連載 : ああ,憧れのハワイ道路


ああ,憧れのハワイ道路

第3回:憧れの高級車が乗り放題の走り放題

 

 アローハ! 天国に一番近い島ハワイ(正確にはオアフ島。ちなみに,ニューカレドニアではない)を自由気ままにドライブし,家を買ったり高級車をコレクションしたりと,ただの旅行とは違うセレブなハワイ生活を満喫できるドライブゲームが「Test Drive Unlimited」(以下,TDU)であり,天国に一番近い男(意味不明)と言われる筆者が皆様のステキなハワイ生活をサポートする週刊連載がこの「ああ,憧れのハワイ道路」なのである。知ってました?

 

 ゴールデンウィーク中には,普段のストレスを発散しようと狂ったようにオアフ島を走り回ったプレイヤーも多いと思われる今日のこの頃。だが,突然の車線変更やノロノロ運転など,ヘタクソなオアフ島のドライバー達(ゲームの中の話ですよ)にイライラし,さらにストレスを溜め込んでゴールデンウィークを終え,出勤/登校という人もいるであろう。がんばってほしい。
 かくいう筆者も,この連載執筆のためにゴールデンウィークがすっかり台なしになり,いろんな意味で欲求不満気味だが,人に聞かれるたびに「ハワイでのバカンスは最高だった」と言いふらしている。へへへ。

 

 さてこの連載3回目では,TDUの主役である乗り物にスポットを当てていきたい。いろいろな車やバイクをガンガン購入してオアフ島を走り回れるのがTDUの醍醐味の一つ。これまでの記事でべらぼーに多くのゴージャスカー/バイクがゲームに登場するのはお分かりいただいていると思うが,さらにどんな車両をコレクションしたり,乗り回したりできるのか興味津々な人が非常に多いということが筆者の独創的な調査により判明したので,さっそく,それらについて見ていくことにしよう。レッツゴー! ぶっぶー!

 

 

 

オアフ島を走り回れ! 多くの人が楽しめるアーケードチックな車両群

 

プレイ視点は6種類用意されているが,やはりオススメはコクピットビューだ。コクピット内も緻密に再現されているのでぜひナめ回すように眺めよう。サイドウィンドウは開閉可能でエンジンノイズや環境音の籠もり方の違いなども再現されている。プチ感動!

 誰がなんと言おうとドライブゲームといったら車,車といったら挙動なので,車種については後回しとし,まずは挙動について解説する。させて。

 

 第一回で簡単に触れているが,Test Driveシリーズは20年もの歴史がある長寿シリーズである。初代Test Driveなどを遊んだ人がどの程度いるか不明だが,そのタイトルからも分かるように,もともとは(庶民には)簡単に手に入らないスーパーカーの挙動をリアルに再現した硬派きわまりないドライブシミュレータだったのだ。

 

 だった……と書いちゃった時点でもうバレてるような気がするが,シリーズ最新作であるTDUの挙動はぶっちゃけ,アーケード系で,ステアリングコントローラといったデバイスを使わなくてもゲームパッドや(がんばれば)キーボードでも手軽にプレイできる味付けになっている。
 シミュレータ系を好む人には「なーんだ」と言われそうだが,とはいえ,超カジュアル系のドライブゲームのようにアクセル全開でカーブを抜けたりなどはできないし,オーバースピードでカーブに入れば,ちゃんとアウト側にふくらんでしまう(アンダーステア)ので,アクセルオフやブレーキングでフロントタイヤに荷重をかける必要があったりと,車の挙動再現に必要な最低線はしっかりと押さえられている。

 

 エンジンのレスポンスや加速性能,旋回性能,足回りの柔らかさなど,登場する車種ごとにそれぞれ挙動が再現されており,一般車を追い越すときに加速の違いが感じられたり,足回りが柔らかな往年の名車ではコーナーリングでふらついたりする。ゆっくりのんびりのドライブ,そして爆走のチャレンジやミッションなど,目的に合った車選びもまた楽しいものである。

 

 さらに,タイヤの空転を制御するTCS(トラクション・コントロール・システム)がドライビングアシスト機能として組み込まれており,初心者向けの「ドライブ」,中級者向けの「スポーツ」,上級者向けの「ハイパースポーツ」,そして完全オフといった設定で簡単に利用可能だ。
 そんなこんなで,TDUはとっつきこそアーケードライクだが,ドライブゲームなんて生まれて初めてプレイするという若葉マークの人から,いろいろとうるさい(含筆者)上級者まで老若男女関係なくハワイ生活を楽しめるという寸法になっているので,ウハウハだあ!

