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印刷2011/06/30 13:01

レビュー

デスクトップPC向けLlano「A8-3850」レビュー,GPUコア編

A8-3850/2.9GHz
(Radeon HD 6550D)

Text by 宮崎真一


A8-3850。入手した個体はFusion APU単体で,OPNは「AD3850WNZ43GX」だった
AMD A-Series(Llano)
 日本時間2011年6月30日13:01,AMDは,開発コードネーム「Llano」(ラノ)と呼ばれていたAMD A-Series Fusion APU(以下,A-Series)のうち,デスクトップPC向けモデルを正式に発表した。AMDは6月中旬にノートPC向けA-Seriesを発表しており,4Gamerでも「A8-3500M/1.5GHz」を搭載したノートPCのレビュー記事を掲載しているが,自作派PCゲーマーからすると,むしろ今回のデスクトップPC向けモデルのほうがより気になるのではなかろうか。

 今回4Gamerでは,発表時点の最上位モデルとなる「A8-3850/2.9GHz」を,対応マザーボードともども入手できたので,本稿ではゲーム用途において最も気になる3D性能をチェックしてみたいと思う。デスクトップPC向けA-Seriesの概要説明,そしてCPUコア性能のレビューは,それぞれ本間 文氏と米田 聡氏が行っているので,ぜひ合わせてチェックしてほしい。

デスクトップPC向けA-Series概要紹介記事

デスクトップPC向けA-Series「A8-3850」レビュー記事,CPUコア編



動作クロックの引き上げで

HD 5670に近づいたGPUコア


 別記事でもお伝えしているとおり,日本AMDは,7月3日に,A8-3850と,「A6-3650/2.6GHz」を国内発売予定だ。詳細はニュース記事を参照してもらうとして,下記,ざっくりとスペックをまとめてみたが,A8-3850のほうがCPUコアの動作クロックが300MHz高い。また,GPUコアのシェーダプロセッサ数も順に400基,320基と差別化されている。

  • A8-3850:CPUクロック2.9GHz(AMD Turbo CORE Technology無効),L2キャッシュ容量1MB×4,GPUコア400基(Radeon HD 6550D),TDP 100W
  • A6-3650:CPUクロック2.6GHz(AMD Turbo CORE Technology無効),L2キャッシュ容量1MB×4,GPUコア320基(Radeon HD 6530D),TDP 100W

パッケージはFM1。ピン数は905本だ。AMDの内部では「フタ付き937ピン」(937-pin lidded μPGA)とも呼ばれているようである
AMD A-Series(Llano)
 今回入手したA8-3850は,PGAパッケージ「FM1」を採用するものだ。対応ソケットはSocket FM1で,従来のSocket AM3とは物理的にも電気的にも互換性がない。
 統合されるCPUコア数は4基で,L2キャッシュ容量はコアあたり1MB。L3キャッシュを持たない点も含めて,このあたりはノートPC向けA-Seriesと同じ。ただメモリコントローラは拡張されており,ノートPC向けがデュアルチャネルDDR3-1600の対応だったのに対し,デスクトップPC向けでは,「1チャネルあたり1DIMMまで」という制約はあるものの,DDR3-1866対応となっている。UMAにより,CPUコアとGPUコアでシステムメモリを共有する仕様上,メモリバス帯域幅が向上しているのは見逃せないポイントだ。

A-Seriesのダイショット(左)と各部の説明(右)。コアごとにL2キャッシュが用意される4 CPUコア仕様である点や,グラフィックス関連がダイの中でかなりの面積を占めている点に注目してほしい
AMD A-Series(Llano) AMD A-Series(Llano)

A8およびA6のGPUコア概要
AMD A-Series(Llano)
 さて,本稿の主役となるGPUコアだが,A8-3850では5基の「SIMD Engine」を搭載しており,そのSIMD Engineは16基の「Thread Processor」(以下,TP)で構成されている。さらにTPは,単体GPU製品における「Streaming Processing Unit」(以下,SP)にあたる4+1基の「Radeon Core」と分岐ユニット,それに汎用レジスタのセットになっているため,「5×16×(4+1)」で,総SP数は400基になるわけだ。
 “4SP+1ビッグSP”仕様のVLIW5コアアーキテクチャを採用する点も含め,GPU周りの基本スペックもデスクトップPC向けとノートPC向けA-Seriesで共通というわけである。

