「The Movies」連載第2回からはお待ちかね,本作の大本命要素「オリジナル映画」の作成に入っていこう。やはりThe Moviesで「映画スタジオを経営したい!」と考えるよりは,「映画を作りたい!」と考える映画関係者のほうが多いのではなかろうか。
オリジナル映画を作るためには,まず「オリジナル脚本」を制作して(ここがメイン),その脚本で映画を撮影し,編集を加える。これでようやく「自分の映画」が完成だ。今回は,この一連の流れについて紹介していく。
と,本題に入る前に,ゲームモードについて軽く触れておきたい。本作には「通常モード」と「サンドボックスモード」の2種類が用意されている。「通常モード」は,1920年から映画スタジオを経営して,ハリウッド最強の映画スタジオを目指していく経営メインのゲームモード。
一方の「サンドボックスモード」は,開始年代,初期資金,スターの機嫌要素の有無,さらには撮影期間の省略などを最初から自由に設定できるゲームモード。オリジナル映画作りに専念したいなら,サンドボックスモードが断然お勧めだ。しかし,サンドボックスモードでは最初から登場する衣装やセットなどが限られており,通常モードである程度ゲームを進めて出現させておく必要がある。まずは通常モードを一通りプレイしてから,サンドボックスモードを使用するのがいいだろう。もちろん,通常モードでオリジナル映画作成をしてもいい。
オリジナル脚本部にある,真っ白い脚本を「上級者向けムービーメーカー」の枠に放り込むと,憧れの脚本作りスタート
オリジナル脚本を作るには,「オリジナル脚本室」が必要になる。これは最初からは建てられず,通常モードで「功労賞」の最初の目標「大物気取り」を達成する必要がある。功労賞については今後の連載で触れるので,今回はノータッチ。とはいえ,「大物気取り」は普通にプレイすれば誰でも手に入るのでご安心を。
脚本(シナリオ)は,映画の土台となる部分だ。このゲームで「映画を作る」というのは,「脚本を作る」ことを意味する。つまり「映画監督になれる」というよりは,「脚本家になれる」と言ったほうが正しいかもしれない。
日頃観ている映画やドラマは,いくつものシーン(場面)をつなぎ合わせて一つの物語を構成しているのは,ご存じのとおり。それは本作も同様で,細かいシーンをつなぎ合わせて,一つの物語になるように脚本を作っていくのだ。
まずは,脚本タイトル,映画のジャンル,構成,主演&助演の俳優を設定する。脚本タイトルはそのまま映画タイトルになるものだが,あとからでも変更可能だ。すべて完成してから,最後にタイトルを考えてもいいかも。
主演&助演となる俳優の選び方には2種類ある。ゲーム内における「評価」を気にするなら,作りたい映画のジャンル(コメディ,アクション,SF,ロマンス,ホラー)の適正や,役者としての経験などを考慮に入れて,能力的に最も適した役者を選ぶ必要がある。逆に「友人に見せる」ための映画で,ゲーム内の評価なんか気にしないなら,容姿などを判断基準として自分のお気に入りの俳優を選べばいいのだ。
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| 最初の画面。友人に見せる目的なら,能力値そっちのけで自分のイメージに合った俳優を選ぼう。衣装もここで選ぶのだ |
構成は「シンプル」「詳細」「フリーフォーム」の3種類。いわゆるテンプレートだが,もちろん使わなくてもいい |
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宇宙船,西部劇,山小屋,都会の路地などなど,ゲーム中ではさまざまな「セット」を建設できる。そして,このセット内でどのような演技をするのか,その演技のパターンが「シーン」として細かく大量に用意されているのだ。
「都市:町の道路」というセットの「車から出る2」というシーン,「都市:町の道路」というセットの「町での追跡」というシーン,「都市:路地」というセットの「銃を撃つ1」というシーンをつなぎ合わせれば,ちょっとしたハードボイルドな物語が完成するといった具合だ。
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| 配置された白や黄色のマネキンが,特定の行動をとる。これが「シーン」だ。ここに主演,助演など当てはめていく |
どのセットにも共通するシーンが大量にあるほか,特定のセットでしか使えないシーンも結構ある。見つけると嬉しい |
