― 連載 ―

コサックスII 大陸軍の軌跡
戦争と平和を味わう「ヨーロッパの戦い」:後編

 いよいよ最後のゲームモード,クイックバトルの攻略に入る。
 クイックバトルはこれまでやってきたような「歴史上の戦い」や「ヨーロッパの戦い」と異なり,内政と生産要素があるためゲーム性がかなり異なる。クイックバトルでは,今いる敵を倒しても次から次へと新しい部隊が生産されるので,敵の部隊を撃破するだけでは勝利できない。まずはクイックバトルにおける勝利条件を確認しておこう。次の二つのうち,いずれかの条件を満たせばよい。

  • (1)敵の町の公会堂をすべて破壊する(建設途中のものは含まれない)
  • (2)マップ上の居留地をすべて占領する

今回選択したマップ「対抗勢力」は,デモ版にも収録されている。マップ中央部の金鉱山とそれを貫く道路が主戦場となるマップだ

 マニュアルには三つ目の条件として「町の住民を4名以下に減らす」というのがあるが,これは正直非現実的なので考えない。これよりは,(1)か(2)の条件のほうがはるかに手っ取り早いからだ。
 基本的には,(1)を目標とするのがよいだろう。町の公会堂を榴弾砲の射程内に収められさえすれば,破壊はたやすい。奪取して自爆(Deleteキー)でも,もちろんかまわない。
 (2)は敵の町の公会堂が最奥部にあるといった場合に,狙ってもよい条件だ。その場合は敵が新しい部隊を繰り出してこないよう,歩兵育成所か騎兵育成所を優先して破壊していく必要があるだろう。

 ここでは,より実戦的な攻略をということで,例として次のような設定で,実戦に即したクイックバトルの攻略法を解説していく。まず確認しておいてほしい。

 

プレイヤー AI
フランス 上級・イギリス
戦闘での勝利 → 内政の充実,となるコサックスII

 クイックバトルでは内政と戦闘が非常に密接に結びついている。序盤から中盤にかけてはマップ上の居留地を取り合うことになるが,占領/維持できた居留地の数がそのまま資源獲得量に影響するからである。
 戦闘の勝利(居留地の占領)と内政の充実(資源獲得量)が一体である以上,通常のRTSでいわれるような「ラッシュか進化優先か」という命題はほぼ成り立たない。両者は並行して進められるし,そうすべきだ。できる限りの速さでユニットを生産し,どんどん戦って居留地を確保していくことが,そのまま内政の強さにつながっていく。
 そもそもコサックスIIのクイックバトルは,少数の部隊でラッシュをかけて勝利できるようなプレイバランスにはなっていない。効率よく敵を撃破するためには,ある程度の規模の歩兵部隊および騎兵と大砲が必要になる。序盤は敵と本格的に交戦するのを避けて確保しやすい居留地の占領と維持に徹し,兵力が揃ったら一気に勝負を決める,という流れでいくべきだ。
 以下に1プレイの簡単な流れを示してみた。とくに内政は,このように定型化してしまおう。そうしたほうが,コサックスIIの面白さの中心部分である戦闘に集中できるからである。念のために断っておきたいが,ここに示したのはあくまで一例にすぎない。プレイヤーの担当国,敵AIの担当国,マップに合わせて,より良い内政を各自で考えてみてほしい。

居留地には国民兵1部隊のみ。こんなときは(石炭を食う)射撃は使わずとも,乱戦のみで奪取できる。コツは敵に遠くから先に撃たせること,疲労を溜めて士気を下げないこと,方陣隊形の守備ボーナスをうまく使うことだ 前線に味方部隊を集結させる。このように一か所に大軍を集めるのは,敵の軍隊を同様に一か所に釘付けにするためだ。あくまでCOM相手の戦術だが,こうすることによってゲリラ的な攻撃に悩まされずにすむ 人口が上限に達しそうになったら,すぐさま住居を追加しよう。住宅を建設するための資源がなかったら,その間は工兵を生産しておくのも手だ。というのも,工兵は人口に数えられない(!)からである
内政 戦闘

町の公会堂(1)建設(集合場所:石)
歩兵育成所(1)建設
住宅(1)建設
倉庫(1)建設
建設が終わった住民は全員木を採る

木が1500集まったら,スタート時に持っている居留地の農場のアップグレード(農学者を招く)を実行する。

住宅(2)(3)建設(以降,住宅は適宜建設)
研究開発施設建設

町の公会堂(2)建設(集合場所・木)
かじ屋建設
市場建設

宮殿建設

町の公会堂(3)建設(集合場所・畑)

