― 連載 ―

コサックスII 大陸軍の軌跡
第5回 戦争と平和を味わうヨーロッパの戦い:中編

 このゲームの"グランドキャンペーン"ともいうべき「ヨーロッパの戦い」モード,前回はプレイのノウハウを中心に解説したが,今回はAAR仕立てで,プレイの状況をお伝えしよう。
 AARとはafter action reportの意味で,戦いを振り返って講評を行う,一種のプレイレポートのこと。ストラテジーゲームでは比較的ポピュラーな解説手法だったりする。本稿ではフランスのナポレオンを担当し,ヨーロッパ全土征服にいたる過程,その前半をお届けしよう。

 歴史RTSなので史実どおり進めてみたいのは山々だが,このゲームではシステム上,小国が存在しない点や多国間同盟ができない点,海戦が存在しない点など,史実の再現が不可能な部分が多すぎる。そこで,史実を微妙に意識しつつも,それにとらわれることなくナポレオンに破竹の進撃をさせてみたいと思う。

第1ターン:三千年の歴史が諸君を見守って……いない?

 本来ならヒストリカルにエジプト遠征からスタートしたいが,前述のとおりこのゲームには海上ルートがない……。陸路イタリアを通らないとエジプトには到達できない(!)のだ。
 そこで無理矢理,エジプト遠征はもう終わって帰ってきたものと仮定して,エジプトはとりあえず放置し,まずは中央ヨーロッパへ進むことにする。
 大きな戦争を始める前に後顧の憂いを絶つべく,イギリスとは不可侵条約を結ぼう。世にいうアミアンの和約というやつだ。そして(オーストリアでなく)プロシアに宣戦布告し,ミュンヘンへと侵攻する。手薄なところを急襲して作戦は成功。大尉に昇進した。

第2ターン:「ドイツ国民に告ぐ」 by フィヒテ

 とはいえ,相手はフリードリヒ大王の伝統を受け継ぐプロシア軍。どう考えてもいきなりベルリンは陥とせそうもないので,2ターン目で早くもプロシアと講和を結び,おまけに不可侵条約まで締結する。いや,それなら最初からプロシアと開戦しなければよいだろうという考えもあろうが,一大食料基地であるミュンヘンは,ぜひとも早期に手に入れておきたかったのである。その頃,イギリスからは同盟の申し出があったので,無条件で受諾する。いや,ありがたいのだが,この当時のイギリスの首相であるピットやフォックスは,強硬な反フランス姿勢じゃなかったっけ?


 そうして,休む間もなくオーストリアに宣戦布告する。プラハを占領し,首都となっているブダペストを窺うが,まだまだ兵力が圧倒的に足りない。
 ここでオーストリアの,フランツ(神聖ローマ皇帝)が,反撃とばかりに4部隊を率いてプラハを奪還しにやって来たが,これを難なく撃退する。

●現在の階級と部隊編成

大尉
国民軍×2 フュージリア兵×2
選抜歩兵×1 猟騎兵×1
第3ターン:早すぎる「小ドイツ主義」の策謀に便乗

 プラハでの戦績が認められて少佐に昇進,配下の部隊には選抜歩兵,工兵,竜騎兵を新たに加える。
 次なる目標はウィーンである。ここで図らずも,プロシアから「オーストリアを攻撃してくれたら金7000を報酬として支払おう」という提案がくる。いや,まことに欧州情勢は複雑怪奇なのである(だいぶ時代が違うか)。もちろんのこと,彼らの望みどおりにウィーンに進撃し,一石二鳥を狙う。タイミングよくロシアもトランシルバニアへと進出し,ブダペストを孤立させた。オーストリアは早くも存亡の危機に立たされている。

第4ターン:神聖ローマ皇帝,最後の勝利

 やや時期尚早な感もあったが,ブダペストへと攻め込む。こちらの部隊数がわずか9なのに対し,オーストリア軍は26もの部隊を擁している。普通に正面から戦ったらまず勝てない兵力差だが,そこはそれ,天才ナポレオンのこと,3倍程度ならどうにかなる。さて,決戦の行方やいかに。

●現在の階級と部隊編成

少佐
国民軍×2 フュージリア兵×2
選抜歩兵×2 工兵×1
猟騎兵×1 竜騎兵×1

節目の戦い(1)(前半)〜第一次ブダペスト攻略戦〜

 オーストリアはゲーム開始早々に領地を大幅に削られて,資源の欠乏に苦しんでいるはずだ。指揮官の部隊をすぐには最大数まで補充できなかったのがその証拠である。戦いを長引かせ,ある程度の時間を稼げば,オーストリアは大軍であるがゆえに食糧難に陥って自壊,退却するのではないかと予測を立てた。

 なかなかよい読みだと思ったのだが,さすがにこれだけで勝てるものではなかった。大した作戦も立てず戦闘に突入したところ,敵は防衛側なのに守りに入るどころか兵力にものを言わせ,猛烈な勢いで攻めてくる。兵力は優勢だが物資が不足している軍の行動として,まことに当を得たものといえよう。敵ながらあっぱれである。
 こちらが近くの居留地を押さえて陣容を整えているうちに,あっという間に迫られ,包囲される。やむなく退却するも,敵の主要な進軍ルートはおおよそ把握できた。きちんと作戦を立ててから再挑戦を期そう。

