― 連載 ―

The Elder Scrolls IV: Oblivion

連載第7回 泥棒は嘘つきの始まり

前回までのあらすじ

真っ当すぎる生活に嫌気がさしてきたミッシェルは,自身のクラスが“女スパイ”だということを思い出し,暗黒社会へ身を投じようと決意。なんやかんやあって盗賊ギルドの入団試験を受けることになり,二人のライバルをけ落としつつ,無事に入団を果たした……のが前回までの話。とはいえ当然最初は下っ端で,肩書はPickpocket(つまり,スリ)。これじゃあ女スパイの名が廃ると,慣れない盗賊稼業に勤しむミッシェルだった。

弱きを助け強きをくじく,それが真の盗賊

 盗賊ギルドへの加入は果たしたものの,こそ泥扱いは少々さびしい。いくつかちょいちょいと依頼をこなせば,たぶんすぐに昇格できる……そう思ってクエストをもらおうとしても,例の男(入団させてくれた人ね)はそんなものくれない。どうやらシーフとしての信用は,金持ちからものを盗み,それを盗品買い受け人のところに持っていくことで上がるようだ。
 ちなみに盗品は,普通の商店では買い取ってくれない。ギルドに紹介された買い受け人のみが買い取ってくれるのだ。さらにいえば,盗賊の大切な商売道具であるロックピックは,この買い受け人のみが売っている。これも考えてみれば当たり前で,そんな怪しいものを普通の商店が扱っているわけはないのである。

 

 

 そんなわけでミッシェルは,しばらくギルド内での信用を得るためにがんばった。金のありそうな大きな家に忍び込んでは物を盗み,それを買い受け人に売る。しばらく繰り返すと,今度はギルドから簡単な仕事を頼まれるようになったので,それをこなす。盗みのほか戦闘や尾行なども経験した。続けるとランクが上がっていき,PickpocketからFootpad,そしてBanditになった。えへん。

 

 

 この時点で,入団試験からのつきあいであるギルドメンバーの男とはお別れ。次はブラビル(Bravil)の街にいる,別のメンバーから指示を受けろと言われる。道中で小鬼やオオカミを相手に少し戦闘の訓練もしながら移動して,ブラビルに到着。目的の人物に会った。

 

 ネコ科っぽい種族,カジートの女性である。早速何か依頼はないかと聞くと,レヤウィン(Leyawiin)の街に住んでいる,とある貧しい未亡人が指輪を盗まれて困っているので,取り返してあげる,という仕事を頼まれた。
 盗まれたものを取り返すのは,盗賊ギルドではなくガード達の仕事のような気もするが,相手が「貧しい」のがポイントである。盗賊ギルドの面々は,あくまでお金持ちからしかモノを盗まない。貧しき人々は,助けるべき存在なのだ。

 

 そんなわけでレヤウィンにやってきた。まずはその未亡人を探す。このレヤウィンは狭い街ではないが,うろうろしているうちにすぐに未亡人の家は見つかった。会ってみればまたもやカジートの女性である。タイガーマスクみたい。さて早速事情聴取開始。

 

「汚らしいアルゴニアンが私の大切な指輪を盗んだんだよ。それを取り返してほしいんだ! 間抜けなトカゲ野郎の名前はAmusei。ヤツを見つけて,私の指輪を取り返して,最後にはぶっ殺してやってほしいんだよ!」

 

 依頼人はアルゴニアンのことがかなりキライなようだ。“stupid”だなんて,淑女にはとても口にできそうにない汚い言葉を使っている(編注:編集作業でかなりカットしているが,元原稿のミッシェルの言葉遣いは,この未亡人の比ではない)。
 ……ともかく,指輪を取り返してくればいいということは分かった。そのAmuseiがどこにいるかは彼女も知らないようなので,自分で情報を入手しなければならない,というわけか。

 

 ……ふふふ,もうこのパターンには慣れてきた。おそらく町の物乞いに金を渡せば情報を入手できるのである。案の定,それらしき場所にクエストのマーカーが出ている。行ってみると,やはり物乞いはAmuseiの場所を知っていた。

可哀想な人と,運命の再会

「あの可哀想な物乞いなら捕まったよ。伯爵夫人を騙そうとしたみたいだね。だから今はCastle Dungeonの独房にいるだろうさ」

 

 Castle Dungeon!? にわかに冒険の香り! よしこうなったら何に遭遇してもいいように,準備を整えてから出かけよう。
 ……と思って防具を直したりしてから城に行ってみたのだが,Castle Dungeonっていうのは,普通に“城の地下”という意味だったらしく,ダンジョンという言葉からイメージするような暗く危険な場所では全然なかった。

 

 入ってみると中には粗末な机とスツールなんかがあって,看守が座っている。例によって金を渡すと,Amuseiと話すことができた。そしてここでまた発見。あれ? アルゴニアンのAmuseiって……入団テストのときにいたあいつか!