騎兵育成所(1)(2)建設

大砲製造所(1)(2)(3)建設

木と石の残量に応じて食料や金の居留地のアップグレード

この時点で,人口上限まで360の余裕があるはず。3部隊分(120×3)国民兵を生産し,隊形を組ませ次第,居留地の占領に向けて出撃させる。

占領する居留地は食料を産出するところが最優先で,次が金,続いて鉄,石炭の順だ。だが,近くにあって占領しやすいものを優先したほうがよい。

歩兵育成所をフュージリア兵の生産に切り替える。

居留地(食料・金)の占領・維持を行う。敵に取られた居留地は,無理して取り返しに行かないほうがよい。まずはフュージリア兵部隊で前線を形成する。

工兵を1部隊(15ユニット)生産し,前線へ向かわせる

竜騎兵を生産し,また歩兵育成所をてき弾兵の生産に切り替える。

大砲製造所は前線近くに建てる。土台を町の住民で作り,工兵に建設させる。

榴弾砲を製造する(建物の破壊に使うため)。

余裕があれば工兵で砦・要塞などを建設する。

兵力が揃ったら敵の戦線を一気に突破し,敵の本拠地付近へ進軍,町の公会堂を榴弾砲で破壊する。

プレイの流れと優先順位を見定める

 最優先で建設する建物を基準に,シンプルに全体の流れを示すなら,


町の公会堂(1)→町の公会堂(2)→宮殿→町の公会堂(3)


ということになる。内政の半分くらいは町の住民の数に掛かっているので,そのためには町の公会堂の数をなるべく早く増やすことが重要だ。町の公会堂は240人分の住居としても機能するので,住居の建設を多少控えてでも,早期に建設する価値がある。また,宮殿からは金の収入があるので,これもなるべく早く建設したい。

市場は便利な施設だが,資源の交換は普通に採集するのに比べて効率が悪い。あくまで基本は町の住民で木と石を集め,居留地からそのほかの資源を得ることだ 宮殿は存在するだけで自動的に金の収入が得られる施設。宮殿を建てることにより金収入が安定するので,居留地をアップグレードするのはそれからでも遅くない

 居留地のアップグレードを終盤までほとんど行わないのもポイントだ。唯一の例外はスタートして間もなくに行う農場の一段階目のアップグレードだけである。それ以外は木や石に明らかな余裕が出てきたと感じてからでよい。
普通にプレイを進めていくうえで,序盤から中盤にかけて足りない資源といえば木・石・金のはずだ。木・石は居留地からは採れないし,金なら居留地をアップグレードするよりも,宮殿の建設を急いだほうが効率的だ。
 食料・鉄が足りないとすれば,それは内政の規模に見合わない高価なユニットを作ってしまっているということであり,石炭が足りないとすればむだな射撃をしているといえる。
 あくまでCOMが相手のシングルプレイに限定した話になるが,小競り合いで貴重な石炭を消費するのは得策ではない。味方:敵=1:1で相対してしまったら,守備モードをとって味方の増援を待ち,2:1の状態で乱戦で攻撃したほうがよほど効率が良い。前述のように,クイックバトルでは次々と新しいユニットが生産されるため,目の前の部隊を倒しただけではあまり意味がない。あくまでも,最終目標(公会堂の破壊か居留地の全占領)の達成に近づいたかどうかで戦果を評価するようにしよう。

高くつく居留地のアップグレードとその例外

農場はマップ上に複数あるが,スタート時に保有している農場だけ特別な存在。木1500,金150というわずかなコストで労働者が10人増えるというのは,序盤にしては破格の安さ。絶対にこのアップグレードを実行しよう

 居留地のアップグレードコストは以下のようになっている。食料のみ,スタート時にすでに保有している農場と,中立状態だった農場では,コストが異なることに注意してほしい。スタート時に保有してする農場の一段階目のアップグレードを,スタートして間もなく実行するのは,このようにダントツにコストが低いからだ。


 