ノートPC向けA-Seriesのレビュー時にも示した,「Sumo」(スモ)と呼ばれるGPUコアの概要(左)と,TPの概要(右)
AMD A-Series(Llano) AMD A-Series(Llano)

AMD A-Series(Llano)
 ただA8-3850で,GPUコアクロックがA8-3500Mの444MHzから,600MHzへと約35%も引き上げられている点は,指摘しておく必要があるだろう。A8-3500Mのレビュー記事で筆者は,同Fusion APUのGPUコアが「Redwood」コアの「ATI Radeon HD 5670」(以下,HD 5670)と同じ構成であると述べたが,コアクロック775MHzのHD 5670にA8-3500Mよりも近づいた存在と紹介してよさそうである。
 もちろん,A8-3850は製造プロセス技術が32nm High-kへと微細化していたり,UVD 3.0を搭載していたりと,HD 5670に対する優位性は,そのほかの部分にもある。A8-3850と既存の単体GPUや,競合のグラフィックス機能統合型CPUと,GPU周りの性能を比較してみたのが表1なので,参考にしてもらえれば幸いだ。


 ちなみに,Radeon HD 5000〜6000系コアを採用することにより,異方性フィルタリングの精度が高くなっているのも,A-Seriesの特徴とされている。
 下に示したのは順に,A8-3850,「Radeon HD 6450」,そして「Core i7-2600K/3.40GHz」で,「FilterTest」(Version 1.3)から異方性フィルタリング精度を確認した結果だが,たしかにA8-3850はRadeon HD 6450と同じ精度を実現できているようだ。

異方性フィルタリングの精度をチェックした結果。左から順にA8-3850とRadeon HD 6450,Core i7-2600Kだが,A8-3850とRadeon HD 6450では「角度によるフィルタリング」の破綻がない。Core i7-2600Kとの違いは一目瞭然だ
AMD A-Series(Llano) AMD A-Series(Llano) AMD A-Series(Llano)


AMD Dual Graphicsは

ノートPCと比べて使い勝手が向上


ノートPC向けA-Seriesのレビュー記事より再掲となる,AMD Dual Graphicsデモの一コマ
AMD A-Series(Llano)
 ノートPC向けA-Seriesのレビュー時にも紹介した,統合型GPUコアと外付けのグラフィックスカードによる協調動作「AMD Dual Graphics Technology」(以下,AMD Dual Graphics)は,デスクトップA-Seriesでもサポートされる。

 AMD Dual Graphicsに関しては先のレビュー記事で詳しく説明しているので,ぜひそちらを併せてチェックしてもらえればと思うが,簡単にいえば,統合型GPUコアと単体GPUがAFR(Alternate Frame Rendering)を変則的に受け持つ,特殊なCrossFireX動作のこと。先のレビュー記事からデモの模様を示した下のムービーを再掲するので,これを見てほしい。動作の仕組みは左上のインジケータを確認してもらうのが手っ取り早いだろう。


AMD A-Series(Llano)
 また,これもノートPC向けA-Seriesと同じだが,デスクトップPC向けA-Seriesを用いたAMD Dual Graphicsでは,組み合わせるGPU次第でそれぞれ異なった,単独のモデルナンバーが振られている。
 A8-3850で統合されるGPUコアには「Radeon HD 6550D」というモデルナンバーが振られているのだが,AMD Dual Graphicsで想定される「組み合わせるGPU」によって,モデルナンバーは下記のように“昇格”するのだ。

  • Radeon HD 6550D+Radeon HD 6670→Radeon HD 6690D2
  • Radeon HD 6550D+Radeon HD 6570→Radeon HD 6630D2
  • Radeon HD 6550D+Radeon HD 6450→Radeon HD 6550D2

 ノートPC向けA-Seriesだと,ブランド名には末尾に「G」の文字が付けられており,AMD Dual Graphicsでは「G2」になったが,この関係性は「D」が付けられるデスクトップPC向けA-Seriesでも変わりなし。「Turks」および「Caicos」コアのRadeon HD 6000シリーズGPUを組み合わせたときには,いずれも「D2」の付記で区別されることとなる。

