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印刷2011/04/02 00:00

インタビュー

稲船敬二氏は,今何を考え,何を目指し,どこへ向かっていくのか――離脱から5か月。氏の現在の活動を聞いてみる

本記事は,2011年2月9日にインタビューが行われ,当初,2011年3月12日に掲載される予定だったものです。諸般の事情で掲載はいったん見送られ,今回ようやく陽の目を見ることになりました。ところどころ,現状に即していない箇所もあるかもしれませんが,そのまま掲載させていただきますこと,ご了承ください。


 「もう僕はカプコン辞めるんですよ」という衝撃の一言から始まった,稲船敬二氏へのロングインタビューから,およそ3か月ほどが経ち,その興奮も一段落した2011年の年明けのこと。再び氏にコンタクトを取ってみた。

 口でこそああ言ってはいたものの,25年間も走り通した開発者であれば,きっとゆっくり休んで羽を伸ばし,鋭気を蓄え,次なる策をゆっくりと考えながら,自分の行く末と業界の行く末を見据えているのではなかろうか。であれば,それを聞かせてもらうのは,誰にとってもきっと楽しい話になりそうだ。そう思ったからだ。

 しかしまたもや裏切られた。

 カプコンを去ったあと,氏は3日と休まず次なるプランに向けて動き出しており,筆者がコンタクトを取ったときにはすでに,新会社を設立し,まさに助走を始めようかというタイミングだったのだ。前回のインタビューで話題に出たように,まさにマグロである。泳ぎ続けていないと,きっとこの人は,本当に退屈でどうかなってしまうに違いない。


 それで慌てて出したオファーによるインタビューの顛末をまとめたものが本稿である。本当は新会社のことを根掘り葉掘り聞こうと思ったのだが,いざフタを開けてみたら,例によって竹を割ったような,あっちへこっちへと跳び回る,心地良い稲船節が炸裂した。
 さすがに前回のような過激な内容こそ影を潜めたが,そのぶん,束縛から外れ,自分のやりたいことを自分のやりたい方法でやっている氏は,以前会ったときより遙かに前向きで明るく,自信に満ちて饒舌で,前に立ちふさがるであろう数々の困難も,心地良く迎え入れる準備ができているようにさえ見えた。
 「僕は女性じゃないので」去り際に稲船氏は唐突に言った。「本当はどうなのか知るすべもないんですが,子供を産むというのは,途方もなく大変な,そしてツラく,責任のある作業だと思うんです」「そうですね,確かに」「それでも女性って,また子供が欲しくなるじゃないですか。あんなにツラくて大変なのに。その理由はよく分かりますし,僕が仕事をするスタンスは,それに似てるんじゃないかと自分では思うんです」

 25年にわたって在籍した,クリエイターにとっては我が子同然の「作品」を生み出せる,巨大空母のような恵まれた環境を捨てた氏は,会社を去ってからわずかな時間で,心から信頼できる仲間を集め,動くためのお金を集め,そして会社を立ち上げ,小さな漁船に乗って再び動き出した。ツラく苦しい産みの喜びを,再び手にするために。
 そんな,「有言実行」を地で行く生き方を見せる稲船敬二氏のインタビューを,以下にお届けしよう。

4Gamer:
 前回お会いしたときから約4か月(編注:インタビューは2011年2月9日に行われている),再びお時間をいただけてありがとうございます。会社を興した(※)というのは先のメールで聞きましたが……今回は予定外のことはないですよね?

(※2011年4月1日に,会社のサイトも公開された。comcept(http://comcept.co.jp/)とintercept(http://inter-cept.co.jp/)という二つの会社である)

comcept CEO コンセプター 稲船敬二氏
稲船氏:
 ありませんよ(笑)。

4Gamer:
 そのほかには,何をしてたんでしょうか。

稲船氏:
 南の島に行ってゆっくりしてた……と言いたいところですけど,なにせそういう性格ではないので(笑)。新しい何かができないかと,バタバタといろいろな人に会っていました。

4Gamer:
 主にゲーム業界の人に,ですか?

