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グラナド・エスパダ”X-meeting”レポート#1 ハッキュ氏も来場!
2005/08/29 16:23
何気なくオープニングムービーを見ていたら,最後のこの文字が。つまりこのムービーによれば,X-meeting自体も,グラナド・エスパダの物語中の出来事となっているのだ
 8月27日(土)14時,「グラナド・エスパダ」のコアファンのうち東京近郊に住んでいる人は,その大半が家にいなかったのではないだろうか。理由は,ほかでもない。この時間,東京・秋葉原にできたばかりの「秋葉原コンベンションホール」で,「グラナド・エスパダ X-meeting」なるファンカンファレンスが行われていたのである。
 X-meetingとは,第一次クローズドβテスト「Primero」に参加した人をはじめとする「グラナド・エスパダ」のファンに向けたイベント。Primeroの結果発表や,アートコンテスト「暁のArtista」の授賞式,さらには本作のプロデューサーであるキム・ハッキュ氏のトークセッションなどで構成され,入場無料で誰でも(つまりPrimeroに落選した人も)参加可能ということもあり,多くの来場者でにぎわうことになった。8月29日15:00現在,まだ正式な入場者数は発表されていないが,300人ほど入る会場が人で埋め尽くされるほどには集まっていた。

 前述のようにX-meetingは本来メディア向けのイベントではないのだが,当日秋葉原まで来られず,本イベントに参加したくても叶わなかったという人も少なくないだろう。ここではその人達のために,どんなイベントであったのか,詳しく紹介しておこう。

左:左から,小林智美氏,キム・ハッキュ氏,キム・ヨンマン氏,久保田修氏


■オープニング:ムービーとGMによるPrimero結果報告

ハンビットユビキタスエンターテインメント代表取締役のキム・ヨンマン氏
 イベントが始まって場内が暗くなると,最初に始まったのはムービー(ダウンロードは,「こちら」)。「私が,この任務についたのは,『7月の野バラ』事件が起こる,丁度半年前だった」と始まるこのムービーは,池田秀一氏によるナレーションで,第一次βPrimeroのバックストーリーや,その結果を物語仕立てで紹介するという内容。このX-meetingまでもがストーリーの一部にされており,とくにPrimeroに参加した人には,鳥肌ものの内容だっただろう。そもそもクローズドβテスト自体にストーリーを与える(ストーリーというのは,「これ」。ちなみにこれ,よくできているが,なんと日本オリジナルの物語)ということ自体が前代未聞だったわけだが,それを生かした,粋な演出である。
 このとき流れたムービーは実はショートバージョンで,時間の都合で上映できなかったロングバージョンも存在する。どちらももらってきたので,のちほど4GamerにUpしよう。現地で見た人も,ロングバージョンをお見逃しなく。

 さてムービーが終わり,あたりが明るくなって現実世界に戻ってきた観客の前に最初に現れたのは,ハンビットユビキタスエンターテインメント(以下,HUE)の(そして韓国Hanbit Softの)代表取締役,キム・ヨンマン氏である。
 「こんにちは。ハンビットユビキタスエンターテインメント代表取締役の,キム・ヨンマンです」と,日本語で話し始めるのは,いつもどおり。このまま日本語で進んでいくかと思ったが,いま日本語の勉強真っ最中である氏は,今回は「まだまだヘタなので,今回は韓国語で挨拶させていただきます」と,韓国語で話し始めた。内容は,これまでの日本のファン達の応援に対する感謝。そして「引き続き,2005年度内のサービス提供に向けて鋭意開発と運営準備に注力してまいります。どうぞよろしくお願いします」とのこと。
 ちなみに,来場者はもしかしたら「なんかニコニコしたおじさんだなー」くらいにしか思っていなかったかもしれないが,本家Hanbitの社長といえば相当な実力者。業界にもかなりの影響力を持っている人だ。そんな人がわざわざ"ユーザー向けカンファレンス"に来るあたり,本作にかけるHanbitおよびHUEの意気込みを知ることができる。

