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THQ社長,「今はWorld of Warcraft追撃の時期ではない」
2006/06/22 16:44
Brian Farrell氏
 アメリカのパブリッシャ,THQの社長であるBrian Farrell(ブライアン・ファレル)氏が,「World of Warcraftが独占状態にある限り,THQとしては当面の間,MMOG (大規模オンラインゲーム)市場に進出しない方針である」と発言した。これは,先日同社の地元,南カリフォルニアで開催された投資家の会合において明らかにされたものだ。
 議事録によると,「なぜTHQは潜在的に巨額の利益が望めるMMOG市場に参入しないのか?」という投資家からの質問を受けた際,ファレル氏が「その可能性も何度も探ってきましたが,参入には時期も大切な要因です。おそらく,THQが(すでに過剰なほどの種類がある)ファンタジーベースのオンラインゲームを出すことはしばらくない,と考えてもらっていいでしょう」と返答したという。

 ファレル氏は,「こういうトレンドには,窓口というものがありがちなのです」と続け,「その窓口になっているのは,現在のところWorld of Warcraftにほかなりません。市場を握っている製品が下降線に向かったときに追撃するのは正しいアイデアだと考えますが,競合できうるだけのものを今投入するのは,THQを含む追随側にとって良い考えではないと思うのです」と話している。この発言は,ほかの販売元やデベロッパも市場参入を焦る必要はない,という示唆にも聞こえる。
 World of Warcraftは月額課金制でありながら約650万人のユーザーを持ち,1作で市場の半分ほどを占める。Electronic Artsが「Dark Age of Camelot」で知られるMythic Entertainmentを買収したと発表したばかりであり,また,NCsoftも「Guild Wars」のアカウント数がリリース後1年で200万人を達成したとアナウンスしたばかりだとはいえ,実際にMicrosoftやActivision,Take-Two Interactiveといったアメリカ大手販売会社の多くが,MMOG市場にはかなり慎重になっている様子がうかがえる。
 ただ,Blizzard Entertainmentでは,2009年までに既存IP(「知的資産」のこと。「Diablo」や「StarCraft」などか?)を使った新作MMORPGを投入してくるというウワサも根強く,市場の行方をゆっくりと見守ってはいられない状態にもなりつつあるのも事実。
 今後,「Aion: The Tower of Eternity」(邦題 アイオン 永遠の塔)や「Age of Conan: Hyborian Adventures」「Tabula Rasa」「The Lord of the Rings Online: Shadows of Angmar」「Vanguard: Saga of Heroes」「Warhammer Online: Age of Reckoning」など,期待できそうなMMORPGが次々にリリースされる予定だが,果たしてWorld of Warcraftの牙城を突き崩せるのか? それとも,ファレル氏の言うようにしばらくはWorld of Warcraft独占の状態が続くのだろうか?(奥谷海人)


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http://www.4gamer.net/news/history/2006.06/20060622164445detail.html