 

ワイキキビーチや街の周辺の道路は比較的キレイでまっすぐだが,さすが火山島,ちょっと走れば,ヘアピンカーブの続く峠やアップダウンの激しい場所も珍しくない。このへん,現実よりもやや大げさに再現されているようで,一般車も底をこすって走ってるし,スピードが出ていると簡単に車が宙に浮く 体重移動によってライディングするバイクは,車よりシビアなテクニックが要求される。車とまったく違う独特の操作感に慣れるまでは,思い通りに走らせられないことに欲求不満を感じるはずだ。キー! しかし,リアタイヤが滑り出すタイミングやバイクを起こすコツなどが掴めてくると俄然面白くなってくる。プレイヤーは痛くないので,派手に転倒するのも楽しい

 

実はプレイヤーレベルが「チャンピオン」になるとブレーキングの制動距離がリアルになり,タイヤのスリップ角,消耗度,横G/縦Gなどから車の挙動が再現される「ハードコアドライビングモード」が使える。これがまさにシミュレーションと呼べるモードで,オアフ島中をドリフトしまくって走りてぇ,走りてぇんだ! という根っからの走り屋さんは,ぜひチャンピオンになって,ステアリングコントローラで思うさま車を操っていただきたい

 

 

セレブならこれに乗れ! 筆者オススメのこの一台!

 

 TDUに収録されている車やバイクは,往年の名車から最強のロードゴーイングカーまで総計90台。これならローンを組んで,昼飯を立ち食いそばにすれば買えるかな? という車から,3回ぐらい輪廻転生しても買えないような高級車まで揃っている。さすがセレブ御用達のハワイ。「今日はこの車で爆走しようかなぁ」「たまにはビンテージカーでドライブ!」なんて夢のような話が現実になってしまうのだ。ゲームの話だけど。

 

 なお,一部の車は「アイランドチャレンジをゴールドでクリア」「すべてのシングルレースをゴールドでクリア」「すべてのトランスポートミッションをクリア」といった条件を満たすと入手できる。そんなこと言わずにいつものようにお金で解決させてくれとセレブの私は思うわけだが,まあ,仕方ないだろう。ちくしょう。

 

往年の名車から最新スポーツカーまで美しく再現された各車のモデリングはカーマニア必見だ。気合入ってます。しかも,車ごとの挙動の違いは当然のこと,エンジン音,クラクションの音,ヘッドライトの点灯の仕方(つまり,リトラクタブルヘッドライトなど)も細かく再現されている。ときには外部視点でナめるように眺めてみよう 300km/hオーバーでクラッシュしようが,一般車に激突しようが(派手に壊れるのは一般車だけ),あなたのマイカーは破損知らずという嬉しい仕様だ。喜んじゃダメ? まあつまり,ここでは憧れの高級スポーツカーを“とことん”ぶっ飛ばせるわけ。一般車と接触すると警戒レベルが上がりパトカーに目を付けられるが,あまり派手に接触を繰り返さなければ気にする必要はない(かも)

 

 というわけで,このさい登場全車種を一挙公開して読者の度肝を抜こうかとも思ったが,その前に担当編集者と担当デザイナーの度肝が抜かれそうだし筆者も大変なので,ここではまず私が選んだ,「セレブならこれに乗れ!」全9種を紹介したい。全車種一挙公開は,読者のご希望があればいずれまた,ということで。

 

■Enzo Ferrari
フェラーリ創業55周年を記念し,創設者エンツォ・フェラーリの名を冠した一台。製造台数は400台(一台は故エンツォ氏にトリビュートされるので,販売台数は399台)で,実績のある相手にしか売られないという,あらゆる意味でのスーパーカー。セレブであれば必ず手に入れて乗り回したい一台だ