スタート時に保有している農場

I 1500 150
II 4500 450
III 13500 1350

中立の農場

I 4000 200
II 8000 600
III 16000 1800

金の鉱山

I 3000 200
II 6000 400
III 12000 800

鉄・石炭の鉱山

I 1500 150
II 4500 450
III 13500 1350
中立の居留地には,先に獲得することでボーナスが

 スタート時点で敵にも味方にも占領されていない中立の居留地は,産出した資源を運び出す場所がないため,どちらかに占領されるまでは以下の量の資源を溜め込んでいる。

食料 3000
1000
1500
石炭 1500

 敵より先に中立の居留地を占領した場合,これだけの量の資源が即座に荷駄に積まれるわけだ。序盤はとくに,敵がいったん占領した居留地を狙わず,まだ手がつけられていない居留地の占領を目指したい。

白いウインドウの最下段に「資源:食料:3000/1000」とある。食料は通常は1000貯まったら運び出されるのだが,中立の居留地はこのとおり資源を余分に溜め込んでいるのだ。これを戴かない手はない 居留地を奪取すると,即座に荷駄に3000の食料が積まれた。序盤でこれだけの量がいっぺんに獲得できるのは,非常にメリットが大きい

建設に町の住民を使ってしまうと,その分資源の回収が遅れてしまう。町の住民は生産速度が非常に低いので,一人でもむだにせず資源を採らせたい。そこで町の住民には建設の"予約"だけを行わせ,実際の作業は工兵に行わせるのがよい

■工兵=建設作業員
 工兵には町の住民と同様,建物を建設する能力がある。工兵が独自に建設できるものとして防舎・塔・要塞などがあるが,それ以外に町の住民が土台を作ったものを引き継いで完成させることが可能だ。
 町の住民は資源を採取するのが第一任務なので,建物の建設はなるべく工兵にやらせたい。そこで町の住民には土台だけ作らせ,すぐに資源採取の仕事へ戻すのがよい。建設作業の大半は工兵が行うわけだ。工兵は町の住民と同様に,人口に数えられないというメリットもある。


騎兵は数を揃えてこそ真価を発揮

騎兵は数が揃ってこそ真価を発揮する。騎兵の射撃コストは総じて高いので,撃って退いて撃って退いて……という戦い方には適していない。一回射撃したらそのまま突撃し,乱戦に移行しよう

 騎兵の生産には時間がかかる。人口リミットに達してしまって騎兵を生産できないという事態を避けるため,普段から歩兵を作りすぎないようにしよう。人口リミットに常時50人程度の余裕を持っておきたい。騎兵育成所が1個だけだとなかなか数が揃わないので,2個建設できる資源が揃った段階で連続して建設し,生産を始めるのがよいだろう。また,3個目もなるべく建設したい。ただ,騎兵の生産は資源を多量に消費するので,あまり早い段階で生産しても内政の足を引っ張ってしまう。
 とはいえ,コサックスは騎兵のゲームであるといっても過言ではないくらい,騎兵は戦力の中心的存在として活躍する。とくに数を揃えて一斉に突撃したときの勢いはすさまじく,歩兵ではとうてい対抗できないほどである。
 ここでは竜騎兵を生産している。どの騎兵を生産するかは興味深いテーマだが,軽騎兵か重騎兵かと問われれば,突破力(敵の士気を下げる効果の大小)からいって重騎兵がよく,その中で一番安いユニットとして竜騎兵を選択してみた。金に余裕があれば,胸甲騎兵も魅力的だ。

■■Sluta(ライター)■■
当サイトでもレビュー記事を中心に活躍する,"コサックスシリーズ"のベテランプレイヤー。ご存じのように今年は猛暑だったわけだが,氏が住む,南向きで南側が全面ガラスの部屋は,それはもう大変なことに。出先から帰ってクーラーが効く前にPCを起動させると,即座に熱暴走。仕方ないので夏の間は,帰宅したらPCを起動する前にケースを開けて冷ますという,なかなか斬新な日課だったらしい。
タイトル Best Selection of GAMES コサックスII〜皇帝ナポレオン〜
開発元 GSC Game World 発売元 ズー
発売日 2006/10/13 価格 3990円(税込)
 
動作環境 N/A

(C) 2005 CDV Software Entertainment AG. All rights reserved. CDV, the CDV logo and Cossacks II - Napoleonic Wars are either registered trademarks or trademarks of CDV Software Entertainment AG or GSC Game World in the US and/or UK and/or other countries.