― 連載 ―

コサックスII 大陸軍の軌跡
第4回 

 「コサックスII〜皇帝ナポレオン〜」(以下,コサックスII)の「ヨーロッパの戦い」モードは,戦略パートおよび戦術パートという,二つの部分からなる。戦略パートでは,ヨーロッパ全域を表したマップ上で軍隊の編成や資源の交換,外交,そして指揮官の移動を行い,ターン制で進めていく。それに対して戦術パートは各地域での戦闘を行い,リアルタイムで進行する。
 戦略パートは,これまでの"コサックスシリーズ"にまったくなかった新しい要素なので,戸惑う人も多いかもしれない。しかし,ほかのストラテジーと比較してもきわめてシンプルにまとめられているので,心配は無用だ。

階級によって保有部隊の数と種類が変わる

 ヨーロッパの戦いでは,プレイヤーの階級によって指揮官が保有できる部隊の数と種類が決まっている。どの国を担当するにせよ,スタート時のプレイヤーの階級は「中尉」である。持てる部隊の数は4で(ロシアのみ6)2〜3種類の下級の歩兵しか雇えない。
 階級は,戦術パートで経験値を得ることによって上昇していく。それぞれの階級に必要な経験値と持てる部隊の数は,以下のような関係になっている。

必要な経験値 部隊数
中尉 0 4
大尉 500 6
少佐 4000 9
大佐 12000 13
将軍 25000 16
元帥 50000 20

 階級が上昇するにつれ,持てる部隊数が増えると同時に,より強いユニットを雇えるようになる。フランスを例にとり,階級に応じて新しく雇えるようになるユニットを挙げてみると,

中尉 国民軍,フュージリア兵
大尉 選抜歩兵,槍騎兵,猟騎兵
少佐 工兵,竜騎兵,軽カノン砲
大佐 てき弾兵,猟歩兵,フザール騎兵,重カノン砲
将軍 胸甲騎兵,騎馬てき弾兵,りゅう弾砲
元帥 マムルーク騎兵,カラビニエ騎兵

となる。この中で,少佐になると工兵が雇えるようになる点にはとくに注意しておきたい。工兵は防御施設である防舎と塔を建造できるが,この防舎が建造できるようになると,戦術マップでの戦闘がかなり楽になるのだ。とくに大量の守備部隊がいる首都を攻撃するには欠かせないといってもよい。逆にいえば,少佐になって工兵が雇えるようになった時点で,首都攻略が視野に入ってくる。

1種類あたりの数には制限があるものの,部隊は自由に編成できる。階級が上がるとより強いユニットが使用可能に 階級を上げるには,とにかく戦いを多くこなして経験値を溜める以外にない。積極的に攻めていこう 編成した部隊はずっと持ち越していけるので,経験を積ませて"育てる"のも楽しい要素である
経験値を効率よく獲得するには

 階級の上昇に必要な経験値は,戦術パートでの戦闘の成果に応じて与えられる。具体的な成果としては,以下のようないくつかの要素が用意されている。

  • 敗走させた軍勢:敵軍の隊形を一つ崩すごとに経験値を得る。正規軍ならば隊形数×175,反乱軍なら隊形数×50となる。
  • 占領した領地:戦闘の結果,勝利してその領地を占領すると,経験値200が与えられる。
  • 敗北した指揮官:敵の指揮官率いる軍勢と戦って勝利すると,経験値350が与えられる。
  • 完了したクエスト:戦術マップで随時与えられるサブクエストを達成すると,30〜200程度の経験値を獲得できる。獲得できる量はクエストの難度による。
  • 褒賞に伴う経験値:戦闘が終わった後,果敢に戦ったことを讃えて褒賞が与えられることがある。そのとき同時に経験値500を得る。

経験値においては「敗走させた軍勢」,つまり崩した陣形数が非常に大きなウェイトを占めている

 「敗走させた軍勢」や「完了したクエスト」は必ずしも戦闘全体の勝敗とは関係ない。たとえ戦術マップでの戦闘に敗北したとしても,ある程度の経験値は獲得できる。
 むしろ経験値の大部分を占めるのは,敵の隊形を崩すことそのもの(敗走させた軍勢×175)である。敗北(撤退)に対するペナルティはないので(相手は経験値を得てしまうが)臆することなく攻めていきたい。
 首都などは20部隊以上が守っているので,階級が低いうちに攻め落とすのは非常に困難に思える。しかし,逆にいえばそれだけ倒す敵がいるということなので,経験値稼ぎのために首都に侵攻するというのも一策である。もちろん攻め落とせれば万々歳だが。

