企画記事
いったい何が飛び出してくるのか。黒田幸弘氏,南治一徳氏,伊藤龍太郎氏が,クラウドファンディングを利用したiOS向け新作ゲームの開発をスタート。これまでと,これからのゲーム業界について語り尽くす
クラウドファンディングに期待するものとは
4Gamer:
ちょっと話を戻しますけど,今回制作予定のタイトルはソーシャルゲームですが,内容はまだ全然決まってない状態なんですよね。「クラウドファンディングでやる」ってことだけ決まってる(笑)。
伊藤氏:
ええ。ほんとに,クラウドだけに「雲を掴むような」感じで。
4Gamer:
うまい!
伊藤氏:
すいません,これだけはどこかで言おうと思って用意してきたんです! それ以外のことは出たところ任せでいいけど(笑)。
4Gamer:
クラウドファンディングというやり方がこうなるといいなとか,こういうことができるんじゃないかとか,そういう話はされてます?
黒田氏:
まずはクラウドファンディングによって多くの人に興味を持ってもらい,さらに友だちが呼べれば,ぐらいですか。まあ,そういう発想はあると思うんです。資金を集めるというのはもちろん重要でしょうけど,それだけじゃなくて,その後の広がりみたいなものにも期待したい。ニコニコ動画にアップされて,ゲームの人気に火がつくみたいな感じでしょうか。
4Gamer:
黒田さんはニコ動もご覧になっているんですか?
黒田氏:
一応,アカウントは持ってます。まあ,そんなには見ていないですよ。2chも見てるし,YouTubeも見てるし,ニコ動も見る,そんな感じで(笑)。
伊藤氏:
YouTubeとニコ動は,ちょっとヒマができたからって見だすとキリがなくなって,危険ですね。
4Gamer:
クラウドファンディングには,資金調達以上にユーザーの盛り上がりを期待していると。
黒田氏:
盛り上がればいいんですが,どうでしょう。注目してもらうためには,キャラクター性などが重要になると思いますね。
伊藤氏:
まあ,プレイヤーは刑事ではあるんですけど,そのへん,いろいろ勝手にやってもいいんじゃないかと思ってます。前にNHKでやっていたドラマの「外事警察」のような感じで,警察のクセに手段を選ばない。とても警察とは思えないことをするとか(笑)。
黒田氏:
昔は「こち亀」で銃を撃つたびに警察から抗議が来たとかいう話もあるので,時代は変わったんですね(笑)。
伊藤氏:
時代性は重要だと思いますね。「女神転生」の退廃的な世界観が当時うけたのも時代性が大きいと思います。あの頃は「世紀末」感があったじゃないですか。「1999年に世界が滅びる」と言われ続けて数十年,結局何もなかったけど(笑)。
あとは,あの話のプロットを作っているとき,モロに影響を受けてますけど,まだ冷戦たけなわで「核戦争が起こるかもしれない」というのが実感としてあった。
4Gamer:
「女神転生II」が出た当時はソ連がまだありましたね。
伊藤氏:
そうそう,ソ連があって。アメリカとソ連が数百発も核ミサイルを持っていて,「いつ撃つか」みたいな感じでにらみ合っていた時代だったんです。
4Gamer:
今では,想像することも難しいかも知れませんね。
伊藤氏:
その流れで「北斗の拳」もあるし,「マッドマックス2」もあるし。「デビルマン」や「バイオレンスジャック」などもある。ああいう時代だったから生まれているんでしょうね。米ソによる核戦争の恐怖は消えて,それから1999年にも地球は滅びなかったので,あのときの女神転生のようにはいかないでしょう。今,「2012年に終わりが来る」とか言われていますけど,「ああ,またですか」ですね。“滅びる詐欺”かよ,みたいな(笑)。
4Gamer:
またちょっと話題を変えますけど,クラウドファンディングは成功例ばかりがよくニュースになりますけど,お金が集まらなくて立ち消えになっている企画も多いようですが。
伊藤氏:
成功するのは氷山の一角ですからね。
南治氏:
それでも,いい時代になってきたなあと思います。何人かで仕組みを作って,サービスを始められるような時代になったのは大きいと思いますね。
