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GeForce GTX 600
  • NVIDIA
  • 発表日:2012/03/22
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印刷2012/05/10 22:00

レビュー

カードメーカーのオリジナルデザインが前提か。GTX 680を脅かす可能性のある下位モデル

GeForce GTX 670
(GeForce GTX 670リファレンスカード)

Text by 宮崎真一


GTX 670リファレンスカード
GeForce GTX 600
 日本時間2012年5月10日22:00,NVIDIAは,「Kepler」(ケプラー)アーキテクチャを採用するGPUの新製品「GeForce GTX 670」(以下,GTX 670)を発表した。
 型番からも想像できるとおり,本製品は,3月に登場した「GeForce GTX 680」(以下,GTX 680)の下位モデルだ。NVIDIAは「Radeon HD 7950」(以下,HD 7950)の対抗製品と位置づけているが,ともあれこれでようやく,KeplerアーキテクチャのデスクトップPC向けラインナップ拡充が,“下”に向かって始まったことになる。

 GTX 680の実勢価格は,発表から2か月弱が経過した5月10日時点でも5万円台半ばから6万円強といったところで,なかなか手を出しづらいという読者も少なくないと思うが,そういった読者にとって,GTX 670はベターな選択肢となるのかどうか。入手したNVIDIAのリファレンスカードを使って,その3D性能に迫ってみたい。


GTX 680からSMXを1基省略

一方で足回りはGTX 680から据え置き


 GTX 670の詳細を述べる前に,まずはGTX 680のおさらいを簡単にしておこう。
 GTX 680は,「GK104」という開発コードネームで呼ばれてきたGPUコアのフルスペックとなる製品だ。

GK104コアのブロック図
GeForce GTX 600
 GK104は,“ミニGPU”といえる「Graphics Processing Cluster」(以下,GPC)を4基搭載しているが,そのGPCは2基の「Streaming Multiprocessor eXtreme」(以下,SMX)などからなる。そして,SMXは192基のCUDA Coreと,L1キャッシュやテクスチャユニット,それにジオメトリエンジンたる「PolyMorph Engine 2.0」などから構成される仕様だ。つまりGTX 680の場合,4(GPC)×2(SMX)192(CUDA Core)で,シェーダプロセッサの総数1536基ということになる。
 ちなみに,SMX 1基あたりのテクスチャユニット数は16基,PolyMorph Engine 2.0数は1基なので,総数は前者が16×2×4で128基,後者は1×2×4で8基である。

GTX 670 GPU。ダイ上の刻印は「GK104-325-A2」だ。GTX 680だと「GK104-400-A2」だったので,GK104というコア表記に続く3桁数字が75小さいことになる
GeForce GTX 600
 では,本稿の主役となるGTX 670だとどういった構成になるだろうか。
 結論から先に述べると,GTX 670では,GK104コアが持つ4基あるGPCのうち1基で,片方のSMXが無効化されている。SMXの総数が7基となるため,CUDA Core数はGK104コアのフルスペックより192基少ない1344基,テクスチャユニットは16基少ない112基,PolyMorph Engine 2.0数は1基少ない7基という計算だ。

 また,SMXが削減されているだけでなく,GTX 670では,GPUコアのベースクロックが915MHzと,GTX 680の1006MHz比で約91%に抑えられている点も特徴だろう。
EVGA製のGPUカスタマイズツール「Precision X」(Version 3.0.2)から,Power Targetの上限を確認したところ。6ピン×2という補助電源仕様なので,Power Targetの100%が141Wなら,160%くらいまで上げられてもよさそうなのだが,上限は122%(≒173W)となっていた
GeForce GTX 600
 クロックといえば,Power Target(電力ターゲット)の枠内で自動的にGPUコアクロックを高める「GPU Boost」はGTX 680や「GeForce GTX 690」(以下,GTX 690)から変わらずサポートされているが,GPU Boost時の目安となるブーストクロックも980MHzと,GTX 680の1058MHz比でやはり約91%に抑えられていた。
 GPU Boostの“効き”個体差やGPUの冷却状況,タイトルにもよるのであくまでも参考程度になるものの,今回入手したリファレンスカードの場合,Power Targetが100%(≒141W)のときに最大1084MHzまでGPUコアクロックが上がるのを確認できている。

 さて,そんなGTX 670のスペックで興味深いのは,メモリ関連。いわゆる足回りだ。
 実のところ,64bit幅のメモリコントローラを4基搭載し,メモリインタフェースが64bit×4の256bitとなるのはGTX 680とまったく同じ。メモリインタフェースと対応する形で,8基1パーティションのROPユニットが用意されるため,ROPユニットの総数が32基となる点もGTX 680と同じだ。さらに,組み合わせられるGDDR5メモリチップの動作クロックも6008MHz相当(実クロック1502MHz)で同じため,当然のことながら,GTX 670とGTX 680でメモリバス帯域幅は変わらないということになる。