ノートPC向けA-Seriesと同様,デスクトップPC向けA-Seriesでも,「AMD System Monitor」から確認すると,AMD Dual Graphics構成時に,引き上げられたモデルナンバーを確認できた
AMD A-Series(Llano) AMD A-Series(Llano)

「Radeon HD 6870」カードを差したところ。CrossFireXを有効にしたくても,項目自体が表示されなかった。スクリーンショットは掲載していないが,「ATI Radeon HD 5450」を差したときも同じ結果になっている
AMD A-Series(Llano)
 ところでマザーボードの場合,PCI Express x16スロットに任意のグラフィックスカードも接続可能だが,より高スペックなものや,一世代前のグラフィックスカードなどを差したらどうなるだろうか? 結論から言うと,AMD Dual Graphicsでモデルナンバーが引き上げられるGPUを差した場合にしか,AMD Dual Graphicsは有効にならない。リストにないGPUと組み合わせたときは,グラフィックスドライバの設定ソフトである「VISION Engine Control Center」にCrossFireXの設定項目は表示されないのである。

 AMDは,発表に先立って開催した国内の報道関係者向け説明会で,「技術的には,ATI Radeon HD 5000シリーズとのAMD Dual Graphicsのとの組み合わせも可能」と述べていたから,現時点ではドライバによって一部制限がかかっている可能性もある。また,「上位クラスのグラフィックスカードとの組み合わせではそもそも効果がないから有効化しない」という判断が下っている可能性もありそうだ。

APUとGPUの組み合わせによる“モデルナンバーブースト”の仕組み。少なくとも発表時点では,このテーブルにある組み合わせにおいてのみ,AMD Dual Graphicsは有効になるようだ
AMD A-Series(Llano)

 なお,AMD Dual Graphics動作において,グラフィックスカードはAFR動作用のグラフィックスアクセラレータとして機能(し,処理結果をAPU側のグラフィックスメモリ領域へ転送)するため,グラフィックスカード側にディスプレイケーブルをつなぐ必要がない。一方,グラフィックスカード側のみにディスプレイケーブルを差した状態や,カードとマザーボードの両方に差した状態でもAMD Dual Graphicsは動作するようになっており,後者の場合,今回のテスト環境ではカード側が優先された。


MSIのA75搭載マザーボードを利用

Dual Graphicsのテストも実施


A75MA-G55
メーカー:MSI
エムエスアイコンピュータージャパン Tel 03-5817-3389
価格:未定
AMD A-Series(Llano)
 ではテスト環境の構築に移ろう。
 今回用意したマザーボードは,「AMD A75」を搭載したMSI製のmicroATXモデル「A75MA-G55」。A8-3850とセットで,日本AMDから入手した個体だ。いわゆるBIOS機能はUEFIベースで提供されており,容量2.2TBを超えるHDDの利用が可能になっている。
 ボード自体はMSI独自の品質規格「Military Class II」に対応し,これまたMSIオリジナルのオーバークロック機能「OC Genie II」も利用可能だ。外部ディスプレイ出力はDVI-DとHDMI,D-Sub 15ピンの3系統だが,本製品の場合,DVI-DとHDMIの同時出力は行えないため,デジタルディスプレイ出力は1系統のみとなる。

AMD A75 FCH(FCH:Fusion Controller Hub,左)。右はA75MA-G55の外部出力インタフェース群だ。物理的なディスプレイ出力は3系統。また,2ポート用意されたUSB 3.0は,AMD A75内蔵コントローラによって提供されている
AMD A-Series(Llano) AMD A-Series(Llano)
Socket FM1の取り付け方法はAM3までと変わらない。左下の写真は左がA8-3850,右がAM3パッケージのCPUで,ご覧のとおりヒートスプレッダの高さも同じだ。さらにいうと,クーラーを取り付けるためのリテンションも同じなので,AM3までに対応したCPUクーラーをそのまま利用できる。右下は,「Athlon X2 250/3.0GHz」の製品ボックスに付属のCPUクーラーを取り付けたところ
AMD A-Series(Llano) AMD A-Series(Llano)
AMD A-Series(Llano) AMD A-Series(Llano)
AMD A-Series(Llano)
電源周りは見る限り3+1フェーズのようだ
AMD A-Series(Llano)
Serial ATAは6Gbps×6という構成になっている

