― 特集 ―

森下氏,2006年のガンホーを語る:「ガンホー・モード」と「グランディアオンライン」

PC,携帯電話,家庭用ゲーム機,やがてはすべての画面に

4Gamer
 携帯電話用ゲームのポータルサイトたるジー・モードと,別のものとしてガンホー・モードが立ち上がるわけですが,これが将来統合されるといった可能性はありますか?

森下氏
 ジー・モードはジー・モード,ガンホー・モードはガンホー・モードです。別のものとして行きます。ガンホー・モードは,ガンホーとジー・モードのJVとして設立され,それぞれからゲームコンテンツが供給されますが,今までジー・モードで提供されてきた携帯電話用のカジュアルゲームサービスが,ジー・モードのものでなくなるわけではありません。ジー・モードは従来どおりの事業を展開しつつ,新たにガンホー・モードに参画するわけです。

 

4Gamer
 以前お聞きした話だと,ガンホー・モードが対象とするプラットフォームには,PCのほかに携帯電話も入っているはずですよね? それでも,携帯電話向けポータルであるジー・モードとは別立てで行くわけですか。
森下氏
 そうです。もちろん,ガンホー・モードにはジー・モードの強みを生かした携帯電話との連携要素を入れていきます。
4Gamer
 当面,ガンホー・モードはPCおよび携帯電話向けで行くと。
森下氏
 ええ。ですが,対象ハードウェアは実のところどれでもいいんです。PCでもいいし,むしろ家庭用ゲーム機でもいい。映し出されるのがテレビなのかPCのディスプレイなのか,携帯電話の液晶パネルなのか,あるいは携帯ゲームなのか,それは問題ではない。
 ガンホーが目指しているのは,これからの時代におけるあらゆる画面のうちの占有率,そしてユーザーの滞在時間です。今後テレビを見るよりも,PCや携帯電話でコンテンツやゲーム,コミュニティに触れる時間のほうが長くなっていく。そうなれば広告ビジネスの展開にもなっていく……。
4Gamer
 ガンホーの構想する「Stay Time」の考え方ですか。さしあたり立ち上げ当初のガンホー・モードは,PCおよび携帯電話に向けた,汎用のWebサイトになるわけですね? 例えば特定の家庭用ゲーム機プラットフォーム向けにチューンが加えられているわけでなく。
森下氏
 そうです。汎用のWebです。お客さんにはどこからでも触れてもらえるようにしていこう,という考えがありますが,いきなり最初からそれをやるわけではありません。まずはWebを立ち上げ,携帯電話との連携を仕上げて,その上でテレビ画面なども含めたマルチデバイス展開を行う,ということです。
4Gamer
 ガンホー・モードで提供されるコンテンツについてですが,ゲームを核としつつも,音楽/映像などを個別のコンテンツ/サービスとして立てていくというお話ですね。とすると,例えば気になるのは業務提携したブロッコリーさんなどが果たす役割です。
森下氏
 ブロッコリーはすでにキャラクターを持っているし,これからもキャラクターの商品開発を行っていくでしょう。そして,彼らが持っているノウハウやマーチャンダイズは――紙のカードゲームを考えると分かりやすいのですが――非常にコミュニティに近いところにある。彼らがガンホー・モードを利用して提供していくプロダクトもあると思います。
 例えば「デ・ジ・キャラット」のアバターがいてもかまわない。それを販売するという,デジタルコンテンツでのキャラクタービジネスも展開できます。店舗でのグッズ販売やイベントなど,リアルはリアルで存在し続けるでしょうけれど,音楽や映像といった分野ではシナジーを生かして,やっていけるようにしたいと思っています。

 

4Gamer
 では,ガンホーとの共同開発コンテンツでなく,ブロッコリー独自のプロダクトがガンホー・モードで展開される可能性は?
森下氏
 十分にあると思いますよ。可能性として。
4Gamer
 なるほど,タカラさんとかとも,何かができれば面白いですね。ところで,ガンホー・モードについてやはり気になるのは立ち上がりの時期です。昨年の東京ゲームショウのときに聞いたお話では,2006年春ごろということでしたが。
森下氏
 設立と準備に時間がかかっていますので,もう少し後になると思います。リリース時にはある程度インパクトのあるものにしたいですから,それとにらみ合わせてスケジューリングしています。今年のうち,東京ゲームショウ前には出したいな,と。まだ確定しているわけではありませんが。そして,そこで展開される自社タイトルの中には,もちろんグランディアオンラインも入ってきます。