 GTX 680のレビュー記事で指摘したとおり,GK104コアにおいて性能面のボトルネックとなり得るのは,192.26GB/sに留まったメモリバス帯域幅だ。GK104コアにおいてはメモリ周りが弱点となるだけに,GTX 670でメモリ関連のスペックが据え置かれたのは,足回りに枷(かせ)をはめた場合の性能低下が著しいと判断されたためではなかろうか。

 表1は,そんなGTX 670のスペックを,GTX 680や,Fermi世代の最上位モデル「GeForce GTX 580」(以下,GTX 580),NVIDIAが競合と位置づけるHD 7950,そしてその上位モデル「Radeon HD 7970」(以下,HD 7970)とともにまとめたものになる。



実測173mmと非常に短い基板ながら

GPUクーラーが後方へ大きくはみ出す構造


公称170mm長のエルザジャパン製「GeForce GTX 560 Ti」カード「ELSA GLADIAC GTX 560 Ti mini」と並べてみたところ。基板長はほぼ同じ
GeForce GTX 600
GeForce GTX 600
 スペックを確認したところで,入手したリファレンスカードを見ていくことにしよう。
 まず,気になるカード長は実測242mm(※突起部除く)。大型のブロワーファンで熱をPCケース外へ排出するという仕様自体はGTX 680のリファレンスデザインと同じだが,GTX 680の同253mmというカード長からは約11mm短くなった格好である。

 ただ,実のところ,GTX 670の基板長自体は実測173mmしかない。GPUクーラーが,カード後方へ70mm近くもはみ出したような格好になっているのだ。上の表1でも示したとおり,GTX 670のPCI Express補助電源コネクタはGTX 680と同じ6ピン×2なのだが,そのピンコネクタは,全体の中央寄りの位置になっている。

4Gamer読者なら気づいた人も多いと思うが,GTX 670リファレンスカードで採用されているこのデザインは,「GeForce GTX 560 SE」(以下,GTX 560 SE)を搭載したZOTAC International製カード「ZOTAC GTX 560 SE 1GB」(型番:ZT-50901-10M,下段)とよく似ている。ちなみにZOTAC GTX 560 SE 1GBのブロワーファンは,カードの背面からも吸気する仕様になっていたが,GTX 670はカード表面からのみ吸気する仕様だ
GeForce GTX 600 GeForce GTX 600
GeForce GTX 600 GeForce GTX 600

GPUクーラーのカバーを取り外したところ
GeForce GTX 600
 GPUクーラーを取り外すことはメーカー保証外の行為であり,取り外した時点で保証は受けられなくなる。この点はくれぐれも注意してほしいが,特別に取り外してみると,クーラー自体の構造はGTX 680のそれを踏襲した,直線的なエアフローになっているのが分かる。
 もっともGTX 680の場合,補強板とファン台座を兼ねたメモリチップ&電源部用パッシブヒートシンクが用意されていた。それに対し,GTX 670ではそれがないなど,かなり簡略化されている印象だ。

ファン台座は単体で基板から取り外せる(左)。右はGPU用と電源部用のパッシブヒートシンクを取り外したところ。メモリチップはヒートシンクと触れていないため,メモリチップの冷却面では不安が残る
GeForce GTX 600 GeForce GTX 600

GTX 670リファレンスカードの“本体”
GeForce GTX 600
 基板上で目を引くのは,ここまで短いにも関わらず,グラフィックスメモリチップ4枚分の空きパターンが用意されていること。GTX 670では基板の両面に2Gbitチップを合計8枚搭載することでグラフィックスメモリ容量2GBを実現しているので,この空きパターンは容量4GBを見越した設計ということなのだろう。
 搭載されているメモリチップはSK Hynix(旧称 Hynix Semiconductor)製のGDDR5「H5GQ2H24AFR-R0C」(6Gbps品)で,GTX 680リファレンスカードに搭載されていたものと同スペックながらバージョンが異なるものだ。

 ちなみに電源部は4+2フェーズ仕様なので,GTX 680リファレンスカードと少なくともフェーズ数は同じことになる。
 しかし,搭載部品からは,コストダウンされている気配がありありと窺え,GTX 680リファレンスカードと同列には扱えそうにない。前段で,Precision Xのスクリーンショットを示しつつ,Power Targetの上限値が122%(≒173W)であることを紹介したが,補助電源コネクタの供給能力に遠く及ばない上限が設定されているのは,おそらく,電源回路のコストダウンに合わせてのものだろう。

