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10月下旬に正式サービス開始。「ソーサリアンオンライン」デモプレイの模様をお届け
2006/10/05 16:22
 夜空に星が流れるタイトルバックに,英文のプロローグ。そして浮かび上がる「SORCERIAN」のタイトルロゴ。1987年にPC-8801mkII SR版で発売されて以来,数多くの国産PCプラットフォームや家庭用ゲーム機に移植され,最近では携帯電話版のアプリケーションとしても配信されている「ソーサリアン」。4Gamer読者の中には,この同時代を代表する名作といっても過言ではない同作のオープニングを,古代祐三氏によるBGMとともに今でも思い出せるオールドファンも多いのではないだろうか。

 そのソーサリアンが,発売からおよそ20年を経た今,「ソーサリアンオンライン」として生まれ変わった。本作はこれまで,5月31日から6月6日までの第一次クローズドβテスト,9月15日から20日までの第二次クローズドβテストの,二回にわたるβテストが行われてきた。いずれも限られた人数でのテストだったため,本作に関心を持ちながらも,残念ながら参加できなかった人もいるだろう。
 今回,開発元である電遊社の東京オフィスにおいて,代表取締役社長 林省吾氏と,テレビ会議のモニター越しに京都本社から参加してくれたディレクターの洋谷龍氏から,実際にデモプレイを見せてもらいながら,正式サービスを間近に控えた本作の特徴や今後の展開予定について話を聞く機会を得た。果たして本作はどのようなゲームに仕上がりつつあるのだろうか。



■10月下旬に正式サービス開始!
 正式サービス時には,パブリックホストを用意

電遊社 代表取締役社長 林省吾氏
 タイトルからも分かるとおり,本作はシングルRPGではなく,オンラインプレイ専用だ。それも,多数のプレイヤーが集ってロビー的な役割をする“街”というMMO的な空間と,その街から出るとプレイヤーのPCがホスト(サーバー)になるという,MO的な空間を併せ持つスタイルの作品となっている。似たようなシステムのゲームとしては,「ギルド ウォーズ」「ダンジョンズ&ドラゴンズオンライン:ストームリーチ」「ファンタシースターユニバース」などが挙げられるが,オンラインプレイを前提としながら,プレイヤーのPCがホストになるMOスタイルのRPGというのは,極めて珍しい。

 本作は「10月下旬に正式サービス開始予定。課金方式は月額課金ではなく,アイテム課金方式」(林氏)とのこと。また,正式サービス開始時には,以下の三つのアップデートが実施される。

(1)ゲームパッドに標準対応
(2)ゲーム開始時のチュートリアルと,専用ダンジョンの実装
(3)パブリックホストの設置

 いずれもクローズドβテストに参加したプレイヤーからの要望が多かったものだが,ここで注目すべきは三つめの「パブリックホスト」の設置だろう。パブリックホストとは,運営側が用意するホストのことだ。上述した通り,本作はプレイヤーのPCをホストとする,P2P型MOだ。しかし,この方式にはいくつかの問題点がある。まず,ホストとなるプレイヤーのPCスペックに,パーティメンバー全員のプレイアビリティが左右されてしまう。
 すなわち,ホストプレイヤーのPCスペックが十分に高く,安定した通信回線を確保できていれば快適にプレイできるが,その逆の場合もまたしかりというわけだ。ホストプレイヤーは文字通りの意味でパーティメンバーの命運を握っているわけで,それなりに責任重大で気が引けてしまうという人もいるだろう。

正式サービス開始時に実装されるチュートリアル。ここで一通りの操作方法をマスターできる


 またもう一つの問題点として,ホストとなる側には特定のポート開放が必要なことが挙げられる。これはホストとなるプレイヤーが自分で設定を行わねばならず,設定方法も使用しているルータやセキュリティソフトによって異なる。こうした設定を行うには,ある程度のPCやネットワークの知識が必要とされるため,本作がターゲットとするカジュアルプレイヤー層には,いささかハードルが高いと言わざるを得ない。また,契約しているプロバイダによっては,PC側の設定をいくら行ったところでホストになれないという可能性もある。
 こうした事情のため,本作ではこれまでの二度のクローズドβテストを通じて,パーティプレイがなかなか活発に行われなかったという経緯があるのだ。しかしこのパブリックホストの導入によって,ぐっとパーティプレイがしやすくなることは間違いない。
 本作では4人までのパーティを組むことができ,ホストPCには自分を含む最大8人のプレイヤーを招くことができるが,パブリックホストの収容人数は当然これよりさらに大きなものとなる。具体的な数字については現在調整中とのことだったが,実際のプレイ感覚としては,通常のMMORPGに近いものになると考えていいだろう。正式サービス開始後は,普段はパブリックホストで遊び,親しい友人同士で特定のエリアを攻略したいときにはプレイヤーホストで,といったプレイスタイルが生まれるのではないだろうか。実装が非常に待ち遠しい要素の一つだ。

美しい森から強敵が待ち受ける迷宮まで,数々のフィールドが冒険の舞台となる


 残るゲームパッド標準対応と,チュートリアルダンジョン実装もまた,プレイ環境の改善に大きな役割を果たすはずだ。マウス操作がほとんど考慮されておらず(まぁそこがソーサリアンらしいと言えないこともないが……),ほぼキーボードのみという本作特有の操作性も,第二次クローズドβテスト時に追加されたキーコンフィグ機能と,このゲームパッド標準対応によって大幅に改善されるだろう。そのうえで,基本操作を一通り確認できるチュートリアルダンジョンが実装されることで,ゲーム開始時のとっつきにくい印象は解消されることになるはずだ。



