これから夏にかけて，小さな要素もちょこちょこと追加されていく感じなんでしょうか？たとえば、大きなアップデートをドカンと実装するよりは，小さな追加要素をチマチマと実装していくほうがラク，というか，リスクが低くていいですか？
渥美氏：
先ほどお話したとおり、8月3日のアップデートは国籍の追加や，フィールドの追加を伴う大変大きなものですし，同様に6月29日のアップデートも亡命を含む比較的大規模なものになります。それ以外の日程でもおそらく何かしらのアップデートを行うことになるかと思います。
竹田氏：
リスクという意味では，アップデートの大小によらず，複合的な二つの要素を実装するときが恐いですね。思わぬところで，不具合が出ることもあります。
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海外のゲームだと，80MBのパッチとか平気で当てるじゃないですか。ゲーム内容が変わっちゃったりすることもありますし。
渥美氏：
『大航海時代 Online』の場合，一歩一歩着実に行きたいという思いはあります。
竹田氏：
ウチのゲームって，いろいろな要素をフットワーク軽く，追加していくほうが良い気がしていて。プレイヤーさんからの声をゲームに反映させようとした場合にも，そのほうが都合がいいですし。
4Gamer：
個人的には，陸上戦闘がちょっと物足りないかなぁと思うことがあるんですが。煙玉があればなんとかなっちゃうし。
竹田氏：
あれは……うーん，言っていいのかな。あのアイテムはちょっと強力すぎましたね（笑）。でも，陸上戦を強化しようと思うと，他のMMOのような戦闘システムを一から作り直したほうが早いので，今のところは考えられないですね……。元々洋上が主体のゲームですし，それだったら，今求められている要素をどんどん盛り込んでいったほうが健全かなぁと思っています。
渥美氏：
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竹田氏：
こんな正直に話すのもどうかと思うんですけど（笑）。
4Gamer：
いやいや，正直に話してもらえると，プレイヤーさんも非常に好意的にとらえてくれるかもしれませんし。ところで，会員数って，どのくらいになりますか？
渥美氏：
そうですねぇ，プレオープンから通算すると、約160,000アカウントになります。クライアントのダウンロード数は、現在でも一日500件くらいをキープしている感じです。
4Gamer：
16万人って，冷静に考えるとすごい数字ですよね。たぶん，国内で運営されているMMORPGとしては，五本の指に入ると思いますけど。そろそろサーバーがきつくなってきませんか？
渥美氏：
まだまだ平気ですね。
竹田氏：
すごいヘビーなプレイヤーさんが，プレオープン時ほどいなくなったので，案外余裕ですね。
渥美氏：
最近アンケートを取ったんですけど，「なぜ大航海時代 Onlineをプレイするんですか？」との問いに，「一人でもじっくりプレイできるから」と答えた人が65％くらいいました。あとはやはり「大航海時代の世界観が好きだから」というのも多いですね。
4Gamer：
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渥美氏：
調べてみたら，『信長の野望 Online』の2倍以上の女性プレイヤーが確認できました。これは言っても良いのかな……， およそ2割が女性のプレイヤーになりますね。
4Gamer：
イメージイラストやグラフィックスの影響は大きいでしょうね。
渥美氏：
「大航海時代 Onlineが，初めて遊んだコーエーのゲームだ」と答えてくれた人も，20％くらいいました。
4Gamer：
MMORPGとしてもある意味型破りな作品ですけれど，コーエー作品としてもかなりの異色作と言えるかもしれませんね。どちらかというと，マニアックなファンの多い作品が目立つ中，それだけの数の女性や新規ユーザーを獲得できるとは。
渥美氏：
先ほどもお話しした期間限定の安全海域イベントなども，やはりそういったユーザー層を意識しているからこそ，考えたいところなんですよ。本作は非常にユーザー層が幅広い作品だと思うんですけど，我々も長くやっていると，どうしてもコアなプレイヤーの視点でゲームを見がちになってしまうから，常日頃気をつけています。
竹田氏：
アンケートの話に戻りますけれど，大航海を遊ぶ理由として「戦わなくてもいいから」って答えた人も，少なからずいたんですよ。
渥美氏：
「戦闘だけではなく，さまざまな要素で楽しめるから」と答えた人は，6割以上いますね。
4Gamer：
戦闘しなくても遊べるMMOって，やっぱりすごいですよね（笑）。
竹田氏：
そう，それで煙玉入れちゃったんですよ（笑）。
4Gamer：
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渥美氏：
まぁ，あえて締めの言葉を言わせていただくなら，新国籍追加によって，各サーバーに勢力のダイナミズムが発生するじゃないですか。ある程度固定されていた世界がまた流動的に変化するので，新たにゲームを始めてもらうには良い機会だと思います。中には亡命システムで新国籍を得る人もいるでしょうし，そういった上級プレイヤーがリーダーシップを発揮してくれれば，新規プレイヤーもより楽しく遊べると思うんですよね。なので，夏休みに海へ行くのもいいんですけど，ゲームの中の海にもぜひ来ていただけたらと思います。
会田氏：
海に行くお金がない人でも，『大航海時代 Online』なら遊べますもんね。
4Gamer：
時間がない人はどうすればいいんでしょうか……。ということで，今日はありがとうございました。
毎度のことながら，サービス精神旺盛な渥美氏，竹田氏，会田氏。そしてこれも毎度のことながら，雑談率こそ高いものの，有益な情報を多く聞くことができた。
ゲームバランスが一変するような大規模パッチとはあまり縁のなかった本作だが，7月の月例アップデート，および8月3日の大規模アップデートによって，各ワールドに新たな風が吹き込まれることになりそうだ。とくに新規国の追加と亡命システムの実装は，各ワールドの勢力図を大きく塗り替える可能性がある。現役プレイヤー達にとって，それは実に刺激的な経験になるだろうし，これから本作を始めようかと考えているプレイヤー予備軍にとっても，ゲームに参加するよい機会と言えるだろう。
プレイヤー数が増え，さまざまなパッチが当たれば，トラブルや不満の声も当然増してくるだろが，そこは「ある程度現場レベルで意志決定や判断が行える環境」の整っているコーエーのこと。先日のような迅速かつ的確な対応で，作品の質を保ってくれるはずである。その対応がいいものなのか悪いものなのかはプレイヤーが決めることだが，最も重要なのは「そういう真摯な姿勢で動いている」ということだ。これは，ほかのメーカーではほとんど見られない（もしくはやっているのかもしれないが，表に見えてこない）ことで，素直に評価に値することだろう。"オンラインゲームの運営"をどこまで真剣に考えているのか，を考えると，コーエーは間違いなく上位にランクされるメーカーだと言ってもよいのかもしれない。
アップデートによるゲーム性の充実と，新規プレイヤーの参入によって，「大航海時代 Online」の初めての夏は，とびきり暑くなりそうだ。
