4Gamer:
では本格的に,第二次βテストについて聞いていきます。まず,このテストで行われるという"トーナメント"について,教えてください。
キム・ハッキュ氏:
トーナメントテストとは,簡単にいうと,プレイヤー達が党(編注:一般的なMMORPGのギルドにあたる)を結成し,16もしくは32の党で,文字どおりトーナメント戦を行うものです。
4Gamer:
トーナメント用のインゲームシステムは実装されるんですか?
キム・ハッキュ氏:
もちろん正式サービスに向けてゲームシステムは徐々に整えていきますが,とりあえず次のテストでは,トーナメントはGMの案内に従って進めます。決められた時間にトーナメント専用のフィールドに移動してもらい,さあ戦闘開始,といった具合ですね。
第二次βテストの段階で搭載する関連システムとしては,基本中の基本ですけど党員専用のチャットを準備中です。
4Gamer:
そういえば今のところ,パーティ的なシステムはないですよね。ということは,党員はそれぞれ別々に移動/行動して,相手の党と戦う?
キム・ハッキュ氏:
うん,そうなりますね。といっても,トーナメントでは単に相手の党を全滅させることが目的ではなく,専用フィールドにお互いがコロニー(編注:党の基地のようなもの)を設け,相手のコロニーの占領を目指して戦うわけです。あえていうなら,FPSのCTFみたいな感じかな? 全然違うものだけど。当然戦術は必要だし,党チャットを利用してうまく連携をとる必要もあるでしょうね。
ちなみに,例えば15プレイヤー対15プレイヤーの戦いならば,各コマンダーがそれぞれ3人のキャラクターを操るわけですから,全体で90のキャラクターが戦うことになりますね。これだけの数になると,やはり戦略/戦術は重要でしょう。
4Gamer:
では将来的に,党対党の戦いがシステム的にサポートされるようになるとして,どういったマッチングのシステムを考えていますか? やはり,同じくらいのレベルの党同士を,うまく戦わせるような……。
キム・ハッキュ氏:
それはこれから考える部分ですが,おそらく,レベルによる条件は設けません。だって,レベルが低ければ,当然負けるはずでしょ?
ウォーロック(女性)
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IMAGE ILLUSTRATION:TOMOMI KOBAYASHI
4Gamer:
うわ,これはまた大胆な発想ですね。いや,確かにそのとおりなんですけど。
キム・ハッキュ氏:
まあさすがに,複数のリーグを作ったりとか,そういうことは考えてますけどね。また党対党の戦い方も,今後いろいろと工夫していきます。やはり相手チームを全滅させるといった単純なものではなく,チームワークや各人の判断力を要するものにするつもりです。
4Gamer:
もしかして,ちょうど今遊んでいるという,Battlefield 2からのインスピレーションもあったりしますか?
キム・ハッキュ氏:
多少はあるかもしれませんが,むしろRTSに近いと思いますよ。
4Gamer:
このトーナメント以外では,対人戦はできないんですか?
キム・ハッキュ氏:
X-meeting開場前にできていた行列
いや,トーナメントというのは運営側が仕掛ける対人戦イベントですが,これに関係なく,対人戦はできます。といっても,一方的なPKにつながる,個人的な戦いは考えていません。基本的には,なんらかの党に入っている人が,別の党に入っている人に対して攻撃できます。これは,場所は関係なく,どこでも戦えますよ。
4Gamer:
どこでも? 例えば私が何かの党に入っていれば,いきなり街中で別の党員に襲われる可能性もあるんですか?
キム・ハッキュ氏:
そのとおりです。たとえは悪いかもしれませんが,二つのマフィアで,下っ端同士が揉め事を起こすと,そのうちマフィア同士のメンツの問題となって,大規模な抗争に発展する。……こういったことを,本作でも表現したいと思っています。バッジとかエンブレムなど,党の顔となるものを汚された……といったような(笑)
4Gamer:
ええと,一応確認させてください。党にさえ入っていれば,いきなり攻撃されちゃうわけですよね。これって,事実上無差別なPKにつながりませんか? それとも何か,レベルの低い党員を保護するシステムがあるのですか?
キム・ハッキュ氏:
お互いが党に入っていて,その党同士が戦っていれば,レベルなどに関係なく,いつでもどこでも攻撃を受ける可能性があります。弱いからといって,保護はしません。そしてそれこそが,政治システムにつながる部分なんですよ。システムでフォローするのではなく,プレイヤー達の間で,例えば無差別にPKするような人/党は排除されるわけです。
4Gamer:
……なるほど,ようやく見えてきました。システム的にはほとんど縛らず,多くのことをプレイヤー達の自主性に任せるといいますか。ところで,先ほど「党同士が戦っていれば」と言いましたよね。これはつまり,党と党の間の関係があると考えていいんですか?
キム・ハッキュ氏:
ええ。党同士には,関係のパラメータを与えています。ある党が別の党に攻撃する場合,あらかじめ"宣戦布告"する必要があります。すると関係が"敵対"になり,街中だろうがなんだろうが,攻撃できるというわけですね。
4Gamer:
一方の党が宣戦布告をして,された側がそれを承諾することで,お互いが攻撃できるようになるという感じですかね。
キム・ハッキュ氏:
いや,実は宣戦布告は,一方的にできちゃうんですよ。ちなみに,宣戦布告された側が,それを受けて相手に宣戦布告をし返せば,お互いが攻撃できますが……。
4Gamer:
え,ということは,宣戦布告された側が黙っていたら,一方的に攻撃を受けちゃう?
キム・ハッキュ氏:
インタビュー中,ずーっとストローの袋をちぎっていたハッキュ氏。ピーター・モリニューなどもそうだが,なぜ天才系クリエイターはこうも手癖が悪いのだろう……
はい,そうなりますね。ちょっと特殊かもしれませんが,一つ例を挙げましょう。凄く仲の良い二つの党があるとしますよね。お互い,助け合って育ってきた。ところがある日,片方の党が裏切り,もう片方の党に宣戦布告したとします。ところが宣戦布告されたほうは,「我々は,意地でもお前達を攻撃しない。なぜならお前達はいいヤツだから」と,相手に対して戦闘を放棄する……こういったロールプレイがあってもいいんじゃないかな,と。
4Gamer:
おぉ,格好いい。なるほど,先ほどマフィア間の抗争を例に出した理由も見えてきました。手当たり次第に宣戦布告するような党は,政治システムで排除されていく……そういうものを目指しているんですね。
キム・ハッキュ氏:
そうそう。まさにそんな感じです。