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「ギルド ウォーズ」日本No.1ギルド,「Sacrament Of The Waooru [SotW]」特別インタビュー
2006/05/26 22:59
 別記事でもお伝えしているように,現在「ギルド ウォーズ」の日本区域ギルド「Sacrament Of The Waooru [SotW]」は,対人戦イベント「The Guild Wars Factions Championship」(GWFC)のシーズン2 プレイオフ戦で,世界トップ4まで登りつめるという快挙を成し遂げている。

 今週末の5月28日にはプレイオフの準決勝戦,そして順調に進めば翌29日には決勝戦も控えており,現在は戦術の最終打ち合わせに余念がないといったところだろうが,そんな中無理をいって,SotWのギルドオフィサーであるshiou氏(キャラクター名:Imm To Liath)に,IRCチャットによるインタビューをお願いしてみた。ギルド ウォーズプレイヤーにとって実に興味深い内容なので,ぜひとも最後まで目を通してもらいたい。(川崎 政一郎)



■ギルドリーダー制を廃し,メンバーの全員が率直に意見を出し合える環境を目指す
4Gamer:
 お忙しいところインタビューに応じて頂き,ありがとうございます。本日はよろしくお願いします。

shiou:
 「SotW」のオフィサーを担当しているshiouです。こちらこそよろしくお願いします。

4Gamer:
 なにはともあれ,シーズン2 プレイオフ準決勝進出,おめでとうございます。まずは,2試合を終えた今の心境を聞かせてください。。

shiou:
 私達は今期のシーズン2が始まるときに,「世界ランキング16位以内」,すなわちプレイオフへの進出を目標に掲げました。その目標が達成できただけでなく,このように準決勝まで勝ち進むことができて,非常に嬉しいです。

4Gamer:
 SotWに参加しているメンバーは,やはり日本語版がリリースされていない時期から,英語版でプレーし続けているようなベテランが多いのでしょうか?

shiou:
 いえ,メンバーの中にはそういった人もいますが,ギルド内の比率としては,日本語版から始めた人のほうが多いですね。

4Gamer:
 日本語版「ギルド ウォーズ」の発売から,まだ4か月くらいしか経っていませんが,それでプレイオフ進出とはすごいですね……。

shiou:
 英語版のころから,SotWというギルド自体はあったのですが,当時は本格的なGvG活動は行っていませんでした。ですが2006年の1月末に日本語版が発売され,きっとPvP人口も増えるだろうという読みもあり,「折角だからGvGもやってみよう」と,メンバーを追加募集しました。なので本格的にギルドバトルを行うようになったのは,今年の2月からですね。

4Gamer:
 うーん,本当にすごい。私なんて英語版のころからプレーしてますが,未だに全部のスキルを覚えきれていません(苦笑)。それはいいとして,ギルドのメンバー数はどれくらいなのでしょうか?

shiou:
 ギルドに在籍しているのは14名程度で,その内ほぼ全員がギルドバトル(GvG)に参加しています。



4Gamer:
 ギルド ウォーズのGvGには8名しか参加できないという制限がありますが,14名のメンバーをどのようにローテーションさせているのでしょうか?

shiou:
 さすがに毎日参加できるようなメンバーばかりではないので,普段は分け隔てなく参加してもらって,GvGができる程度に人数が収まるようにしています。ただ,ランキングの最終盤やプレイオフといった大切な時期においては,8名のレギュラーメンバーを決めています。ちなみにSotWでは,レギュラーメンバーの8名がオフィサーとなっていて,特定のギルドリーダーは設けていません。

4Gamer:
 ギルドリーダーが不在なんですか? なかなかユニークなシステムですね。

shiou:
 試行錯誤を重ねて,今のシステムに落ち着きました。以前は自分がギルドリーダーを務めていたのですが,リーダーを明確に決めてしまうと,どうしても一人の負担が大きくなってしまいます。8名がオフィサーを担当することで,その負担を分散すると同時に,誰でも率直に意見を出し合えるような環境を作りました。

4Gamer:
 なるほど。いま聞いた限りでは,8人の水準を高めていくのが難しそうだなと感じたのですが,そのあたりの苦労はありますか?

shiou:
 全員の意識は必ずしも同じではないので,戦術面などの意見がぶつかり合うこともあります。ですが,「上手くなりたい!」という気持ちは皆同じですし,それはメンバー全員が理解していることなので,ケンカになるほどもめることはありませんね。そこで納得のいかない部分は,メンバー同士でとことん話し合えるようにしたのが,良い結果に結びついたのかなと思います。