第5ターン:まさにドナウ・キャンペーン

 前ターンのブダペスト攻略戦は完敗だった。綿密な作戦なくしては勝てないという苦い教訓を得たわけだが,幸いなことに退却の決断が早かったため,味方に損害は出ていない。
 このあたりでエジプトが地味に脅威となってきたので,同盟を締結する。エジプトは案の定ほどなくローマを占領し,オーストリアの領地はついにブダペストだけとなった。この戦いに勝利すれば,オーストリアを全面降伏に追い込める。


節目の戦い(2)(後半)〜第二次ブダペスト攻略戦〜〜

 前回の戦訓をもとに,マップをじっくりと眺めて作戦を考える。ポイントは,どこで敵を食い止めるかである。こんなとき,ドナウ川という障害地形は我々に有利に働いてくれる。前回の敵の侵攻ルートは画面のAとBの二つであった。Aルートから17〜18部隊ほどの主力が来て,Bルートからは騎兵中心の機動戦力7〜8部隊が攻めてきた。このルートをいかに遮断するか。
 そこでAルートでは,橋のたもとに防舎を建設して食い止めることにする。Bルートのほうは幸いにも,川の渡渉地点の手前が狭くなっているので,この地形を利用して守備モードに入れば応戦できそうだ。

 いよいよ戦役のスタートである。フタを開けてみると,やはり敵の進軍ルートは同じだった。目論見どおりAの橋付近で激戦になる。敵は防舎をものともせず突撃に次ぐ突撃を続け,思った以上の果敢な戦いぶりを見せる。だが,もう無理か,もう突破されるかというタイミングで竜騎兵に突撃を命じ,一気に敵を蹴散らす。敵に工兵やてき弾兵がおらず,防舎を破壊する手段がなかったのも我が方に幸いした。



 いっぽうB地点はこちらががっちり守りを固めているので,にらみ合いが続く。A地点での戦いが終わった後も,川を挟んで互いに相手が動くのを待つ展開が続いたが,小競り合いが始まったところで敵の食料が尽き,退却しているとのメッセージが届いた。第一次ブダペスト攻略戦時に行った,敵の台所事情に関する洞察がこんなところで立証されようとは。

第6ターン:そして運命のロシア遠征へ

 さて,当面の敵であるオーストリアは片付いた。フランスは現在,イギリスおよびエジプトと同盟を結んでいるので,両軍の指揮官は何事もないがごとくフランスの領土内を活発に通行している。……不可侵条約にとどめておけばよかったと少々後悔するが,彼らがフランス国境を防衛してくれているとも考えられるわけで,一概に邪魔ともいいきれない。
 一方プロシアとは不可侵条約を結んでおり,まだ6ターンの有効期限が残っている。そうなると攻めるのはロシアしかない。大陸封鎖令を守らない……かどうかは定かでないが,とにかくロシアに宣戦布告して,いきなりトランシルバニアを占領する。先ほどロシアがオーストリアから奪った土地である。

●現在の階級と部隊編成

大佐
国民軍×2 フュージリア兵×2
選抜歩兵×2 工兵×1
てき弾兵×2 猟騎兵×1
竜騎兵×1 フザール騎兵×1
重カノン砲×1
第7ターン:ウラジオストックまでだって後退してやる

 我が国の通過許可を最大限に活用してプラハまで来ていたエジプト軍が,なぜかいきなりプロシアと戦端を開き,ワルシャワを占領してしまった。うーむ,こんなところに邪魔な飛び地が出来てしまうとは。ワルシャワといえば,ロシア遠征のための重要な兵站基地であるはずなのだが……。とはいえ,当面何もできないので静観を決め込む。
 さて,順調にロシア領内を進撃する我がフランス軍。ウクライナでは一戦交えることになるかと思いきや,ウクライナにいたロシア軍はすべてミンスクへと後退し,難なく占領する。
 主力同士の直接対決を避けて,ひたすら後退を続けるロシア軍。もしかするとこれが噂に聞く"焦土戦術"というやつか? 快進撃を続ける我が軍は,敵の術策にはまりつつあるのか?

 クトゥーゾフ将軍および,ロシア皇帝アレクサンドルI世と早期に雌雄を決しないと大変なことになるかも,といささか焦りを感じつつ,この続きは次週お届けする。

■■Sluta(ライター)■■
"コサックスシリーズ"で隠れもなきベテランプレイヤー。このところ学業に忙しく,ゲームもままならない日が続いているとのことだが,どうやらひっそり「コサックスII」のマルチプレイを試したりしているらしい。マルチプレイについては以前,「こちら」のレビュー記事で,やや辛口の批評をしていた氏だが,その後評価が変わったりしているかどうか,ぜひ記事で見てみたいところ。ぶっちゃけ,どーですかね?
タイトル Best Selection of GAMES コサックスII〜皇帝ナポレオン〜
開発元 GSC Game World 発売元 ズー
発売日 2006/10/13 価格 3990円(税込)
 
動作環境 N/A

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