 

■Ferrari F430 Spider
F430とF430 SpiderはF1テクノロジーが余すことなく注ぎ込まれたフェラーリ主力モデル。オープンカーならではの開放感のあるSpiderでハワイを飛ばすのは最高である。都内などで比較的よく見られ,指をくわえてそれを眺めていた筆者だが,今や自分も立派なF430オーナーである。ざまぁみろ

 

■McLaren F1 GTR
F1コンストラクターのマクラーレンが設計から部品から製造までこだわり抜いて作られた最強のロードゴーイングカーがMcLaren F1だ。レーシングカーそのものといってもよく,高い運動性能を楽しめる。しっかりセンターシート(両側が助手席で3人乗り)なところも再現されている

 

■Mercedes-Benz SLR McLaren
メルセデス・ベンツとマクラーレンが共同開発したロングノーズ,ガルウィングが特徴的なMercedes-Benz SLR McLaren。Enzo Ferrariと同時期に発表され注目を浴びた一台だ。加速性能が素晴らしく,フルチューンしていなくてもシートに押しつけられるような加速感を味わえる

 

■Lamborghini Murcielago Coupe
Lamborghini Diabloの後継モデルとして登場したLamborghini Murcielago。フルタイム4WDの良さが見事に再現されており,最高段階までチューンしていなくても,素晴らしい速度とエンジンレスポンスが楽しめる。無理なハンドル操作にも機敏に反応するため,個人的に非常にオススメの一台だ

 

■Pagani Zonda C12S
イタリアのパガーニ・アウトモビリ社が開発したPagani Zonda C12S。放っておいても目立って仕方ないデザインが凄いが,ジェットエンジン排気口のようなマフラーのインパクトも強烈。挙動はまさしくジャジャ馬なので速く走らせるには腕が必要。自信のある人はいかがか?

 

■NISSAN 350Z NISMO S-Tune
国産車として唯一登場するのが日産 フェアレディZ(350Z)。標準モデルとチューンされた350Z NISMOバージョンが登場する。同グループの外国車と比べると,パワーなどでは若干劣る印象だが,フルチューンしても乗りやすい。それにしても,国産車が350Zのみというのはあんまりだなあ

 

■Caterham CSR 260
Caterham CSR 260は,いわゆるスーパー セブンと呼ばれるクルマの一つ。“セブン”シリーズは伝統的に車体の軽さ,高い運動性能,独特のスタイル,そして比較的安価という特徴を持ち,日本にもファンやオーナーが多い。エアロダイナミクスってなんですか? というボディ形状とキビキビした走りが嬉しい

 

■Kawasaki Ninja ZX-10R
Kawasaki Ninja ZX-10Rは川崎重工業が製造/販売している輸出向けの大型バイクである。ゲームに登場するバイクすべてにいえるのだが,非常に操作が難しい。そして,その中でもNinja ZX-10Rはとびきり扱いにくい印象で,コーナーリングなど大変。しかし,バイクを乗りこなせないとゲームの面白みが半減するので,挑戦するしかない

 

 まだまだ紹介したい車種はたくさんあるのだが,さて,ここで一つ悲しいお知らせ。ご存じの人もいると思うが,Xbox 360版ではダウンロードコンテンツとして,Nissan Skyline GTR R34,Lexus LS 460,Lamborghini Countach 25th Anniversary,Ferrari F40,Mercedes-Benz CLK GTRなどなど,多くの追加車種が入手可能だ。なかには有償のものもあるが,お気に入りの車を追加できるのは非常にうらまやしい話でございます。
 というのも,2007年5月1日現在,PC版では追加車種の配布が行われていないからだ。この仕打ちに世界中のセレブが泣いているのはまず間違いないが,もっとも,Lexusはディーラーの建物自体は用意されているし,配信されていない車種でもトレードリストに表示されるので,今後ダウンロードコンテンツとして追加車種の登場がありそうな予感がないわけではない(希望的観測)。
 筆者の声がAtariに届くかどうか分からないが,とりあえず「早く登場させてくれ!」とか「できれば国産車も!」とダイヤモンドヘッドの先に立ってハワイの夕日に向かって叫んでおいた。