 比較対象としては,Radeon HD 6670(以下,HD 6670)とRadeon HD 6570(以下,HD 6570),Radeon HD 6450(以下,HD 6450)のリファレンスカードを用意し,HD 6670とHD 6450については,A8-3850とのAMD Dual Graphics構成でもテストを行うことにした。また,AMD Dual Graphics時の比較対象としては,“仮想Radeon HD 6750”としての「ATI Radeon HD 5750」(以下,HD 5750)も用意している。
 さらに,統合型グラフィックス機能同士の比較を行うべく,i7-2600Kと「Intel H67 Express」ベースの環境も,別途用意した次第だ。

F3-14900CL9D-8GBSR DDR3-1866 8GB1.5V動作のゲーマー向けOCモジュール
メーカー:G.Skill International Enterprise
問い合わせ先:パソコンショップ アーク
パソコンショップ アーク通販価格:9990円(税込,2011年6月30日現在)
AMD A-Series(Llano)
 そのほかテスト環境は表2のとおりで,注目してほしいのは,今回,DDR3-1866メモリコントローラに対応するG.Skill International Enterprise製のPC3-14900モジュール2枚セット「F3-14900CL9D-8GBSR DDR3-1866 8GB」を,秋葉原のPC&PCパーツショップであるパソコンショップ アークの協力で用意しているところ。今回は,4GBモジュール2枚を用いるため,A8-3850で用いるグラフィックスメモリサイズはBIOSから大きめの1GBに設定している。

 なお,用いたグラフィックスドライバ「8.862-110607a-120249E」は,AMDから全世界のレビュワーに配布されたもの。「Catalyst 11.6」だと,Display Driverのバージョンは8.861だったので,Catalyst 11.6ベースのドライバと考えてよさそうだ。


SST-ST1200-G
+12V 1系統の定格1200W電源ユニット
メーカー:SilverStone Technology
問い合わせ先:マスタードシード(販売代理店)
実勢価格:2万3000〜3万1000円程度(※2011年6月30日現在)
AMD A-Series(Llano)
 テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション11.0準拠。A8-3850がエントリークラスのGPUコアを統合している製品であるため,解像度は1280×720&1600×900ドットに絞り,同じ理由でアンチエイリアシングやテクスチャフィルタリングを適用しない「標準設定」(もしくは「低負荷設定」)のテストのみを実施することとした。

 なお以下,AMD Dual Graphics時は文中とグラフ中ともにモデルナンバーで表記するので,念のため,構成を下記のとおり再度記しておきたい。A8-3850単体動作は,グラフ内に限り,“主役”として特別に「HD 6550D(A8-3850)」と表記する。

  • HD 6690D2:A8-3850+HD 6670
  • HD 6550D2:A8-3850+HD 6450

 ちなみに,グラフィックスカード単体のテストを行うときは,統合型GPUコアを無効化すべきなのだが,今回は有効なままとしている。BIOSリビジョン「BIOS V1.0B15」のA75MA-G55では,設定メニューから「Init Display First」を単体グラフィックスカード側に切り替えるとBSoD(Blue Screen of Death)が発生し,Windowsが起動しなくなってしまったためだ。この点は注意してほしい。
 ただ,CPUコア編のレビューで米田 聡氏が使っていたGIGA-BYTE TECHNOLOGY製マザーボード「GA-A75-UD4H」では,同様の手順でA8-3850側の統合型GPUコアを無効化できているので,これはβ版のBIOSかグラフィックスドライバ,あるいは両方の練度が足りていないということなのだと思われる。


GPUコア性能は「HD 6450以上,HD 6570以下」

AMD Dual Graphicsは可能性を感じるが,ドライバ次第


 テスト結果の考察に入ろう。グラフのバーは,A8-3850とそのAMD Dual Graphics構成時を上に並べ,その下は基本的にモデルナンバー順としてあるが,それでは見にくいものも存在するため,グラフ画像をクリックすると,より負荷が高いほうのテスト条件におけるスコア順に並び替えたものを別ウインドウで表示するようにもしてある。必要に応じて,見やすいほうをチェックしてもらえればと幸いだ。

