ヨーロッパの戦い特有の概念である「外交」は,1国対1国の関係で表される。史実における対仏大同盟のような多国間外交が再現できないのはつくづく残念だ。
外交のシステムはいたってシンプルで,他国と関係を結びたいときは,「外交」タブから任意のコマンドをクリックすればよい。内容に応じて金がコストとして確実にかかるが,もちろん結果は確実ではない。相手から拒絶される場合もあるからだ。
同盟・不可侵条約・通過許可の差がたいへん分かりにくいが,次のように区別されているようだ。
まず,互いに領地を取り合わない(攻めない)というのが不可侵条約だ。そして,互いの領地を指揮官が通ってもよいとするのが通過許可である。
そしてどうやら同盟は,不可侵条約と通過許可の両方の効果があり,さらに隣接する同盟軍の領地が攻められた場合に,その隣接する領地に指揮官がいれば援軍を派遣できるというものだ。ただし,援軍の派遣可能条件はいま一つはっきりしない。
いずれも10ターンの間効力があり,不可侵条約と同盟は途中で破棄できない。それに対して通過許可は,宣戦布告することで自動的に破棄される。
いささか即物的なテクニックに踏み込むと,通過許可だけの関係の場合,AIはお構いなしにそのターンに攻めてきたりするので,不可侵条約の伴わない通過許可の関係というのはほとんど意味がない。ただし,AI側から通過許可を申し出てきた場合,裏切ることはないように思う。あくまで経験則であるが。
このあたりはもはや駆け引きというか賭けだが,それを避けたい場合コストを甘受して不可侵条約を結んでおけば,破棄そのものが不可能なので安心だ。
ちなみに講和条約も,単独ではほとんど意味はない。講和条約を結んでも,その次のターンに何事もなかったかのように侵攻されることがある。もちろん戦争状態ではほかの外交オプションが選べないので,講和→不可侵条約あるいは同盟,という流れになる。要するに,講和というのは戦争状態を終わらせて他の有効条約を結ぶためのお膳立てに過ぎないということだ。
筆者がプレイした限りでは,とりあえず交戦したくない相手と不可侵条約を結んでおくという,それだけで十分なように感じた。不用意に同盟や通過許可など取り結んでしまうと,AIの指揮官がプレイヤーの行く手を遮ったり,プレイヤーが攻めようとした領地を先に攻めてしまったりといったことがあるためだ。
そもそも共同作戦を取れるようなゲームシステムにはなっていないので,とことん単独行動主義で行ったほうがよい。