 

車を買ったら,とりあえずノーマルで走り回ってみよう。どうもしっくり来ないとか,もっとパワーを! ブレーキ性能を! という場合は,チューナーで3レベルのチューンナップを施せる。順番にチューンする必要はないが,最高状態にしても腕がついてこないのは悲しい。腕前に合わせて性能を上げていったほうがよさそうだ 車やバイクにオリジナリティを演出するなら高級ペイントショップで塗り替えだ。ベースカラーもソリッドとメタリックから選べるし,光の当たる部分を玉虫色のように変化させて立体感を強調させる偏光パール塗装も可能。ライン色も選べるし,いろいろできるので,今のボディに飽きたらイメチェンしてみるといいかもね

 

 

次回予告

 

 というわけで,大量に登場する車とバイクのごくごく一部を紹介してきたわけだが,キミの乗り回したい一台は見つかった? というか,セレブならばマイホームを次々に買い込んで,すべての車とバイクを入手くらいの勢いは欲しいのである。キャラクターレベルがチャンピオンクラスになれば,短時間で高額の優勝賞金が得られて笑いが止まらんイッヒッヒッヒといったチャレンジも登場するので,繰り返し挑戦すればどんどんお金が入ってきて,いずれ夢は叶えられるはずである。ああ,これが現実だったらなあ。

 

 というわけで,これまでは一人で送るハワイ生活の楽しさをお伝えしてきたわけだが,知っている人も多いと思うが,実はTDUの人気の秘密はオンラインプレイにあるのだ。同じオアフ島を走り回っている世界中のプレイヤーとチャットやドツき合いをしたり,ツーリングやレースをしたりと,自由自在。そこで次回は,いろいろとドキドキな出会いのあるオンラインプレイを見ていくことにしよう。じゃ,新しいマイ豪邸ホームを買うために必要な資金をチャレンジで稼ぎ出してくるので,また来週。アロハ!

 

 

 

TrackIRを使えば左右の確認も自由自在

 今回はハワイでの生活をリアリティ溢れるものにするアイテムを紹介しよう。それが,「ヘッドトラッキングシステム」TrackIRだ。詳しいことは,「こちら」のレビュー記事をご覧いただくことにして,TDUはTrackIRを正式サポートしており,「左右の動き」(Yaw軸)と「上下の動き」(Pitch軸)を利用できる。通常は真正面を向いて車やバイクを運転するわけだが,まさにシートに座っているかのごとく,画面切り替えを気にしない自由な視点移動が実現できるのだ。運転中にキョロキョロできるし,ドリフト中も進むべき方向を見ながらコントロールできるし,赤信号を突破するときも一般車が来ていないか軽く頭を振って確認できてしまうという驚異の便利さ。ほら,すごいでしょ? と,激しくオススメのアイテムなのだが,筆者の場合,激しい3D酔いを起こしてしまいがちなのが難点である。このへんは個人差の問題だとは思うが,筆者はとめどなく込み上げてくる酸っぱいものを感じつつ,TrackIRを使ってハワイのドライブを楽しんでいるのである。ああ,リッチ。うう……。リッチ……。ううう……。

 

 

■■UHAUHA(リゾートアイランドライター)■■
このゴールデンウィークは風邪で高熱を発したり,本連載の原稿に追われたりとかなり充実した日々を過ごしたUHAUHA氏だが,記事中にもあるように,Xbox360版で行われている新車種のダウンロードサービスがうらやましくてならない様子。なんとかならないかと,いろいろ調べているうち,「Xbox360でハードコアモードを使用するには160マイクロソフトポイントが必要」という事実を突き止めたUHAUHA氏(PC版では無料)。思わずガッツポーズをしてしまったが,よく考えるとXbox360版のTest Drive Unlimitedもプレイしているのだった。
タイトル Test Drive Unlimited
開発元 Eden Games 発売元 ATARI
発売日 2007/09/28 価格 39.95米ドル
 
動作環境 N/A



【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/weekly/tdu/003/tdu_003.shtml