稲船氏:
 そうですね,今まで培ってきた人脈もありますし。逆に,カプコン在籍時には会えなかった人にも積極的に会えたので,いろいろな業界や仕事の話ができた感じです。

4Gamer:
 いろいろな業界というのは,前回のインタビューでおっしゃっていたように,ゲームに限らない業界の方というわけですか。

稲船氏:
 ええ。ゲーム業界に近いけど,ちょっと離れている……そんな業界の方達ですね。でもどちらかというと,こちらから積極的に会いに行ったというよりは,おかげさまと言いますか,あの記事のおかげで,「会って話が聞きたい」といろいろな方から言われまして。

4Gamer:
 そう言っていただけるのは,なによりです。

稲船氏:
 それらのお誘いをほぼ断らずに,いろいろな業界の方とお話させていただきました。そこから,何か自分が大きくなるキッカケはないかな,と考えながら。

4Gamer:
 ちょっと言い方が難しいんですが,今回カプコンから出ることで,改めて稲船さんの価値が世に問われたわけだと思うんです。

稲船氏:
 はい,確かにそうなると思います。

4Gamer:
 お話しを聞いている限り,概ねうまくいっているようですね。

稲船氏:
 そうですね。カプコンを辞めたことで,なんというかFA宣言したようなもので(笑)。カプコンではショートで三番だったわけですが,外に出ることによって,ショートに限らず,外野はできるかとか,ピッチャーをやってみないかとか,四番を打ってみないかとか,決められていたポジション以外の話をしていただけるようになったと思います。それが一番嬉しいですね。

4Gamer:
 それはつまり,ゲーム開発に限らない,いろいろなオファーが来たということですか?

稲船氏:
 ええ。カプコン時代から,いろいろなことにチャレンジしたいと言い続けていたので,そういった話はむしろ僕が求めていたのです。その意味で,思惑どおり……というとちょっとイヤらしいんですが,自分がやりたいことに,近づけるようになったかなと思います。

4Gamer:
 それで,その立ち上げた会社というのは……。

稲船氏:
 そう。とうとう自分自身の会社を創っちゃいました。

4Gamer:
 しかも名刺を拝見する限り,稲船さんのポリシーをそのまま表す社名で! しかも役職名まで(笑)。

稲船氏:
 そうですね(笑)。「comcept」っていう名前の会社なんですけど,コンセプトを押さえていろんなことをやっていきたいと考えて創りました。ゲーム会社だと,普通は「なんとかゲームス」とか付けることが多いんですけど,僕はゲームにこだわっていないから,シンプルに「コンセプト」にしたんです。

4Gamer:
 本当に直球勝負の名前ですね。

稲船氏:
 そうですね。名は体を表すといいますからね。社名を聞いて直ぐに何をする会社か分かった方がいいと考えました。
 カプコン時代,上場前にはよく「カプコンです」って言うと「ええと,カップコーンの会社ですね」っていう冗談みたいな話が本当によくありましたから。分かりやすさって本当に大事だと思っています。それなので,「コンセプト」ってベタな名前なんです。

4Gamer:
 カップコーンって(笑)。なるほど,想像もしなかったです……。それでこの社名の表記が「m」なのは何か意図があるんですよね?(編注:コンセプトの正しいスペリングはconcept)

稲船氏:
 もちろんです。「com」は「con」の綴り間違いではなくて,コンピュータとかデジタルって意味をかけてるんです。デジタル時代のコンセプトを創る会社ってことで。
 いやあ,それにしても会社設立って大変ですね。初めてのことでバタバタと忙しかったです。

4Gamer:
 ということはこの3か月間は,まさに前回のインタビューのセリフどおりに,動き回っていたわけですね。

稲船氏:
 もちろん,ただ単に動き回っていただけじゃないですよ。クリエイティブなことを考える時間もできたので,コンセプトシートを作っていました。

4Gamer:
 お,新作ですか?

稲船氏:
 新作というよりは,自分が今やりたいと考えていることをまとめるものですね。それで今は,そのコンセプトを実行に移すために,どういう人と会わなければいけないのか,どの業界の人と会わないといけないのかを詰めているところです。


どこでゲームを作っても,「稲船」が作れば日本のゲームなんです


4Gamer:
 カプコンとは違う場所からゲーム業界を見て,コンセプトシートを作ったり,いろいろな人と話をする中で,何か新しく気がついたこととかはありますか?