伊藤氏:
たぶん,新しいビジネスモデルへの過渡期だろうなあという気はしてますね。じゃあその先に何があるのか,というのは,ちょっと私の頭では想像しかねますが。
4Gamer:
アメリカでは,パブリッシャが新しい企画にはなかなかお金を出してくれない。クラシカルなスタイルのゲームにもお金が出ない。しょうがないからクラウドファンディングに,となってますよね。
南治氏:
今はどうなのか知りませんが,日本でも一時期,大作は広告費だけで何億円とかって言ってましたね。それをペイするには,相当な数を売らなきゃならない。「広告を出しますから引き取ってください,売れますから仕入れてください」って説得しないと流通に流れない。
4Gamer:
流通のことも以前ほど心配しなくてよくなってきましたね。それからまた,必ずしも面白ければ流行るわけでもないというのも,ポイントかもしれません。
南治氏:
面白いゲームでも,全然売れていないゲームがいっぱいありますからね。
伊藤氏:
ユーザーに存在をどう伝えるかが重要でしょう。
4Gamer:
さっきの「Draw Something」なんて,話を聞いた限り,ユーザーの間で広がっていくのが目に見えますよね。
南治氏:
4Gamer:
App Storeの検索性が悪いっていうのも問題かもしれませんね。自分の力で面白いゲームを見つけるのが難しい。
南治氏:
それはそうですね。画面が狭いですし(笑)。人から聞いてというのも多いですけど。
4Gamer:
クラウドファンディングを使うときに,企画の内容をどれくらい出すかも難しいのではないでしょうか。有名な人だと,タイトルだけ書いてあるってこともありますが。
黒田氏:
それはシリーズ作とかってわけじゃなくて,新作の話?
4Gamer:
そうですね。
黒田氏:
そこまでいくと本当に,作っている人がある程度信頼感を与えないとダメですね。
伊藤氏:
「スピルバーグの新作」とか「宮崎 駿の新作」とか。
南治氏:
それならみんな,喜んでお金出しますね。
伊藤氏:
ジョージ・ルーカスなんて自腹切って「スター・ウォーズ」作ってますからね。
南治氏:
世界最大の自主製作映画ですね。
4Gamer:
やっぱりお金を集められる人は,苦労しなくても集まる傾向がありますね。
黒田氏:
そうすると,ある程度有名な人がちょっとマニアックなものを作る場としていいかもしれないですね。メジャーなところでは蹴られる企画だけど,一定数のユーザーはいるだろうというもので。
4Gamer:
そこですね。マニアックさ。
黒田氏:
もちろん,ニッチだけで終わらないのが一番いいんでしょうけど。
「これは今出してウケるの?」っていうものがすごいヒットになったりっていう例はいくらでもありますね。ポケモンなんかそうだったでしょう。初代ゲームボーイのハードそのものが終わったと思われていた時期に,「ポケットモンスター」というタイトルがこっそり出て,「何か面白いらしいよ」「え?」みたいな感じで。気がついたら今や黄色いのが世の中のいたるところにいる。彼も最初はすごいモッサリしたタヌキっぽい体型だったのが,今やすっかりシェイプアップされて垢抜けて。
4Gamer:
最初はタヌキやダルマっぽいシルエットでしたね。
伊藤氏:
しかも彼は最初,イチ押しのキャラクターじゃなかったじゃないですか。ザコキャラの一匹だったのが,アニメ版でフォーカスされて。似たようなとこだと,SMAPなんかも最初はあまり期待されてませんでしたよね。その意味では,「ピカチュウ=キムタク」ですよ。
4Gamer:
どんなジャンルでも,そういった成功例はありますね。
伊藤氏:
ただ,そういう風にメガヒットになるものっていうのは,そこに至るまでの必然というか,要素はちゃんと備えているもんです。まあ,その要素がなんなのか分かれば苦労はしないんですが(笑)。
ゲームは滅びないけど,ゲーム業界は変わっていく
4Gamer:
どうでしょう,このタイトルがビシッとうまくいったら,状況がだいぶ変わると思いますか?