 というわけでグラフ1は,「3DMark 11」(Version 1.0.2)から,「Entry」および「Performance」プリセットの結果である。HD 6550DはHD 6450に対して59〜60%高く,HD 6570比では20〜24%低いスコアを示し,「HD 6450とHD 6570の間,どちらかといえばHD 6570寄り」という,モデルナンバーどおりの結果にまとまっている。
 また,HD 6550DとHD 6450によるHD 6550D2が,HD 6550Dに対して30〜39%高いスコアを示し,HD 6570を上回っているのも立派だ。

 さらに,HD 6550D+HD 6670のHD 6690D2だと,HD 6550D比で199〜220%というスコアを示し,HD 5750すら上回っている。3DMark 11におけるAMD Dual Graphicsには,かなりの効果を認めることができそうである。
 なお,i7-2600KのスコアがN/Aなのは,3DMark 11がDirectX 11専用ベンチマークであるため。以下,DirectX 11モードでのテストだと,i7-2600KのスコアはいずれもN/Aとなる。

AMD A-Series(Llano)

 グラフ2,3は「S.T.A.L.K.E.R.: Call of Pripyat」(以下,STALKER CoP)のテスト結果だ。グラフ2は,STALKER CoPの公式ベンチマークテスト中,描画負荷がもっとも小さい「Day」シークエンスの結果をまとめたものだが,ここでも,HD 6550Dは,HD 6450に対して71〜76%高いスコアを示している。1280×720ドットであればなんとかプレイできなくもないフレームレートが出ていると述べていいだろう。
 AMD Dual Graphicsだと,HD 6990D2はまずまずのスコアを示す一方,HD 6550D2が振るわないのは気になった。

AMD A-Series(Llano)

 STALKER CoPの公式ベンチマークテスト中,最も負荷の高い「SunShafts」シークエンスの結果がグラフ3で,ここでは,HD 6990D2はHD 6550Dに対して2倍前後のスコアを示すのに対し,いよいよHD 6550D2のスコアが振るわない。グラフ2のスコアとセットで考えるに,“目の前の負荷”に対して実力が足りていない単体GPUを組み合わせた場合,AMD Dual Graphicsにはそれほどのメリットが得られない可能性があると見るのが正しそうである。

AMD A-Series(Llano)

 DirectX 10モードで実行した「Battlefield: Bad Company 2」(以下,BFBC2)のテスト結果がグラフ4。BFBC2においても,HD 6550Dの位置づけは「HD 6450以上,HD 6570以下」だが,ここではどちらかというとHD 6450のほうに近いスコアだ。そのためか,HD 6550D2,HD 6990D2のスコアも,HD 6550D比では順に40%,102〜106%と順調に伸びているのだが,それぞれ上位モデルには若干届かない結果となった。

AMD A-Series(Llano)

 AMD Dual Graphicsの効果をまったく認められなかったのが,グラフ5に示した「Call of Duty 4: Modern Warfare」(以下,Call of Duty 4)である。ここで,HD 6550D2はHD 6550Dと変わらぬスコアに留まり,HD 6690D2はHD 6670を単体で用いたときよりもスコアが落ちてしまった。
 AMD Dual GraphicsはCrossFireXのAFRモードを応用した機能なので,AFRに適さないゲームで性能が出ないのは,ある意味当たり前といえばそれまでだが,それとは別に,AMD Dual Graphicsの動作を規定する「Catalyst Application Profile」側に不備があったりした場合,スコアの向上がまったく期待できなかったり,むしろスコアが低下したりする可能性があるというわけだ。

 もっとも,HD 6550Dで1600×900ドット時に平均60fpsを超えているわけで,この点では大いに評価できそう。Call of Duty 4でこの結果だと,1600×900ドット以下の解像度なら,世にある3Dオンラインゲームのほとんどを快適にプレイできるレベルと述べてよさそうである。

AMD A-Series(Llano)