■オリジナルの初期シナリオ15本を3Dで再現
 語られることのなかった,バックストーリーの補完も

 さて,今回自らテストプレイをしながらの紹介を行ってくれた林氏によると,本作では「オリジナル版ソーサリアンの初期シナリオ15本を,3Dグラフィックスで再現していく」とのこと。正式サービス開始時には,「消えた王様の杖」「ルシフェルの水門」の二本のシナリオが用意される。これらには,当時のマップを3Dで再現した専用ダンジョンが用意され,当時のボスキャラなども登場するという。その後は2か月に一度くらいのペースでシナリオの追加を行っていくとのこと。戦闘がほとんど起こらない,ミステリー仕立て(?)の「呪われたクィーンマリー号」といった,MMORPGでの再現が難しそうなシナリオがどのような形で実装されるのか,往年のファンは期待しよう。

「ルシフェルの水門」の滝があるシーンも3Dグラフィックスで再現。クラーケンの姿も確認できた


 プレイヤーは,大和とリドニアのどちらかの国からスタートすることになるが,これらのメインシナリオは,懐かしいペンタウァで受けることができる。ペンタウァまでの道のりは結構遠く険しいので,メインシナリオは中級者以上のプレイヤー向けとなっている。また林氏は,「本作の舞台は,オリジナル版のソーサリアンに前後した時代です。プレイヤーのスタート地点となっている大和(戦国ソーサリアン)やリドニア(ピラミッドソーサリアン)の静的シナリオを進めることによって,ペンタウァで起こった事件がどのようにしてこれらの国々へ広がっていったのかという,これまで語られてこなかったバックストーリーが補完されるようになっています」と語ってくれた。これらのサブシナリオは本家である日本ファルコムの監修のもとに進められており,ゲーム中に使用されるBGMも,ファルコムのスタッフによるアレンジが施されたものであるとのことだ。ちなみに,静的シナリオとは,ログインするたびに異なるクエストが受けられる,本作の“動的クエスト”とは対になるものだ。静的シナリオは,ログインしなおすたびに変化するわけではない。

(左から)冒険の拠点となる,「ペンタウァ」「ヤマト」「リドニア」の街並み


 本作ではこのほかにも,フィールドに点在するダンジョンがあり,これについてディレクターの洋谷氏は「オリジナルのソーサリアンがパーティを組んでシナリオをクリアしていくタイプのゲームだったので,ソーサリアンオンラインでもパーティプレイを重視しています。また,MOタイプのゲームなので,アイテムやモンスターの取り合いは発生しません。そのほかに,MOの特性を生かしたパズル性の高いダンジョンが特徴となっています」と語ってくれた。
 また,サービス開始時に実装されるかどうかは未定であるが,攻撃スキルや魔法を特定の順番で繋げることによって追加ダメージを与える「連携技」もあるとのこと。

本来はさまざまな仕掛けを解いた洞窟の奥深くでプレイヤーを待ち構えているというドラゴン


モニター画面右が,ディレクターの洋谷龍氏。サーバプログラマーの山口氏(中央)と,メインプログラマーの倉氏(左)も同席してくれた

 ソーサリアンと聞くと,年齢や性別によって選択可能なものが異なる60種類もの職業や,ハーブの調合,星魔法の掛け合わせといった独特のシステムを思い浮かべる人が多いだろう。本作でも,第二次クローズドβテストからは星魔法の掛け合わせによる装備品の強化が実装されたが,本作ではこうしたオリジナル版のシステムを取り入れることよりも,むしろシナリオの再現によるソーサリアン世界の再構築をコンセプトとして制作が行われている。それが,上述した15本のメインシナリオの再現や,バックストーリーの補完につながっているのだ。
 とはいえ,オリジナル版のシステムがすべて消えてしまうのでは悲しい。そのことについては,「ハーブ調合は,オリジナル版の要素だけではMMORPGとしては少ないので,さらに拡充した形で,薬剤練成といった形で取り込んでいます」(洋谷氏),「オリジナル版のシステムを活用したMMOになるのではないかと期待していたプレイヤーさんが多いので,さまざまな職業なども,例えば調理錬成や木工練成といった生産スキルの形などで再現して,求められるものに近づけていきたい」(林氏)とのこと。シングルプレイRPG用のシステムとして用意されていたものを,そのままの形でMMORPGに適用するのが難しいのは,容易に想像できる。こうした現実的な形での今後のアップデートに期待したい。
 また,第二次クローズドβテストで実装されたギルドシステムに関しても,今後のアップデートの中で「ギルドルーム」の実装が予定されており,ここではメンバー同士の伝言のやり取りや,共有倉庫などが使えるようになるという。

 最後に,本作のアイテム課金について。「正式サービス開始から,2週間後くらいをめどに課金アイテムの販売を行う予定です。当初は回復アイテムなどの消費系アイテムがメインで,価格は100〜200円くらいを考えています。その後は順次,装備アイテムの追加を行います」(林氏)とのこと。また,正式サービス開始時には,クライアントダウンロードだけではなく,レアアイテムをもらえるコードが記入されたプレミアムチケットや,イラスト集,特製マウスパッドや携帯ストラップなどのオリジナルグッズが同梱された初回限定版パッケージも販売される予定となっている(関連記事)。価格は7980円(税込)で,限定3000本の抽選販売となっている。ソーサリアンファンは今すぐ予約しておこう。(ginger)


ソーサリアンオンライン
■開発元:電遊社
■発売元:電遊社
■発売日:2006/11/16
■価格:基本プレイ無料(アイテム課金)
→公式サイトは「こちら」

【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/news/history/2006.10/20061005162255detail.html