伊藤氏:
とにかくでかい成功例ができればなと期待しています。何でもそうですが,一つのブレイクスルーができれば,それを広げていける。
4Gamer:
なるほど。クラウドファンディングの最終形って,どういうイメージお持ちなんでしょうか。
伊藤氏:
もしハイリターンがあるのがハッキリすれば,「じゃあゲーム作ってちまちま課金するよりもこっちに」って。もしゲームメーカーがそんな風になったら,また面白いですね。
南治氏:
そういえば,Facebookが上場するじゃないですか。Facebookの株って,Facebookのアカウントを持っていると,クリックするだけで買えるみたいですね。さすがFacebookだな! と思います。買うために何か制限があるのかもしれないですけど,ともかく「その発想はなかった」と。
4Gamer:
ネットを使って,みんな株主に。
南治氏:
あんなにでかい会員抱えてるサービスで,カチカチっと押したら株が買えちゃうなんて,すごいですね。株主になれば,当然Facebookを利用し続けますね。株を持っている会社がつぶれるちゃ困るから,強力な囲い込みですよね。
黒田氏:
※KONAMIが2000年に行った「ゲームファンド ときめきメモリアル」。集められた資金は,「ときめきメモリアル3」「ときめきメモリアル Girl's Side」の開発費にあてられた
4Gamer:
変な話ですけど,お金が集まらなくてプロジェクトがキャンセルになれば,作っても売れなかったのであろうという考え方もできますね。
黒田氏:
そういうことになりますよね。
4Gamer:
北米では,インディーズ市場が大きくなって,ゲーム開発の状況がだいぶ変わりつつあるようですね。「Minecraft」のように,β版を売って開発費を稼ぐというスタイルも出てきました。必ずしも,大きなパブリッシャに頼る必要がなくなっている。
南治氏:
向こうのインディーズって,もともとゲーム会社に勤めていた人が独立してやっていたりとかもしますからね。単に「大手流通に乗っていない」というのがインディーズの定義になっている。こないだのGame Developers Conferenceのインディーズゲームアワードを見ると,表彰される人達って,けっこうおっさんがいるんですよね。「ああ,学生とかじゃないんだ。そりゃそうだよねえ」みたいな感じでした。
伊藤氏:
年齢は関係ない。
4Gamer:
日本にも割と元プロの制作者がいますよね。
南治氏:
インディーズがらみで言うと,最近「Game Jam」(※)なども注目されるようになってきました。Game Jamは面白いですね。
※参加者から開発チームを結成し,制限時間内にお題に沿ったゲームを開発するという合宿イベント
4Gamer:
48時間とか,制限時間以内にゲームを作るんでしたっけ。そんなに短い時間で完成するもんなんですか。
南治氏:
大変ですね。一応完成はしたけど……みたいな(笑)。
伊藤氏:
あれは仕事じゃないデスマーチだから,きっと楽しいんだろうな。
南治氏:
そうですね。「何やろっか?」っていうのがすごい楽しいんですよね。
伊藤氏:
文化祭の前の準備みたいな,そういうノリですね。
南治氏:
あとは会場にもよりますけど,ドリームマッチ的な面白さもあって。「ああ俺,あの会社のあの人と組んでゲーム作ることになるのか」とか。「あのデザイナーさんが協力してくれるんだ」みたいなのも,学生さん的にはあるかもしれないですね。プロ/学生関係なくチームを組むので,そういう楽しさもある。
4Gamer:
Game Jamはけっこう盛んなんですか。
南治氏:
「Global Game Jam」っていうイベントが毎年あって,僕は2回しか出ていないんですが,日本でもそんなイベントがポツポツとやられていて,昨年(2011年)出たのは「福島GameJam」でした。あれは良かったですよ。
曖昧になる,プロとアマチュアの境界線
4Gamer:
そういう,プロとアマチュアの境界線がだんだん曖昧になってきたという現状を,昔からプロとしてゲームを作ってきた皆さんはどう見ていますか。
南治氏:
うーん,やはり本当のプロとして残っていく人は少なくなっていくんじゃないですかね。手軽になって,いろんな人が簡単に安くゲームを作れるようになると,プロの仕事がまた変わってくる。そういうのはあるだろうと思います。
黒田氏:
南治氏:
その逆もあって。少し前に,趣味でバルキリー(※)のモデリングをやっていて「この人すごい!」と言われていた人が,結局マクロスのテレビアニメを作るようになったとか。
※「マクロス」シリーズに登場する可変戦闘機
伊藤氏:
「宇宙戦艦ヤマト2199」(※)もそうですね。何年か前に,ある個人サイトで,「宇宙戦艦ヤマト」のメカをリアルタッチで描いている人がいて。シャーペンでサーッと線を引いて着色したっていう感じで,一見ラフっぽいんですけど,すごくディテールが細かくて「この人すごいな」と思っていたんですけど,突然更新が止まってしまった。サイトも閉じちゃって,どうしたのかな? と思っていたら,宇宙戦艦ヤマト2199のサイトにその人のイラストがバーン! と。
