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[韓国ゲーム事情#380]「ラグナロク2」クローズドβ電撃発表!
2005/07/19 11:08
Kimの韓国最新PCゲーム事情#380

「ラグナロク2」,9月に初公開&クローズドβテスト開始!(2005/7/19)

Text by Kim Dong Wook特派員

 「Ragnarok Online」(邦題 ラグナロクオンライン。以下,RO)のファン達の祭典,「第4回 ラグナロクフェスティバル」(以下,ラグフェス)が,7月17日に韓国ソウルのCOEX Pacific Hallで開催された。
 オープン時間である10時半の2時間ほど前から多くの人が集まり始め,オープン時には500人以上が入り口の前に長蛇の列を作っていた。

 ROの開発元で,イベントを主催するGravityの関係者によると,参加者は前回より1万人ほど増え,5万人を超えたという。
 実際問題,韓国でのRO人気は(引き続き好調な日本とは違い)下落気味ではあるが,ラグフェス自体は,ROを現在プレイしている人が参加するものというよりは,ROというキーワードを中心に若者が集まる一大イベントとしての地位を確立しており,多くの参加者が(とくに"元ROプレイヤー"は,懐かしい友人達と再会できる)コミュニケーションの場として楽しんでいたようだ。筆者がこの日会場で出会ったとある大学生は,「現在はもうROをプレイしていないが,過去にゲーム上で知り合った人達とは今でも交流が続いている」と話していた。



 ギルド戦大会の決勝戦,RO SHOPファッションショー,コスチュームパフォーマンスなど,さまざまなファン参加イベントが行われたほか,最近韓国で人気のお笑いタレント達による特別ライブも行われ,この日COEXに来ていた,一般の観客の来場も誘っていた(例年と違い,今年のラグフェスは,招待状なしで誰でも入場できた)。
 またラグフェスでは,RO企画チームのリーダーであるLee, Min Soo氏が,2005年下半期のROアップデート日程と,そのアップデートで実装される新職業が発表されたほか,近日発売予定のフル3Dモバイルゲーム「Ragnarok Tactics」が初めて公開された。
 しかし,この日のラグフェスで最も注目を集めた(衝撃的な)発表は,「Ragnarok2」(ラグナロク2)に関するものだった。

 実は筆者は,ラグフェス開催以前から,同社広報にラグナロク2の公開があるかどうかの問い合わせをしていたのだが,「公開する予定はない」という返事で,がっかりしていた。ところが当日,会場内で取材中だった筆者に,同社の関係者から電話がかかってきた。13時半にメインステージで重大発表があるはずという内容だった。
 13時半。メインステージの前は,ROのファン達と韓国のプレスでいっぱいになっていた。そこに登壇したのが,お馴染みGravityの会長,Kim, Jung Ryool氏である。まず氏は,これから行う発表は,当初の予定になかったと説明した。そして,これまで2年以上にわたりラグナロク2を開発している開発チームの中心人物を紹介したいと言い,「彼らは当社でArcturusやROなどの開発に携わってきたスタッフで,今は全員,ラグナロク2を開発している」と強調した。

 紹介されたPark, Young Woo氏(ラグナロク2の統括企画ディレクター)は,

「今年(2005年)の東京ゲームショウで,ラグナロク2の全貌を明らかにする。ROのときは,あまりにも早い段階で一般公開されて,ファン達を長い間待たせてしまった。そのためラグナロク2では,あまりファン達を待たせないよう,公開にも慎重になっている」

と語った(ということは,リリースはそれほど先の話ではないのだろうか)。
 ちなみにPark氏以外の,3Dグラフィックス担当のHwang, Byung Chan氏,サーバープログラム担当のKang, Jin Seob氏,クライアント担当のLee, Tae Sun氏などの各部門のリーダー達も,誰もがArcturusやROの開発の中心人物だったという。また,原作者であるLee, Myong Jin氏も,ラグナロク2の企画スタッフとして開発チームに合流して,現在開発作業に携わっているそうだ。

 Kim会長はラグナロク2について,今韓国で期待されているMMORPG,「ZerA」「グラナド・エスパダ」「SUN」などと比べてもまったく見劣りしない,完成度の高い姿を9月の東京ゲームショウで初公開すると明らかにしており,またゲームショウ直後に開始される(!)同作のクローズドβテストでは,特別なシステムも公開される予定だと話していた。

 続いてKim会長は,同社がサービスする予定のゲームポータル「STYLIA」(スタイリア。以前の記事「こちら」参照)を開発中のSonnoriの社長Lee, Won Sool氏を壇上に呼び,両社の固いパートナーシップをアピールしていた。



Kim, Jung Ryool氏
 さて4Gamerでは,日本でも大きな期待が寄せられるであろうラグナロク2についてさらなる情報を得るため,プロモーター事務室で参加者の応対に追われていたKim会長に,突撃インタビューを敢行した。その模様をお伝えしよう。

4Gamer:
 本日の電撃発表には,本当に驚きました。当初の予定にはなかったとのことですが,ではなぜ発表することになったのですか?

