大きな特徴となりそうな,合戦について聞いていきます。まず実際に,合戦のテストを行っての感想を聞かせてください。
上野氏:
最初のテストでは,本当に予想以上の方に合戦場に集まっていただきました。もちろん私もテストには参加していましたが,そこで印象的だったのは,まず人の数,そしてチャットです。皆さん普段は“周囲会話”や“大声会話”をあまり使用されないのですが,合戦場の勢力チャットは凄い発言量でしたね。「○○から敵が来ました」とか「○○が攻撃されています」などです。伝令を引き受けるプレイヤーというのは「信長の野望 Online」でも多かったのですが,今回もそのようですね。
4Gamer:
あと,部曲単位で参加していた人達が多かったように思えます。
上野氏:
部曲が大きくなってくると,合戦には部曲単位で参加するのが一般的になるかもしれません。そういった集団が戦力の中心だとすれば,部曲を組まずにプレイしている人達は,独立した遊撃小隊のような位置づけでしょうか。諸々の要素が重なって,初めて「勢力」として強くなれそうです。
4Gamer:
私自身は部曲に入っていなくて,それでも徒党や連合を組んでみたいと思ったのですが,なかなか探すのに時間がかかったりしていました。今後もっと,誘ったり誘われたりしやすくなるように,何かシステムを追加する予定はありますか?
上野氏:
βテストでは,まず動作が重くて,そういったことがしにくかったかもしれないと正直に思います。今後はその部分をまず改善していきます。あとは何度も続けていけば,プレイヤーの皆さんの間でルールが生まれたり,顔見知りになっていったりで,自然と徒党や連合を組みやすくなっていくのではないでしょうか。
現状でも自分を「勧誘希望」「連合・徒党員募集」状態にできます。本作はプレイヤー検索のインタフェースから直接勧誘コマンドが使えるので,遠くにいる人もすぐに徒党に誘えるようになっています。
4Gamer:
徒党や連合は,プレイヤー達が自分達でいまある仕組みをうまく使うことで,もっと組みやすくなっていくだろうと予想しているのですね。
さて合戦ですが,投石機が凄く強いなぁというのが体験してみての感想です。あの,キャラクターがバタバタと倒れていくほどの強さというのは,想定されていたものなんですか?
上野氏:
投石機の攻撃が強力なのは分かっていました。ただもちろん,今の性能が最終決定ではありません。それと,投石機に対する対処法が分かってくると,また違ってきます。要するに,正面から突っ込まなければいいんですよ。回り込んで,できれば奪ってしまうのも,良い対処法の一つかと思います。
4Gamer:
そうそう,投石機は奪えるんですよね。
上野氏:
やはり投石機は目立つので,乗っていれば狙われます。動きが遅いので逃げることはできないし,降りて応戦したら今度は奪われてしまう。最初の印象では強そうに見えると思うのですが,慣れてくると,いろいろな弱点が見えてくると思います。だから投石機のバランス調整は,威力を下げるよりも,展開速度を遅くするなど,使い勝手の部分で入れていくことになると思います。あの威力でさらに使いやすかったら,それはちょっとゲームバランス的によくないですからね。
4Gamer:
今回のβテストでは,投石機を作るのに必要な材料は,初めから各勢力ともある程度持っていました。しかしゆくゆくは,戦場でプレイヤー達が材料を集めるようになるんですよね?
上野氏:
そうです。協力して材料を集めて,それを組み立てて使う,という流れになります。
4Gamer:
そうなると合戦では,実際に戦闘をする人だけではなくて,材料集めを担当する人というのも重要になると。
上野氏:
もしくは,前半はこらえつつみんなでなるべく材料をため込んで,後半になったら全員で一気に反撃に転じる,ということもできるかもしれません。どういう戦略を採るか,という楽しみ方が出てきます。
合戦は,戦闘をしているだけでは勝つのが難しいのも確かです。逆に,そういう材料収集や兵器作りなどがまったくないのが“局地戦”です。こちらは,戦闘部分の戦略を練っていただくのに使えるでしょう。
4Gamer:
なるほど,そちらも面白そうですね。そういえば,投石機以外には,どのような大型兵器が登場しますか?
上野氏:
井欄(せいらん)などが出てきます。そのほか,歴史ストラテジーである三國志シリーズでお馴染みの兵器は,ほとんど入れていくつもりですよ。
4Gamer:
それはシリーズファンにとっても嬉しいですね。攻城戦の,あの現場に自分もいるという雰囲気を味わえそうです。
ところで,戦闘の勝敗は,どのように決まるんでしょうか。今のルールはβテストだけの特別なものですか?
上野氏:
確かに今はβ仕様のルールですが,製品版でも,この“対人勝利数が一番重要”という方式でいきたいと思っています。
4Gamer:
それ以外の要素はスコアに関わってこないんですか?