GeForce GTX 600
搭載されるメモリチップ。SK Hynix製品だった
GeForce GTX 600
外部出力インタフェース近くに用意された電源部


ドライバには最新の301.34を利用

X79環境下ではGTX 670もPCIe 2.0動作


 今回,GTX 670の比較対象として用意したのは,上の表1でその名を挙げたGPUだ。直接の上位モデルとなるGTX 680,前世代の最上位モデルであるGTX 580と,競合のHD 7970&7950となる。
 このうち,HD 7950搭載カードとして用意したGIGA-BYTE TECHNOLOGY製の「GV-R795WF3-3GD」は,メーカーレベルで動作クロックが引き上げられたクロックアップモデルであるため,Catalyst Control Centerからリファレンスレベルまで動作クロックを引き下げて利用している点をお断りしておきたい。
 そのほかテスト環境は表2のとおりだ。


TechPowerUp製のGPU情報表示ツール「GPU-Z」(Version 0.6.2)実行結果。PCIe 2.0接続になっているのが分かる
GeForce GTX 600
 GeForceの3モデルですべてドライババージョンが異なるのに気づいた人もいると思うが,GTX 670のテストにあたって導入したのは,NVIDIAからGTX 690専用ドライバとして公開された「GeForce 301.34 Driver」だ。今回,NVIDIAから全世界のレビュワーに対するドライバ配布はなかったのだが,配布された資料では本ドライバを用いたスコアが記載されていたので,用いることに問題はないと考えている。

 ただ,5月7日の記事でお伝えしたとおり,このRelease 301.34が対応するGPUはGTX 670とGTX 690のみ。そこで,「できるだけ新しいドライバ」ということで,GTX 680では,GTX 690のテスト用ドライバとしてNVIDIAからレビュワーに配布された「GeForce 301.33 Driver Beta」を,Release 301.33 Betaを導入できないGTX 580では「GeForce 301.24 Driver Beta」をそれぞれ用いることにした次第だ。
 一方,HD 7970とHD 7950のテストには,検証を始めた2012年5月6日時点の最新版となる「Catalyst 12.4」を用いている。

GTX 670リファレンスカードを差した状態でNVIDIAコントロールの「システム情報」を確認したところ。こちらでは「PCI Express x16 Gen3」と認識されているが,PCIe 2.0接続となる
GeForce GTX 600 GeForce GTX 600

 ちなみに,GTX 680のPCI Express(以下,PCIe) 3.0動作は,「Intel X79 Express」(以下,X79)環境における動作安定性の確認作業が完全には済んでいないとして,「GeForce Driver 300.99 Beta」の時点で無効化されていたが(関連記事),状況に変化はないようだ。Release 301.34ドライバを導入したGTX 670とRelease 301.33 Betaドライバを導入したGTX 680はいずれもX79環境でPCIe 2.0動作となる。

 テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション12.1準拠。GTX 670がハイエンド&ハイクラス市場向けということで,解像度は1920×1080&2560×1600ドットの2パターンを選択した。
 また,これはいつもどおりだが,テストに用いたCPU「Core i7-3960X Extreme Edition/3.3GHz」は,テスト時の状況によって自動クロックアップ機能「Intel Turbo Boost Technology」の効果に違いが生じるのを防ぐため,同機能をマザーボードのUEFI(≒BIOS)から無効化している。

 なお,ここまでテスト環境,テスト条件ともGTX 690のレビュー時と完全に同じであるため,今回はGTX 680における「高負荷設定」のスコアを同レビュー記事から流用するので,この点もあらかじめご了承のほどを。


GTX 680比90%弱の3D性能を発揮

HD 7970といい勝負で,GTX 580を圧倒


 順にテスト結果を見て行こう。グラフ1は「3DMark 11」(Version 1.0.3)の「Performace」と「Extreme」,2つのプリセットにおける総合スコアをまとめたものである。。
 GTX 670はGTX 680比で89〜90%程度のスコアを示しているが,CUDA Core数でGTX 680の約87.5%,ベースクロックで約91%に抑えられていることを考えれば,順当な結果と述べていいのではなかろうか。
 NVIDIAが対抗製品と位置づけるHD 7950に対しては21〜23%程度,Fermi世代の最上位モデルたるGTX 580には25〜35%高いスコアを示し,HD 7970すら若干上回っているというのは立派だ。