Kim会長:
 ROを開発したスタッフが,全員Gravityを辞めたという根も葉もない噂を払拭するため,このあたりで一度,一所懸命にラグナロク2を開発しているスタッフ達を一般に公開する必要があると思い,私が急に決めたんですよ。まぁ思いつきです(笑)

4Gamer:
 ラグナロク2に関する情報は,2004年のゲームショウKAMEXで公開された動画(詳細は「こちら」)だけだったので,ようやく来たか,という感じですね。

Kim会長:
 あぁ,すみません,あのときの動画については忘れてください。社内で検討を重ねた結果,あのとき公開したものとはまったく違うゲームとなる予定です。具体的にはいえませんが,もっと完成度の高い作品になりますよ。

4Gamer:
 なるほど。ということは,ラグナロク2の事実上の初公開は,9月の東京ゲームショウということですね。それとも,その前から少しずつ情報が出てくるのでしょうか?

Kim会長:
 東京ゲームショウで,正式に公開する予定ですので,それまではお待ちください。ちなみに東京ゲームショウでは,スタイリアも日本市場では初公開となりますね。

4Gamer:
 日本で初公開ということは,当然日本展開についても考えているわけですよね。前作のパートナー会社であるガンホー・オンライン・エンターテイメントが,今作でもサービスすることになるんでしょうか?

Kim会長:
 すみません,それについてはまだ言える段階ではないです。もちろんガンホーさんとも相談していますが,今の段階では,どの会社がサービスすることになるのか,私にも分からないんです。

4Gamer:
 では,今は選んでいる段階ということですよね。Gravityから見て,ラグナロク2の日本運営会社に求める条件とはどういうものでしょうか?

Kim会長:
 先日,ROの中国パートナーを,Soft World社からShanda社へと変更しました(関連記事は「こちら」)。このことから私達は,最初のパートナーを選択するときには,もっと慎重にならなければならないという教訓を得ました。とくに日本は,ROが成功を収めている国なので,より慎重にパートナーを選ぶべきだと考えています。
 結局,会社の規模が大きいとか小さいとかは問題にならないのです。ラグナロク2の日本での成功のために,心より,社運を懸けて熱心に努力してくれる会社と,パートナーシップを組みたいと思っています。

4Gamer:
 「ローズオンライン」の日本運営元であるフェイスも,そういう基準で選んだということですか?

Kim会長:
 はい,そのとおりです。フェイスさんはオンラインゲーム専門の会社ではありませんが,ゲームに愛情を持って努力している姿勢が気に入りました。今も,同社が日本で行っているローズオンラインのマーケティングなどのさまざまな活動に満足しています。

4Gamer:
 ラグナロク2のとき,そういった条件を満たすパートナーを見つけられなければ,どうするつもりですか?

Kim会長:
 そうなる可能性は低いと思いますが,私達は,アメリカではGravity Interactiveを設立して直接サービスしていますし,日本にもすでにGravity Japanを構えています。そのため,場合によっては私達が直接日本市場に参入することもあり得るとは思っています。

4Gamer:
 なるほど,分かりました。では少し話題を変えますね。ROの日本パートナーであるガンホーは,「エミル・クロニクル・オンライン」「北斗の拳オンライン」など,他社との共同開発や自社開発に最近力を入れています。これについて,どうお考えですか?

Kim会長:
 ガンホーさんは我々の長年のパートナーだから,オンラインゲームの開発を手がけるからといって,競争心みたいなものはまったく感じません。パブリッシャとしてだけでなく,開発能力を育成してデベロッパとしてのイメージを強くすることは良いことではないでしょうか。日本のオンラインゲーム市場の拡大に貢献してくれることを期待しています。

4Gamer:
 一般の参加者達が待っているので,そろそろ最後の質問としますね。今も話に出てきた,日本のオンラインゲーム市場について,個人的な見解を聞かせてください。

Kim会長:
 これまでに,ROは世界中の37国・地域でサービスしていますが,日本市場は,私達にとって最も重要な市場だと考えています。日本はコンピュータゲームが胎動した国で,また産業的に定着させた国なので,ゲーマー達も,最も先進的ではないでしょうか。だからこそ,ラグナロク2の日本展開は,これまで以上に慎重にならざるを得ないと思っています。

4Gamer:
 分かりました。お忙しい中で時間を作っていただき,ありがとうございました。

Kim会長:
 これからも,ROとローズオンラインのみならず,ラグナロク2やスタイリアをよろしくお願いします。


ラグナロクオンライン2 -Episode:0 巡りあう大地-
■開発元:Gravity
■発売元:ガンホー・オンライン・エンターテイメント
■発売日:2007年内
■価格:1980円/30日間(税込),5310円/90日間(税込)
→公式サイトは「こちら」
ラグナロクオンライン
■開発元:Gravity
■発売元:ガンホー・オンライン・エンターテイメント
■発売日:2002/12/01
■価格:プレイ料金:1500円/月(税込)
→公式サイトは「こちら」

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http://www.4gamer.net/news/history/2005.07/20050719110838detail.html