連載 : Silent Hunter 4 鉄底海峡冬景色


Silent Hunter 4 鉄底海峡冬景色

第2回:ミッドウェー海戦と空母「蒼龍」「飛龍」

 

 日本海軍の艦艇との戦闘を通して,潜水艦シム「Silent Hunter 4: Wolves of the Pacific」の見どころを紹介していく本連載,第2回の題材は1942年6月4日(米国時間),ミッドウェー海戦のクライマックスシーンである。
 太平洋戦争のターニングポイントとしてつとに名高いミッドウェー海戦は,日本海軍の主力たる連合艦隊の,総力を挙げた作戦の結果だった。上陸占領を前提としたミッドウェー島への攻撃で,アメリカ機動部隊主力を誘出・撃滅すべく,第一航空艦隊所属の空母「赤城」「加賀」,第二航空艦隊の「蒼龍」「飛龍」を主力として開始されたミッドウェー作戦だったが,空母「ヨークタウン」「エンタープライズ」「ホーネット」を基幹とするアメリカ機動部隊の発見が遅れたこと,ミッドウェー島攻撃を優先するか敵空母の捕捉撃滅を優先するかという作戦目標の不整合が,最後まで尾を曳いたことなどから,日本海軍の手痛い敗北に終わる。この戦いで日本海軍は正規空母4隻を失い,残る正規空母はわずか2隻,以降積極的な洋上攻勢は不可能となった。

 

翔鶴級空母4隻発見!……あり得ませんてば

 

ミッドウェー海戦で敵の主要な戦闘艦を沈めるのが,このミッションの目標。敵はざっと,第1回の2倍くらいか

 まあそんなわけで,今回はミッドウェー島近海に進出した日本の機動部隊を叩くのが任務である。ミッションブリーフィング画面で示される目標「Sink major Japanese warships」(日本の主要戦闘艦を撃沈せよ)は,ミッションスタート直後にゲーム操作パネル(Game Control Panel)から確認すると「Engage Japanese task force」(日本機動部隊と交戦せよ)と言い換えられている。何をどれだけやればよいのかはさておき,我が艦の来訪を第一,第二航空艦隊が総出で迎えてくれるという,前回にも輪をかけて光栄極まるシチュエーションから,ミッションはスタートするわけだ。……生きて帰れるといいなあ。

 

 念のため潜望鏡深度を発令しつつ,攻撃用潜望鏡を上げたところで洋上に見えるのは,金剛級戦艦に秋月級護衛駆逐艦,最上級重巡洋艦のほかに,翔鶴級空母……って,おいおい! 翔鶴も瑞鶴も,この作戦には参加してませんがな! 翔鶴級は,空母「飛龍」の拡大発展型なので,「蒼龍」「飛龍」が便宜上翔鶴級のモデルで代用されているのかと思ったら,「赤城」「加賀」を含め4隻とも翔鶴級らしい。……いやその。そもそも翔鶴級は4隻も建造されていないわけですが。
 この連載にとってはちょっと困った簡略化ぶりなのだが,まあそもそも厳密に史実を追いかけるなら,ミッションが開始される1942年6月4日午前7時45分(米国時間)時点ですでに,蒼龍は爆弾3発を受けて盛大に炎上しているはずであって,当然ながらそのタイミングでアメリカ潜水艦の雷撃など受けていない。だいたい,プレイヤーが指揮するS級潜水艦「Skipjack」や「Snapper」にしても,この時期は東南アジア方面で配置に着いていたはずなのである。
 そうした意味で,このゲームでヒストリカルミッションと位置付けられている「QUICK MISSION」は,自艦の配置や役割まで史実どおりという意味ではないことを,あらかじめご了解いただきたい。

 

潜望鏡で捉えた敵艦隊。空母4隻を含む日本海軍の主力部隊だ 左上の位置保持装置に注目。なぜミッドウェーに翔鶴級空母が

 

アメリカ艦載機の攻撃を受けて,炎上する阿賀野級軽巡洋艦

 気を取り直して。敵機動部隊はおおむね,我が艦の北方1500mくらいのところを,東南東に向けて航行しているようだ。我が艦は北を向いているので,そのまま進むとかなりよい角度で狙えるはずだ。できればもう少し距離を詰めたいところだが,敵の空母群はすでにかなり正面に近い角度まで来ている。あまり欲張らずにタイミングを計って,前部発射管の魚雷4発を放つのが正解だろう。さっそく,魚雷を高速モードにし,馳走深度を10m前後に設定する。
 敵の針路と我が艦の針路を直交させ,かつ,魚雷の着弾タイミングをなるべく敵艦が真正面に来たあたりにすべく(こうすると魚雷の馳走距離が最短になるので,最も命中精度が上がるはず),右30度の回頭を命ずる。また,速やかに回頭を終えるべく,電動機の出力を回頭中だけ最高まで上げた。騒音が増えるので探知される危険が増大するのだが,どうせ魚雷が命中すれば,こちらの存在は掴まれる。いまその危険はあえて無視しよう。
 そうこうするうちに,アメリカ機動部隊の艦載機による爆撃/雷撃が始まり,敵艦隊に突入したかと思うと黒煙の尾を曳いて落ちていく飛行機や,爆弾が命中したのか煙を上げて速度を落とす日本軍の艦艇などが出始める。潜望鏡で狙っているこちらにしてみると,敵空母がジグザクの避弾運動を始めるのが困りものなのだが,こればかりはコボしてみても始まらない。