4Gamer:
 確かに,上手くなりたいと思う気持ちは同じでも,話し合いの過程で衝突して修復しきれない,といったケースは時折見かけますね。

shiou:
 ええ。例えばギルドリーダーがGvG後の反省会で厳しく言い過ぎちゃったりすると,メンバーの中には萎縮する人もいて,意見が出にくい雰囲気になりがちです。SotWでは,オフィサーの8名が平等にギルドを運営しているので,そのようなことは起こらず,スムースに運営できていると思います。

4Gamer:
 なるほど,その辺りにSotWの強さの秘訣があるような気がしますね。ギルドについての話題が出てきたので,それに関する質問なのですが,ギルド名にある「Waooru」って,どんな意味なのでしょう?

shiou:
 それは秘密です,というのもアレなので(笑)。ギルドを創設するときに,メンバーの一人がこの名前を考えたのですが,今となっては誰も由来を知らないのが実情です。

4Gamer:
 そのメンバーの方は,今はギルドに在籍していないんですか?

shiou:
 はい,FPSの世界へ旅立っていきました。

4Gamer:
 となると真相は闇の中ですね……。その方が今,自分の考えたギルド名が世界的に知れ渡っているのを見たら,一体どう思うか。ちょっと気になりますね(笑)。



■プレイオフでは対戦相手があらかじめ分かっているのがポイント。対戦相手のビルドや戦術を徹底研究
4Gamer:
 今回のGWFCシーズン2では,その途中で「Campaign2 戦乱の章」の導入という大きなターニングポイントがありましたが,それによる影響はどうでしたか?

shiou:
 ビルドを組むときの基本的な考え方や,試合中の戦術は極端に変わっていません。ですが,追加されたスキル数が膨大なので,それへの対応に悩まされていますね。

4Gamer:
 確かに,Campaign1&2のスキルを合計すると,ものすごい数ですよね。私なんて未だに……,ま,それはどうでもいいですね。

shiou:
 基本的に私達は,どのような相手にでも対応できる,バランスタイプのチームビルド(8人分のスキル構成の総称)を使い続けています。しかし,それでもあっと驚くような戦術が当たり前のように出てくるので,それらにできるだけ素早く対応できるような心構えを持ち続けています。

4Gamer:
 プレイオフにおける4試合分のリプレーを拝見しましたが,今のところ1名を除いてジョブ構成は同じですね。バランスタイプでありながら,この1名の役割を対戦相手によってフレキシブルに変化させているのが鍵かな,という印象を受けました。もちろん,仮にジョブが同じでもスキル構成は全然違ってくるんでしょうけれど。。
 ただ,未だ見たこともないようなトリッキーな戦術が,プレイオフ準決勝以降で突如出現するかもしれない,といった怖さはありますか?

shiou:
 新たな戦術を導入する場合,従来のスキルを一部削るというリスクが生じます。さすがに今になって奇策が登場,ということはほぼ無いと思いますね。
 例えば今回のシーズン2では,終盤にMass Petの戦術(R/Wを3名程度入れて,大量のペットと共にラッシュを仕かける)が流行しました。今回のプレイオフでMass Petを使っているギルドは,今までのランキング戦などですでに手の内を見せています。

4Gamer:
 なるほど,対戦チームの研究はかなりされているようですね。

shiou:
 プレイオフでの戦いは,普段のランキング戦と違い,「対戦相手が事前に分かっている」というのがポイントだと思います。
 例えばプレイオフの一回戦目において,「I Black Widow I [Wi]」が「The Last Pride [EvIL]」を相手に,Mass Petの戦術で打ち破っています。そしてWiはそれをほぼそのままの形で,二回戦目で私達に対して使ってきました。しかし彼等のMass Petは完全に予測していたので,カウンター用のチームビルドで対抗し圧勝できましたね。
 私達が一回戦目で対戦した「Idiot Savants [iQ]」についても同様,彼等がランキング中にMass Petをよく使っていたのを知っています。プレイオフでもいつか使ってくるだろうと待ち構えており,結果その通りになりました。

4Gamer:
 戦術ではなく,戦略の段階で半ば勝負はついていたわけですね。

shiou:
 まさにそうですね。こういったプレーは普段のランキング戦では経験できなくて,とても新鮮で面白いです。



4Gamer:
 敵は残すところ3ギルドとなったわけですが,どのギルドに対しても対策は一通り打ち合わせずみ,といったところですか?