※グラフ画像をクリックすると,Extremeプリセットのスコアを基準に並び替えたグラフを表示します
GeForce GTX 600

 次にグラフ2〜5は,「S.T.A.L.K.E.R.:Call of Pripyat」(以下,STALKER CoP)の公式ベンチマークテストに用意された4つのテストシークエンスから,最も描画負荷の低い「Day」と,逆に最も高い「SunShafts」の結果となる。
 Dayから見ていくと,GTX 680とのスコア差は4〜9%程度(グラフ2,3)。3DMark 11よりも少なくなっている。また気になるのは,HD 7970とのスコア差が,アンチエイリアシングや異方性フィルタリングを適用していない「標準設定」だと11〜12%程度あるのに対して,高負荷設定では1〜5%にまで縮まっていること。GK104コアの抱えるメモリバス帯域幅というボトルネックの影響は,GTX 680と同じ足回りを持つGTX 670でもはっきりと確認できるわけだ。

※グラフ画像をクリックすると,解像度2560×1600ドット条件のスコアを基準に並び替えたグラフを表示します。以下,フレームレートをまとめたグラフのすべてでそうなるようにしてあるので,見やすいほうをチェックしてください
GeForce GTX 600
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 描画負荷が極めて高くなるSunShaftsになると,GTX 670はHD 7970に対して逆転を許し,2560×1600ドットではHD 7950に対しても明確なスコア差を付けられなくなる(グラフ4,5)。また,メモリ周りの弱さがボトルネックとなり,GTX 670とGTX 680とでスコアがかなり似通ったものになる点も指摘しておきたい。

GeForce GTX 600
GeForce GTX 600

 一方,グラフ6,7にスコアをまとめた「Battlefield 3」(以下,BF3)では,GeForceへの最適化が進んでいることもあって,GTX 670がHD 7970に対して11〜25%程度,HD 7950に対して30〜45%程度高いスコアを示している点が目を引く。
 メモリ周りの影響は,ここでも2560×1600ドット設定時に認めることができるが,それでもHD 7970に対してGTX 670が約11%高いスコアを示している点は評価できそうだ。

GeForce GTX 600
GeForce GTX 600

 古い世代のDirectX 9タイトルを代表して採用している「Call of Duty 4: Modern Warfare」(以下,Call of Duty 4)のテスト結果がグラフ8,9となる。
 GTX 680のレビュー時に筆者は,標準設定時に負荷が低すぎ,GTX 680で128基のテクスチャユニットを空転させてしまっている可能性を指摘したが,テクスチャユニット数が112基のGTX 670でもその傾向は同様に見て取れよう。GTX 670は,標準設定でHD 7970に7〜10%程度のスコア差を付けられているのに対し,高負荷設定では逆に7〜13%程度のスコア差を付けている。対HD 7950でも,標準設定では4〜10%程度のスコア差しか付けられていないのが,高負荷設定では24〜31%程度まで広げた。

GeForce GTX 600
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 Call of Duty 4と同じくDirectX 9世代ながら,ゲームエンジンが最新世代で,かつ,高解像度テクスチャパックの導入によって描画負荷が相当に高くなっている「The Elder Scrolls V: Skyrim」(以下,Skyrim)。その結果がグラフ10,11だ。
 メモリインタフェースが256bitとなるGTX 670およびGTX 680は,同384bitのGTX 580やHD 7970&7950を突き放せていない。「それでもGTX 670がHD 7970と互角以上」という点は十分に評価していいものの,GTX 580に対して最大でも約11%しかスコア差を付けられていないあたり,GK104コアにある明確な弱点は意識せざるを得ない印象である。

GeForce GTX 600
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 グラフ12,13は,「Sid Meier's Civilization V」(以下,Civ 5)の結果である。Civ 5のテストに4Gamerでは「Leader Benchmark」を用いており,GTX 680のレビューでは,それとGPU Boostの“相性”,もしくはGPGPU性能の低さからGTX 680でスコアが伸びない可能性を指摘したが,その下位モデルとなるGTX 670でも同じことが言えそうだ。
 GTX 670のスコアは,標準設定でHD 7950に対して6〜8%高い一方,高負荷設定では90〜94%程度に留まっている。もちろんメモリ周りも影響はしていると思われるが,それを抜きにしてもGTX 670&680のスコアはパッとしない。

GeForce GTX 600
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 「DiRT 3」のテスト結果をまとめたグラフ14,15だと,GTX 670は「HD 7970のスコアを上回るが,描画負荷が高くなるほど差が縮まる」という意味で,STALKER CoPのDayと同じような結果になっている。ただ,GTX 580に対して28〜30%程度,HD 7950に対して27〜35%程度高いスコアを示し,格の違いは見せつけた。