稲船氏:
 そうですね……。カプコン時代には社内から見えるゲーム業界への危機感というものがありましたが,いろいろなゲーム業界の人とお会いして話を聞いてみると,その危機感のとらえ方が微妙に違ってました。ここが興味深かったですね。

4Gamer:
 どんな違いでしょう。

稲船氏:
 日本のゲーム業界は,世界で売れる作品を作らないと生き残れないという,危機感の根本は一緒なんです。でも,その生き残りの方法だったり,スピード感,アプローチの違いが微妙に違っているんです。

 それぞれの経営者が,それぞれの危機感を持っていて,何かをしなきゃと思っているんですよ。でも,その何かに対するアプローチを迷っている人が多いと感じます。それについて,何か僕が助言できることもあるかもしれないと思って,いろいろと話をさせてもらっています。

4Gamer:
 お話を聞いている限り,すでにかなりの人と会っている雰囲気ですね。

稲船氏:
 ゲーム業界については,お付き合いがなくてお会いできていない人もいますが,8〜9割のパブリッシャさんとお話をさせていただいています。もちろん“お話”ですよ,”お話”。

4Gamer:
 怪しいなぁ……。

稲船氏:
 いやホントに(笑)。また「稲船が変な例え話してるよ」って言われそうですけど,野球に例えると,それぞれ球団のカラーみたいなものがあって,誰と話しても本当に面白いです。

4Gamer:
 それは,パブリッシャごとの魅力ということですか?

稲船氏:
 そうです。みんな魅力的ですよ。もし自分が複数いれば,全部と仕事したいくらいです。

4Gamer:
 では改めて……。いろいろな人とお会いしたなかで,今まで稲船さんが気がついていなかった,見ようとしていなかった部分で,今のゲーム業界の良いところ,悪いところについて,新しい発見はありましたか。

稲船氏:
 いままさにそれを探している最中なんですけど,残念なことに「良いところ」はまだ見えてきていません。
 でも最大の発見は,カプコンで危機感を持ってたのは,ある意味僕だけでしたが,外に出てみると,同じくらい真剣に悩んでいる人が,ちゃんとたくさんいるんだと分かったことです。

4Gamer:
 仲間,ですね。ある意味。

稲船氏:
 そうです。カプコンの中からでは見えなかった,優秀な人材がちゃんとたくさんいて……そうですねえ,例えるならば……土佐藩にいると分からないけど,脱藩して京都に出てみると,同じ志をもった人がいるんだと分かった坂本龍馬と同じような感じ,といえばいいでしょうか。まだまだ,ゲーム業界もいけると思えましたね。

4Gamer:
 すごく分かりやすい例えな気がします。

稲船氏:
 でしょう?(笑) もし,本当に仲間になれるような人がいなければ,もう日本(のゲーム業界)は終わったと思ってました。でも,探せばちゃんと,仲間になれる人材がいることが分かったんです。
 今の幕府というか体制というか,そういうものに不満を持っている人材は,もっといると思いますよ。そういった,各藩にポツポツといる,力をもった人達が流れを作って,長州藩みたいなところが出てくれば,すごく力強いですよね。

4Gamer:
 稲船さんが言う「力をもった人」というのは,どんな人材を指すんでしょうか。

稲船氏:
 若い人,それもクリエイティブを経験した人,ですかね。経営者についても,クリエイティブを経験している人と,そうじゃない人とでは違いがあって,それが見えた気がします。

4Gamer:
 ゲーム業界って,クリエイティブ系出身じゃない社長さんが意外に多いですよね。

稲船氏:
 意外にいますよね。

4Gamer:
 むろんそれがいい部分になることもあるんですが,「根っからのゲーム業界人」「根っからのゲーム好き」じゃないと,例えばここ最近みたいなピンチのときに,最後は助けてくれないような気がして,個人的には実はちょっと心配だったりします。

稲船氏:
 どういう意味で,でしょうか。

4Gamer:
 だって業界に対しての責任がないわけですよね。ゲーム業界で育ったわけじゃないので,いよいよもって面倒になったり大変になったりして,もしゲームに思い入れがない人だったら,最後は「元いた場所」に帰ればいいわけじゃないですか,極論。