shiou:
 準決勝で対戦する「Esoteric Warriors [EW]」はかなり手強く,今までのランキング戦でもボコボコにされています。彼等は私達と同様バランス型のギルドなのですが,それでいて突然ネクロマンサーによる集中砲火といった戦術も繰り出してきて,対応に悩まされますね。

4Gamer:
 同じタイプのギルド同士の戦いだと,基本テクニック面でのレベルの高さが勝敗を分けると思います。例えば分隊時の指揮体制やボイスチャットでの指示など,普段のプレー時にとくに気をつけているところはありますか?

shiou:
 どのタイミングで部隊分けをするかといった判断は自分が行っていて,その後は各隊毎にリーダーを決めて動いています。ただ,分隊を行っている最中はボイスチャットが混乱しがちなので,必要のないことは極力喋らないよう気をつけています。
 それともう一つ,指揮されなければ動けない,というのでは反応がどうしても遅くなってしまうので,メンバー各々が自己判断で動くことも大事だと思います。

4Gamer:
 GvGのゲーム外の環境作りも含めると,どうでしょうか。

shiou:
 GvGは8人で行うゲームだというのを忘れないようにしています。仮に一人が突出して上手くても,ギルド全体としては強くもなんともないです。それよりも,いかにして全体としてのレベルを上げるかが大切だと思います。

4Gamer:
 それは,先程出た8人オフィサー制にも通じる内容ですね。あと,シーズンの終盤になるとレートも高くなり,一試合ごとのプレッシャーも相当大きくなるとは思うのですが,そのあたりのツラさはありましたか?

shiou:
 最終盤の,プレイオフに出られるかどうかという時期には,「レートをもっと上げよう」という意見と,「レートはこれくらいで下がらないようにしたほうがいいんじゃないか」という2つの意見で分かれました。

4Gamer:
 確かに,ランキングで10位前後の状態だと実に悩ましいですね。で,結局どちらの案を採用したのですか?

shiou:
 シーズン2におけるランキング戦の最終盤では,Mass Petがかなり蔓延していたのですが,自分たちの得意とするバランス型ビルドの枠内でそれらに対応するのが難しかったです。なので,結局は様子見という方向で行きました。

4Gamer:
 それが結果的に,功を奏した形になったわけですね。

shiou:
 はい。その一方で「The Benecia Renovatio [RenO]」は非常に強いギルドだったものの,Mass Petの対策を誤ったようで,最後の最後でレートを落としてしまいました。(※ RenOは最終的に19位でプレイオフに進出できず)

4Gamer:
 準決勝以降の敵はSotWと同様,対戦相手をよく研究していると思います。となると,お互いの手の内は知り尽くした者同士が,奇策無しで正面からぶつかり合う可能性が高いわけですが,残り4ギルドの内どこが優勝すると思いますか?

shiou:
 うーん……。あの「The Last Pride [EvIL]」ですら,プレイオフの一回戦目で敗退してるので,予測は難しいですね。どこのギルドも本当に強いです。
 ただ,あえて言うならば,自分のGuild Hallを2度使える「War Machine [WM]」が有利かなと思います。プレイオフではレートが高いギルドが優遇され,1試合目と3試合目が自分のGuild Hallで行われますから。(※ WMは現在ランキング2位)

4Gamer:
 それでも我々としては,是非ともSotWに優勝してもらいたいですね。最後に,4Gamer読者やギルド ウォーズプレイヤーに対して一言願いします。

shiou:
 このゲームはとにかく,4対4や8対8といった複数人同士での対戦が楽しいと思います。なので,ギルドにまだ入っていない人は,是非どこかのギルドに入って,対人戦を楽しんでみてほしいです。PvPのバランスは本当に優れている作品なので,ほかのゲームのPvPが好きな人も,どんどん参戦してほしいなぁと思いますね。

4Gamer:
 やっぱり,ギルドに参加してこその「ギルド ウォーズ」ですからね。
 それでは,準決勝戦のみならず,その先の決勝戦での活躍を期待します。そして,いずれはGWFC決勝大会のドイツで会えることも楽しみにしてます(笑)。いや,本気ですよ。

shiou:
 是非ドイツまで旅行しに行きたいですねぇ(笑)。頑張ります!


ギルド ウォーズ
■開発元:ArenaNet
■発売元:エヌ・シー・ジャパン
■発売日:2006/01/27
■価格:オープンプライス(パッケージ版) / 月額課金料金980円
→公式サイトは「こちら」
ギルド ウォーズ Campaign2 戦乱の章
■開発元:ArenaNet
■発売元:エヌ・シー・ジャパン
■発売日:2006/04/28
■価格:オープンプライス(パッケージ版)
→公式サイトは「こちら」

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