2006年9月12日,神奈川県横浜市のコーエー本社において,同社が開発/運営を手がけるMMORPG「信長の野望 Online」の最新拡張パック,「破天の章」の発表会が行われた(関連記事)。
飛龍の章に続く二つめの拡張パックとなる破天の章では,同作初となる新職業“傾奇者”が追加されるほか,高レベルキャラクター向けの新ダンジョン,自分の店を開けるシステム“楽市楽座”,新たなアイテム強化要素“宝玉”などがゲームに追加される。
この発表会の直後,信長の野望 Onlineのプロデューサー松原健二氏,およびディレクターの山中肇氏に,より深い内容についてインタビューすることができた。ここではその内容をお伝えしよう。
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松原健二氏(写真右)
コーエーの執行役員 ソフトウェア事業部 ソフトウェア4部長。信長の野望 Onlineのプロデューサー……というだけでなく,コーエーのオンラインゲーム全般を取り仕切っており,何かとメディアへの露出が多い人。4Gamerでも,昨日(9月20日)載せた「真・三國無双BB」のインタビューに続いて,二日連続の登場となる
山中肇氏(写真左)
コーエー ソフトウェア事業部 ソフトウェア4部 マネージャー。信長の野望 Onlineではディレクターを務めている。12日に行われた発表会が記念すべき(?)初顔出しだったので,まだ知らないという人も多いだろう。今回のインタビューを手始めに,今後いろいろと話を聞いてみたい
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4Gamer:
発表会直後でお疲れのところ,わざわざ時間を作っていただきありがとうございます。本日はよろしくお願いします。
では早速ですが,発表会で明らかになった,最新拡張パック「破天の章」の特徴について,順に聞いていきます。まずは拡張の一番の目玉である,新職業“傾奇者”(かぶきもの)について教えてください。とても珍しい職業ですよね。……というか,本来職業ではないものですね(笑)。
松原氏:
何か新しい職業を入れようと考えて,いくつか候補が出たんですよ。その中でも,プレイヤーに新しさを感じていただけて,誰もがこのキャラクターを作りたいと思うような職業を……と考えていった結果,この傾奇者に決まったんです。
4Gamer:
確かに,クビから上を細かくカスタマイズできるなど,見た目からして新しいですものね。戦闘ではどのような活躍をすることになりますか?
山中氏:
基本的には後衛のクラスです。“四象”と“地勢”を操って,パーティメンバーが有利になるようにサポートするのがメインの仕事ですね。
4Gamer:
“四象”というのは,この拡張から追加される,土・水・火・風の“場の4属性”ですよね。これって,戦闘のたびにランダムで決まるのでしょうか? それとも,そのあたりは固定になっているとか。
山中氏:
場の属性は,ゾーンごとに決まっています。
4Gamer:
ああ,そういうことでしたか。では,火の魔法を操る陰陽師の場合,火属性のゾーンでは強いけれど,水属性のゾーンではあまり能力を発揮できない,といった感じになる,と。
山中氏:
いや,それは少し誤解があるようですね。どの“場”にも,土・水・火・風の4属性は独立して存在するんです。そしてそれぞれに強弱がある。だから火が強くて,ほかの3属性が弱い場は,相対的に“火属性が強い場”ということになります。
松原氏:
つまり,例えば水属性がとても強い場,といった表現になるわけですね。そういう場で,傾奇者が水属性を弱めると,相対的に火が強くなって,陰陽師もより活躍できるようになる,と。
山中氏:
ええ,そういうイメージで間違いないのですが,少し補足しておくと,四象のバランスは急に変化するのではなく,時間の経過とともにゆっくり変わっていきます。だから傾奇者は,四象を直接操るというよりは,変化する方向を指定する,といった感じです。
4Gamer:
ふむふむ,よく分かりました。では,もう一つの“地勢”ですが,こちらは物理攻撃が効きにくかったり,回復魔法が効きやすかったりという土地ごとの性格のようですね。
山中氏:
発表会では物理攻撃を弱めるデモをしましたが,傾奇者にはほかにもいろいろな技能がありますよ。逆に物理攻撃を高めるとか,回復効果を高めるなどですね。
4Gamer:
これも四象と同様に“場”を操るものですから,敵味方関係なく,その戦場全体にそういう効果がつくんですよね。
山中氏:
そうです。
松原氏:
ですからバランスを考えないといけません。当然,自分達が得意なものの効果をより上昇させる方向で使う必要があるんです。
4Gamer:
うっかり自分達が損をしてしまうこともあるんですね。
松原氏:
そのへんの駆け引きがPvPでは重要になります。相手に地勢を変えられてしまったから,それを合わせて戦略を変える,というようなことも必要になるでしょう。ですからワンパターンの攻撃で勝ち続けることは難しくなるでしょうね。
4Gamer:
なるほど,ということは,ゲーム内で“すでに定番化している戦略”のようなものが,これによって通じなくなるかもしれませんね。
松原氏:
今までの戦いと比べ,より戦略性を高めたいというのが,この四象/地勢を導入する一番の狙いなんですよ。
4Gamer:
分かりました。では,傾奇者のもう一つの特徴である,“殺陣”(たて)についても教えてください。これはつまり,傾奇者が使う“連係の起点となる技”ですか?
松原氏:
そう考えてもらって構いません。ただ少し違いもあります。例えば術で“乗る”連係には,術を持っていないと乗れないですよね。それと同様に,殺陣の連係に乗るには特定の条件を備えていなくてはいけない,というのが決まっています。
4Gamer:
あ,もう一つ大きな特徴がありましたね。傾奇者は,髪型やその色,ヒゲ,耳飾り,そして化粧など,クビから上のカスタマイズが豊富ですよね。ちなみに,この拡張パックを導入しても,ほかの職業で顔をいじったりはできませんよね。
山中氏:
いえ,実はできるんです。傾奇者が生産したアイテムを使うことで,ほかの職業でも髪型を変えたり,隈取をつけたりといったことが可能になります。
4Gamer:
なるほど,その生産物で,ほかの職業のキャラクターもオシャレが楽しめると。傾奇者の生産物は,拡張パック導入直後は,かなり人気となりそうですね。
松原氏:
そうなるように期待しています。
4Gamer:
そういえば,傾奇者が使う武器ってなんでしょう? イメージイラストでは,実在した“傾奇者”前田慶次のように,槍を持っていますね。
山中氏:
もちろんそのほかのものもあります。傾奇者であるだけに,一風変わった武器を用意するつもりです。
4Gamer:
防具類はどうなりますか?
山中氏:
やはりイメージイラストのような,着物を着ることになるでしょう。