― 連載 ―

コサックスII 大陸軍の軌跡
戦争と平和を味わう「ヨーロッパの戦い」:後編

 「コサックスII〜皇帝ナポレオン〜」の"グランドキャンペーン"モードたる「ヨーロッパの戦い」。そのプレイ後半の展開を,前回に引き続きAAR(After Action Report)仕立てでお送りする。
 オーストリアを降し,ロシアに攻め込んだナポレオンは,冬将軍に無事勝利して,ヨーロッパ征服を成し遂げられるのか? 早速見ていこう。

第8ターン:逃げるロシア軍,迂回するフランス軍

 ロシア軍は主力をモスクワへと移動させた。モスクワで決戦を期するとは,見上げたヒストリカル魂。焦土戦術が国内各層の不興を招いたロシア軍は史実において,民衆に広く人気のあるクトゥーゾフ将軍を起用,モスクワ川の手前ボロディノ村付近で,フランス軍との決戦に臨む。世にいう「ボロディノの会戦」である。
 ゲーム内では現在,ロシア領としてミンスクとモスクワが残っている。どちらを先に攻撃するか迷ったが,モスクワエリアを取りに行く場合,ウクライナ側から進入すると平原を進むことになるのに対し,ミンスク側から進入すればヴォルガ川で敵を待ち伏せできる。 攻める側が待ち伏せを計算に入れるのも妙な話だが,まずミンスクを取り,そこからモスクワへ攻め入ろうではないか。
 一方その頃プロシアが,エジプトからワルシャワを奪還する。うむ,実にうまい具合につぶしあってくれている。

第9ターン:戦利品は大聖堂の十字架?

 前ターンでのミンスク攻略によって,残るロシア領はモスクワだけになった。ロシア軍側がひたすら戦いを避けてきたために,これまで本隊と戦う機会はなかったが,いよいよ土俵際,決戦のときである。食料と弾薬が十分にあることを確認し,出撃する。


節目の戦い(3)〜モスクワ攻略戦〜

 結論から言うと,ウクライナ側から攻め込まなかったことは正解だった。予想どおり川で敵を食い止められる。敵の進軍ルートは当然ながらAがメインになるだろう。しかしBの側からの攻撃も警戒しておく必要がある。歩兵を補充しながら戦えるよう,手近な居留地の付近に陣取ることにしよう。ちなみにどちらのルート上にも農場が存在する。



 ブダペスト攻略戦と同じく,要所要所に防舎を築こうとしたが,思った以上に敵の進軍が速く,建設途中で破壊されてしまう。仕方ないので一歩下がった地点に建設しなおす。Aルートには大軍が終結し,川を挟んで睨み合う構図になった。

 と,ここで予想外の事態が判明する。どうやらAルートとBルートの中間に川を渡れるところがあったらしい。ロシア軍の騎兵部隊がなだれこんでくる。地の利,とでも評すべきか,完全に裏をかかれたようだ。
 すぐに予備兵力の竜騎兵部隊を派遣して時間を稼ぎ,フュージリア兵部隊で押し戻す。いや,道路がないところなのでまったく気づかなかった。だがまさに道路がないゆえに歩兵部隊はほとんど来ず,結果的には竜騎兵部隊を一つ失っただけで,押し戻すことができた。

 Aルートの側ではすさまじく激しい戦いが展開される。こちらでは国民軍・てき弾兵・選抜歩兵の3部隊を交互に入れ替えながら撃ち,なんとか持ちこたえる。Bルート側では戦いがほとんどないので,そちらへ向けていたてき弾兵一部隊をAルート側へ差し向ける。かなり楽になったものの,なおもにらみ合いが続く。

 Bルート側に敵部隊がいなくなったので,フュージリア兵部隊と選抜歩兵部隊が極秘裏にモスクワ中心部目指して進撃開始。中心部は猟騎兵とドンコサック騎兵,町の守備隊少数が残っている程度だった。市街地のため,うまく動けず手こずったものの,エリートフュージリア兵部隊の乱戦(白兵戦)能力にものを言わせて突撃。モスクワ中心部を占領して,勝利となった。チャイコフスキーが「大序曲1812年」を書くチャンスは,永遠に失われたのである。