上野氏:
施設を壊すとポイントが入りますが,基本的には,倒した敵兵士の数が多い勢力が勝つというところにもっていきます。
4Gamer:
そうなると,“死なないこと”が重要になりますね。
上野氏:
そうですね。復活待ちの人が増えれば,次や,その次の人の待ち時間が長くなっていってしまいます。それに,やはり兵士一人一人がプレイヤーなので,無駄な死に方はしてほしくないと思います。
4Gamer:
そうですね。となると,死なないための戦術が今後研究されていくでしょう。そういう意味では,今回のβテストでは,弓が強そうでしたね。遠距離攻撃なので死ににくいですし,今後人気が高くなりそうな。
上野氏:
弓は現状,遠距離から撃っても,命中率があまり下がらないんです。そこは調整をします。最終的にはどの武器(=戦闘能力)にも,活躍の場が用意されているようにするつもりです。
4Gamer:
これからきっと,いろいろな戦術が生まれてくるんでしょうね。
上野氏:
RvRの経験がある方ですとか,RTSでいろいろな戦術を練ってきた方達は,全体を見る目を持っているようですね。そういう部分が,まずは重要です。本作の場合,一人だけで飛び込んでいって大活躍するというのは難しいので,周りとの協調が大切になります。今の世の中では,それがなかなか難しいのかもしれませんが,周りとの共闘感を感じてもらえたら,嬉しいです。
4Gamer:
そういえば,あれだけ人数が多い合戦になると,レベルの差があってもあまり関係なくなってくると以前のインタビューで聞きましたが,確かにそういう印象でした。
上野氏:
一人一人が勇者なのか,一人一人が雑兵なのか。そこは心の持ちようであって,ここはオレがいないとだめなんだと思えば勇者で,でもオレがいたってなぎ倒されちゃうと思うと雑兵になってしまう。自分が雑兵と思わず,やり方によってはうまく戦っていけるんだということを感じていただけるようにしたいです。
4Gamer:
実際にそうですもんね。本作における重要なコンテンツとなるのは間違いないと思います。あと合戦以外に,部曲同士の局地戦も結構盛んですよね。
上野氏:
夜の8時くらいが多いですね。実は,私はよくその時間にログインして,局地戦が終わったキャラクターが集まるポイントで待っていて,周囲会話で皆さんが感想を話しているのを「ああ,なるほど」と聞いたりしています(笑)。
基本的な戦術戦闘に関する要望は,かなりいただいています。とくに“陣形”への関心が,皆さん高いようです。
4Gamer:
“陣形”は連合を組むことで使用可能になる要素ですね。
上野氏:
陣形関係は,もうちょっと増やしていこうかと検討中です。
4Gamer:
もっとですか。今でも結構種類ありますよね。
上野氏:
この手の要素は,一個一個の陣形を細かく修正するよりも,新しい陣形を作ってテストをしていったほうが,よい方向に持っていけると思っています。これはきっとRTS的な考え方ですね。
我々が新しい戦法を用意して,そしてプレイヤーの皆さんでその新しい使い方が編み出されて……そういった具合に良い方向に回っていければいいですね。
4Gamer:
今はまだ始まったばかりなので,みんな陣形や戦術に関して盛り上がっていますが,どんどん追加されるなら,今後もこの状況は続きそうですね。ちなみに局地戦って,行えるのは部曲同士だけですか?
上野氏:
クローズドβテストではそうなっていますが,フリー参戦もできるようになります。一人で登録すると自動的にグループが組まれ,戦場に送られて,戦闘開始という形ですね。
4Gamer:
その局地戦や合戦で頑張ることで,プレイヤーは何か報酬がもらえるようになるんでしょうか?
上野氏:
まだ明確には決まっていません。身分の上昇と給金の獲得はあるでしょうね。
4Gamer:
合戦に参加してポイントをためて何かもらおう,というのではないんですね。
上野氏:
そうではないです。
4Gamer:
確か前回のインタビューでは,合戦は年間での勝利数でその年の勝利勢力が決まるシステムになっているとのことでしたよね。つまり「何かアイテムが欲しい」という動機ではなくて,「自分の勢力のために頑張ろう」というのをモチベーションとしてもらう,と。
上野氏:
そうですね。最終的に勝った人達が,次の年には「勝った人達です」と分かるようにしますよ。
4Gamer:
以前おっしゃっていた「名誉的なプライズ」ですね。それが目標になると。ちなみに,ゆくゆくは三国同時の合戦も起きたりするんでしょうか。
上野氏:
まだ構想段階ですが,どこかの勢力が連勝し続けて,残り二つがなかなか勝てないときに,何か考えるべきでしょうという……という伏線を,張っておきます(笑)。
4Gamer:
なるほど……。その状況が楽しみになってきました(笑)。