 続いてGMチームの河嶋由美子氏が壇上に立ち,Primeroの結果報告を行った。この内容については,ずらずらと文字で説明するよりは,掲載したパワーポイントを見てもらったほうが早いだろう。8割近くが男性プレイヤーにもかかわらず,女性キャラクターのほうが人気が高い(1位はマスケッティアの女性,2位はファイターの女性,3位はウォーロックの女性と,上位を女性キャラクターが独占した)というのが,ちょっとほほえましい(?)ポイント。こういう傾向はほかのMMORPGでも珍しくないが,とくにコマンダー=プレイヤーであり,キャラクター≠プレイヤーという本作では,とくにおかしくない結果なのかもしれない。
 しかしもっとも興味深いのは,ログイン率が100%を記録したということ。当選者が接続するのは当たり前のようだが,実はそうでもない。"無料"であるこの手のβテストでは,応募するだけ応募しておく,という人が少なくないのだ。マナー違反とされる複数応募も,ざらだ。この100%という数字は,Primeroがそれだけ注目されているということに加え,HUEが厳正なる抽選を行った結果といえるだろう。しかし,合計25時間しかないテストで24時間以上ログインしていたプレイヤーが5人もいるというのが……。
 また,ランキングの数値にも注目。といってもPrimero参加者以外にはピンと来ないかもしれないが,少なくとも会場では,どよめきが起こっていた。



■クリエイター挨拶:キム・ハッキュ氏,久保田氏,小林氏

「グラナド・エスパダ」プロデューサー,キム・ハッキュ氏。IMC Gamesの代表取締役でもある
 ROのころからキム・ハッキュ氏に注目していた当編集部としては,ROから離れたあとでも氏が一種のアイドル(?)と化していることにちょっとびっくり。彼が壇上に立つだけで,会場は割れんばかりの歓声に包まれた。
 ただ,あとでトークセッションが用意されているためか,このときは簡単な挨拶のみ。そしてキム・ハッキュ氏から紹介される形で,グラナド・エスパダの開発に参加することになった二人の日本人クリエイター,サウンドコンポーザーの久保田修氏と,キャラクターデザインの小林智美氏が順に登壇した。

 ゲームでは「ビートマニア II DX」への楽曲提供で知られる久保田氏は,最近では韓国でも活躍しているという。この日会場では,ゲーム内で使用する新曲3曲を,生演奏によって披露してくれた。
 北京でオーケストラ(24人編成のダブル)を使って録音してきたばかりとのことだったが,さすがに会場にオーケストラを連れてくるわけにはいかない。かといって,氏一人で演奏できない。そこで「今日はデジタルの最先端の力と,アナログの最後端の力を利用して」……と取り出したのが,なんとピアニカ。「アナログを通り過ぎて,フィジカルという感じですが」とジョークを飛ばしつつ,実際の演奏に入った。久保田氏の生演奏を聴けるとは,来場者も運がいい。こんなチャンスは滅多にない。
 このピアニカによって始められた1曲目は,メニュー画面で使用されることになるという,「Old Speckled Reel」。途中から録音されたオーケストラに合わせての演奏となったが,主旋律をピアニカで弾いているだけあり,アイリッシュな,実に明るく軽妙な曲。確かにメニュー画面に(贅沢すぎる気もするが)ピッタリだろう。
 続いて,「temptation」。こちらはピアニカは使わず(PCのではない)キーボードで弾いていたこともあり,うってかわってしっとりとした,それでいてムーディーでドラマチックな展開を見せる大人っぽい曲。ちなみにこの曲の間中,ハッキュ氏が体中でリズムを取り,ノリノリで聴いているのを,筆者は見逃さなかった。本当に久保田氏の音楽が好きなんだなぁ,と思った次第。
 静かに静かにtemptationが終わり,会場が拍手のタイミングを逃している間に,最後の曲が始まった。コインブラという街のテーマ曲で,その名も「Aria de Coimbra」である。北京でソプラノとソナーの歌手の声を入れてきたとのことで,ゆったりとした,壮大な曲に仕上がっていた。北京で録音したと聞いたためか,どこか中国的というか,大陸的な香りを感じたのは,筆者だけだろうか。
 しかし,ヨーロッパの世界観を採用した,韓国人が手がけるグラナド・エスパダの楽曲を,日本人の音楽家が,中国で録音してきたというのは,"ゲームの好みに国籍は関係ない"というキム・ハッキュ氏の思想にもつながり,なんともグローバルで面白い。録音してあるのだが,さすがにこれはUp NG。実際にゲーム内に反映される日を,楽しみに待っていてほしい。

 一方の小林智美氏は,ゲーマーなら言わずと知れた「ロマサガ」のイラストの人。今回は,5種類の新キャラクターデザインを披露してくれた。各デザインは下に掲載したので,確認してほしい。小林氏はそれぞれを「情熱的な色味にした」(スカウト女性),「ベルサイユ宮殿にかけられた絵の戦士の服装にインスピレーションを受けて描いた」(マスケッティア男性),「花をイメージした」(ウィザード女性,ウォーロック女性)など,各絵を解説付きで紹介していた。
 また司会者に,「今後グラナド・エスパダで,どのようなイラストを描きたいと思っていますか?」と聞かれ,「最初にこのゲームを見させていただいたときに,綺麗どころが多く,優美な感じだったので,その路線でいってみたいと思います。やはり美青年とか,可愛い女の子とか描いてみたいですね」と答えた小林氏。司会者が「やっぱり綺麗なものを見たいですものね」と言うと,ちょっとはしゃいだ声で「そうなんですよね!」と勢いよく小林氏が返したのには,来場者も笑みを誘われていた。