良将は敵に食む。資源の入手と消費

 ほかのモードと同じく,ヨーロッパの戦いでも戦闘では石炭や食料といった資源が必要になる。資源を入手する方法は,主に以下の3通りになる。

●ターンごとにもらえる領地からの産出分

 保有している領地で産出する資源は,ターンごとにプレイヤーの収入になる。どれだけの収入があったかは,「メッセージ」タブの「情報」欄に表示される。

●市場で交換

 戦略パートの「市場」タブで資源同士を交換する。交換比率は固定だが,ランダムイベントで特定の資源の価格が上下することもある。

●戦術パートで,居留地を占領することによって入手

 これが一番重要だ。プレイヤーが攻撃側である場合に,敵の領地内の居留地を占領することによって,その居留地にあった(とされる)備蓄資源を入手できる。一度に入手できる量はだいたい500〜5000程度で,ランダムであるようだ。

各領地はそれぞれ特定の資源を多く産出する。なかでも食料は重要で,ウクライナ,ミュンヘンなどの穀倉地帯は早期に押さえたい

 このほか,クエスト達成に伴って資源が与えられたり,敵を敗走させたときに資源の一部を略奪できたりといった場合もある。
 しかし,ゲーム中では3番めに挙げた居留地の占領によって獲得できるぶんが,実はかなりの割合を占める。マップによっても異なるが,だいたい一つの戦術マップの居留地をすべて占領すると,数万単位で資源を入手できる。保有する領地が少ない序盤の段階では,これが数ターン分の収入に匹敵する。戦術パートで敵を倒すことはもちろんだが,居留地の占領もなるべく多く行いたい。


 入手した資源の用途は主に四つ。「部隊の雇用」「領地の防衛レベルのアップグレード」「外交工作」「戦術パートでの軍事行動での消費(食料・石炭)」である。
 とくに,四つめの軍事行動中の消費に注意したい。軍隊の規模に応じた維持費としての食料消費と,射撃に伴う石炭の消費である。どちらかが尽きてしまうと戦闘の継続は困難だ。居留地を占領することで補充も可能だが,やはり戦闘の開始前に,戦術パートの市場で十分な量の食料と石炭を確保しておきたい。
 また,例えば「ナポリ」地域ではマップ上に「市場」があり,占領することで利用できる(画面参照)。とはいえこれは例外的な事柄であり,基本的には戦闘に踏み切る前に十分な資源を用意しておきたいところだ。

食料と石炭は,切らしてしまうと戦闘半ばでも退却を余儀なくされる。常に多めに保有しておくようにしたい こんな僻地に市場を発見。とはいえこれは非常にレアなケース。戦術パートでは基本的に資源は交換できない
守備隊の数と「新兵」の供給を増やす「防衛レベル」

 「新兵」とは,ヨーロッパの戦いモードにのみ存在する七つめの資源で,主に新しい部隊を雇うときに消費される。歩兵部隊を雇うには120(猟歩兵などなら15),騎兵なら45,砲兵なら4というように,ユニット数分の消費が必要になる。また,領地の「防衛レベル」をアップグレードする場合にも消費される。
 防衛レベルは,ヨーロッパの戦いにおいて重要な概念なので,整理しておこう。防衛レベルとは第一に,守備隊(駐屯兵)の数を示す。レベルは1〜4まであり,それぞれのレベルにおける守備隊数とアップグレードコストの関係は,以下のようになっている。

防衛レベル 守備隊数 そこが首都の場合
の守備隊数
アップグレードコスト
レベル1 4部隊 10部隊
レベル2 6部隊 12部隊 木・金・石各5000,新兵240
レベル3 12部隊 18部隊 木・金・石各10000,新兵480
レベル4 18部隊 24部隊 木・金・石各25000,新兵1200

 どのような部隊編成になるかは自動で決まるようだ。"守備隊の数>侵攻軍の数"であればおおよそ撃退できるが,絶対ではない。とはいえ守備隊の数が多ければ多いほど,撃退できる確率は高まるので,防衛レベルを高く保つことは重要だ。陥落した領地の防衛レベルはリセットされて1になるほか,陥落せずとも,攻撃を受けたり,敵の妨害工作が成功したりすると低下することがある。