※「宇宙戦艦ヤマト」のリメイク作。2012年4月から劇場公開とビデオソフトの販売を先行して行っており,2013年にはテレビ放映も開始する予定
4Gamer:
才能あるアマチュアがネットによってプロになり,業界が活性化することもある。
伊藤氏:
そうなんですよね。今までだとアピールする場がなくて芽が出なかった人に,ネットという場所ができた。そこにポンと置いておくと,目にとめる人がいて,話題になって。
南治氏:
転換期というか,新しいメディアが出てくるときって,そういうものなのかもしれないですね。それこそ,昔の「DAICON FILM」(※)の人達がアニメ制作会社になっちゃった,みたいな(笑)。ゲームの黎明期も,趣味のサークルが会社になったりとか,よくありましたからね。スマフォが普及してきて,またそういう時代になってきたのかもしれないです。
※アニメ制作会社「GAINAX」の母体となった,1980年代前半に活動したアマチュア映像制作集団。庵野秀明氏らが手がけた「DAICON」(大阪の日本SF大会)のオープニングアニメが有名
一つの時代の終わりと,新しい時代の始まり
伊藤氏:
札幌のアマチュア無線のお店だったハドソンが,日本を代表するソフトメーカーになったり。今はなくなってしまいましたが,それにしても凄いですよね。僕らは一つのメーカーの興亡の歴史をリアルタイムで見ていたわけですよ。
南治氏:
いっぺん行ってみたかったなあ……。社長室の汽車に乗ってみたかったです(笑)。
黒田氏:
一度乗ったことがありますよ。仕事はポシャりましたけど(笑)。
伊藤氏:
こないだあれが撤去された写真がネットに上がってて,「ああ,悲しいなあ……」って。
4Gamer:
そもそもハドソンっていう社名が,機関車の形式なんですよね。
伊藤氏:
そういう意味でも,ひとつの時代が終わっているんだなあ,という感じですかね。既存のソフトメーカーが合併されたり吸収されたりとか,倒産したりとかして消えていく一方で,新しいメーカーが出てくる。グリーとかディー・エヌ・エーとか,そのへんがどうなっていくか分からないけど,これからも見守って……いや,見守ってなんて言ってる場合じゃない(笑)。
4Gamer:
そういう意味の興味なら,Zyngaですね。急激に大きくなって,こらからどうなるんだろう。
伊藤氏:
一時期すごく「CityVille」にハマってたんです。面白いなあって。
4Gamer:
あ,面白かったですか?
伊藤氏:
ええ,でも今ではすっかり手離れしちゃってますね。そのうち気が向いたら再開しようかなと思って,アカウントは消していないんですけど。いろんな人からリクエストが来るたびに,「ごめんね今はやってないから」って全部スルーして。
4Gamer:
エンターテイメントはやっぱり体験なんで。体験は一過性じゃないですか。1回体験しちゃうと,2回目はなかなか……。
伊藤氏:
ただ,いろいろなお知らせが来るので,新しいフィーチャーを今でもガンガン投入していることは分かります。オンラインだから,サーバーをいじれば簡単に追加フィーチャーとか出来ちゃう。それをずっと繰り返しているのはすごいとと思いますね。
黒田氏:
アメリカの売り方とかを見てると,ダウンロード販売が多いし,パッケージソフトも安くなってます。こうなると,どれだけメーカーの利益が出るんだろう? と心配するときもありますね。
4Gamer:
PCゲームはパッケージからSteamなどのデジタル販売に急速に移行しているみたいです。
黒田氏:
Steamは便利そうですね。
南治氏:
あとはMacだと,最近は「Mac App Store」とかでも普通にゲームが売ってますね。
伊藤氏:
きっとそういう風になって……いや,もうなっているんでしょうね。
南治氏:
実際,さっき「Draw Something」の話をしているときに,伊藤さんがiPhoneですぐダウンロードしてたのを見て「あっ!」と(笑)。やっぱり今はダウンロード販売ですよ。
4Gamer:
このスピード感。
伊藤氏:
右上に「無料」ってあったから,何も考えずにとりあえずタップして。
南治氏:
「Angry Birds」にハマったときも,そんな感じだったんですよ。「Angry Birdsって超面白いよ」ってみんなにやらせたんですけど,みんなその場でダウンロードするんですよね。「ゲームって,お店に行かなきゃ買えなかったけど,今はすぐダウンロードできる時代なんだ」って,1年くらい前に痛感しました。
伊藤氏:
しかも無料だと,「つまんなかったら,もういいや」って。懐が痛まない。だから有料になっていると,心理的な障壁がすごい高いんですよね。それはiPhoneのアプリにしてもAndroidのアプリにしても。有料と言ったって,せいぜい85円とか数百円なんですけど。
4Gamer:
その価格でも心理的障壁がありますか?