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GTX 680より15〜31W低い消費電力

GPUクーラーの性能は(見た目どおり?)芳しくない


 GTX 670のTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)は,GTX 670の195Wから25W減って170Wとなった。また,Power Targetの100%は,GTX 680の170Wから29W低い141wとなった……というのは本稿の序盤でお伝えしたとおりだが,これらの数字は,実際の消費電力にどういった影響を与えているだろうか。ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の消費電力を比較してみよう。

 ここでは,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時としている。
 その結果はグラフ16のとおり。アイドル時の消費電力は,GTX 580を除いて同じレベルにあると述べていいだろう。参考までに,アイドル状態が続いたときにディスプレイ出力を無効化できるように設定すると,HD 7970とHD 7950では「AMD ZeroCore Power Technology」によって消費電力がさらに低下し,システム全体で75Wにまで下がるのを確認できている。

 続いてアプリケーション実行時だが,GTX 670のスコアは288〜312Wで,GTX 680からは15〜31W程度低いという結果になった。HD 7950との比較では6〜32W高いが,3Dグラフィックス処理性能差を考えると,妥当なところとはいえるかもしれない。

※グラフ画像が縦方向に大きくなりすぎたため,簡略版を掲載しました。グラフ画像をクリックすると完全版を表示します
GeForce GTX 600

 最後にグラフ17は,3DMark 11の30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,TechPowerUp製のGPU情報表示ツール「GPU-Z」(Version 0.6.2)から各GPUの温度を追った結果となる。テスト時の室温は24℃で,システムをPCケースに組み込まず,いわゆるバラック状態に置いて計測を行った。

 クーラーもファン回転数制御方法も異なるので,厳密な横並び比較は行えないのだが,それでも,GTX 670の温度が,GTX 680と比べてアイドル時で6℃,高負荷時で4℃高いあたりからは,シンプルで,見るからにコストダウンの図られたGPUクーラーの影響が見て取れる。しかも,筆者の主観で語らせてもらうなら,今回のテスト中,回転数が1020〜2100rpmの範囲で制御されていたGTX 670リファレンスクーラーの動作音は,少なくともGTX 680リファレンスクーラーのそれよりもうるさく感じられた。冷却能力だけでなく,動作音という観点でも,リファレンスクーラーは今ひとつの印象だ。



GTX 680の下位モデルとしてかなり高い性能

オリジナルクーラー搭載のOC版や短いカードに期待


リファレンスカードの外部出力インタフェースはDual-Link DVI-D×1,Dual-Link DVI-I×1,DisplayPort×1,HDMI×1となっている。カード1枚での3D Vision Surround/NVIDIA Surround出力は,GTX 680から引き続き対応
GeForce GTX 600
 GTX 670の3D性能は,GTX 680の9割弱。SMXが1基削減された一方で,メモリ周りは上位モデルと変わらないスペックを維持しているだけに,そのスコア差があまり大きくないのは順当といったところだが,カードメーカーが思い切った動作クロック設定を行ったクロックアップモデルを投入してくれば,リファレンスクロックで動作するGTX 680を脅かすことになるのではないかという期待も抱かせる結果となった。

 ただ,そういった考えに及ぶ大きな要因の1つに,リファレンスカードの“お粗末さ”があることは,指摘しておかねばならない。せっかくの短い基板長をまるで活かせていないうえに,わざわざカード後方に7cm弱も伸ばして用意してきたクーラーは見かけ倒し感が否めないからだ。NVIDIAは,GTX 670搭載カードの北米市場における想定売価を399ドル(約3万1800円)としているが,リファレンスデザインを踏襲するのであれば,いきなり3万円台前半はないにしても,4万円前後くらいでスタートしないと厳しいだろう。
 逆に,オリジナルクーラーを搭載し,メーカーレベルのクロックアップ設定も行い,さらに電源周りを強化してPower Targetの上限も引き上げてきたようなモデルであれば,GTX 680のリファレンスモデルと同等かそれ以上の性能も期待できそうだ。あるいは,リファレンスカードと同レベルの基板サイズを採用しつつ,より性能の高いクーラーと組み合わせたモデルというのもニーズはあるように思われる。

 その意味でGTX 670は,3万円中盤から4万円中後半まで,さまざまなバリエーションで搭載カードが登場し得るGPUだといえるかもしれない。
 発売当初は399ドルという価格から遠く離れた価格になりそうな気配で,その点は残念だが,オリジナルクーラー搭載で4万円強くらいからのところに落ち着けば,Radeon HD 7900シリーズの対抗馬として面白い存在になってくるのではなかろうか。

GeForce公式情報サイトGeForce.com(英語)

NVIDIAのGeForce製品情報ページ

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