上段は久保田修氏による演奏。下段は,今回発表された小林智美氏による新デザインだ


■「暁のArtista」および「X-Tester」授賞式

 まだまだX-meetingは続く。続いては,8月22日に応募が締め切られたばかりのアートコンテスト,「暁のArtista」の授賞式が行われた。
 応募総数は,実に527作品。審査員の一人,小林智美氏も「達者な方が多く,ビックリしました」と発言するのももっともで,非常にレベルの高いコンテストとなっていた。受賞作および受賞者の詳細は,公式サイト内の「こちら」で紹介されているので,応募した人もしていない人も,ぜひご覧あれ。
 さて会場では,当日来場した受賞者達が壇上に登り,小林氏やキム・ハッキュ氏(キム・ハッキュ賞のみ)から直々に賞品を受け取り,嬉しそうな表情を見せていた。とくに嬉しそうだったのが,小林智美賞を受賞した輝竜司(きりゅう つかさ)さんだ。賞品を受け取ったあと,小林氏に許可をもらって握手し,そのあとひと言コメントを求められたら,「(グラナド・エスパダは)発表のときからずっと注目していた作品で,大好きな小林先生の賞をいただけて,本当に嬉しいです。ありがとうございました」と一気にまくし立てていた。
 なおHUEでは,今後もこういったコンテスト"Artista"を継続して行っていくとのことだ。「次回のArtistaを,ご期待ください」と締められた。

 このあとは,X-Testerの栄誉授賞式が行われた。こちらは少し説明が必要だろう。全部で6部門用意されており,それぞれの内容は,以下のとおり。

●Best Naming賞
内容:公式サイトで公募されていた,第一次クローズドβテストの名称(Primeroに決定)を名付けた人に贈られる賞
受賞者 / 受賞作:零 / 「Primero」(スペイン語で,"第一の"という意味)
受賞者コメント:イラストを見ていて,スペイン語が合いそうだと思って,Googleして見つけました(笑)

●Best Barrack賞
内容:公式サイトのスタッフブログ"バラック"に,積極的にトラックバックを行い,質/量共に優れた投稿を行った人へ贈られる賞
受賞者:445(よしこ)
受賞者コメント:ありがとうございます

●Best Fan Site賞
内容:ファンサイトの作成を通じて,情報発信とコミュニティ活動を行っている人の中で,最も顕著な活動をしている人に贈られる賞
受賞者 / 受賞作:RedMooN / Granado Episode
受賞者コメント:今回の受賞は,みなさんのおかげだと思います。ありがとうございます

●Best Commander賞
内容:第一次クローズドβテスト「Primero」で,最も高いレベルのキャラクターを作成した人に贈られる賞
受賞者:せら
受賞者コメント:正直,レベルが一番高いというのは,狙っていたので,がんばってみました。第二次クローズドβでも,よろしくお願いします

●Best X-Tester賞
内容:第一次クローズドβテスト「Primero」で,質/量共に最も優れた報告をした人に贈られる賞
受賞者:Ashe
受賞者コメント:ユーザーイベントの主催をしました,Asheです。参加してくれたみなさん,運営者のみなさん,ありがとうございました

●Best Roleplaying賞
内容:第一次クローズドβテスト「Primero」で,グラナド・エスパダの世界観にマッチしたロールプレイを一貫して行った人の中でも,とくに活躍した人に贈られる賞
受賞者:こあまたさん
受賞者コメント:あまり優れたとは思っていないんですけど,ネタとかに走ってよかったと思っています

 どの人も,今回のテスト内での有名人。ある意味順当な結果といったところか。



 このあとX-meetingは,キム・ハッキュ氏によるトークセッション,賞品抽選会,そして第二次クローズドβテストに関する発表と,まだまだ注目の内容が続くが,すでにずいぶん長い記事となったので,一旦ここまでで終了。続きは,「こちら」からどうぞ。(Text by Iwahama,Photograph by kiki)

(c)2003-2005 IMC Games Co.,Ltd.
IMAGE ILLUSTRATION:TOMOMI KOBAYASHI



グラナド・エスパダ
■開発元:IMC Games
■発売元:ハンビットユビキタスエンターテインメント
■発売日:2006/07/21
■価格:基本プレイ料金無料,アイテム課金
→公式サイトは「こちら」

【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/news/history/2005.08/20050829162317detail.html