 

空母や護衛駆逐艦からの対空砲火もすさまじい 被弾し,黒煙を吐いて下降する米軍の艦載機

 

攻撃もさることながら,離脱が重要

 

艦尾を突き出す形で,沈んでいく秋月級護衛駆逐艦。実はその右に見える水柱が,前部発射管からの命中魚雷の成果なのだが

 潜望鏡で捉えた3隻の翔鶴級空母のうち,最初の2隻に2本ずつ魚雷を放つ。これで前部発射管は空なので,今度は180度回頭して後部発射管を使う。S級潜水艦は前後に4門ずつの発射管を持っている。後ろに同じく4門というのは,バランスとしてあまり誉められたものではない気もするが,いまは合計発射管数のメリットを生かすべく,またも電動機の出力を上げて,迅速に回頭を終えよう。
 次なる目標を潜望鏡で見定めている最中に,先ほど放った魚雷のうち1本が命中し,爆発音と水柱を上げる。命中したのは後から狙ったほうの艦であるらしい。4本放って1本,けっこうな距離があったし,敵は高速で避弾運動中となれば,まあこんなもんだろう。
 先ほどの2隻の後を追う形で進んできた空母に,後部発射管から同じく2本の魚雷を放つ。その後,新たな目標を求めて西へ向けた我が艦とすれ違う形で進んできた敵空母に,至近距離で残り2本を見舞った。命中しても角度が浅いので,着発信管には厳しい条件だ。磁気信管が感応しなかったらダメだろうと思っていたが,こちらは2本とも命中・炸裂し,艦尾付近から巨大な水柱が上がる。

 

空母「蒼龍」「飛龍」(?)撃沈!

 

 敵空母都合2隻を沈め,発射管もすべて空になった我が艦が為すべきは,速やかな離脱である。速やかといっても,音を立てて走っちゃいけないのが悩ましいところだ。潜望鏡を収容し,160フィートまで潜った我が艦は,定石どおり敵艦隊の針路後方に向けて3分の1速でそろそろと離脱を試みる。
 途中で若干の爆雷攻撃を受け,備砲や対空火器,後部発射管室の耐圧隔壁に損傷を受けたものの,手の空いている乗組員で修理班を編成し,浸水を食い止める。やがてソナー員から敵艦の沈没を確認した旨の報告が入り,それをもってミッションコンプリートとなった。

 

潜航直後に受けた浅深度の爆雷攻撃で,備砲と対空火器,耐圧隔壁に被害が。隔壁の損傷は浸水を招く 見張り員や砲手,機関兵など,手の空いた乗組員をかき集めて修理班を編成,浸水に対処する

 

今回魚雷を当てた2隻を,両方視界に収めてみる。沈みゆく1隻めと,2本めの命中で水柱が上がる2隻め ソナー員からの報告で,敵の沈没が確認されてミッション完了。排水量も,翔鶴級空母扱いだ

 

 遠距離からの雷撃もさることながら,このミッションで少々手こずるのは,敵駆逐艦の追跡能力が意外と高いことに対してだ。ちょっと潜って予備魚雷を装填,あわよくば第二次攻撃をなどと考えていると,とくに対潜能力が高いわけでもない秋月級護衛駆逐艦に追いつめられて,沈められたりもする。
 せっかく発射管も8本あることだし,最初から装填されている魚雷を生かし,きっちり戦果を挙げてから深深度に逃れるという地味な策を,確実に遂行するのがよいようだ。

 

機動部隊に随伴していた,秋月級護衛駆逐艦(左)と金剛級高速戦艦(右)の勇姿。性能,戦績ともにどちらも高く評価されている艦だ

 

 

■■Guevarista(サブマリナー)■■
この「Silent Hunter 4」とならんで最近お気に入りのゲームが「3rd World Farmer」だという,いろんな業を背負っているとしか思えない4Gamer編集部潜水艦担当編集者。アフリカの暮らしをいろいろと調べようと新聞を眺めているうち,「おや,某県でケシが自生していたらしいですね。これがアフリカなら,貧しい農民の暮らしも……メインタンクブロー」と,遠い目をしながら今日も潜っているので,近所の席の編集者はなるべくそっとしておいてあげている。
タイトル Silent Hunter 4: Wolves of the Pacific 日本語マニュアル付英語版
開発元 Ubisoft Entertainment 発売元 イーフロンティア
発売日 2007/04/27 価格 6090円(税込)
 
動作環境 OS:Windows XP/Vista,CPU:Pentium 4/2GHz以上[Pentium 4/3GHz以上推奨],メインメモリ:1GB以上[2GB以上推奨],HDD空き容量:6GB以上,グラフィックスカード:DirectX 9およびPixcel Shader 2.0 対応製品,グラフィックスメモリ:128MB以上

(C)2007 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Silent Hunter, Silent Hunter 4: Wolves of the Pacific, Ubisoft, Ubi.com, and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the U.S. and/or other countries.


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http://www.4gamer.net/weekly/silenthunter4/002/silenthunter4_002.shtml



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