 

 あーらお久しぶり。貴方は試験に落ちて,私は受かった。今ではもう身分が異なってしまったけれど,あなたのことは覚えていてよ。オホホホホ。
 話によれば,彼は試験に落ちたあと,しょうがないので生まれ故郷のこの街に戻ってきて,フリーランスのシーフとして生活していたとのことだ。目的の指輪のことを聞いてみるが,簡単には口を割らない。しかし,ここから脱出するためのロックピックをくれるのであれば,指輪のことを話すという。
 脱獄の手助けか……。うん,悪っぽい。OK,取引成立。

 

「いいぞ! ああそうだ,あのカジートから指輪を盗んだのはオレだ。そいつを盗品買い受け人のところに持っていくと,買い受け人は“こんな危険な品は買い取れない”と言ってきた」
「よく見ると,指輪の内側には“Alessiaへ”と文字が彫ってある。Alessiaってのはこのレヤウィンの伯爵夫人のことだ。つまりこの指輪は,オレが盗む前から盗品だったんだよ!」
「だったらと,オレは伯爵夫人にこの指輪を買い取ってくれるように持ちかけたが,ことはそううまくいかなかった。結局オレは捕まって,指輪は伯爵夫人の手に戻っちまったってわけさ」

 

 あらら,結局指輪は元の持ち主である伯爵夫人が持っているということか。うーん,なんだかきな臭いことになってきた。だが考えてみれば,そもそも盗賊ギルドに舞い込んでくる依頼なんて,そんなものかもしれない。なーんだ,美談だと思って損した。
 とりあえず依頼人のところに戻って話を聞いてみる。

 

「Amuseiは指輪を伯爵夫人に売ろうとしたって? 馬鹿なトカゲ! あの指輪はね,うまく使えば,伯爵の書いた重要書類を盗み見たりできるんだよ。そうやって情報を集めて,そして売る。それが賢い使い方だよ。さあ,いずれにせよ私はあの指輪がほしいんだ。持ってきておくれ! 報酬は約束の2倍払おうじゃないか!」

 

 ま,やるしかない。伯爵夫人から指輪を盗み出そう。Banditの腕の見せどころだわ。
 情報収集のために再び物乞いに金を渡すと,「伯爵夫人のことは,彼女付きのメイドに聞くといい」とのことだ。
 え,メイド!? ヤバイきちゃったよ。メイドに関しては,いくつか世の中に対して主張したい事柄もなくはないのだが……今ここでするべきことでもないだろうから割愛する。それにね,メイドって言ったってどうせきっと違うんである。会ってみれば分かるはず。

 

 ほらね。
 もうこんなことでは大騒ぎはしないのである。さて,相変わらず初対面では情報をくれないが,またまた金を渡してなんとかした(編注:本作で友好度を上げる方法は,会話のミニゲームなど,お金を渡す以外にもあるんですが……)。
 メイドによれば,指輪は伯爵夫人がいつもはめているけれども,寝るときはベッドサイドの宝石箱に入れるらしい。ということは,夜に寝室に忍び込んで盗み出せばいいということだ。さらにメイドは,城の地下(Basement)に,伯爵&伯爵夫人の寝室に通じる秘密の通路の入り口がある,ということも教えてくれた。

恐怖,夜な夜な悲鳴の聞こえる地下室

 ところで物乞いとメイドは,それぞれで何か物騒なことを言っていた。なんでも「地下室には拷問部屋がある」とか,「屋敷の地下から悲鳴が聞こえる」とか……。
 これはちょっと気になる。なぜなら女子は,そういうオカルティックなものに興味を示しやすいからである。怪奇マンガとかをこっそり学校に持ってきて友達同士で貸しあったりするものだからである。
 そしてミッシェルは,これはもう確実に,そういった可愛らしい女子の一人だからである。

 

 さあ,潜入開始である。Basementへの入り口は,メインホールの端にあった。ガードがうろついてはいるが,その目を盗んでササッっと侵入する。進むといかにも倉庫らしいところに出た。行き止まりになっているようなので,ここに例の隠し通路への入り口があるんじゃないだろうか。あたりを調べてみると……

 

 

 いかにも怪しげなレバーを発見!
 引いてみると壁の一部が開いた。よしこれだ。そこに入ってさらに進んでいくと……

 