第10ターン:忙中閑アリ,ひとまずの平和

 残るはイギリス・エジプト・プロシアの3か国だが,イギリスおよびエジプトとは同盟関係にあり,プロシアとは不可侵条約があるので,さしあたり攻められる国がなくなってしまった。とはいえあと2ターンでプロシアとの不可侵条約が切れるので,そうしたら必然的に開戦だろう。それまで様子を見ることにする。


●現在の階級と部隊編成

将軍
国民軍×2 フュージリア兵×2
選抜歩兵×2 工兵×1
てき弾兵×2 猟騎兵×1
竜騎兵×1 フザール騎兵×1
胸甲騎兵×1 騎馬てき弾兵×1
重カノン砲×2
第11ターン:やはり宿敵はウェリントン侯なのか

 ところがこのタイミングでプロシアが,勝手に軍隊の通過許可を申し出てきて,条約の有効期限がもう9ターン延長されてしまった。えらく不条理な気がするものの,ルール上こちらからは破棄できないので,仕方なく方針を変更し,ウェリントン率いるイギリスと戦うことにする。
 イギリスとの同盟期限は残り3ターン,ロシアに続いてイギリスと戦うのは,史実におけるナポレオンの後半生と引き比べて見るに,なかなか感慨深い。プロシアも同時に敵に回していれば,いっそう趣が増すわけだが,そこはやむを得ないところだ。

第12〜13ターン:「大陸軍」は元来イギリス遠征軍である

 プロシアとイギリスが,東プロシアをめぐって激しい戦いを演じているが,現状どちらにも手出しできないので,手をこまねいて見ていることにする。とはいえいよいよ次ターンでは,イギリスとの同盟関係を解消できる。海上ルートのないこのゲームに,大陸軍の行く手を阻むトラファルガーの海戦は発生しない。ネルソン提督何する人ぞ,である。

第14ターン:「Wellington's Victory」成らず

 いよいよイギリスおよびエジプトとの同盟関係が終わった。間髪入れずイギリスに宣戦布告する。まずはイギリスとプロシアが激しく争っていた,東プロシアのエリアを狙う。ちなみに今はイギリスの領土である。
 イギリスはこれまでプロシアと激戦を繰り広げていただけあって,エリート部隊を多数保有しており,非常に厳しい戦いとなった。しかし,ウェリントンも消耗戦は避けたいと思ったのか,戦い半ばであっさり退却してしまう。決戦は持ち越しになった。

第15ターン:オスマン帝国の巧妙な介入

 この機に乗じて,同盟関係の切れたエジプトが予想どおり我が国に宣戦布告してきて,あっさりプラハを取られてしまった。さすがに放置しておくわけにもいかないので奪還に向かう。
 エジプトもやはりエリート部隊を擁していたが,イギリスと同じく戦い半ばで退却し,プラハは無事に奪回された。

第16ターン:ナントの勅令……じゃなくて陥落

 このターン,イギリスは大胆にもロンドンから大西洋沿岸のナントへ侵攻をかける。こちらが攻勢をかけている最中とあって,防衛アップグレードをおろそかにしていたため,守りきれず陥落。こうなると,その南のトゥールーズも危ない。ジェゼフ・フーシェに勝手に非常事態宣言を出されそうな緊迫感が漂う。

第17ターン:久しぶりに「祖国は危機にあり」

 案の定,続いてトゥールーズがイギリス軍の手に落ちる。プロシア・イギリス・エジプトの3か国をいっぺんに敵に回しそうな状況になってきたので,プロシアに属国化の申し出を行ってみたところ,首尾良く成功。
 金108000かかったが,背後の敵がいなくなったことを考えれば安いもの。これで残りの2国に集中できる。気になることといえば,ナポレオンの奥さんがマリー・ルイーズ(オーストリア王家)じゃなくて誰になるんだろうということくらいだ。
 同時に南仏マルセイユの防衛レベルを4までアップグレードする。これでエジプトとイギリスをせき止める,国境の防衛ラインが整った。いよいよ反撃開始だ。
 まず,イギリスを追い詰めるための布石として,バルセロナに対して破壊工作活動を行い,反乱を起こさせる。これでバルセロナは中立化された。……スペインのゲリラがナポレオンの差し金で動くというのも,史実を考えるとアレだが。民族画家ゴヤの立場もかたなしである。

