スクウェア・エニックス期待の最新作 「ファンタジーアース」をクローズドβテスト前に体験

Text by 星原昭典 

 
戦争 〜 連携プレイとRTS風の建築要素がポイント

 

こちらはPvEの1シーン。相手がPCかコンピュータ操作のモンスターかという違いがあるだけで,操作方法などのルールに変更があるわけではない

 FEの戦争の仕組みは"MMORPGの戦闘を対人戦向けに整備/拡張したもの"ではない。MMORPGのことはいったん忘れて,こういうアクションゲームなのだと捉えたほうが混乱は少ないだろう。
 最も特徴的なのは,"敵の攻撃はフットワークでよけられる"という部分だ。RPGでは,敵を射程内に捉えてターゲットさえしていれば,魔法も弓も自動的に当たる(そしてときどきミスをする)。しかしFEの矢玉や魔法弾は,FPSでいうところの弾丸やロケット弾であり,これらは発射時のレティクルの中心に向かって飛んでいく。敵が動いているとなかなか当たらないので,レンジド系のクラスは自然とFPSでいうところの偏差射撃をすることになる。
 FEのPvPはすべて集団戦なので,ここでプレイヤー同士の連携が求められる。ウォリアータイプが前に出て敵を足止めしてくれれば,後方支援タイプのキャラクターは弾を当てやすくなるという具合だ。
 ちなみに,あえなく戦死してしまった場合もデスペナルティは少なく,一定の待機時間後に,自陣のスタート地点から戦争に参加できる。

 

クリスタル採集中。特別な操作をしなくても,クリスタルのそばでじっとしていれば採集は自動的に行われる

 さらに,FEには"リソース集めと建築"というRTS風の要素も存在し,戦争ではただ目の前の敵を倒すだけではなく,この部分をいかにうまく進めていくかが勝敗を左右する。
 FEの戦場には"クリスタル”というリソースが点在している。すべてのキャラクターは,この場所でクリスタルを採集でき,集めたクリスタルを使うと建物を建築できる。
 建築物には,自軍の支配領域を広げる"オベリスク",敵に対して自動的に矢を発射する"ウォッチタワー"などが存在する。建築はマップ上のどこにでも可能で,一瞬で完了する。そして戦争の最終的な勝敗は,対人戦闘のスコアだけではなく,オベリスクによってどれだけの領域を確保できたかによって決定する。戦っているだけでは勝てないのだ。
 ここで重要なのは,一人のキャラクターが一度に得られるクリスタルの量に限りがある点。ただし,ほかのプレイヤーから受け取れば,それ以上持つこともできる。ここでもやはり味方同士の連携が重要なのだ。
 「各自が自分だけでリソースを収集し,集まったら建物を建てに行く」というのと,「大勢が一気にリソースを集め,少し集まったら建築担当者に全部渡し,担当者はダーッと走って要所に何かを建てる」という作戦とを比較した場合,後者のほうがかなり有利に建築を進められるという。

 

誰かがそのフィールドにキープを建てて宣戦布告すると,一定時間後に戦争が開始される。参加したくない場合は,全体マップへと離脱すればよい 操作キーの一覧は戦闘中いつでも呼び出せる。この画面のまま操作も可能だった。ゲームに慣れるまでは便利かもしれない

 

 今回遊ばせてもらった開発途中のバージョンでは実装されていなかったが,戦況を一変させるほど影響力の高い要素として,"召喚モンスターへの変身"が用意されるそうだ。これは,特定の建築物を建てることに成功すると,自軍のプレイヤーは召喚モンスターに変身可能になるというもの。
 この召喚モンスターは非常に強力で,変身していないプレイヤーが束になってかかっても太刀打ちできないような強さになるそうだ。これに対抗するには,自分達もそれに立ち向かえる召喚モンスターに変身するか,もしくはその召喚モンスターの弱点を突く(例えば空を飛ぶ召喚モンスター"ドラゴン"は,ウォッチタワーや射手の放つ矢には弱い,といった具合)しかないらしい。
 召喚モンスターにもいろいろ個性があって,建物破壊を得意とするもの,一般兵士に対して圧倒的に有利なものなどさまざまだという。中には召喚モンスターに強い召喚モンスター,なんていうものもいそうである。

 

FE流の

 

 今回のプレイとヒアリングによって,これまで不鮮明だったこの作品の全体像がかなり分かってきた。  そもそも基となっているコンセプト自体が"MMORPGの亜種を作ろう"というものではなく,"RTS要素を持った多人数アクションゲームを作ろう"というものだった本作。スクリーンショットやキャラクターの雰囲気からてっきりMMORPGの仲間だと思っていた筆者は,いくつか的を射ない質問もしてしまいつつ,最終的には似て非なるものだと飲み込めた。

 

 逆に,開発者サイドにとってみれば,そもそもこれはアクション中心のゲームなのだし,そのつもりで公開してきた情報からそこまで"MMORPGっぽい"ものを想像されてしまっていたことが意外だったようだ。例えばこちらの「フィールドからフィールドへ行くのに歩かなくていいんですか?」という質問に,「なるほどそういう見方もあるんですねぇ」と感想を漏らしていたのが印象的だった。

 今回は体験できなかったが,"召喚モンスター"はゲームプレイを劇的に変化させる,かなり重要な要素となりそうだ。一時的にではあるが,敵軍の一般キャラクターに対して圧倒的に有利な状況を体験できるというのは,想像しただけでも面白そうである。
 不利を強いられる側に立った場合は大変そうだが,実際には「だめだー! 逃げろー!」なんて言いながら右往左往するシチュエーションも,それはそれで結構楽しめたりするんじゃないかと期待している。どのような感触に仕上がるのか。早く完成品に触れてみたいものである。

 

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タイトル ファンタジーアース ゼロ
開発元 スクウェア・エニックス 発売元 ゲームポット
発売日 2006/12/21 価格 月額プレイ料金無料(アイテム課金制)
 
動作環境 OS:Windows 2000/XP(+DirectX 9.0以上),CPU:Pentium 4/1.30GHz以上[Pentium 4/2GHz以上推奨],メインメモリ:512MB以上[1GB以上推奨],グラフィックスメモリ:64MB以上[128MB以上推奨],HDD空き容量:3GB以上,ネットワーク環境:300kbps以上

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