東京ゲームショウ前に,ガンホー・モードと「グランディアオンライン」が

4Gamer
 だとすると,まさに時期の話になるのですが,グランディアオンラインも東京ゲームショウ前に立ち上がっていると。それは,すでに正式サービスが行われている段階ということですか?

 

森下氏
 東京ゲームショウ前には,がんばって出したいと思っています。ガンホー・モードと,うまくスケジュールを調整して出したほうがよいと思いますので。もちろん,どちらかが遅れたからといって,もう一方も遅らせたりはしませんが。

 

4Gamer
 国産の,いわばフルスクラッチの作品になるわけですから,ある意味ガンホー・モードの性格をよく表す作品になる可能性が高いわけですね?
森下氏
 ええ,ですので相乗効果を狙うことを考えると,ガンホー・モードのサービスとグランディアオンラインを,できれば同時に展開していきたいところですが,かなりサプライズ要素を用意しているので,発表のタイミングはなかなか悩むところです。
4Gamer
 グランディアオンラインのキーワードといえば「原点回帰」であると聞いていますが,この言葉の真意はどのあたりにあるのでしょうか? ストーリーやテイストなのか,あるいはゲームシステムなのか,というお話です。
森下氏
 システムというより,ゲームそのもの,ですね。また,商品ブランディング(ブランド作り)を含め,初心に返って新しいものに挑戦していこうと。
 家庭用ゲーム機市場で奮わない状況が続き,韓国のゲームがこれだけ出てきて,日本のゲームが世界に押されている。数年前であれば考えられないことです。そして,新しいマーケットも拓けて行く中で,ゲームアーツが(もう一度)職人芸と言われる開発スタジオになっていかなければならない。そういう気持ちも込めた「原点回帰」です。

 

4Gamer
 うーん,気持ち,ですか……。
森下氏
 単純に作品として言えば,シリーズ第1作の前の話に戻って,斬新なシステム/デザインにしつつ,日本のゲーム会社の作品らしさ,職人らしさといったものを出していき,ファンの期待に応えたいということです。
4Gamer
 そこで言う職人芸とは,プレイバランス面ですか,それともアクション性などのことを指しますか?
森下氏
 強いて言えば,全体のバランスということになるでしょうね。そこにはアクション性も含まれるでしょうし,プレイバランス面,エッジの立ち方などさまざまな面で,という意味です。
4Gamer
 グランディアオンラインに関して,ガンホー・モードならではの関連コンテンツなどは用意される予定ですか?
森下氏
 当然ながら考えていますが,まだ最終的にこうしましょうといったことは決まっていません。ほかのゲーム作品については,うちが作った映像などもありますので,当然流したりしていきますが。
「原点回帰」を合い言葉に,シリーズ第一作よりもさかのぼった世界が舞台になるという,「グランディアオンライン」。画像は,東京ゲームショウ2005で上映されたムービーをスチル撮影したもの
4Gamer
 先ほどお聞きしたアバターとか……。
森下氏
 そうです,それとeコマースですね。ガンホー・モードのシステム開発はもちろん進めていますが,その中でコンテンツをどういう風にやっていくか,また,グランディアオンラインの場合,プロモーションとして考えた場合どうか,などを含めて,今ちょうど計画を立てているところです。
 グランディアオンラインもガンホー・モードも,それぞれ発表会を行う予定ですが,その時期はまだ……。株主総会とか,いろいろ“イベント”を控えていますので。とはいえ,ガンホー・モードはJVですから,投資家の方も,どんなことが考えられているか気になるでしょうし,そうした話も当然したいとは思っていますが。

 

タイトル グランディアオンライン
開発元 ゲームアーツ 発売元 ガンホー・オンライン・エンターテイメント
発売日 2007年内 価格 未定
 
動作環境 N/A

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