稲船氏:
 あぁ,そういう側面はもしかしたらあるかもしれませんね。

4Gamer:
 ですので,いま稲船さんがおっしゃった部分は,ちょっと気になっています。ともあれ稲船さんは,そういった志をもった人がいることを確認して,状況が改善されてきていると感じるわけですね。

稲船氏:
 安心はしていませんが,ちょっとずつクリーンになって,なんとか日本を復興できるかもしれないという気持ちにはなってますよ。

4Gamer:
 足掛かりがようやく見えたきた,と。

稲船氏:
 ええ。そして,世界に勝たなければいけないのですが,それは日本人パワーで勝ちたいわけです。

4Gamer:
 私は作る側の人間ではないですが,日本人として,その気持ちは少なからずあります。

稲船氏:
 ですよね。前回も海外デベロッパとの関わりについて話しましたけど,日本人パワーで勝つために外国人と手を組んでも,日本人が考えたゲームを作れば,それは日本人パワーなんです。
 一方で,パブリッシャがお金だけを出してアメリカのデベロッパに作らせるのは,それは日本のゲームではなくて,それは“日本のマネー”に過ぎませんよね。

4Gamer:
 おっしゃるとおりです。

稲船氏:
 日本円をドルに替えて作らせただけのことで,自慢できるものではないし,そのパブリッシャがゲームを作ったことにはなりません。お金で協力しましたよ,というだけのことです。
 例えばナイキのスニーカーは中国製ですかと言えば,中国で作られたアメリカの製品ですよね。それが正しい認識です。生産国は中国やベトナムでも,ちゃんとアメリカ人の意思が入っていれば,ナイキはアメリカだと言えるんです。

4Gamer:
 以前も同様のお話をしましたが,稲船さんが言うゲームの作り方も,それと同じ考え方ですよね。

稲船氏:
 そうです。同じです。でも,日本ではそれをできないメーカーがあまりにも多いんです。日本のゲームを世界で売るために,例えばアメリカ人と手を組むことになっても,そしてそれがとても売れて,日本のパブリッシャがちゃんとそのゲームのコンセプトに関わっていれば,それは日本の勝利だと思うんです。

4Gamer:
 確かに,コンセプトレベルで関わっているかどうかは重要な気はします。

稲船氏:
 これを理解している会社とやらなければいけません。「アメリカ人とはやってられないし,お金だけ出せば?」という会社とは仕事ができません。だから僕は,仲間ともっと日本のパワーを世界に向けて出していくために,生産国はこだわらないという方法でやっていきます。
 あと,どこがお金を出すかも関係ないんです。中国がお金を出そうが,アメリカがお金を出そうが,僕が作ればそれは日本人のゲームですよね。

4Gamer:
 これも前回の繰り返しになりますが,意外にもそれは理解されない概念なんですよね。

稲船氏:
 ええ。僕が日本人で,日本で育ってという考えがある限り,どこからお金が出て,どこで作ろうが,僕が作ったそのゲームは日本の作品なんです。そしてそれが,日本人が誇る,世界に発信していく作品になっていくわけです。
 この前,スクリーミング・マッド・ジョージ(※)さんと会いましたが,彼は海外に行って,いろいろなスペシャルエフェクトをやっています。そんな彼が,日本人としてハリウッド映画に関わっていることは,本当に誇らしいですよね。まったく同じことで,どこで仕事をしているかではないんですよ。

(※スクリーミング・マッド・ジョージ氏。アメリカを中心に活躍する日本出身のエフェクト・アーティスト/映画監督。wikipediaより)

4Gamer:
 そういう観点だとイチローがその最たるものですよ,きっと。

稲船氏:
 そうですね。彼がアメリカに行ってアメリカでプレイしてるからといって「イチローは日本を捨てた。オリックスを裏切った」と声高に叫ぶ人はいないですよね。日本が誇るメジャーリーガーであり,誰も責めません。

4Gamer:
 ゲーム業界にもそういう風潮が欲しいですね。


アウトプットはゲームである必要はない


稲船氏:
 僕はそこにこだわって,ゲームに限らず,日本のクリエイティブを世界に広げていけたらと思ってるんですよ。ゲームというのはあくまでアウトプットですから。

4Gamer:
 ゲームは表現の一手法に過ぎない,ということですか?