 きゃあああああああ。
 天井からつるされたチェーンに,血がべったりとついているテーブル。さらにその血だらけテーブルの上にはナイフとフォークらしきものまであったりして,コイツはヤバゲだわ。
 このまま部屋の隅に張り込んで,ぜひ現場などを目撃したい! と思ったが,潜入行動中は時間を飛ばすことはできないのだ。とりあえず先へ進むしかない。というか考えてみたら,今はゲーム内時間で昼間である。そしてここでは時間を飛ばせないんだから,あ,これって,出直すしかないんじゃん!
 しょうがないので下見だけして,夜にもう一度出直すことにした。

 

 真夜中ごろに城まで出向いてみたら,ちょうど伯爵夫人が自室に戻るのを目撃した。少し間をおいて下調べしておいたとおりのルートで寝室まで近づく。ガードが巡回していてヒヤヒヤさせられる場面もあったが,最後には寝室に到着。ロックピックで鍵を開けて侵入すると,伯爵夫妻はぐうぐうと寝ている。
 ふふふ,ここまでくればコッチのものである。ベッドの脇の宝石箱をチェックすると……あったあった。目的の指輪のほかにインテリジェンスの上がる指輪まで入ってる! オホホホホ,これもいただいておくことにするわ。

 

 

 明けて翌日,依頼人のカジートのところに例の指輪を持って行くと,報酬がもらえてこの件は終了した。
 秘密の拷問部屋についてはナゾのままだが,まあとりあえずは忘れていよう。ブラビルまでクエスト終了の報告をしに行くと,盗賊ギルド内でのランクがまた上がった。

 

 はっきりいってここまではかなり調子がいい。腕利きのスパイとして活躍してる! という感じがする。実力と美貌でいえば,もう例のケイトも目じゃないわね。というか,気がつくと担当編集のIwahama氏に勝手に付け加えられていた“ケイト・アーチャーを意識している”という設定をこんな風に丁寧に拾っているなんて,筆者は人間ができているというか素直に偉いと思う。
 まあそんなわけで次の仕事である。

 

 インペリアルシティの一角にある例の貧民街ウォーターフロントだが,盗賊達との関わりを疑われて,ガードによる取り締まりが強化されているらしい。そのため盗賊ギルドのメンバー達も,次々に捕まってしまっているようだ。この問題をどうにか解決してきてほしい,というのが次の仕事。
 なかなか大変そうな仕事だが,上品で華麗なる女スパイにとってはきっと造作もないこと。

 

「インペリアルシティのどこかにいるMethredhelという人物を見つけて話を聞くといい。彼女は協力者だ」

 

 Methredhelさんね,分かったわ。……あれ,Methredhel??? どっかで聞いたことのある名前……ていうかキーーーーーーー! 前回,盗賊ギルドへの加入で火花を散らした,あの“顔が個性的”な女じゃん!! あんだよあの女は,賢いあたしに負けて試験に通らなかったんじゃないのかよ! ていうか,うわー,会いづれー。結構いろいろ言ったちゃったしかなり気が進まない……どうしよっかなぁ……。(つづく)

 

 

今週のお姿

 冒険を通じて少し装備も変わってきている。襲ってきた賊から奪った毛皮のヘルメットは,せっかくのチャーミングな顔を,少しでも隠しちゃうのが悩ましいところ。しかし最近,死体からはぎ取ったものを装備することに抵抗がなくなってきた。弱肉強食って言葉,ホントよく分かるなぁ。
 ちなみに,地味にオオカミなどを倒しているうちに,レベルは5に上昇。すでにケイト・アーチャーは超えたから,次はゾルゲあたりを狙おうかしら(編注:ゾルゲは男です)。

 

■■星原昭典/ライター■■
ズーッと家で仕事をしている毎日で,この欄のネタになるようなことなんて,これっぽっちもないと嘆く星原氏。あまりにも困ったのか,「こうなったら,著者紹介欄をなくす運動を始めてやる!」と怒り出す始末である。まぁおそらく,「ベルアイルな女たち」を連載中のライター,麻生氏ならその運動に参加してくれるだろう。
タイトル The Elder Scrolls IV: Oblivion
開発元 Bethesda Softworks(ZeniMax Media) 発売元 2K Games(Take-Two Interactive Software)
発売日 2006/03/20 価格 49.99ドル
 
動作環境 OS:Windows XP(+DirectX 9.0c以上),CPU:Pentium 4/2GHz以上[Pentium 4/3GHz以上推奨],メインメモリ:512MB以上[1GB以上推奨],グラフィックスチップ:GeForce FXまたはRadeon 9000以上[GeForce 6800またはRadeon X800以上推奨],グラフィックスメモリ:128MB以上,HDD空き容量:4.6GB以上

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