伊藤氏:
そうなんですよ。85円でも「あ,有料か!」って思ってしまう。で,横を見ると同じタイトルで後ろに「Free」ってついたのがあって,まずそれを落とすわけです。
Free版は機能に制限がかかっていたり,最初の面しか遊べなかったりとかになってるけど,無料版を出しておいて,「まずこれやって」と遊ばせる。で,面白かったら,あるいはもっとゲームを楽しみたかったら,有料版を買うなり,無料版の中で有料アイテムを買わせたりする。そうやって,障壁を下げているんですね。
4Gamer:
無料版でも十分遊べる,「フリーミアム」形式も多いですよね。
無料でこれだけ遊べちゃったら,そりゃあ誰もパッケージソフトを買わないだろうなと思いますね。「Google Play」に無料で出ている,個人が作ったアプリの中にも,けっこう遊べるものは多いんです。個人や小グループで作っているのでユーザインタフェースやバランスが甘かったりしても,タダだから許しますよね。そりゃあ,こっちは商売あがったりだな,っていうのは感じます。
4Gamer:
ただ,ユーザーの時間って有限なので,中途半端に消費されちゃうものはもったいないですね。
南治氏:
個人的に,タダより怖いのは,大手メーカーの値下げです。クオリティが超高いのに,クリスマスなので全部99セントにします! とか言われると,もうめまいがします。
4Gamer:
ホリデーセールとかも頻繁ですよね。App Storeのランキング対策という意味合いもあるようですが。
南治氏:
ですね。やっぱりランキングの上位に来てナンボなので。でかい会社なのに,フットワークが軽いし。
4Gamer:
大手は本気出してますよ。弱小なところは吸収するなり潰すなりして。
伊藤氏:
悪の帝国とか秘密結社みたいですね(笑)。
南治氏:
でも,それくらいの緊張感がないと,やっていけない時代なんですよね。
4Gamer:
逆に言うと,警戒しているんだと思います。本気でやらないと,自分たちがやられる。とはいえ,その網の目をかいくぐって,「Angry Birds」がヒットしちゃうわけですから。
伊藤氏:
ユーザーとしては嬉しいんですが,業界全体としてはどうでしょう。
4Gamer:
コンシューマ機の開発が大変になってきた頃に,スマートフォンが出てきたように,イノベーションって,我々の想像を超えたところで進むような気がするんです。
伊藤氏:
つまり“ゲーム”は滅びない。まあ今の“ゲーム業界”は滅びちゃうかもしれないけど。
要は,ゲームセンターが主流だったところに,任天堂がファミコン作って業界全体がガラッと変わったのと同じようなものでしょう。そして,家庭用機が我が世の春を謳歌していたところへ,iPhoneだのAndroidが出てきてパラダイムシフトが起きる。時代は変わって,違う世界が広がって,そこに違うゲームがある。
4Gamer:
制作の体制も,クラウドファンディングがうまくいくようになれば変わっていくでしょうか。
伊藤氏:
どうかなあ(笑)。神ならぬ身なので。
4Gamer:
そうですね。だいたい思ったとおりにはいかないですから。いつも意外な方向へ進んじゃうので,今回の結論としては……。
南治氏:
「どうなるかわからない」というのが結論な感じですかね(笑)。
黒田氏:
我々のゲームの宣伝,ということでなければけっこう面白い話が出たんじゃないかと(笑)。
4Gamer:
宣伝はどうなったんだろう,という気はしますが,ともあれ皆さんの新しいプロジェクトには期待したいと思います。本日はありがとうございました。
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