稲船氏:
 そうです。クリエイティブできるものがあって,それをどこに出すのか。なにで出すのかというだけの話です。映画というアウトプットで出せば,その人は映画プロデューサー,ゲームで出せばゲームのプロデューサー,小説で出せば作家,漫画で出せば漫画家になるわけです。

4Gamer:
 そんな風に多岐にわたるアウトプットに興味を示す稲船さんは,そのすべてに手を伸ばして,自らがアウトプットしていきたいんでしょうか。それとも,真ん中に位置するコンセプトを押さえておきたい感じでしょうか。

稲船氏:
 中心はあくまでもコンセプトというか,コンテンツなんですよ。一番重要なものはコンテンツであって,これさえ生み出せば,アウトプットは自分の都合で出せるんです。例えば,ゲームやアニメや映画や小説など,アウトプット先が……そうですね,5種類あるとして,もしかすると今後なんらかの事情で,その中の一つがなくなるかもしれません。なくなったものがもしゲームだったら,ゲームクリエイターは全員失業ですよね。誰もがどこかで,そんなことがあるわけないと思っているでしょうけど。
 でも例えば,過去で映画の例を出すならば,あるときを境に,映画に音が入るようになりました。そうすると,無声映画の弁士と呼ばれた人は,全員失業したわけです。チャップリンの映画などで,弁士は当時の映画館の花形だったにも関わらず,映画に音が入った途端に職をなくすことになってしまったわけです。

4Gamer:
 実は今私も「そんな非現実的な例を出されてもなぁ」と一瞬思ってしまったんですが,なるほど,言われてみれば確かにまったくそのとおりですね。

稲船氏:
 誰にこの話をしても「そんなことありえない」ってみんな言いますよ(笑)。でもそれは,現実に起こったことなんです。
 けれど当時の弁士は,その仕事に就くときには「今後映画に音が入ったら失業するから,これを長くはやっていけない」なんて思っていたはずはないんです。実際に音が入って自分の身に災難が降りかかってから「え……?」となったと思います。

4Gamer:
 うーん,そう聞くと,確かに「ゲームが今後なくなる」という可能性もゼロではないような気はしてきますね。まぁでもそこまでの話じゃないにしても,きっとさまざまな変化を経て形が変わっていくんでしょうし,その変化の片鱗はすでに現れてきていると思います。

稲船氏:
 そう,そのとおりです。例えばゲームというジャンルにおいても,携帯電話でゲームをするとか,ブラウザでゲームをするとか,ソーシャル上でゲームをするとかいう概念が出てきましたが,仮に,もう携帯電話のゲームだけでいいとか,もうソーシャルゲーム以外は要らないよ,となったら,ソーシャルゲームが作れない人は全員要りませんよね。

4Gamer:
 要りませんね。……そこで先ほどの「コンテンツ」の話につながるんですね。

稲船氏:
 そうです。そのときに「コンテンツ」を持っている人は,アウトプットの先をソーシャルというものに変えればいいだけなんです。でも,一つのアウトプット先にこだわっていたら,もう途方に暮れるしかないですよね。

4Gamer:
 うーん……。紙からWebへと土台である媒体を変えた自分自身を取り巻く体験を思い浮かべながら聞いているんですが,それは,好んで一つのアウトプットにこだわっているわけではなくて,結果的にそれしかできないとか,それしかしたくないからじゃないでしょうか。

稲船氏:
 そうでしょうね。それしかできないし,なにより問題なのは「それしかしたくない」ということです。ゲームの開発者がゲームしか作りたくないということがすでに,矛盾をはらんだ言い方ではあるんですが,今のゲーム業界の中での大きな問題じゃないかと思っています。

4Gamer:
 しかしそれは,一朝一夕で何かを変えて直るようなものではないですよね。さっきの龍馬の話で言うならば,黒船が来てからやっと慌てることになりそうです。……まぁすでに割と近くまで来てる気もしますけど。

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