 領土の防衛レベルを上げることには,もう一つの効果がある。それは,その領土の新兵の"生産"量と"保有"上限のアップである。
 具体例を見てみよう。下の2枚のスクリーンショットを見ていただきたい。左が防衛レベル1の状態で,それにアップグレードを行って防衛レベル2にしたものが右側である。新兵のターンごとの生産量が+30から+60に,新兵の保有上限が120から240に増加している。
 プレイの中盤以降,いくつもの領地の防衛レベルを3や4にアップグレードしようとすると,新兵の数が全然足りなくなる場合がある。それに備え,前もってレベル1→レベル2のアップグレードを行っておくと,後で生きてくるのだ。

外交

 ヨーロッパの戦い特有の概念である「外交」は,1国対1国の関係で表される。史実における対仏大同盟のような多国間外交が再現できないのはつくづく残念だ。
 外交のシステムはいたってシンプルで,他国と関係を結びたいときは,「外交」タブから任意のコマンドをクリックすればよい。内容に応じて金がコストとして確実にかかるが,もちろん結果は確実ではない。相手から拒絶される場合もあるからだ。


動かせるコマとしての指揮官が一人しかいない以上,一度に多くの国を敵に回して戦うのは無理。当面の敵国以外とは不可侵条約を結ぼう

 同盟・不可侵条約・通過許可の差がたいへん分かりにくいが,次のように区別されているようだ。  まず,互いに領地を取り合わない(攻めない)というのが不可侵条約だ。そして,互いの領地を指揮官が通ってもよいとするのが通過許可である。
 そしてどうやら同盟は,不可侵条約と通過許可の両方の効果があり,さらに隣接する同盟軍の領地が攻められた場合に,その隣接する領地に指揮官がいれば援軍を派遣できるというものだ。ただし,援軍の派遣可能条件はいま一つはっきりしない。
 いずれも10ターンの間効力があり,不可侵条約と同盟は途中で破棄できない。それに対して通過許可は,宣戦布告することで自動的に破棄される。

 いささか即物的なテクニックに踏み込むと,通過許可だけの関係の場合,AIはお構いなしにそのターンに攻めてきたりするので,不可侵条約の伴わない通過許可の関係というのはほとんど意味がない。ただし,AI側から通過許可を申し出てきた場合,裏切ることはないように思う。あくまで経験則であるが。

「メッセージ」タブには他国からの外交提案など重要なメッセージが表示されるので,毎ターン欠かさずにチェックしよう

 このあたりはもはや駆け引きというか賭けだが,それを避けたい場合コストを甘受して不可侵条約を結んでおけば,破棄そのものが不可能なので安心だ。
 ちなみに講和条約も,単独ではほとんど意味はない。講和条約を結んでも,その次のターンに何事もなかったかのように侵攻されることがある。もちろん戦争状態ではほかの外交オプションが選べないので,講和→不可侵条約あるいは同盟,という流れになる。要するに,講和というのは戦争状態を終わらせて他の有効条約を結ぶためのお膳立てに過ぎないということだ。

 筆者がプレイした限りでは,とりあえず交戦したくない相手と不可侵条約を結んでおくという,それだけで十分なように感じた。不用意に同盟や通過許可など取り結んでしまうと,AIの指揮官がプレイヤーの行く手を遮ったり,プレイヤーが攻めようとした領地を先に攻めてしまったりといったことがあるためだ。
 そもそも共同作戦を取れるようなゲームシステムにはなっていないので,とことん単独行動主義で行ったほうがよい。

■■Sluta(ライター)■■
第3回4Gレビューコンテスト大賞受賞者にして,言わずと知れた"コサックスシリーズ"のベテランプレイヤー。「コサックスII」に関しては,開発途上の段階からGSC Game Worldの開発者を交えたチャットの内容を訳していたりと,追跡に余念のなかった氏だが,最近は学業に多忙で,それも思うに任せないという。ありふれた物言いで恐縮だが,氏のその後の探求成果はさしあたりこの記事で確認し,プレイに役立ててほしい。
タイトル Best Selection of GAMES コサックスII〜皇帝ナポレオン〜
開発元 GSC Game World 発売元 ズー
発売日 2006/10/13 価格 3990円(税込)
 
動作環境 N/A

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