 ここでランダムイベントが起こり,もう1回動けることになったので,トゥールーズへと進撃し,アルプス山麓の谷間でにらみ合う展開となる。こちらが高所を占めていたので,射程の有利を生かして一方的に撃ち続けていたところ,イギリス軍は退却した。奪還成功だ。

第18ターン:ナポレオン,ナントに沈む太陽をみる

 間断なくイギリス軍を攻め立てるべく,ナントへ進撃する。イギリス軍を海へ追い落とし,ユーラシア大陸から永久に追い出すつもりである。結果的にはこの戦いが,イギリス軍の戦意をくじくほどの大激戦になった。


節目の戦い(4)〜ナントの戦い〜

 中央の渡河地点を占領するという作戦目標といい,両軍の位置関係といい,川を挟んで対峙する展開になるのは明らかである。おそらく敵は真ん中のB地点に主力をもってくるはずなので,A地点側を速やかに確保して川を渡れば,南側と西側から敵を包囲する形にもっていける。A地点付近に,早めに騎兵を移動させたいところだ。



 仮にC地点から敵が来たとしても,少数に留まるだろう。来たときに備えて防舎を建設しておく。渡河地点では移動速度が鈍るので,川べりは防舎のベストな建設位置である。

 敵がB地点に勢力を集結させているのを確認し,騎兵部隊をA地点方面にまわして川を渡らせる。とにかくスピードが命。居留地には目もくれず,有利な布陣を築くことに専念する。

 正面でにらみ合っている間に,側面からの包囲に成功。こうなったら後は袋叩きにするだけである。敵部隊の中には経験を積んで乱戦攻撃力が非常に高くなっているものも多いので,無謀な乱戦は避けたいところだが,いくらエリート部隊になろうとも,防御力はアップしないのがこのゲームのミソ。大軍で囲んで一気に攻撃し,敵が攻撃するスキを与えないほど,素早く倒してしまえばよいのである。

 包囲完了を待って,全軍突撃。全方位から突撃すれば敵の射撃方向も分散するので,味方の損害は最小限で済む。敵の部隊をほぼすべて壊滅できた。1部隊を残して敵は退却。大英帝国のエリート部隊はナントの地に沈んだのである。

第19ターン:鷲の翼は塔から塔へと

 ここまで来たらロンドン攻略戦をやりたいという考えもあったが,イギリスとエジプトからは降伏の申し出が。すでに勝負が着いたのは明らかである。申し出を受諾してヨーロッパ統一。ナポレオンはエルバ島で幸福な隠居生活を送ったという。いや,流されたんじゃなくて一安心である。

 さて,次回はクイックバトルを攻略しよう。

■■Sluta(ライター)■■
「4Gamer.netレビューコンテスト」において,歴代唯一の大賞受賞者であるとともに,"コサックスシリーズ"全作品に通じたベテランプレイヤー。大学在学中である彼の部屋には,PCゲームのパッケージと並び,分厚い専門書がうずたかく積まれているそうで,地震やら台風やらで騒がしい昨今,ちょっと心配である。まあ,PCデスクの天板に,ゲームのパッケージを積み上げている担当編集がよその家の心配するのは,お門違いにもほどがあるわけだが。
タイトル Best Selection of GAMES コサックスII〜皇帝ナポレオン〜
開発元 GSC Game World 発売元 ズー
発売日 2006/10/13 価格 3990円(税込)
 
動作環境 N/A

(C) 2005 CDV Software Entertainment AG. All rights reserved. CDV, the CDV logo and Cossacks II - Napoleonic Wars are either registered trademarks or trademarks of CDV Software Entertainment AG or GSC Game World in the US and/or UK and/or other countries.