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これらのシーンを選んで役者を配置しながら,少しずつ物語を組み立てていく。いくらパターンが豊富に用意されているとはいえ限度があり,簡単に思い描いていたとおりのシーンにならないこともあり,そこをどう補うかはアイデア次第となる。シーンとシーンの間をいかに自然に見えるようにつなげていくか,このあたりは映画監督としてのセンスが最も問われるところだ。
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| 俳優の感情表現やリアクションの喜怒哀楽,カメラアングルを変えることで,同じシーンでも違った内容になってくる |
さらにシーンに変化を出したい場合は,セット内に装飾物を置いちゃおう。惜しみない努力がオリジナリティを生むのだ |
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脚本が完成したら,お次は撮影だ。オリジナル脚本で撮影する場合も,前回紹介した通常の映画撮影と同じ。まずは脚本をキャスティング事務所へ放り込み,出演者は脚本制作段階で決めてあるので,あとは監督だけ指名すれば映画の撮影に入れる。
しかしオリジナル脚本は,得てして長くなりがち。何十ものシーンで構成される凝った映画を普通に撮影しようとすると,十年以上かかってしまうこともある。やはり大作を撮るなら,撮影期間を省略できるサンドボックスモードがよさそう。
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| 出演俳優は脚本の制作段階で指定しているので,監督だけ指名すればOK。オリジナル作品だと27シーンなんてザラだ |
サンドボックスモードで「インスタント映画製作」にチェックを入れれば,あの長い長い映画の撮影が一瞬で終わる |
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ポストプロダクション室で編集作業を行い,総仕上げ。ちょっと手を加えるだけで作品の印象はグッと変わる
撮影が完了した時点で映画が完成と考えてもいいが,より完成度を高めるなら「編集」を行いたい。編集作業は「ポストプロダクション室」で行い,作業自体はオリジナル脚本作りと同様にタイムライン上で進めていく。
具体的には,余計な部分のカット,字幕を付ける,独自に録音した音声を使用する(アフレコ)といった作業が行える。これらはゲーム内での評価には影響しないが,人に見せるつもりなら必要となってくるだろう。
字幕を付けていくことで,より深い物語を生み出すことだって可能だ。あっと言わせる物語で全米を震撼させよう
具体例を挙げよう。サスペンスやホラー向きのシーン「まだ終わりはしない」は,“主人公と犯人が取っ組み合いになったあと,ナイフで犯人を突き刺す。ほっとして座り込む主人公の背後で,死んだはずの犯人が再び起きあがり……”という内容だ。映画によっては,殺したあとに起き上がってもらっては困ることも多々あるだろう。だが弱ったことに,ゲーム中には刺されたまま起き上がらないシーンというのは,用意されていないのだ。
シーンに合った効果音を加えれば臨場感がアップする。サンプルでいろいろ用意されているが,自分で作ってもいい
そんなときこそ編集の出番である。とりあえず起き上がる以降のシーンも含めたまま撮影し,あとで編集画面で後半部分をカットしてしまえばいいのだ。このように,シーンの一部分だけを抽出して,自分に都合のいいように使えるのが編集機能のメリットである。
映画が完成したら,「映画をエクスポート」でWMVファイルとして出力し,友人などに見せつけてやろう。日本語版では字幕に日本語テキストも使用可能だが,開発元であるLionhead Studiosの「The Movies」公式サイト(英語)で公開するような場合は,やはり英語字幕が必要かも。
以上のような流れで,脚本を作り,撮影したフィルムを編集し,ファイルに出力して,人に見せられる映画が完成するわけだ。勘の鋭い人は気づいたかもしれないが,基本的に映像パターンは「シーン」で用意されたモーションに限られるため,意外と制限は厳しい。つまり完全に自由に映画が作れるというわけではないが,限られたモーション内でいかにオリジナリティ溢れる映画を生み出すかが,本作における腕の見せどころだろう。
次回は,「オリジナル脚本室」の「ムービーメーカー」モードについて,さらに深く掘り下げていく。いよいよ本作の一番面白い部分に突入だ。