 グラフ6にテスト結果を示した「Just Cause 2」でも,AMD Dual Graphicsは芳しくない結果に終わった。AMDにとっては,AMD Dual Graphicsへの最適化が,今後の大きなテーマであり,課題でもあるということなのだろう。

AMD A-Series(Llano)

 一方,グラフ7,DirectX 10モードで実行した「Sid Meier's Civilization V」(以下,Civ 5)だと,3DMark 11などと同じく,AMD Dual Graphicsの効果を確認できるようになる。HD 6690D2はHD 5750に迫り,HD 6550D2はHD 6570に迫るといった具合だ。
 なお,ここまであえて触れてこなかったが,HD 6550Dとi7-2600Kでは,総じて勝負にすらなっていない。Civ 5でもHD 6550Dはi7-2600K比で2倍近いスコアを示している。

AMD A-Series(Llano)

 3D性能検証の最後は「DiRT 3」だが,ここでもテスト結果は3DMark 11と同様の傾向だ(グラフ8)。DiRT 3が,AMDの強力なサポートを受けて開発されているのを踏まえると,HD 6690D2のベストケースではHD 5750のスコアを上回り,同様にHD 6550D2はHD 6570を上回ると見ていいのではなかろうか。

AMD A-Series(Llano)


i7-2600Kとほぼ同程度の消費電力

AMD Dual Graphicsを利用すると高くなる傾向に


 400基ものGPUコアを600MHzで駆動させることもあり,その消費電力は気になるところだ。今回もいつものように,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の消費電力を計測してみよう。
 テストにあたっては,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時としている。

 その結果をまとめたのがグラフ9だ。搭載する省電力機能「Cool’n’Quiet」(以下,CnQ)の挙動はCPUコア編のレビューでまとめてあるため,本稿ではA8-3850のCnQを有効化したままアイドル時の計測を行っているが,A8-3850のスコアは46W。組み合わせられるマザーボードが異なるので,厳密な横並びの比較に意味はないものの,それでもi7-2600Kと肩を並べている点は評価に値する。

 アプリケーション実行時のA8-3850は,i7-2600Kとほぼ同じ程度な一方,各アプリケーション実行時では,HD 6550Dはi7-2600Kとほぼ同じか若干低いレベルで,これまた相当に優秀だ。単体GPUのスコアは,前述のとおり,A8-3850の統合型GPUコアを有効にしたまま計測したものなので,これまた横並びの比較には適さないのだが,それでも十分なインパクトはある。
 ただ,AMD Dual Graphicsが相応に消費電力を押し上げている点も押さえておく必要はありそうだ。HD 6550D2はHD 6570より高くなる場合が多く,同様にHD 6690D2もHD 5750と同程度のスコアにまで達している。

※グラフ画像をクリックすると,数値を含めた完全版を別ウインドウで表示します
AMD A-Series(Llano)

 なお,A-SeriesのGPUコア温度だけを計測する術がいまのところ見当たらないため,GPU温度比較は割愛する。


3Dゲーム用途でのコストパフォーマンスは抜群

AMD Dual Graphicsの万全なサポートを望みたい


 日本AMDによるA8-3850の市場想定売価は1万3980円(税込)。HD 6450を大きく上回る3D性能を持つことと,そのHD 6450を搭載したグラフィックスカードの実勢価格が4300〜6000円程度(※2011年6月30日現在)であることを考えると,そのお買い得感は相当に高い。手元にあるモジュールを使い回してFusion APUとマザーボードだけ新調するか,新たにPC3-14900モジュールも買い求めるかで予算は変動するものの,エントリークラスのゲーマー向けグラフィックスカードやPCの市場におけるキラーアイテムとなり得るポテンシャルを持つと述べていいだろう。
 下位モデルの実力はまたあらためて検証する必要があるものの,少なくともA8-3850は,3Dオンラインゲームや,カジュアルタイトルを主にプレイしている人に,広く勧められる製品だ。

 惜しむらくはAMD Dual Graphicsの完成度で,CrossFireXのたどってきた道を考えるに,長い旅路となる懸念はある。Fusion APUに賭けているAMDが,これまで以上のスピードで最適化を進めてくれることを願いたいところである。

日本AMDのVISION A8公式Webページ

  • 関連タイトル:

    AMD A-Series(Llano)

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