スクウェア・エニックス期待の最新作 「ファンタジーアース」をクローズドβテスト前に体験

Text by 星原昭典 

 

 「ファンタジーアース ザ リング オブ ドミニオン」(以下,FE)は,現在スクウェア・エニックスが開発しているオンラインゲームだ。
 同タイトルの開発がアナウンスされて以来,国産で,しかもシリーズものではないタイトルとして,大きな注目を集めている。だが,少しずつ情報が公開されてはいるものの,その全体像はこれまで今一つつかみづらかった。  そこで今回は,スクウェア・エニックスに直接おじゃまして,開発中のバージョンをプレイさせてもらい,そこから分かったことを存分にお伝えする。

 ■これまでの情報は,「こちら」

 すでに公開されている画面や,キャラクターモデルの印象からすると,この作品はまるでMMORPGのように見える。チーム同士での対人戦闘がプレイの中心になるという情報も含めて考えると,例えば「Guild Wars」のようなPvPにフォーカスしたタイプのオンラインRPGなのかと思っていた人も多いのではないだろうか。
 しかし実際にプレイし,さらに開発者の話を聞いてみると,あえて言うならば"アクションゲーム"にカテゴライズされるゲームであるようだ。
 確かにRPG的な要素もあるが,それと同じ比率でRTSやFPS的なエッセンスも盛り込まれている。いずれにしても,これまでに似たものがあまりない,独特な作品である。

 

世界 〜 FPSでサーバーを選ぶように戦場を選ぶ

 

 プレイヤーは,キャラクターメイキング時に,五つ用意されている"国家"の中から一つを選択する(各国家の特徴的なフィールド「こちら」)。FEの世界では,この五つの国家が覇権を争って戦争を繰り返しているという設定だ。プレイヤーは一国家の一兵卒となって,この戦いに加わっていく。
 ゲームにログイン後,プレイヤーは自分が属する国家の首都でNPCに話しかけると,王様から「●●を攻め落とせ」といった,現在の目標というか国全体の方針が提示される。これが,国民全員の共通目標であるようだ。

 

覇権を争う5人の王達。それぞれが独特の個性や方針,そしてドラマチックなバックグラウンドを持っている

 

 その確認が終わると,次は六つの大陸が並んだ全体マップに移動する。"前回ログアウトしたフィールド"とか"所属国の首都"などではなく,全体マップである点がポイントだ。全体マップから大陸マップに進むと,プレイヤーは,自国の占領地域および現在侵攻可能な競合フィールドであれば,どこへでも一瞬で移動できる。
 現在戦争(大規模なPvP戦闘)が起こっている場所には,そのことを示すマークが表示されるので,ログイン後すぐにそこへ向かえば,いきなりPvPに参加できる。
 このように,手軽に他プレイヤーとの戦闘が楽しめる感覚は,FPSのマルチプレイにとても近い。つまり,その日のプレイではまず戦場の一覧(全体マップ)を表示して,戦争が起こっているところに飛び込んで対人戦闘を楽しむ,という具合である。なお,ここでいう"戦争"とは,"最大50対50の対人戦の一試合"と考えていい。FEは,基本的には「大規模なPvPを楽しむアクションゲーム」と言ってしまっていいだろう。

 

中央の大陸を取り囲むように5国家の領土は配置されている。主戦場はやはりエスセティア大陸となるようだ

 

 戦争が起きていないフィールドは,いわゆる"冒険エリア"となり,そこではモンスターハンティングを楽しめる。ハンティングの目的は,キャラクターを成長させることと,Mobがドロップするアイテムやお金を獲得することだ。
 このあたりはRPG的だが,だからといってこれでレベルを上げたりといった,一種の"強制労働"はあまり必要ないようだ。基本的にはコツコツとモンスターを狩るよりも,どんどん戦争に参加して王様からの褒賞を獲得していったほうが,お金もアイテムも経験値も効率良く稼いでいけるようなバランスになるという。とにかく対人戦闘を楽しむことが推奨されているのである。
 ちなみにPvPフィールドと冒険フィールドは切り離されているわけではなく,どちらも同じマップ上で行われる。しかし対人戦闘は,戦争状態になっているフィールドでしか行えないため,知人と狩りを楽しんでいたらいきなり殺された……という事態は起こらない。
 現在いるフィールドを戦争状態にするには,"キープ"という建物を建てればよい。キープの建設は,その場における宣戦布告の意思表示で,キープが建ったことは全プレイヤーにアナウンスされ,その戦争に参加したいプレイヤー達がそこに集まってくる。
 キープ建設後,一分経つと戦争がスタートする。つまりキープの建設は,敵味方に対して「ここで今から一試合やりましょう! 戦いたい人集まってくださーい!」という合図なのである。
 フィールドが戦争状態に切り替わった場合,フィールド内のMobは徐々に消えていき,そのフィールドはPvP戦闘専用になる。それまでそのフィールドで狩りをしていた人が,戦争に参加したくない場合は,ただ単にそのフィールドを出ればよい。フィールドのどこにいても,全体マップには一瞬で出られる。つまり本作には,"長い距離を歩いて移動"という煩わしさがないのだ。

 

一つの大陸はこのように15程度のフィールドで成り立っている。自国の支配領域であればそこまでは一瞬で移動できる 首都でNPCに話しかけると,このように王からのメッセージが表示される。ゲーム内での行動の指針にしよう

 

 キープの建築コストは非常に安く(もしくはタダ),誰でも気が向いたときに簡単に建てられる。まさにFPSでゲームを立てる感覚なのかもしれない。そのためプレイヤーは,競合地域のあちこちで頻繁に起きる戦争に飛び込んで,終わったらまた次の戦場へ……といったプレイスタイルで遊んでいくことになりそうだ。
 なお戦争は,画面中央にある戦況を示すバーが,一定以上どちらかの軍のほうに傾き続けると決着がつく。このバーは,敵を倒す,自軍の建造物を建設し支配領域を拡大する,あるいは敵軍の建造物を破壊するといったことで,自軍側に傾いていくので,このバーを目安に戦略を随時変えながら戦うことが重要だ。

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タイトル ファンタジーアース ゼロ
開発元 スクウェア・エニックス 発売元 ゲームポット
発売日 2006/12/21 価格 月額プレイ料金無料(アイテム課金制)
 
動作環境 OS:Windows 2000/XP(+DirectX 9.0以上),CPU:Pentium 4/1.30GHz以上[Pentium 4/2GHz以上推奨],メインメモリ:512MB以上[1GB以上推奨],グラフィックスメモリ:64MB以上[128MB以上推奨],HDD空き容量:3GB以上,ネットワーク環境:300kbps以上

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